2020年10月発売
海外出張から帰ったアレクサンドラに名指しで次の仕事が舞い込み、詳細もわからぬまま、彼女は空港から現場に直行した。迎えの車が行き着いた先に、アレクサンドラは衝撃を受けるーブレークレイ城。そこは彼女の生家で、18歳のとき一家が離散した場所。しかも新しい城主が、今や大富豪となった初恋の相手フィンだなんて!一家離散のさなかに最も傷ついたのは、彼の裏切りだった。愛しているふりをして、フィンは私の不名誉な写真を世に流したのだ。どうやって私を見つけたの?名前を変えてひっそり生きてきたのに。クリスマスイブまで住み込みで城の広報を手伝ってほしいというけれど、彼の下で働くなんて無理。頭ではわかっているのに、心はまだ彼を…。
清掃員のカミには、今も深く心に残る忘れられない記憶がある。12歳のとき、父の運転するタクシーから見た、黒髪の美しい若者の姿。王子さまさながらに紋章付きの黒塗りの車に乗り込むところで、彼に釘づけのカミに気づいて、ほほ笑みかけてくれたのだ。その後、父は亡くなり、カミはいま働きながら大学に通っている。でもまさか清掃作業で訪れた邸宅で、黒髪の彼に会うとは思わなかった。邸宅の主は、プロヴァンスの大富豪、ラウル・フォンテスキュー。予想に反して、ラウルもまた彼女のことを覚えていてくれたことで、カミは彼に強く惹かれていくーその胸に、大きな秘密を抱えたまま。クリスマスを迎える頃には、私は余命わずかかもしれない…。
母を肺炎で亡くしたルーは、父の再婚相手と暮らしてきた。要求の多い継母から家政婦のように家事をさせられる日々も、恋人と結婚すれば終わりを告げると思えば、耐えられる。ところがある日、大富豪と婚約を発表したばかりの義理の妹が、なんと、ルーの恋人と駆け落ちをしてしまった!青ざめ、涙の跡も乾かぬ顔で家を出ようとしたルーに、妹の“元”婚約者アレックスが、車で送ると申し出た。そして、驕慢さを漂わせる唇がぞっとするほどセクシーな彼は、弱りきったルーを鋭く光る目で見ながら、言い放った。「君の妹の代わりをしてくれたら、住む家も慰謝料もあげるよ」。義理の母にこき使われるシンデレラが主人公の物語を特集。僕と偽装結婚をすれば誰にも哀れみをかけられずにすむと言うアレックス。戸惑いつつも、寄る辺ないルーはやむなく…。
「今夜から、高級娼婦に教わるのです。男性を魅了する方法を」厳格な母のものとは思えない言葉に、エレナーは耳を疑った。衝撃さめやらぬエレナーだったが、破産寸前の伯爵家を守るためには“氷の女王”のあだ名を払拭し、今季中に結婚するしかないと言われ、やむにやまれず仮面とかつらで変装をして所定の館におもむいた。出迎えたのは麗しい“女性講師”と、すばらしくハンサムな紳士だった。チャールズと名乗る彼は、エレナーの相手役を依頼されたのだという。レッスンが始まり、教えをひたむきに実践するエレナー。だが、そのときの彼女には知るよしもなかった。チャールズが公爵であることを。そして、亡き父の宿敵であることを。互いの魅力に抗いながら続けたレッスンの成果で壁の花を卒業し、チャールズへの想いを押し隠して紳士たちと踊るエレナー。しかしある夜会で知人に秘密を暴露され、母娘は社交界を追放されて…。叶わぬ愛を夢見た乙女の、熱く儚いドラマチック・リージェンシー。
