2019年6月発売
女児誘拐殺人の罪に問われ、懲役十五年の刑を受けた柏木喬は刑を終え出所後、“私は殺していない!”というホームページを立ち上げ、冤罪を主張。殺された古畑麗の母親、古畑聖子に向けて意味深長な呼びかけを掲載する。さらに自白に追い込んだ元刑事・村上の周辺に頻繁に姿を現す柏木。その意図はいったい…。予想外の展開、衝撃の真相!柏木は本当に無実なのか?
旗本八万騎一の美人を娶り、婿入りして勘定方の役務に邁進する笠井半蔵。実は算盤が大の苦手。代々のお役目に誇りを持つ妻・佐和の尻に敷かれはや十年、一向に算術の腕は上がらず辛い日々を送っている。ところが登城中の勘定奉行が刺客に襲われた窮地を、腕に覚えある天然理心流の剣で救った。これをきっかけに半蔵にある人物の陰の警固の命が下るのだった。時代剣戟シリーズ第一弾!
「先生、バスケ同好会の顧問になってください」。赴任した神津高校のキャプテン・磯辺からの思いがけない依頼に、陽一は久しぶりにバスケを教えられると胸が高鳴る。学校一の身体能力を誇る新海、卓越した観察眼を持つ神谷、シエラレオネからの留学生オマールらが加わり、現役T校バスケ部との練習試合に挑むが…。人気青春小説シリーズ第9弾。
突然、理由もなく嫁ぎ先から離縁された女流書家の岡島雪江は心機一転、筆法指南所(書道教室)を始める。しかし大酒飲みの師匠・巻菱湖や、かまびすしい弟子の武家娘たち、奥右筆の弟・新之丞に振り回される日々。そんなある日、元夫の章一郎が「ある事件」に巻き込まれたことを知りー。江戸時代に生きる「書家」とその師弟愛を描いた、感動作。
家業を嫁とその情夫に潰され行方知れずとなった兄・佐市郎を救うため、島抜けした丹次。まずは眼を悪くした兄を支えていた女中の小春を捜そうとするが行方はつかめない。しかし偶然手に入れた、懐かしい兄の絵に似た忘れ草の刷り物から丹次に光明が差す。一方で兄嫁・お滝の居所について思わぬ話が舞い込み…。急展開のシリーズ第三弾!
表の顔は大店の若旦那。裏の顔は公儀隠密。許嫁のため隠密を辞めたいと願う藤次郎は、塩の買付のため四国高松に向け出帆した。だが真の目的は蟄居先から失踪した元丹波領主・湯木の探索。海上で襲い来る刺客、湯木抹殺を目論む黒幕の存在、更に発覚した身内の裏切りー。持ち前の才気と伝来の必殺剣で窮地を脱せるか!?大人気シリーズ、堂々完結。
妻子持ちのしがない屋根葺き・彦次。その正体は、少しの金を頂く代わりに縁起物の絵を残す手口が市中で話題の怪盗「飛猿」。ある日発生した残虐な強盗殺人を、町方が飛猿の仕業と見立てたことから彼の怒りは頂点に。ただ一人彦次の裏の顔を知る老剣客・玄沢とともに、汚名をそそぐべく下手人探しを始めるのだが…。新シリーズ、堂々の開幕!
高校二年生の橙子はある日クラスメイトのヤマオからの推薦で、合唱コンクールのソロパートを任されることに。当初は反発したものの、練習を進めるにつれ周囲とも次第に打ち解けていく。友人たちは、橙子が時折口走る不思議な言い訳や理解のできない行動に首をかしげていたが、ある事件をきっかけに橙子の抱えていた秘密を知ることになりー。若く力強い魂を描き出した、胸がひりひりするような傑作青春小説。
人類の未来への祈りを描く『治療塔』『治療塔惑星』。過去と未来を自由に行き来する子供たちの冒険『二百年の子供』。ノーベル文学賞作家の近未来SFとファンタジー。
ディストピア小説の金字塔『すばらしい新世界』、音楽の対位法を駆使した傑作『恋愛対位法』等、その博覧強記と審美眼で二十世紀文学に特異かつ確固たる地位を占めるハクスレーの本領を示す短篇集。三人の女性との恋愛が徐々にミステリ色を帯びる「モナリザの微笑」、朝食から昼食までの間に文芸評論家が財界の巨人の人生と思想を語り尽くして圧倒する「チョードロン」他。これぞ小説の醍醐味!
ロンドンの片隅で雑貨店を営むヴァーロックは、某国大使館に長年雇われたシークレット・エージェントである。彼はその怠惰を雇い主に咎められ、グリニッジ天文台の爆破事件を起こすよう命じられるのだが…陰鬱な社会とアナキストたちをめぐる人間模様を皮肉な筆致で描いた小説。
豊かな自然のなかで育ったペーターは、文筆家を目指し都会に出る。友を得、恋もしたが、都会生活の虚しさから異郷を放浪した末、生まれ故郷の老父のもとに戻り…。青春の苦悩、故郷への思いを、孤独な魂を抱えて生きてきた初老の独身男性の半生として書きあげたデビュー作。
西国の大名、山野辺藩から、牡丹堂に菓子の注文が舞い込んだ。小萩をはじめ見世の面々は晴れがましく感じながらも、なにやら落ち着かない日々だ。そんな折、もともと山野辺藩の御用を務めていた老舗の伊勢松坂が、何者かに乗っ取られた。主の松兵衛が相場で大損して、借金の形に取られたというのだが…。菓子の味と人情に心ほっこりする大好評シリーズ第四弾。
高齢の四郎兵衛に代わり、廓を御する吉原会所の八代目頭取を誰が継ぐのか。五丁町名主の話し合いは紛糾し、画策や探り合いが始まった。新春の吉原、次期頭取候補と目される神守幹次郎を狙い、送りこまれる刺客に、張られる罠。危機を覚えた幹次郎は、故郷の豊後岡藩藩邸を訪れるとともに、ある決意を固める。吉原百年の計を思い、幹次郎の打つ、新たな布石とは。
貧乏極まり行き場を失くした小磯は、学生課で寮費千三百円という怪しげな「富穣寮」を紹介される。大学キャンパスの奥の奥。そこでは、変人の寮生たちが奇妙な自給生活を繰り広げていた。しかも部屋には、夜な夜なヨリコさんという「血まみれの女」が現れるという。ヨリコさんの正体を解き明かそうとする小磯は、やがて世界の存続をかけた戦いに巻き込まれていく!
シャルロットは六歳の雌のジャーマンシェパード。警察犬を早くに引退し、二年前、浩輔・真澄夫婦のところへやってきた。ある日、二人が自宅に帰ってみると、リビングが荒らされており、シャルロットがいない!いったい何が起こったのか。(表題作)いたずら好きでちょっと臆病な元警察犬と新米飼い主の周りで起きる様々な“事件”-。心が温かくなる傑作ミステリー。
世間を騒がす児童行方不明事件に、ある大学教授が偶然関わることとなった。場外馬券売り場でいつも見かける男が容疑者に浮上したが、週刊誌の記者に報道とは異なる事実を伝えたからだ。予期せぬ殺意が近付きつつあることも知らず…。(「しりょうのふね」)元新聞記者が未解決事件の真相を小説の形式で追及。見出された光景にあなたは戦慄する。異常と陰惨に満ちた短編集。