2020年11月6日発売
バブル期に、個人として史上最高額4300億円の負債を抱え、自己破産した朝比奈ハル。「北浜の魔女」と呼ばれた彼女は、平成が終わる年にひっそりと獄死した。和歌山の寒村で生まれ育ったハルは、いかにしてのし上がっていったのか、彼女は果たしてどんな人物だったのか。その生涯を小説に書こうと決めた“私”は、生前の彼女を知る関係者に聞き取りを始める。終戦、バブル崩壊、コロナ禍……。それまでの日常が、決定的に変わってしまうとき、この日本社会に生きる人々はどう振舞ってきたのか。「小説トリッパー」二〇一九年夏号から二〇二〇年春号の連載を、大幅に加筆修正。注目の著者による勝負作。
橘樹雅(たちばなみやび)は研究テーマ「出雲」を調査するうちに、国を追われて京都に連行されていた出雲族の存在を知る。在野の研究者・金澤千鶴子(かなざわちづこ)に、大神(おおみわ)神社の主祭神・大物主(おおものぬし)神が素戔嗚(すさのお)尊同様「出雲」の神だと聞いた雅は、奈良に出雲族の痕跡を探し求める。二人を監視する何者かの不穏な動き。大和に存在した出雲村と野見宿禰(のみのすくね)伝説が、雅を真相へ導く。 神話に秘匿された出雲王朝の真の姿が蘇る。出雲編完結!
刑事・如月塔子の実家に長年届く脅迫状。十円切手が多数貼られた手紙には、刑事だった父・功への恨み言が書かれていた。過激な文面に母の身を案じた塔子は鷹野と共に調査を開始。だが、未解決事件を調べ始めた矢先に捜査一課から招集を受ける。『賢者(ワイズマン)』を名乗る犯人が現場にゲームを仕掛けて、勝敗で被害者の生死を決める凶行に及んだのだ。犯人は塔子を捜査に参加させるよう要求。脅迫状との関連は。残虐な犯人の正体とは!? 人気警察ミステリシリーズ累計68万部!
「フミオ君、あなたは人をほんとうに愛したことがあったのですか」別れたばかりの妻から届いた手紙には、エゴイスティックに生きてきたぼくに問うそんな言葉がしたためられていた。その答えを求めて出かけた京都で、オーケストラの響きのように彼女と過ごした日々が堰をきって溢れ出す。晩夏の古都で交錯する過去と現在。繰り返す出会いと別れ。いまだ愛を知らなかったぼくが、旅の最後に見つけたものとはー。「愛とは何か」を求めて旅立つぼくの、喪失と再生の物語。だれもみな、「愛」を知るために生まれてくる。「愛」、その本質に迫った異色の純愛小説。
3年間片想いしてきた男性が、花嫁となった妹にキスをした。大好きなクリスマスなのに、ホリーはみじめでたまらなかった。両親の死後、私は夢をあきらめ、妹を必死に育ててきた。男性とつき合った経験もなく、子供を持つ夢もかなっていない。このまま私の人生は、他人に尽くして終わってしまうの…。ギリシア富豪スタヴロスには時間がなかった。富も名声も手に入れた。だが今、欲しいのは血を分けた我が子だ。不治の病に冒された僕に残された時間は、あと数カ月。無垢なホリーなら、子供の母親としてうってつけじゃないか?
偽りの恋人はプレイボーイの億万長者。 クリスマスが終われば去っていく。 北イタリアの高級リゾートホテルで働くロージーは、 クリスマスまであと3週間と迫ったある日、 イギリスから訪ねてきた姉の話に衝撃を受けた。 落ち着いた生活をしていないロージーをひどく心配した両親が、 ふさわしい交際相手を用意したというのだ。 なんてこと! 取り乱したロージーは、とっさに嘘をついた。 「いまロビーにいる、あのすてきな男性と恋に落ちてしまったの」 ロージーは思いもよらなかった。 その男性が億万長者の実業家マッテオ・モレッティで、 彼の婚約者を演じることになり、身も心も奪われてしまうとは……。 重要な契約をまとめるためのお芝居とわかっていながら、ヒーローと熱愛中のカップルを演じるうち、ヒロインはなすすべもなく彼に惹かれ身を捧げます。でも彼は永遠の愛など信じない男性で……。熟練のロマンス作家C・ウィリアムズの秀作をご堪能ください。
孤高の富豪に捧げた夜は、 無垢な乙女に思わぬ誤算をもたらした。 リアは友人のバレエ公演会場のロビーで途方にくれていた。 チケットが見つからない……。と、現れた美貌の黒髪の男性に チケットを譲られ安堵する。いったい誰なのかしら? その夜、公演後の祝賀パーティで偶然再会した彼は テオドロス・サバスーーギリシアの富裕な銀行CEOだった。 身長が高すぎるのがコンプレックスで恋に臆病なリアだったが、 彼の巧みでセクシーな誘惑に、初めての情熱をかきたてられ、 気づけば熱く応えていた。ああ、彼は明日帰国してしまうのに。 なぜこんなにも彼に惹かれるの? 純潔を捧げたリアは、 やがてテオの銀行を訪ねるーー妊娠を告げるために。 リアが銀行の受付で追い返されかけたとき、現れたテオは、妊娠を知ると、子供のための別居結婚を提案。リアは愛のないプロポーズにショックを受けますが、おなかの子を思うと拒めなくて……。セクシーな作風で人気のN・アンダーソンが綴るピュアな初恋物語。
