2019年7月31日発売
かつて花街だった古い町の実家に戻ってきた貴樹。書斎として定めた部屋の鏡を何気なくずらしてみると、芸妓のような女が見えた。徐々にその女から目が離せなくなり…。(「芙蓉忌」より)。佐代は『通りゃんせ』の歌が嫌だ。子供のころ、夕暮れの闇が迫る中、怖いのを我慢して神社への石畳の道を走っていると、袴を穿いた鬼に出会いー。(「関守」より)。三毛猫の小春は交通事故で死んでしまった。あるとき息子が裏の古い空家から小春の声がするという。得体の知れない「何か」は徐々に迫ってきてー。(「まつとし聞かば」より)。住居にまつわる怪異や障りを、営繕屋・尾端が、いとも鮮やかに修繕し、解決へと導くー極上のエンターテインメント。
第六十二番監獄。明治の初めに北海道の奥地に建てられたその監獄は、収監されれば二度と出られないという噂から、“黒氷室”の異名で恐れられていた。“黒氷室”行きとなった青年・北浦は、奇妙な囚人たちに出会う。三度目の脱獄を目論む不死身の男・赤柿、帝都の私立探偵だという浮世離れした美青年・御鷹、そして閉ざされたはずの監獄に、ある日突然現れた記憶喪失の男。こいつは誰で、どこからやってきたのか?謎を探るうち、北浦は監獄の“本当の目的”を知る!思惑と「時間」の絡み合うプリズン・ミステリー!
「私が絞首台に吊されるその時、日本の正義は亡びるのです」。新人弁護士・日高正義が初めて担当する事件は、2年前、手術室での連続殺人として世を震撼させた「バチスタ・スキャンダル」だった。被疑者の黙秘に苦戦し、死刑に追い込めない検察。弁護をも拒み続ける被疑者に日高正義は、ある提案を持ち掛けた。こうして2人は、被疑者の死刑と引き換えに、それぞれの戦いを開始するー。(「氷獄」)『チーム・バチスタの栄光』のその後を描いた表題作を含む、全4篇。待望のシリーズ最新作。田口・白鳥も登場!
前世の乙女ゲーそっくりな世界なのにイケメンそっちのけで魔術の研究に励む、アラサー女子からの転生幼女・アリス。廃塔に隠棲する朱眼の青年アベルも巻き込んで魔獣研究を進めていたが、なんとライバル・ガブリエラが復活!?しかも妖しげな雰囲気を纏うイレ皇子を味方につけて…学園上げてのイベント「天体観測」で何かが起こる!?
ベテラン衆議院議員・久富隆一の秘書を父に持つ藤木花織は、十年近く働いた一流商社を辞め、久富事務所に転職。慣れない業務に慌ただしい毎日を送る中、突然久富から呼び出され、父と一緒に財務秘書ー“金庫番”になるよう打診される。実は政治が好きでもなければ、興味もなかった花織は、誰にも明かせぬ理由を胸に、この世界に飛び込んでいたのだが…。
おじいちゃんが推理作家で、おばあちゃんが法医学者、父さんが検事で母さんが弁護士、お兄ちゃんが刑事でお姉ちゃんがニュースキャスター、弟が探偵役者で妹はVR探偵。名探偵一家のサポートに徹するぼくだけれど、ある日強烈な「首吊り死体」を発見し、連続殺人事件を追うことに。被疑者は怪人・ヴェールドマン。布に異様な執着を示す犯罪スタイルからそう呼ばれているー。
日本で働く台湾人の私、台湾に渡った友人の実桜。平成最後の夏の日、二人は東京で再会する。話す言葉、住む国ー選び取ってきたその先に、今だから伝えたい思いがある。募る思い、人を愛するということ。そのかけがえのなさを繊細に描き出す21世紀の越境文学。第161回芥川賞候補作。
ようやくクロに想いを告白し、晴れて恋人同士となった快人は、ある重大な決意を固めていた。それは「この世界で生きていく」こと。そして、死王アイシスから寄せられる好意に対してどんな答えを出すべきか…考え続けていた快人が出した答えに、アイシスが見せたものとはー!?新しい出会いが新しい物語を生み出すー「モーニングスター大賞」大賞受賞作、第7巻!
VRMMO「ギャラクシー・オブ・プラネット」の世界から、ゲーム内に創った宇宙要塞で一緒に戦ったアンドロイドたちとともに、戦国時代に飛ばされた主人公・一馬。若き織田信長と出会い、家臣となった一馬は、自らの知識とアンドロイドたちの技術と知能で、戦乱の世で存在感を増していくように…。「小説家になろう」の人気戦国SF作、待望の第二弾登場!
イギリス南部のリゾート都市ブライトンで、男性の惨殺死体が発見される。身元不明の死体の背中には、えぐられたような大きな傷があった。検死の結果、まだ生きているあいだに皮膚を剥がされた痕と判明する。捜査指揮官に任命された若き警部補フランシス・サリヴァンは、被害者の全身を覆っていたタトゥーを手がかりに捜査を開始する。第一発見者で、タトゥー・パーラーの経営者マーニー・マリンズの協力を得て、被害者がタトゥー愛好家であることが判明するも、犯人につながる手がかりは掴めなかった。早くも捜査が行き詰まったかと思われたとき、第二の死体が発見される。やはり全身にタトゥーを入れていた男性の頭部だけが切断され、持ち去られていた…。国際犯罪小説祭「ブラッディ・スコットランド」の勝者が贈るサイコスリラー、日本上陸!
タトゥー展覧会のポスターをながめていたマーニーは、“現代最高の10人”として取り上げられたアーティストの作品のなかに、被害者のタトゥーが含まれていることに気づく。犯人はこの“10人”の作品を収集しているのではないかー。マーニーの推理を聞いたフランシスは上司の反対を押し切って記者会見を開き、タトゥー愛好家たちに警戒を呼び掛ける。その直後、再び事件が発生するが、第三者が現場付近を通りかかったおかげで被害者の命は助かった。犯人は逃走したものの、フランシスはついに有力な手がかりを手に入れた。