15歳で父を亡くしたヴェリティは、冷酷な叔父に引き取られた。何不自由なかった暮らしがまるで嘘のように、使用人同然に扱われても、無一文の身では、このつらい毎日に耐えるしかなかった。そんなある日、屋敷を訪ねてきたハンサムな伯爵を見て、ヴェリティは驚いたー父の墓前で優しくしてくれたマックスが、なぜ?これまでずっと、記憶の中にある彼の面影を心の支えに生きてきたのだ。なのに悲しいことに、彼はヴェリティだと気づいていない様子だ。しかも、内心動揺するヴェリティに向かって、マックスが思いもよらない提案を平然と持ちかけてきた!「きみを愛人として迎えるつもりだ。ぼくの支援を受けるといい」。同居する叔父一家から冷遇されてきた天涯孤独のヒロインと、愛を避けなければならない宿命を背負った伯爵。そんなふたりの切ない背景を知れば知るほど、心を揺さぶられる感動作。
シェークスピアの伝記映画で彼の奔放な愛人の役を演じたあと、セーラは共演者ベネディクトと恋におち、愛を信じて結婚した。しかし夫の不実を耳にして以来、3年半、別居生活が続いている。今、思いがけない大役を手に入れ、よろこびと緊張に胸をふるわせてスペインへ向かった。だが、そこで聞かされたのは監督がかわったということだった。しかもそれは、誰あろうベネディクトだというのだ!私を裏切った夫と一緒に仕事などできるはずがないわ。セーラの顔から血の気が引いていったー。“特選ペニー・ジョーダン”。嵐のような恋におちての電撃結婚、胸を引き裂かれる思いで決めた別離、そして想定外の再会と、怒涛の展開で描かれる情熱の夫婦元さやもの。先月よりさらに遡った、1980年代の珠玉作。
太平洋戦争中に大陸で再会した二人の幼馴染矢島泰介と岩城智也は、必ず生きて帰り、ともに助け合って生きようと誓う。戦後の高度成長期、二人の育った日田の林業は最大の危機を迎え、二人は仲間とともに実りのない戦いに挑む。だが、戦後日本の復興政策によって、国産杉材などの林業の衰退は止められない。木材輸入自由化政策は着々と進められていく。もう一人の幼馴染鬼塚良一もまた、法案をめぐり暗躍。そんななか、鬼塚の失踪事件が起こる。時代は移り、日田、福岡、東京と離れて暮らす子孫たちは期せずして日田に集まり、彼らの複雑に絡んだ糸が解きほぐされ、物語は驚愕の最終章へ。
意識不明の重体で運ばれた、横川達男。主治医の白石ルネは、延命治療は難しいと治療を中止。家族の同意のもと、尊厳死に導いた。三年後、カルテと看護記録の食い違いが告発される。白石は筋弛緩剤を静脈注射したというのだ。医療業界を揺るがす大問題へと発展し、検察は彼女を殺人罪で起訴した。保身に走る先輩医師、劣等感を感じる看護師、虚偽の報道を繰り返すマスコミ。様々な思惑が重なり合い、事態は思わぬ方向へと転がってー。
クズノハ商会の代表として最近あちこち飛び回っている深澄真です。リミア王国訪問の最中、所用があって魔族領内にある小国ーケリュネオンに立ち寄ってみた僕ら。再興の途上にあるこの国は、冬の寒さや豪雪、慢性的な人手不足と色々苦労しているみたい。何か雪対策に利用できないかと考えて閃いたのが…そう、温泉。火山とかあるし、出るよね?という事で、掘りに来たんだけど、何この猛吹雪!?それに街からも遠くて、普通の人じゃ近づけないよ。まあ、温泉の事を聞きつけて日本かぶれの従者が妙に張り切っているから、なんとかなる…かな?
転生者の能力を決める十連ガチャで当たりを引きまくり、チートな王子様として生を受けた俺、アキト。優秀な人材を奴隷として迎え入れたり、攻めてきた敵国を撃退したり、五歳児らしからぬ活動ばっかしてるんだけど、ちゃんと子供らしく学園生活も楽しんでるんだよね。それでこの度、俺の通う学園で学園祭が開かれることになった。学園祭は生徒同士のバトルが盛り上がるんだが、俺は参加不可!?…がっかりしたけど、だったら自分で主催しちゃえば良くない!?ってことで、猛者が集う大会を開催。神様に紹介してもらった妖精が俺を鍛えてくれるって言うし、優勝目指して頑張るぞ!自由すぎる王子様のハートフルファンタジー、第2弾!
