2019年8月9日発売
信州小布施の豪商の惣領息子・高井三九郎は、葛飾北斎の弟子になるために江戸へやって来た。だが相手にしてもらえず、美人画絵師の渓斎英泉にからかわれたり、北斎の娘・お栄にこき使われたりで、弟子入りの話はうやむや。そんな折、北斎の贋作が出回る事件が出来し…。浮世絵師たちの姿を描いた長編歴史小説。
『サスツルギの亡霊』が2019年「本屋大賞 発掘部門『超発掘本!』」に選出された、著者の「もうひとつの超発掘本!」が文庫化。 「修道士殺し」の真相と、キリストの「聖遺物」を巡る謎。 <これは、日本のダン・ブラウンだ!> 妻を人質に取られ、逃亡した神殿騎士を探す旅に出た鍜冶屋の男。道中、何者かに襲われたことから、これがただの人探しではないことを知る。金貨に刻まれた暗号、十字軍遠征の真相、そしてキリスト教圏を揺るがす聖遺物の行方。謎の騎士は本当に存在するのか。誰のことも信じるな。歴史の巨大な謎に迫る! 2019年の「本屋大賞」発表会で「知らなかったけど、読んでみたいと思った」と会場にいたすべての人に強い印象を残し、話題をさらった『サスツルギの亡霊』推薦者の書店員・蔦屋書店諏訪中洲店の立木恵里奈さんの名スピーチ。その中で選出作である『サスツルギの亡霊』を差し置いて「文庫化してほしい!」と熱く語られたた本作が、このタイミングでついに文庫化! 「もうマニアックとは言わせない!」たった一人の書店員の、熱い、熱い声で刊行決定!
小中高一貫校でスクールカウンセラーとして働く奥貫千早のもとに現れた高校1年の生徒・野津秋成は、ごく普通の悩みを打ち明けるように、こう語りだす。 「ぼくは人を殺してみたい。できるなら、殺すべき人間を殺したい」 千早の住む町に、連続一家監禁事件を起こした入壱要が暮らしていることがわかる。入壱は、複数の女子高生を強姦のうえ執拗に暴行。それでも死に至らなかったことで、懲役15年の刑となり刑期を終えていた。 「悪はある。悪としか呼びようのないものが」 殺人衝動を抱える少年、犯罪加害者、職場の仲間、地域住民、家族……そして、夫婦。 はたして人間は、どこまで「他人」を受け入れられるのか。 社会が抱える悪を問う、祈りに溢れた渾身の書き下ろし長編。
世界中の海賊が集まる海賊万博、開幕! 海賊王の宝探しに夢中のルフィたちの 前に、元ロジャー海賊団のバレットが立ちはだかる! 最悪の世代、海軍、王下 七武海、革命軍、CP-0も集結…!? 熱狂(スタンピード)の行方は…!? 3年ぶりとなる待望の劇場版最新作を、劇場公開同日にノベライズ!
森の中に建つ屋敷“ブラックヒース館”。そこにはハードカースル家に招かれた多くの客が滞在し、夜に行われる仮面舞踏会まで社交に興じていた。そんな館に、わたしはすべての記憶を失ってたどりついた。自分が誰なのか、なぜここにいるのかもわからなかった。だが、何者かによる脅しにショックを受け、意識を失ったわたしは、めざめると時間が同じ日の朝に巻き戻っており、自分の意識が別の人間に宿っていることに気づいた。とまどうわたしに、禍々しい仮面をかぶった人物がささやくー今夜、令嬢イヴリンが殺される。その謎を解かないかぎり、おまえはこの日を延々とくりかえすことになる。タイムループから逃れるには真犯人を見つけるしかないと…。悪評ふんぷんの銀行家、麻薬密売人、一族と縁の深い医師、卑劣な女たらしとその母親、怪しい動きをするメイド、そして十六年前に起きた殺人事件…不穏な空気の漂う屋敷を泳ぎまわり、客や使用人の人格を転々としながら、わたしは謎を追う。だが、人格転移をくりかえしながら真犯人を追う人物が、わたしのほかにもいるというー英国調の正統派ミステリの舞台に、タイムループと人格転移というSF要素を組み込んで、強烈な謎とサスペンスで読者を離さぬ超絶SFミステリ。イギリスの本読みたちを唸らせて、フィナンシャルタイムズ選ベスト・ミステリ、コスタ賞最優秀新人賞受賞。多数のミステリ賞、文学賞の最終候補となった衝撃のデビュー作!