今日まであなたを、 1日たりとも忘れた日はなかった。 大女優のジュリア・ハーベイが忽然と銀幕から姿を消して10年。 クインはとだえていた消息を、ついにつかんだーー 18歳になる頃、恋い焦がれていた母親の親友ジュリア。 年齢の差を超えて深い関係になったのに、 彼女は何も告げず、突然いなくなってしまったのだった。 だが今日、ジュリアに会うのはあくまで仕事のため。 そのとき、目の前に彼女が現れた。息子だという少年と一緒に。 彼女が輝かしいキャリアを捨てて姿をくらましたのは、 ほかの男と結婚するからだったのか。クインは打ちのめされた。 感動シークレットベビー物語! 時を経て二度恋におちる男女の姿を、禁じ手設定の名手アン・メイザーが綴ります。ロマンス界の重鎮として君臨する彼女のドラマチックな旧作の数々は、何年経っても色褪せることなく輝き続けています。
クリスマスの喜びを彼と一緒に……。 ただそれだけが、シンデレラの願い。 毎週水曜日、ペッパーは朝から落ち着かず期待に胸を高鳴らせる。 彼女の小さなベーカリーに、サイモンというすてきな客が来店するから。 出逢って5カ月近くがたったころ、彼が大企業のCEOと知って驚いた。 ペッパーは8歳で母と死に別れ、その後、育ててくれた祖母も亡くなって 天涯孤独となってからは店の2階を住まいに、つましく暮らしてきた。 そんな自分には、サイモンは手の届かない遠い存在に思えたが、 彼の会社のパーティを手伝った夜、二人の間の壁が崩れ、情熱が溢れた。 だが、NYで最もセクシーで勢いのある実業家とされるサイモンとの恋は 世間の注目を集め、ペッパーは彼に迷惑をかけまいと別れを告げる。 ほどなく店と家を焼け出され、予期せぬ妊娠まで判明するとは……! おなかの子には、父親の顔を知らずに育った自分と同じ思いはさせたくないペッパー。ゆえあって生涯独り身を決め込むサイモンの決断は? クリスマスが嫌いなサイモンと、クリスマスが大好きなペッパーが粉雪舞う季節に繰り広げる、愛おしくて感動的なロマンス!
この胸が痛いのは、捨てられた記憶と、 あの頃のままの、あなたのせい……。 シドニーのさる裕福な実業家が隣の屋敷を買ったと聞いたキャシー。 屋敷内の品々が競売にかけられるというので行ってみると、 新しい主としてそこにいたのは、なんとダン・マッケイだったーー 9年前、妻の存在を隠し、二十歳のキャシーに甘い恋を経験させながら、 突然〈ぼくのことは忘れてくれ〉という手紙一つで彼女を捨てた男! でも、精悍な黒い瞳も、長身の体も、胸が痛くなるほど昔のままだ。 思わぬ再会に動揺するキャシーをもてあそぶように、ダンが唇を奪う。 だめよ、二度と彼を信じたり、近づけたりしては。 私には守るべき者がーーダンに知らせずに産んだ子がいるのだから。 するとそこへ、父親譲りの漆黒の目をした息子が駆けてきた。「ママ!」 大ベテラン作家ミランダ・リーによる、シークレットベビー物語。裏切られた心の傷はまだ癒えていないと、ダンを遠ざけようとするキャシーですが、たった一度のキスであの頃の感覚がいっきに目覚めてしまい……。ダンが彼女のもとを去った理由とは、いったい?
病気になった母の代わりにずっと家事をしてきたエリーは、 父の再婚後も、継母と義理の姉たちの分まで働かされてきた。 今は父も亡くなり、その遺産を元手にケータリング業を始めた継母に こき使われながらも、いつかは自分のレストランを開く夢を抱いている。 そんなある日、大富豪投資家の邸宅でパーティが開かれることになり、 実の娘たちを裕福な男性と結婚させようともくろむ継母を尻目に、 エリーはいつものように裏方として厨房で立ち働いていた。 そこへ不意に、ダークスーツの長身の男性が現れ、エリーは息をのんだ。 ジャック・マーティンーー血も涙もない男が、ここの主人だったなんて。 半月前、私の夢を、始める前に潰れると馬鹿にして投資を断った彼が! 〈わがままな継母の陰で〉と題して、義理の母や姉にいじめられるシンデレラの物語をお届けします。心をこめて作った料理が、まさかお金のことしか頭にない冷血な大富豪のためとは思いもしなかったエリー。案の定、彼はエリーのことを覚えていない様子で……。
ロマンス界の三傑がロマンティックな都市を舞台に描いた、豪華なクリスマス短篇集。思わず引き込まれる筋書きのミシェル・リード、ゴージャスなヒーローが魅力のヘレン・ビアンチン、恋に落ちた男女の会話の妙が堪能できるペニー・ジョーダンによる珠玉作です!
故郷での休暇中、エレナーはフルク・ファン・ヘンスムと再会した。彼と最後に会ったのは、もう15年も前のことだ。昔のフルクは、エレナーの髪を引っ張るような威張りん坊の少年だった。それが今や有名な内科医で、長身の立派な大人の男性になった姿に、エレナーは息わのんだ。でも、意地の悪さは以前と変わらない。エレナーの家族にはにこやかなのに、なぜか彼女にはそっけないのだ。不意にフルクから、結婚はしたのかと問われ、エレナーの脈拍が上がる。まだと答え、同じ質問を返すと、フルクは言った。「婚約はしている」エレナーはなぜだかわからないけれど、ばかばかしいほど動揺した。単なる嫌いな人のはずなのに…どうしてこんなにも心が乱れるの?