2019年6月27日発売
あと5時間でこの世界は消滅するーー。歴史を正しい方向に戻さなければ! 直木賞候補作となった記念碑的作品。 「あの戦争」で無条件降伏したはずの日本が本土決戦をしているーー! 「その年」の10月にはいると、ソ連軍は敦賀に、アメリカ軍は四日市に大上陸作戦を展開した。18歳までの男子で本土防衛特別隊が組織されたが、ほとんどは全滅。いまや、山奥の農村の村民までもが敵に通じている。俺は敵弾をあび、頻死の重傷だ。その時、Tマンと名のる男が現われ、「この世界はまちがっている」と告げたーー。時空を超えて日本の歴史の変革を謀る男の見たものとは?! 第50回直木賞候補作となった小松左京初期の傑作。貴重な図版を含む解説も収録。
2020年本屋大賞第3位! 「ブランチBOOK大賞2019」受賞! 「未来屋小説大賞」第3位 「キノベス!2020」第6位 小説の向こうに絵が見える! 美しさに涙あふれる読書体験 両親を交通事故で失い、喪失感の中にあった大学生の青山霜介は、アルバイト先の展覧会場で水墨画の巨匠・篠田湖山と出会う。なぜか湖山に気に入られ、その場で内弟子にされてしまう霜介。それに反発した湖山の孫・千瑛は、翌年の「湖山賞」をかけて霜介と勝負すると宣言する。 水墨画とは、筆先から生みだされる「線」の芸術。 描くのは「命」。 はじめての水墨画に戸惑いながらも魅了されていく霜介は、線を描くことで次第に恢復していく。 絶賛の声、続々!!! 自分の輪郭を掴む、というのは青春小説の王道たるテーマと言っていい。それを著者は、線が輪郭となり世界を構成する水墨画と見事に重ね合わせてみせた。こんな方法があったのか。 青春小説と芸術小説が最高の形で融合した一冊である。強く推す。 --大矢博子(書評家) 水墨画という非言語の芸術分野を題材にした小説で、架空の登場人物が手にした人生とアートの関係性、時空をも越えたコミュニケーションにまつわる真理を、反発心や違和感など一ミリも感じることなく、深い納得を抱いて受け取ることができた。それって、当たり前のことじゃない。一流の作家だけが成し遂げることのできる、奇跡の感触がここにある。 --吉田大助(ライター) "点"は意志を持てば"線"になり、 誰かと誰かを繋ぐ いつしか"縁"となる 線は、僕を描く 新しい自分を何度でもはじめよう --金井政人(BIGMAMA) 心の中に静かな水滴が落ちて、 その波紋が何処までも残っている この先の僕を描く 一部になってくれた本です --加藤慎一(フジファブリック) 美しさに温かさに涙があふれる。いつまでも読み終わりたくない傑作。 漫画版センボク、全4巻完結!!! 漫画は『この剣が月を斬る』の堀内厚徳さん。漫画内の水墨画は砥上裕將さんによるものです!!
大ヒット映画「かもめ食堂」「彼らが本気で編むときは、」の監督が贈る、書き下ろし長編小説 「なんで生まれてきちゃったんだろうって、ずっと思っていました」 高校生の時に母親に捨てられ、知り合いの家や建設現場を転々とし、詐欺で入った刑務所で30歳を迎えた山田。 出所後に海の近くの塩辛工場で働き始めた彼は、川べりに住みたいと願い、ムコリッタという妙な名前のアパートを紹介される。 そこには図々しい隣人の島田、墓石を売り歩く溝口親子、シングルマザーの大家の南など、訳ありな人々が暮らしていた。 そんな山田に、役所から一本の電話がかかってきた。 幼い頃に別れたきり一度も会っていない父親が孤独死したので、遺骨を引き取ってほしいというーー。 ずっと一人きりだった青年は、川沿いの古いアパートで、へんてこな仲間たちに出会う。 友達でも家族でもない、でも、孤独ではない。 “ひとり”が当たり前になった時代に、静かに寄り添って生き抜く人々の物語。
1160年、平治の乱の後、源頼朝は平清盛によって助命される。後に大納言・時忠が、「此一門にあらざらむ人は、皆人非人なるべし」とまで言い放ち、知行国三十余国、荘園五百ヵ所、田園その数を知らずと言われるまでに栄華を誇った平家一門の命運は、この瞬間に窮まった。 後に平氏を滅ぼすことになる頼朝を清盛はなぜ救ったのか? 平氏を滅亡に追い込んだ天才武将・源義経は数々の戦果を挙げたにもかかわらず、兄の不興を買って非業の死を遂げる。その義経が怨霊として祀られていないのはなぜなのか? 二つの謎が解けるとき、源氏と平氏の真の姿が現れる。
男として生まれた。でも、あのおねえさんみたいな、きれいな女の人になりたいなーー。蔑みの視線も、親も先生も、誰に何を言われても関係ない。「どうせなるのなら、この世にないものにおなりよ」。その言葉が、生きる糧になった。カルーセル麻紀さんのことを、いつか絶対に書きたかった、という熱い思いが物語から溢れ出る。
大阪南部のある一族に持ち上がった縁談を軸に、わがままな母を甘やかす本家の祖父母、学生運動をしていた婿養子の父、穏やかで優しい精神を病んだ叔母、因襲的な親戚の姿を、河内弁で幼女の視点から鮮やかに描き出す。三島由紀夫賞受賞作にして新潮新人賞受賞の驚くべきデビュー作。
吹雪の白い静寂のなかに消えていった、あの光景。アルプスの山とともに生きた、名もなき男の生涯。雪山で遭難したヤギ飼いとの邂逅に導かれるように、20世紀の時代の荒波にもまれながら、誰に知られるともなく生きたある男の生涯。その人生を織りなす、瞬くような忘れがたき時間が、なぜこんなにも胸に迫るのだろう。80万部を超えるベストセラー、英語圏でも絶賛! 現代オーストリア文学の名手が紡ぐ恩寵に満ちた物語。
父がある事件で逮捕され、中学二年生の悠馬(ゆうま)は、いじめられるようになった。父の無実が明らかになっても、いじめは続き、学校での居場所はない。そんな悠馬の唯一の理解者が、転校生の暁斗(あきと)だった。ある日、悠馬は暁斗から「お父さんの事件の真犯人を捕まえられるんじゃないか」と提案され、二人は事件を調べ始める。ところが、悠馬たちを謎の男たちが追い続ける。はたして悠馬は真相にたどり着けるのか!?
