2020年5月20日発売
【ぶつかりあう報道と捜査の信念!元新聞記者の著者が描く傑作ミステリ!】 千葉県下で起きた連続猟奇殺人事件。 入社2年目の報日新聞の記者・永尾哲平は事件直後の聞き込みで、被害者2人を知る不審な男・魚住優に偶然接触する。 その後、魚住は失踪。県警一課の津崎庸介も重要参考人として、魚住の後を追う。 捜査情報をつかめずに苛立つ記者クラブは県警批判を開始する。犯人逮捕の手がかりを得られない県警は、ある取引を報日新聞に持ち掛けるがーー。 永尾と津崎、2人は交錯する2つの使命に揺れ動く。 ▼事件持ち 自分の持ち場で頻繁に大きな事件が発生する記者を表す単語。揶揄でもあり、大きなヤマを踏めるわずかばかりの羨望も混ざっている。 警察とマスコミの双方に存在理由を問う真摯な姿勢。唸るほどの終盤の畳みかける展開。一作ごとに実力をつけてきた著者の熱量の高い力作だ。 ーー三橋曉さん(書評家) なんたる臨場感、凄い!フェイクニュースはびこる今だからこそ、この作品が必要! ーー内田剛さん(フリーランス書店員)
小劇団を主宰する僕“竹田武志”のもとに、父から連絡があった。余命三ヵ月だというー。自意識が炸裂する僕と、うまくいかない「劇団」、かわっていく「恋人」、死に行く大嫌いな「父親」。周囲をとりまく環境が目まぐるしく変わる中、僕は故郷の福岡と東京を行き来しながら、自分と「家族」を見つけなおしていく。不完全な家族が織りなす、歪だけど温かい家族のカタチ。
世界文学の旗手が紡ぎだす 国境を越えた物語(サーガ)の新展開! 失われた国の言葉を探して 地球を旅する仲間が出会ったものはーー? 【本書の登場人物たち】 Hiruko ヨーロッパ留学中に「母国の島国」が消滅してしまった女性。同じ母語を話す人間を探して世界を旅する。 クヌート デンマークに住む言語学者の卵。Hirukoと出会い、彼女の旅に同行する。 アカッシュ ドイツに留学中のインド人男性。女性として生きるため、赤いサリーを身にまとう。 ナヌーク グリーンランド出身のエスキモー。語学の才能豊かで、日本人を演じていた。 ノラ 博物館に勤めるドイツ人女性。行き倒れていたナヌークを救う。 Susanoo 福井で生まれた日本人。ある時から歳を取らなくなり、言葉を喪失する病気になった……? Hirukoがつくり出した独自の言語、〈パンスカ〉が見知らぬ人々を結びつける。 分断を超えた希望を描く、全米図書賞作家の新たな代表作。 第一章 ムンンは語る 第二章 ベルマーは語る 第三章 ナヌークは語る 第四章 ノラは語る 第五章 アカッシュは語る 第六章 ニールセン夫人は語る 第七章 クヌートは語る 第八章 Hirukoは語る 第九章 Susanooは語る 第十章 ムンンは語る
人間は闘争を欲す。それは平和のためでなく 王都を陥落し、魔王としての脅威をしめしたドワイト。だがその侵略戦争の勢いをとめることはない。すべては世界に平和をもたらすため。そんななか、エルフの里より人間の進攻からの守護依頼がとどく。そしてその先で出会う生前の因縁。順調に勢力を広げるドワイトたち新魔王軍だったが、しかし世界はその最強を許さず次なる刺客を送り出す。世界は魔王の存在をゆるさず、勇者という力をひとつの人間に宿す。では、それを迎え撃つドワイトの信念ははたして正義なのか悪なのか。 その答えは正義と悪が交わした剣の先に委ねられた。
最強の魔王、交換留学生として西方へーー 帝国で起きた陰惨な事件を解決へと導いた最強の魔王。 テオドールという名の人間に化けて街の復興作業に勤しむ彼は早くも退屈を覚えていた。 自らの心に潜む破壊衝動に駆られる最中、彼が滞在する帝国の南方ミルディアナの地に色欲の魔王アスモデウスが現れる。 彼女は、帝国の西方グランデン領で相次いで起きているという神殿襲撃事件の情報をもたらす。 事件に興味はあるものの、南方で軍学校の一生徒として振る舞っている以上、縁はないだろう。 そう思っていた矢先、なんの偶然か、テオドールの西方領への留学が決定する。 他の特待生らと共に西方へと赴く彼を、赤く煌めく星々が不気味に照らしていた。 グランデンに辿り着いたテオドールらは、この地の守護者であり先の戦で最高の武勲を立て大英雄と称されるクロード・デュラス将軍と出会う。 魔神をも超える圧倒的な威圧を放つデュラス将軍を前に、彼と戦ってみたい衝動を抑えるテオドール。 この地の特待生で現役軍人のクラリスを交えて、留学生として平穏な日々送るテオドールたちだったが、裏では奇怪な事件が蠢いていた。その魔手は着々とグランデン領を侵食していくーー。
「実は、世界は、もう壊れはじめているんだ」幼馴染の翔子と再会した書店店主・大介は、すっかり忘れていた小学校時代の出来事を思い出す。同級生四人と忍び込んだ、町で一番高いマンションの最上階。そこにいた不思議な男は、世界の終わりを予言した。その真意を確かめたくなった大介と翔子は、三十年前の記憶をたどりながら再びマンションを訪れるが、男がマンションから飛び降りたという噂を耳にして…。大人になった俺たちは、世界を、自らを、救うことはできるのか。同級生との再会で呼び覚まされた、三十年前に出会った不思議な男の記憶。「ひび割れた世界」に生きる人々のかすかな希望を力強く描く連作短篇集。
