2019年8月発売
1769年8月15日、コルシカ島の小貴族の次男として生まれたナポレオン。一代でフランス皇帝に上り詰めた男は、いかにして「英雄」となったのか?1793年のトゥーロン包囲戦、1795年のヴァンデミエールの蜂起鎮圧で一躍名をあげ、イタリア方面軍司令官として数々の戦争に歴史的勝利を収めるまでの躍進期を描いた、第1巻「台頭篇」。
尽忠報国の志を持つ者ならば、身分を問わず。十四代将軍上洛警護のため広く天下から募られた浪士組。そのなかに一人、女性剣士の姿があった。中沢琴、上野国利根郡穴原村の剣術道場“養武館”の娘。法神流の剣と薙刀の遣い手である。江戸の伝通院には土方歳三らのちに新選組として名を馳せる者らも集結、熱き心を胸に京を目指す。新徴組組士として幕末を懸命に闘い抜いた琴の旅が始まる。
十五年戦争下の満州・日本・北京を往来し人気を博した梅娘、同じく大戦下の香港・上海で活躍したのちアメリカへと渡った張愛玲、そして難民の子として台湾に生まれアメリカ、ドイツ、香港を渡り歩く現代の人気作家・龍應台。中国を襲った二十世紀の戦火に運命を決定づけられ、故郷と異郷、妥協と抵抗、歴史と記憶の境にその文体を確立した三人の女性作家の分析を中心に、文学とアイデンティティの問題に迫る。
野良猫に誘われた路地で里香が出会ったのは“名前のない喫茶店”。職人のような佇まいのマスターが淹れるコーヒーとチーズスフレの味にすっかり魅了された里香は、毎週末を喫茶店で過ごすようになる。だんだんマスターのことが気になっていく里香だったが、ある日課長にお見合いを勧められて…。忙しない日常の中の、スローなラブストーリー。
高卒からのたたき上げ、富久丸百貨店外商部の鮫島静緒(38)は、今日も個性豊かなセレブのお客様相手に奔走している。登校拒否ぎみの孫のためお金に糸目をつけない祖母。暴力団幹部の子を妊娠し、逃亡を望む愛人…。外商部の本格的な立て直しプロジェクトが始まり、男社会の古い社内体質が静緒を悩ませる。そこに同居人桝家の元彼まで登場!?そのうえ桝家をゲイと知る母親が、バツイチ独身の静緒に息子との再婚を勧めてきて!?竹内結子主演でドラマ化された話題作続編。神戸在住の著者による大ヒット小説、待望の文庫化!
殺人事件が多いことで知られる紅森市。刑事の桃田遊馬が頼りにするのは、古い屋敷で血液の研究をする幼馴染の天羽静也だ。彼は、事件の血液分析を担当し、捜査に協力している。華奢な長身に実験用の黒衣をまとった静也を人は“ヴァンパイア”と呼ぶが、本人はその渾名を嫌っている。絞殺された大学教授と衣服の血痕の謎。逃亡中の殺人犯と巡査刺殺事件の謎。バラバラ殺人らしき事件と“運命の血”の謎。殺された女性の首の傷痕とヴァンパイアのような人物の謎。そして明かされる静也自身の秘密とは!?刑事と血液研究者が“血”を手がかりに難事件に挑む!
兄の命日を機に、あやかしが見えるようになってしまった有末かなで。あやかしの助言を受け、解決法が書かれた本を求めて謎の図書室「ひいらぎ文庫」を訪れるが、玄関前に寝ていた金色のキツネの尾をうっかり踏んでしまう。キツネに文句を言われて混乱するかなでを迎えたのは、図書室長の長谷川柊だった。ところが、目的の本は延滞中!困るかなでを見かねた長谷川は、式神だというキツネの未明を留守番役に、かなでと共に延滞本を取り立てに行くことに。しかし、借主と一緒に本の行方もわからなくなっていて!?あやかし×本がもたらす、心に響く思い出の物語。
亡き妻・掬子に見守られながら、娘のこいしと食堂を営む鴨川流のもとには、多くの迷い人が訪れる。彼らが探しているのは、忘れられない思い出の味。心の奥にしまっていた後悔を、再現された料理とおもてなしで解きほぐします。幼馴染が成人式に作ってくれたたらこスパゲティ、罪の意識と引き離せない焼きおにぎり、亡き妻のじゃがたま、学校で問題を起こす息子が愛する祖母のかやくご飯、列車の中で泣きながら食べたカツ弁、家族を捨てた父が最後に作ったお好み焼き…。看板のない食堂の扉を、そっと開けてみてください。京都発!美味しいミステリー第六弾。
英国人ミステリー作家のカール・エビスは京都の京洛大学に招かれ、日本文学の教鞭を執っている。その傍ら、次回作執筆の取材と称して、助手を務める九条葵と京都の街を練り歩く毎日だ。日本通だと思っていたカールだが、京都では驚いてばかりいる。あとをつけていた女性が突然消えてしまったり、あの世とこの世の境目といわれる場所では、霊に憑かれてしまったり。かと思えば、なんでも癒すお地蔵様を洗うと、霊が消えてふっと肩が軽くなる。この世には、目に見えないものや理屈の通らないことがあるー。ベストセラー『鴨川食堂』の著者が贈る、京都発新シリーズ!
