2020年6月発売
日本人の記憶を持つ異世界の兵士。オークの棍棒に殴られ、前世の記憶を取り戻し、混乱しながらも、戦乱の世を生きていく。自分の存在感の無さを活かして。前世と今世の不遇を振り払うように。 男爵家三男からの上級貴族へ。 軽い領地運営と、特殊なペット。
この世界では12歳になると人々は女神より才能を授かる。 主人公のリヴェルは皮肉にも【努力】という才能を授かった。 特筆した点は無く、他の才能と違って成長補正も無い。ただ努力に耐えられるだけの才能だったため、周りから馬鹿にされてしまう。 だがリヴェルだけは【努力】に可能性を見出していた。 なぜならリヴェルは《英知》という知りたい情報を手に入れるスキルを生まれ持っていたからだ。 【努力】の才能とスキル《英知》を使って、リヴェルは規格外の努力を始める。 これは、努力の天才が一気に最強への階段を駆け上がりながら、数々の強敵を打ち倒す物語である。
刺客は、思わぬところからやって来た。 1840年、気仙沼から出航した五百石船・観音丸は荒天の果てに、ある島に漂着する。そこには、青い目をした先住者たちがいた。彼らは、その地を「ボニン・アイランド」と告げた。 時を隔てた現在。すべてを失った中年男は、幼少期、祖父が大切にしていた木製の置物をふとしたことで手に入れる。それを契機に記憶が蘇り、彼は、小笠原行のフェリーに足を向けた。物語は、ゆっくりと自転を始める。
昭和19年10月、「興号計画」を実行していた日本は、帝国戦艦部隊の行動により、マリアナ沖で米太平洋艦隊と衝突。期せずして米国との短期決戦へと突入してしまった。幸いにも、この戦いで米空母部隊を撃破し、勝利を収めた日本海軍ではあったが、もはや最終決戦までの時間は残されていなかった。そんな中、昭和20年2月、日本海軍は国の命運を決める最大にして、最後の大作戦「烈号作戦」を計画。マーシャル諸島の奪還を目的とし、米基地部隊を撃退して環礁を制圧する作戦だった。そして、ついに戦艦大和を擁する大水上艦部隊が、米太平洋艦隊が待ち構えるマーシャルへと出撃するー!
「お前が欲しい。だから結婚を申しこんでいる」 「……は?」 オスカーの呪いを解いたティナーシャは自国に戻り、魔法大国・トゥルダールの女王として即位した。別々の道を歩み始めた二人の決意とはーー。そして、呪いの元凶たる『沈黙の魔女』がついに二人の前に現れる。 明かされる呪いの真実、過去へ時を巻き戻す魔法球の存在。名もなき物語に無二の思いが刻まれる第五巻。
ついにヒロイン入学! 自身の婚約破棄のため策略を練るエセリアだったが、音楽会に絵画展、予想の斜め上をいく婚約者とヒロインの行動に振りまわされてーー。暴走悪役令嬢の迂闊王子&ヒロイン粉砕記開幕!
現代日本から突如異世界に迷い込んでしまった女子大生の水瀬雫。剣と魔法が常識の世界の辺境に降り立ってしまい途方に暮れる彼女だったが、魔法文字を研究する風変わりな魔法士の青年・エリクと偶然出会う。 「--お願いします、私を助けてください」 「いいよ。でも代わりに一つお願いがある。 僕に、君の国の文字を教えてくれ」 日本に帰還する術を探すため、魔法大国ファルサスを目指す旅に出る二人。その旅路は、不条理で不可思議な謎に満ちていて。--そうして、運命は回りだした。 これは、言葉にまつわる物語。二人の旅立ちによって胎動をはじめたばかりの、世界の希望と変革の物語。
現役大学生、受賞! 第14回小説現代長編新人賞。 早くも応援の声、続々! 読みすすめながら、ふと、この小説はぼくが書いているのかもしれない、とおもった。 読了後、ほんとうにそうだった、とわかり、こころの底が熱くなった。 読んでいるひとと書いているひとが、ただひとつにつながれる。 読書のささやかな奇跡が、すべての読者の上に、くらげのように降りおちる。-いしいしんじ 『その日のまえに』『バッテリー』『重力ピエロ』『四畳半神話大系』『スロウハイツの神様』……学校の図書室にこもって本を読みふけり、「私は孤独だぜ」とものすごく傲慢に思っていたあの頃、ずっと彼らを待っていた。 -額賀澪 今すぐ自分の好きな本を読み返したくなるような、本への愛を感じる物語でした。本が好きな方、そしてこれから好きになる方に読んで欲しいです。 -武田綾乃 内容紹介:高校二年生の越前亨(えちぜんとおる)は、感情の起伏が少なく、何に対しても誰に対しても思い入れを持つことがあまりない。父親を病気で亡くしてからはワーカホリックな母と二人で暮らしており、父親が残した本を一冊ずつ読み進めている。亨は、売れなかった作家で、最後まで家族に迷惑をかけながら死んだ父親のある言葉に、ずっと囚われている。 図書委員になった彼は、後輩の小崎優子(こさきゆこ)と出会う。彼女は毎日、屋上でくらげ乞いをしている。雨乞いのように両手を広げて空を仰いで、「くらげよ、降ってこい!」と叫んでいるのだ。いわゆる、不思議ちゃんである。 くらげを呼ぶために奮闘する彼女を冷めた目で見、距離を取りながら亨は日常を適当にこなす。八月のある日、亨は小崎が泣いているところを見かける。そしてその日の真夜中、クラゲが降った。逸る気持ちを抑えられず、亨は小崎のもとへ向かうが、小崎は「何の意味もなかった」と答える。納得できない亨だが、いつの間にか彼は、自分が小崎に対して興味を抱いていることに気づく。
絶賛の声、続々! 「この物語の中には、紛れもない野球と人間がいる。野球と人間だけが生み出せるドラマが存在する。読み進むに従い、未知の世界が広がっていく。どこにもなかった野球小説が誕生したのだ。」 【あさのあつこ】 「2017年、大雨の甲子園で、阪神園芸の奇跡のような仕事と球史に残る試合を観た。私にとって知りたいことが全部詰まった一冊だった。若者たちの挫折と夢、反感からの友情。繊細で温かいつながりがすばらしい。」 【佐藤多佳子】 「人はみな、何かのプロなのだ。数々のプロを生んだグラウンドを育み守るのも、またプロだ。グラウンド整備は人生に驚くほど似ていて、だからきっとあの聖地はこんなにも心を熱くさせるのだ。」 【須賀しのぶ】 「学級文庫に置きたい。そして、読み終わった子どもたちと、わやわや感想を話し合いたい!」 【はやみねかおる】 「私たちの普段の仕事がリアルに描かれていて、あっという間に読み終えた。この本を読んで、スポーツを支える裏方たちの喜びを、苦労を、努力を知ってもらえたらうれしい。」 【阪神園芸株式会社 スポーツ施設本部 甲子園施設部長 金沢健児】 土と向き合う。雨を信じる。 そうして、日本最高のグラウンドが生まれる。 甲子園の神整備、「阪神園芸」が小説に! 絶望的な運動神経の持ち主・雨宮大地は、自分とは正反対の弟や頑なな父への鬱屈を抱え、甲子園のグラウンド整備を請け負う阪神園芸へと入社する。ところが、持ち前のセンスのなさから、仕事は失敗続き。広いグラウンドのなかで、たったひとりうろたえる自分は、本当に一人前のグラウンドキーパーになれるのか?同性愛者であることを周囲に隠す親友・一志や、重い病気を患いながら歌手を目指すビールの売り子・真夏、ケガでプロへの道を断念した、同僚の長谷。大地は同じく「選べなかった」運命に思い悩む仲間たちと関わり合いながら、自らの弱い心を掘り起こすように土へ向き合っていく。 タイガースファン、高校野球ファンのみならず、 すべてのスポーツファンに捧げる、唯一無二のグラウンド整備お仕事小説! 今日も彼らは、地味に地道に、あのグラウンドを守り続けている。 プロローグ はじめての春 はじめての夏 はじめての秋 はじめての冬 ふたたびの春
不安で叫びそう。安心が欲しい。なのに、願いはいつも叶わないーー。『1ミリの後悔もない、はずがない』で大注目作家の心揺さぶる最新長篇! その頃見る夢は、いつも決まっていた。誰かに追いかけられる夢。もう終わりだ。自分の叫び声で目が覚める。私は安心が欲しいだけ。なのに夫は酔わずにいられない。父親の行動は破滅的。けれど、いつも愛していた。どうしたら信じ合って生きていくことが出来るのだろうーー。痛みを直視して人間を描き、強く心に突き刺さる圧倒的引力の傑作!