僕たちはやり直せるのか。騙され苛まれて立ち尽す無気力の荒野に、陽はまた昇るのか。津波で失われたはずのノート。行方不明のまま永い時を経た少年の伝言。数千キロ先の故国を目指す男が遺した言葉。そこからは強いメッセージが発信されていた。騙されるということ自体が一つの悪なのだ。やられっ放しで判断力を失う前にやるべきことがある。僕たちは迷子のままではいられないーー。心に沁みる再生の歌二編。
「永神のオジキは、映画館の話でいらしたんですか?」興味津々の若い衆に、阿岐本組代貸の日村は心の中で溜め息をつく。困った人をほっとけず、さらには文化事業が大好きなヤクザの親分・阿岐本雄蔵のもとには、一風変わった経営再建の話が次々と舞い込んでくる。 今度の舞台、潰れかけの映画館にも、もちろん山積みの問題が。TVやネットに押されて客足が遠のく厳しい業界事情もさることながら、存続を願う「ファンの会」へ嫌がらせをしている輩の存在が浮上し……。 ヤクザも生きにくい世の中で、街の小さな映画館をどう守る!?
この国から「おじさん」が消えるーー 会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。 男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。 新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は思いがけずこの国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことにーー 女性アイドルに恋する三十女の熱情が、日本の絶望を粉砕! 著者初長篇にして最強レジスタンス小説。 和田彩花(アイドル)感激 小さな叫びでこの世界のバランスは整えられる! 私は勇気をもらった。 幾原邦彦(アニメーション監督)仰天 その革命が見える者は勇気を得られ、 見えぬふりを生きる者は吐き気を催すだろう。 あなたはどっちだ?
『養生訓』の著者として知られる貝原益軒(1630〜1714)は、福岡藩に儒者・藩医として仕えた。博識多才で知られ、晩年に著した『朝野雑載』には戦国時代のエピソードが満載されている。本書は、そこに記された戦国武将に関する興味深い逸話を素材として、益軒が第3代藩主・黒田光之に千夜一夜物語風に語り聞かせるスタイルに仕立てた「戦国コント(小話)集」である。全42夜、登場する戦国武将は以下の通り。 織田信長/豊臣秀吉/徳川家康/徳川光圀/毛利元就/武田信玄/小早川隆景/森蘭丸/加藤清正/蒲生氏郷/明智光秀/今川義元/上杉謙信/藤堂高虎/石田三成/浅井長政/朝倉義景/竹中半兵衛/尼子勝久/大内義隆/黒田官兵衛/松永久秀/細川幽斎/伊達政宗/前田利家/福島正則/真田幸村/柴田勝家/龍造寺隆信/井伊直政/直江兼続/足利義輝/長宗我部元親/荒木村重/大友宗麟/豊臣秀頼/徳川秀忠/本多忠勝/黒田長政
一九八六年、中曽根内閣は懸案の自主憲法制定を成し遂げた。自衛隊は改称され国軍へ昇格。また日銀は絶妙の金融政策でバブル経済を軟着陸させ、日本は好景気のまま発展した。だが今、その社会は危機に瀕している。「シンク」という謎の穴がすべてを飲み込み、同時に感染症も流行。政府が隠蔽する世界の崩壊を阻止する鍵を握るのは、一人の日本人学者だった。彼を探し保護せよとの命を受けた土門康平陸軍中将は、この任務を遂行し、日本を、この世界を救うことはできるのかー?大石英司が描く世界滅亡の書。
南北戦争で両親を亡くした少女は兄の手で自分を虐待するおじ一家から助け出されたが、さらに残酷な外の世界を知る(「よくある西部の物語」)。ある少年は、服役中の父親と暴力をふるう義父の間でもがいている(「ジェイムズ三世」)。19歳の女は難民キャンプで襲撃を受け、誘拐されて消えた(「外交官の娘」)。暴力に満ちたさまざまな時代と場所で、血まみれで生きる人々の一瞬の美しさを切り取る。O・ヘンリー賞受賞作ほか10編収録の珠玉の短編集!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界に来て半年。クロの「究極のベビーカステラ」作りに協力したりと、賑やかな毎日が続いていたある晩。夜の散歩をしようと屋敷の庭に出た快人は、仕事が一段落したというリリアに遭遇する。いつも通り、和やかに会話をするふたりだったが、部屋に戻る直前、意外なサプライズが起きて、快人を驚かせる。リリアの気持ちに気付いた快人が取った行動は…!?「モーニングスター大賞」大賞受賞作、絆が深まる第9巻!
