2020年5月発売
津波で失われたはずの手帳。行方不明のまま永い時を経た少年からの伝言。そこからは強いメッセージが発信されていた。騙されるということ自体が一つの悪なのだ。やられっ放しで判断力を失う前にやれることがある。僕たちはもう迷子のままではいられない。やけに心に沁みる、再生の歌ふたつ。
義理人情に厚いヤクザの親分・阿岐本雄蔵のもとには、一風変わった経営再建の話が次々と舞い込んでくる。今度の舞台は、北千住にある古い映画館!TVやネットに押されて客足が落ち、映画館の社長も閉館を覚悟。その上、存続を願う「ファンの会」へ嫌がらせをしている輩の存在まで浮上する…。マル暴に監視されながら、阿岐本組の面々は、存続危機の映画館をどう守る!?笑いあり、涙ありの「任侠」シリーズ第5弾!
「どうして親は私に殺しのテクニックを叩き込んでくれなかったのだろう」会社に追いつめられ、無職になった30代の敬子。男社会の闇を味わうも、心は裏腹に男が演出する女性アイドルにはまっていく。新米ママ、同性愛者、会社員、多くの人が魂をすり減らす中、敬子は思いがけずこの国の“地獄”を変える“賭け”に挑むことにー。「おじさん」から自由になる世界へ。
一九八六年、中曽根内閣は懸案の自主憲法制定を成し遂げた。自衛隊は改称され国軍へ昇格。また日銀は絶妙の金融政策でバブル経済を軟着陸させ、日本は好景気のまま発展した。だが今、その社会は危機に瀕している。「シンク」という謎の穴がすべてを飲み込み、同時に感染症も流行。政府が隠蔽する世界の崩壊を阻止する鍵を握るのは、一人の日本人学者だった。彼を探し保護せよとの命を受けた土門康平陸軍中将は、この任務を遂行し、日本を、この世界を救うことはできるのかー?大石英司が描く世界滅亡の書。
西部劇の舞台のような町、黒人奴隷が鞭打たれるプランテーション、現代アメリカの壊れた家庭、砂に埋もれたユートピア、16世紀イギリスの修道院…。暴力と欲望に満ちたさまざまな時代と場所で、夢も希望もなく、血まみれで生きる人々。人間の本質を暴き出し、一瞬の美しさを切り取った、O・ヘンリー賞受賞作「よくある西部の物語」ほか全10編収録のデビュー短編集!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界に来て半年。クロの「究極のベビーカステラ」作りに協力したりと、賑やかな毎日が続いていたある晩。夜の散歩をしようと屋敷の庭に出た快人は、仕事が一段落したというリリアに遭遇する。いつも通り、和やかに会話をするふたりだったが、部屋に戻る直前、意外なサプライズが起きて、快人を驚かせる。リリアの気持ちに気付いた快人が取った行動は…!?「モーニングスター大賞」大賞受賞作、絆が深まる第9巻!