魔法適性が「植物」だったせいで、家から追放された元貴族の青年、アシュト。彼は父の計らいにより、未開の森、オーベルシュタインの領主として第二の人生を始めるのだった。マーメイド族や天使など、次々と出会う希少種族と交易の輪を広げていく折、オーベルシュタインに長い冬が訪れる。魔境の森で厳しい冬を乗り切るのは大変…かと思いきや、頼れるレア種族の住人たちのおかげで冬支度はばっちり。アシュトは子どもたちと交ざって初めての雪遊びを満喫する!万能魔法師の異世界開拓ファンタジー、第4弾!
勇者パーティから追放されたネクロマンサーのレイル。戦闘能力が低く、肝心の蘇生魔法も、誰も死なないため使う機会がなかったのだ。ところが実際は、勇者たちは戦闘中に何度も死亡しており、直前の記憶を失う代償付きで、レイルに蘇生してもらっていた。死者を操り敵を圧倒する戦闘スタイルこそが、レイルの真骨頂だったのである。懐かしい故郷の村に戻ったレイルだったが、突如、人類の敵である魔族の少女が出現。さらに最強のモンスター・ドラゴンの襲撃を受けたことで、新たな冒険に旅立つことになるー!
幻の金属が存在し、精霊の闊歩する異世界で念願の鍛冶師になった津田驍廣。甲竜街と天樹国の戦争が終結し、彼とその仲間たちは、無事に翼竜街へ帰還する。しかも、タウロと天都という、驍廣にできた二人の押しかけ弟子まで引き連れて。ただ、弟子の誕生は歓迎すべきことだが、一つ問題があった。この人数で仕事をするとなると、スミス爺さんの鍛冶場は手狭なのだ。そこで驍廣は、長年の夢であった独立を決意。そして早速、ギルドの力を借りて自分専用の鍛冶場を建ててしまった。こうして、いよいよ鍛冶に専念できる!…と思いきや、世間的には知名度皆無の彼のもとに、お客さんはなかなか来ずー大人気異世界生産系ファンタジー、堂々完結!
王家の跡取りとして生まれたものの、持っていた職業が不遇職だったために、王国から追放されたレイト。伝説の腐敗竜を討伐した彼は、周囲の冒険者から一目置かれる存在となっていた。さらに噂が各地へ広まり、レイトと手合わせをしようとする武芸者達が冒険都市に続々と集結する。無益な争いを避けるべく、仲間達を連れて故郷の森に里帰りしたのだが、森の中で太古に滅んだ遺跡を発見する。そこには激レア素材がたくさん眠っていたが、今まで出会ったことのない強大な魔物も棲んでいてー!?レイトは「剣鬼」として覚醒した力と万能女神(?)アイリスのナビを頼りに、未知の遺跡攻略に挑む!
日本から異世界に転生した元数学者の少年・ルオ。魔力が無いという理由で家を追われた彼は、独学で「劣等魔力」という力を習得し、下克上によって大国アルディエントの頂点に立つのだった。即位から間もなく西方の貴族の反乱を鎮圧したルオは、その地で虐げられていた獣人族を保護する。彼らは一年前に故郷を滅ぼされ、亡命してきていたのだ。獣人族のリーダーである王女リーシャは、はじめこそ人間全体に強く反発していたものの、仲間や自分の命を救われたこともあり、ルオや周囲の人物と打ち解けていく。そんな中、獣人族の国を滅ぼした張本人である邪悪な王ジャミルが、リーシャの行方を知り、彼女が持つ秘宝・獣玉石を奪おうと目論む。それは、古より伝わる「神具」に関わる、おぞましい儀式の始まりだったー!