バブルで巨額の負債を負った自動車修理工氏家豊は、六七年型マスタングで流す夜、何者かに拉致された旧友五十嵐の娘香織を救う。自らも凶禍に遭った氏家に、銀行員の五十嵐は不正融資を強いられたと告げて失踪。マスタングの持ち主で赤坂の料亭女将澄子にも危機が及び、真相を追うや、トラブルはさらに飛び火した!時代の光と闇を描くハードボイルドの旗手、渾身作!
新宿歌舞伎町のビル火災で大量の焼死者が出た。火元には刺殺体。閉まらなかった防火扉。唯一の目撃証言は「逃げたのは子供」。臨場した捜査一課の隼野一成は、刑事らしからぬ若い女性と出会う。彼女こそ監視映像分析に長けた捜査支援分析センターの異端の天才、天埜唯だった。火を放つ底知れぬ悪意の正体とは?圧力に抗する共同捜査が始まる!
血の海となったホテルの一室で、テレビレポーター有森友紀が全裸惨殺死体で発見された。異常者による猟奇殺人か。容疑者に浮上した恋人の広告ディレクター石上彰は冤罪を訴えるが、刑事は執拗に食いつく。その石上が留置場で変死。元刑事で一匹狼の私立探偵見城豪が怒りとともに立ち上がった!野獣の暴力が悪を打ち砕く、ハードな犯罪サスペンスの傑作シリーズ!
「粗大ゴミのように私を放りだそうとしたのはあなたじゃないか」経営不振を乗り切るための組織改革で昇進したはずが、実は“社内失業者”と化していた三矢不動産部次長の大下。彼の許に突然届いたのは「解雇通知」だった。自分を引き抜いた常務の裏切りを痛感した大下は、「日本管理職組合」に復職を訴えるが…(表題作より)。非情で身勝手な企業に挑む男たちを描く傑作短編集。
定町廻り“鬼しぶ”の心配をよそに、唐木市兵衛は未だ大坂に在った。世話になった長屋のお恒の息子が、突然、殺されたのだ。堂島の蔵屋敷で働く孝行息子だったが、その背中には幾つもの刺し傷があった。下っ引の良一郎らと下手人を追う市兵衛。堂島は米の取り付け騒ぎに震撼していた。同じ頃、市兵衛をつけ狙う刺客が現れた。気配からかなりの凄腕と思われ…。
秋月栄三郎は気楽流岸裏道場の稽古に釘付けとなっている若者が気になっていた。取次屋の好奇心から調べてみて仰天した。彼の父は、松田新兵衛が好敵手と認めた、神道無念流の達人だったのだ。その後、騙し討ちに遭い命を絶たれたという。息子は道場を継がず医学を志すが、父を冒涜する父の元弟子を成敗するため、なんと新兵衛に弟子入りを望み…。感涙の最終話。
銃を持って押し入ってきた男は、なぜ人質に「憎み合う三人の男たち」の物語を話すのか? 意外な真相が光る「二人の男、一挺の銃」をはじめ、腕利きの殺し屋に次々と降りかかる予測不可能な出来事を描く「残酷」、常連が殺されたコーヒーショップで、ツケをチャラにするため犯人捜しをはじめた詩人が謎解きを繰り広げる、黒い蘭中編賞受賞作「赤い封筒」など9編。『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』で人気を博した、短編の名手のとっておき!
1944年6月6日、ノルマンディーが僕らの初陣だった。コックでも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだーー料理人だった祖母の影響でコック兵となったティム。冷静沈着なリーダーのエド、陽気で気の置けないディエゴ、口の悪い衛生兵スパークなど、個性豊かな仲間たちとともに、過酷な戦場の片隅に小さな「謎」をみつけることを心の慰めとしていたが……『ベルリンは晴れているか』で話題の気鋭による初長編が待望の文庫化。直木賞・本屋大賞候補作。 *第2位『このミステリーがすごい!2016年版』国内編ベスト10 *第2位「ミステリが読みたい!2016年版」国内篇 *第3位〈週刊文春〉2015年ミステリーベスト10/国内部門 *第154回直木賞候補
北国カーランディア。建国以来、魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人がなんとか平和に暮らしてきた。だが、現王のカーランド人虐殺により、平和は消え去った。怒りに燃える大魔法使いが、平和の象徴であった鐘をで打ち砕いたのだ。そして闇の歌い手と魔物をも解き放ってしまった。闇を封じることができるのは、古の魔が歌のみ。著者が二十年間温めてきたテーマを圧倒的なスケールと筆致で送る、本格ファンタジーの金字塔。
彼がほしいのは週末だけの婚約者。 永遠に続く週末を願うのは私だけ……。 幼くして両親が離婚したアシュリンにとって家族は宝物だった。 だから異父姉の息子が重病を患い、高額の治療費が必要と聞いて 姉の亡父の遺産を独占した実業家ダンテの住むシチリアへ飛んだ。 だがダンテは援助を拒み、逆にアシュリンに協力を求めてきた。 パーティに婚約者として同行すれば100万ユーロ払おう、と。 取引先の要人が同席する場で遊び人の汚名を返上したいらしい。 かわいい甥を救うためなら、なんだってするわ。 アシュリンは承諾し、男女の一線だけは越えないと約束する。 ところが当日、宿には部屋が1つしかないと知って……。 婚約者のふりから始まるせつないシンデレラ・ロマンスをお楽しみください。本国編集部のお墨付きの実力派作家、ミシェル・スマートも日本デビューを果たして早3年。共感を呼ぶ愛らしいヒロインを描くその手腕に、ますます磨きがかかっています。要注目!