おおきくなる、つよく逞しく、この夜を越えてゆけ。 自分の、ひとつひとつの輪郭がぼやけて、危機感をもてないまま 今日も一日をやり過ごす。就職して恋愛結婚して、その先に何があるだろう。 地震に金融崩壊。カタストロフに満ちた社会で、丁寧な明日をうまく保てない。 ある日、夜の川のたもとで出会った少年。女友達の幼い子ども。 そして舞い込んできたルームメイト。時を重ねて、夜の時間がほどけてゆく。 黄昏日本の、みずみずしさをたたえた青春物語。 「しずけさ」「愛が嫌い」「生きるからだ」の3作を収録した 新芥川賞作家の飛翔作。
夜更けの蔵前で、どくろが長い髪を曳いて舞い飛ぶという奇怪な出来事が!!さらに、小石川の寺で墓荒らしがあり、若い娘の首が盗まれていた!?命を削るようにして妖を癒やす十七娘・お光を、なるべく、怪事件に関わらせまいとする同心・和泉京之介だが…。娘陰陽師・長谷部透流の悲しく壮絶な過去とは!?そして、京之介たちの前に、最強最悪の“敵”が立ちはだかる!!怪奇な謎を追う同心と可憐な娘との恋心を絡めて好評!!大人気シリーズ第五弾の登場!!
時は文久二年。旅籠「つばくろ屋」の跡取りとして生まれた高弥は、生家を出て力試しをしたいと考えていた。母である佐久の後押しもあり、伝手を頼りに東海道品川宿の旅籠で修業を積むことになったのだが、道中、請状を失くし、道にも迷ってしまう。そしてどうにか辿り着いた修業先の「あやめ屋」は、薄汚れた活気のない宿でー美味しい料理と真心尽くしのもてなしが、人の心を変えていく。さびれたお宿の立て直し奮闘記。
過酷な冬を越すために人間が冬眠する世界での物語。 ふとした偶然からチャーリーは冬季取締官に志願する。 冬季取締官は眠らずに盗賊(ヴィラン)や冬の魔物(ウィンターフォルク)に対処する過酷な仕事だ。 無事取締官になったチャーリーは、冬眠に失敗しナイトウォーカーになった女性を別の地区まで送り届けることに。 ナイトウォーカーは普段はおとなしいが、 空腹になるとひとを襲うちょっぴり危険な存在だ。 途中で思わぬ事件に巻き込まれながらも、ようやく〈セクター12〉にたどり着いたチャーリーは、 夢の中の夏の楽園(サマートピア)で、美しいベルギッタと出逢うことになるのだった。 二度と還らぬあの夏の砂浜で。
〈セクター12〉に到着したチャーリーは、ナイトウォーカーを食べると言われている局長トッカータをはじめとして 変人ばかりの冬季取締局のメンバーたちと働くことに。 さらに〈セクター12〉で噂される、“伝染性の青いビュイックの夢”を見た彼は 冬眠薬モルフェノックスをめぐる謎と奇妙な事件に巻き込まれてゆく。 その夢は見たひとを殺すというのだが、何人ものひとが同じ夢を見るなんてことがありえるのだろうか? そしてチャーリーはベルギッタを守ることができるのだろうか? 奇才ジャスパー・フォードによる、厳しい冬の中の切ない夏の物語。
光は闇の中でのみ煌めくという 苦しみが癒えることはなく、孤独を抱え、それでも、 日々、生きていかなければならない。 光と闇、生と死。心は彷徨いながら揺れ動く。 心のよるべなさを丁寧に掬いあげた初邦訳作家の短編集。 ストロベリーフィールド 時差 夏の正午 初恋 中国人の祖母 惨憺たる光 氾濫のとき 北西の港 途上の友たち 国境の夜 著者あとがき 訳者あとがき