五山文学を代表する文人僧・横川景三の応仁の乱前後の動静を中心に、戦乱のさなかにも活動していた聯衆の活動を描出すると同時に、庇護者・小倉実澄との交流、京都における禅林復興という「動」を志した横川景三と地方における文芸・活動という「静」を志しながらも都に召喚されて斃死に近い最期を遂げた同輩・桃源瑞仙の対比等、「生きざま」の提示にも余韻を残す。 はしがき 第一部 応仁の大乱と禅林の文芸(禅林聯句の一側面) 第一章 戦乱時における文芸としての禅林聯句 -「小補東遊集」と「江東避乱聯句」(仮称)- 第二章 自筆稿本系統『小補東遊集』の出現 -天理図書館所蔵『小補東遊集』をめぐってー 第三章 「江東避乱聯句」(仮称)の第唱句と入韻句について 第四章 京都大学附属図書館所蔵『東遊集聯句』 -解題と本文復原の試み(翻刻)- 第五章 『〔湯山聯句〕』『成吠詩集(坤)』『〔梅花無尽蔵〕』『〔聯句集〕』について 第六章 「禅林聯句の総集」について 第二部 応仁の大乱をめぐる一禅僧(横川景三)の軌跡 緒言 -横川景三…江東避乱から禅林復興への歩みー 第一章 第一回上洛と帰山 第二章 第二回上洛とその前後 第三章 識廬庵への隠棲 第四章 第三回上洛 -文明四年〜五年(一四七二〜三)の動向ー 第五章 五山禅僧としての覚悟 -文明七年(一四七五)の動向ー 第六章 大乱の終結と禅林の再興 あとがき/索 引
マグル(人間)界では、不可解な事件が続発する。魔法大臣も、闇の帝王の復活が原因であることを、ついに認めざるを得ない。ハリーは6年目を迎えたホグワーツで、ダンブルドアの個人授業を受けることになった。一方、宿敵ドラコは何らかの使命を受け、校内で怪しい行動をとっている。「魔法薬学」の授業では、急に優等生になったハリー。その秘密は、『半純血のプリンス』と署名された古い教科書だった。
ダンブルドアの特別授業は、若き日の闇の帝王、トム・リドルに迫る旅だった。それは、ハリーが生き残るための重要な鍵になるという。やがてハリーは、過去に作られた、ヴォルデモートの不死を支える「分霊箱」の存在を知る。そして、ダンブルドアに伴われ、分霊箱の捜索に向かうが……。ドラコに科された使命とは? 『半純血のプリンス』の正体とは? 次々明かされていく真相は、さらなる謎を呼ぶ。
「今日のことは、ゆうたらあかんで」と良江さんは念を押した。 昭和39年夏、東京五輪を間近に控えた大阪の下町で、浪人生の隆が出会った魅惑的な女性、昼からコップ酒をあおる肉体労働者、無口で陰のある大学院生ーー。 表題作「オリンピックの夏 新世界」ほか、「さよならの夏」「イダテン狂い」「土の記憶」「赤光の庭」「祭典の向こう」「虚空」全7篇を収録する珠玉の純文学短篇集。 さよならの夏 イダテン狂い オリンピックの夏 新世界 土の記憶 赤光の庭 祭典の向こう 虚空