カフェで出会った瞬間から、ルーシーはタージに惹かれた。まさか、ハンサムな彼がイギリス訪問中の異国の王とも知らず。絢爛豪華なヨットでのパーティへ招待され、彼女は夢のような一夜をタージと過ごしたが、朝がくる前にひそかに立ち去った。王だとわかった以上、彼の隣に庶民の自分の居場所はないからだ。しかし3カ月後、タージと思いがけない再会を果たしたとき、ルーシーは母とともに暴力的な継父に追われ、窮地に陥っていた。タージに助けてと言ってみる?もうほかに方法はない。私のおなかに宿っている、彼の赤ちゃんを守るには…。
スペインの名門富豪ディエゴは、女心を弄ぶ堕天使と悪名高い。両親の愛に恵まれず、孤独な子供時代を過ごした彼は、妻が浮気相手とともに事故死して以来、愛を信じなくなった。あるとき祖父に、兄弟のうち先に結婚した者に財産を譲ると申し渡されてまもなく、疎遠な弟マティアスの婚約を知る。だが、相手が取引先の娘リリアナと聞いて絶句した。彼女はぼくに恋していたのではなかったのか?-結婚前夜、窓辺に佇むリリアナに近づく、黒い人影…。「ヘリを待たせてある。一緒に来るか?」ディエゴが言った。
すべては余命短い父のため。 罪なき偽りの、婚約宣言……。 高級デパートチェーンの社長秘書エヴァは、会議の準備中、 服にコーヒーをこぼしてしまい、慌てて着替えをしていた。 運悪くそこへ次期社長のジョスが現れ、彼女は恥ずかしさに息をのんだ。 長年、有能な彼にときめいても、必死に恋心を抑えてきたのだ。 今も平静を装いながら、エヴァが背中のファスナーを上げるのを 手伝ってほしいと頼むと、ジョスは紳士らしく手を貸してくれた。 だが、まさにその瞬間を目撃した彼の父である現社長が、 二人の仲を誤解した様子の訳知り顔で、衝撃の事実を告げるーー じつは自分は末期癌だが、これで安心して息子に会社を譲れる、と。 エヴァが誤解を正そうとすると、ジョスがそれを遮るように宣言した。 「彼女とは真剣な関係だ。じつは、僕たち、婚約したんだ」 母の死後、父に寄宿学校へやられたことが、子供だったエヴァの心に大きな傷跡を残しました。愛し、信頼する人に見捨てられたことで、誰かを愛することに臆病になってしまったのです。そんな彼女を相手に婚約宣言をしたジョスもまた、心に傷を抱えていて……。
看護師のエマは車でオランダを旅行中、誤って高級車にぶつかってしまう。すぐに謝り、弁償すると申し出たが、相手の男性は冷たくそっけない。それでいて、同乗していたエマの母には優しくふるまう彼に、苛立ちと、切ないような不思議な感覚を胸におぼえ、エマは戸惑った。名も告げず去った彼を、その後も思い出しつつ迎えた旅の最終日、古城での催しで、エマは件の男性と偶然再会し、胸を高鳴らせる。ユスティンと名乗った彼はしかし、隣にすらりとした美女を連れていた。「そういうことなのね…」小さくつぶやいて肩を落とすエマだったが、帰国後、職場の病院で、驚くべき事態が彼女を待っていたー手術の最新技術を伝授する外科医として、ユスティンが現れたのだ!