高校生・古谷野真樹は夏休み中の交通事故で記憶を失った。文化祭前の忙しない学校生活に復帰するも、記憶喪失による違和感は拭えずにいる。そんな中発生した「7・6」落書き事件。自分自身に関連する“何か”を感じた古谷野は、同じクラスで同じ写真部の親友・生駒桂佑や春日まどかと共に調査を進めることに。その謎を追っていくうちに次々と明らかになっていく、かつての自分と親友達の秘密。忘れてしまった「真実」に辿り着いた古谷野が下した決断とは。青春小説の旗手、額賀澪による初の学園ミステリー×純愛小説、待望の文庫化。衝撃のラストが胸に迫る一冊。
新選組元隊士・沢忠輔の長屋に、新選組最後の隊長・相馬主計が割腹自殺したという報が届けられる。遺言は夏帯に墨で書かれた「一ツ」。その一語だけだったー。相馬と沢、そして同じく隊士だった安富才助は、箱館五稜郭の戦いで土方歳三の最期を看取った。この激戦では、相馬と安富もそれぞれ腕と指を失ったものの、彼らは明治の世へと生き残る。流刑での島暮らしの中、思わぬ邂逅と避けがたい確執を経た相馬と安富。やがて彼らの人生は、「御一新」の荒波に翻弄されていくー。人の生き様、心の痛みを精緻に描ききった傑作時代長編。第10回舟橋聖一文学賞受賞作。
かつて少年探偵として名を馳せたモーガン・シェパードは、いまやリアリティ番組で活躍する“名探偵”として数々の事件を解決している。だがある日、目覚めると何故かホテルのベッドに手錠で繋がれていた。周囲には見知らぬ5人の男女が。外へ出る手段がない中、バスルームで謎の死体が発見される。すると突然、備え付けのTVに男が映り、5人の中から3時間以内に殺人犯を見つけなければホテルごと爆破すると告げた。狂気の殺人ゲームが始まる…驚愕の真相が待つ、ミステリの本場英国から新本格派への挑戦状!
無限アルマダの通過に向けて銀河系に航路を開く役目をはたす炎の標識灯が、フェルト星系の惑星ガタスに近づいた。ところが、ガタスでは時間エレメントの攻撃によって時間軸が狂ってしまう。エレメントの十戒が炎の標識灯を消そうとしているのだ。コスモクラートのタウレクとヴィシュナ、レジナルド・ブルが惑星防衛の準備をするなか、炎の標識灯に変化が起きる。なんと炎はかつての姿、惑星ゴルゲンゴルにもどっていた!
この本は、新しい地平、新しい形式、新しい文体、新しい課題を生みだす必要から創案されたー若きエリスンによる、SF界変革への情熱が生んだ“思弁小説”の巨大アンソロジー!本書はスタージョン、アイゼンバーグ、スレッサー、ドーマン、スラデック、ブランド、ネヴィル、ラファティ、バラード、プラナー、ローマー、スピンラッド、ゼラズニイ、ディレイニーによる14篇を収録した3分冊の第3巻。
企業の合宿研修で森に入った五人の女性。道に迷い、やっとの思いで脱出したとき、そのうちの一人が忽然と消えていた。手がかりは消えた女性が連邦警察官フォークの携帯電話に残したボイスメッセージ。遭難か、事件か。外界から隔絶された大自然は、女たちの虚飾を容赦なく剥ぎ取っていく。オーストラリアの豊かな森を舞台に繰り広げられる、衝撃のサスペンス。英国推理作家協会賞受賞『渇きと偽り』続篇!
文政9年正月。今年こそは平穏な日々を送りたいと願う小籐次のもとに元日早々、藤藩の近習頭・池端が訪ねてくる。旧主久留島通嘉が床に伏せって新年の登城を拒んでおり、窮状を救えるのは小籐次だけだという。じつは通嘉は何者かから、初登城の折、森藩の御鑓先を頂戴すると脅されていた。「御鑓頂戴」をもくろむのは何者か?
「この国に、真の諜報組織をつくれ!」警視庁公安部長の密命を受けた、国際派の若きキャリア公安マン片野坂彰。最強の先輩情報官と、音大出身で三か国語を操る女性捜査官を相棒に、特捜チームが始動する。最初の事件は、国境を望む対馬。一撃で三人を殺した黒幕はー。大人気の青山望シリーズに続く、公安小説の最先端!
金持ちなのにドケチな女社長・中島ハルコは、超パワフルなスーパーマダム。そんなハルコのもとには、様ざまな悩み事を抱えた人たちが集まる。恋も仕事もパッとしないフードライターの菊池いづみもその一人。ハルコの核心を突く毒舌と正論で長年の不倫生活から脱却した。最近は、ハルコに何かと用事を言いつけられて…。