マグル(人間)界では、不可解な事件が続発する。魔法大臣も、闇の帝王の復活が原因であることを、ついに認めざるを得ない。ハリーは6年目を迎えたホグワーツで、ダンブルドアの個人授業を受けることになった。一方、宿敵ドラコは何らかの使命を受け、校内で怪しい行動をとっている。「魔法薬学」の授業では、急に優等生になったハリー。その秘密は、『半純血のプリンス』と署名された古い教科書だった。
ダンブルドアの特別授業は、若き日の闇の帝王、トム・リドルに迫る旅だった。それは、ハリーが生き残るための重要な鍵になるという。やがてハリーは、過去に作られた、ヴォルデモートの不死を支える「分霊箱」の存在を知る。そして、ダンブルドアに伴われ、分霊箱の捜索に向かうが……。ドラコに科された使命とは? 『半純血のプリンス』の正体とは? 次々明かされていく真相は、さらなる謎を呼ぶ。
おっぱい先生。それは、母親たちを助ける、知られざる「母乳外来」の専門家。念願の第一子を授かり、幸せいっぱいのはずの和美は途方に暮れていた。「息子が、おっぱいを飲んでくれない」。完全母乳育児を目指していた和美はパニックに陥るが、先輩ママから「おっぱい先生」の噂を聞き、藁にも縋る思いで「みどり助産院」に出向く。和美はそこで、「おっぱい先生」こと律子から思いがけないアドバイスを受け、乳房に触れられることで「母親失格」と思い込んでいた身体と心が、ゆるりとほぐれていくー。母乳外来。それはおっぱいに悩みを抱える女性たちが駆け込む助産院。性格も家庭環境も異なる4人の母親たちが、おっぱい先生と出会い救済を得ていく、希望に満ちた感動作。
不浄な首斬人と蔑まれる生業を祖父、父から継いだ別所龍玄は、まだ若侍ながら恐ろしい剣の使い手。親子三代のなかで一番の腕利きとなった彼は、武士が切腹するときの介添役を依頼されるようになる。御家人や旗本相手の金貸業で別所家を守ってきた母・静江、五つ年上で幼い頃から龍玄の憧れだった妻・百合と幼子の娘・杏子。厳かに命と向き合い、慈愛に満ちた日々を家族と過ごす、若き介錯人の矜持。傑作と絶賛された前作『介錯人』の世界が、さらに静かに熱く迫る!!
40歳以上限定の結婚情報サービス会社「ブルーパール」で働く桐生恭子は、婚活界のレジェンドと崇められている。担当する会員のカップリング率一位のカリスマ相談員なのだ。恭子の発案で、大邸宅「M屋敷」に交際中の会員を泊まらせ、一緒に暮らしてみるという「プレ夫婦生活」プランがスタートした。中高年の彼らは、深刻な過去、家族の存在、健康不安と、様々な問題を抱えているが…。人生のパートナーを求める50代男女の滋味あふれる婚活物語。
航空自衛隊飛行教導群(通称:アグレッサー部隊)に所属するF-15パイロットの森近は、訓練中に不明機の急襲を受ける。何とか空域を脱出した森近だが、同僚の深浦と安田の機体は撃墜され、行方不明となる。二人は目を覚ますと、独立国家樹立を目指す“ラースランド”が保有する最新兵器“クラーケン”の中に拘束されていた…。一方、森近は“クラーケン”捜索艦隊に派遣される。さらにリムパックによる作戦“ディープ・ライジング”によって、“クラーケン”を追い詰めていくのだが…。
夏休み。琴美の家に、子供たちの謎を解決してくれる青年がやってきた。祥子は想い人から、思いもよらぬ相談を持ちかけられる。沙也香は、それとは知らず、大人たちの「不都合な真実」を掘り起こす。それぞれの謎を追いかけた、それぞれの夏休み。悪意が自分に向けられるとは、想像もしていなかった。意外なつながり、意外な真相。鮮やかに紡がれた長編ミステリ!
善人と書いてヨシト、なのに空き巣で前科二犯の「俺」。出所早々、懲りもせずに忍び込んだ豪邸の主は、なんと初恋相手の美女マリアだった。後日、偶然を装って再会し、急速に距離を縮めていく二人ーと思いきや、彼女の望みは夫の殺害!?90年代の思い出ネタにニヤニヤ、でもラストは思わず声が出る笑いと涙の衝撃ミステリー!
椎名きさらは小学五年生。母子家庭で窮乏している上に親から“水責めの刑”で厳しく躾けられていたが、ある時から自分が虐待されているのではないかと気づき始める。一方、JR川崎駅近くの路上で、大手風俗店のオーナーが刺し殺された。かつて店で働いていた椎名綺羅が捜査線上に浮かぶが、彼女には娘のきさらと一緒に自宅にいたというアリバイがあったー。社会派と本格が見事に融合した傑作ミステリー!