北朝鮮でクーデター勃発。拉致被害者を救出せよ! そのとき、国はどう対峙する? 騒乱に乗じてミサイル発射を企む北の軍部に、米国はピンポイント爆撃へと動き出す。だがその標的近くには、日本人拉致被害者がーー。日本の政治家は、国民は、人質奪還の代償として生じる多くの犠牲を直視できるのか? 実戦投入される最強部隊の知られざる内実とは? 日本初、元自衛隊特殊部隊員が描く迫真のドキュメント・ノベル。
「いざとなれば、金は刀より強いんです」江戸の商業を“最適化”した風雲児の生涯! 甲斐の農家から江戸の飛脚問屋の養子となった茂十郎は、名を揚げた矢先に永代橋の崩落事故で妻子を失う。その悲しみを糧に、茂十郎は三橋会所頭取となり橋の運営に要する莫大な費用を集め、十組問屋を再編し、菱垣廻船を立て直して流通を一新。江戸の金の流れを掌握し、「狼」と恐れられながらも商いの道理を貫いた実在の改革者に迫る傑作歴史小説。
禍々しく、ミステリアスに 1800年、アンリ・ベール(ことスタンダール)はナポレオン戦争に従軍し、後年このときの記憶を書きとどめた。第一次世界大戦が間近い、不穏の気配ただよう1913年には、ウィーンからヴェローナ、リーヴァに向かったドクター・K(ことカフカ)が日記をのこした。1980年、カフカの足跡を追って同じ旅をした語り手の〈私〉は、死と暴力の予感におののいてヴェローナから逃げ帰った。その7年後、当時の記憶を書き記そうとかつての道をたどり直し、最後に自分が捨てた故郷に立ち寄った。 〈私〉の旅、カフカの旅、スタンダールの旅ー時を超えて重なり合う旅のどこにも、永遠の漂泊者「狩人グラフス」が影を落とす。さまざまなものや人が響き合い、時間と場所を越えて併存する。本書はゼーバルト初の散文作品であり、「ベール あるいは愛の面妖なことども」「異郷へ」「ドクター・Kのリーヴァ湯治旅」「帰郷」の4篇を収録。 「たえず動いている乗り物のなかの想念に似て、消えては結び、やってきてもつれ合い、断続して定めがたい。つまりはもっとも現代的な散文表現というものだ」。池内紀氏による巻末の解説「言葉の織物」から引用。
三年間引きこもっていた鈴木家の長男・浩一がある日突然この世を去った。母の悠子はショックのあまり意識を失ってしまう。浩一の四十九日の当日に意識を取り戻すが、悠子は浩一の死の記憶を失っていた。「浩一は?」と尋ねる悠子に、浩一の妹である富美は「お兄ちゃんはアルゼンチンにいる」と咄嗟に嘘をつく。母のために家族総出で「浩一の死」を偽る日々が始まった…。死と向き合い、生きることを模索する家族の姿を描いた物語。
君も誰かにとっての「特別」であることに気付いたとき、世界が眩しく思えて、きっと涙が止まらないーー。 すべてにおいて普通で個性がないこと(永遠の脇役)がコンプレックスの高校生・影子。 同じクラスには影子とは違い、すべてにおいて特別で〈永遠の主人公〉な真昼という同級生がいた。 彼は大人気アイドルグループのメンバーで、学校でも人気者。 そこにいるだけで目立つ彼は、影子とは別世界すぎて同じクラスなのにほとんど話したことがなかった。 だが、ひょんなことがきっかけで一緒に図書委員をすることになり、真昼の陰の部分を知ることに……。 学生に読んでほしい作家No.1。 ラストシーンに、きっと涙する! 読後、世界が輝いて見える希望の物語。
師匠は私を作家にしてくれた 二度目に会った時はお骨になっていた 苦節の十年、彼はずっと後ろに「いて」くれた 私淑する宇宙的私小説作家・藤枝静男。その深淵を新エピソードとともに読み解く。 他の誰にも書けない、敬慕の情に満ちた「師匠説」。 師匠!師匠! 戦争、拷問、結核を超え キリストもマルクスも彼は信じない 仏像を床の間に置き天皇を叱る 一日に四百人の眼球を診察し 茶碗が空を飛ぶ私小説を書いた
現代。ソレーヌは、困窮した女性が避難できる施設のボランティア。百年前。ブランシュは、その施設創設のため奔走する。背景の異なる人との連帯に苦労しつつ、手をとりあうソレーヌ。理解と資金を得ていくブランシュ。だが、2人の前に最後の壁が立ちはだかる
1937年の大みそか、マンハッタン。タイピストのケイトとルームメイトのイヴは、バーで居合わせた若き銀行家ティンカーと友達になる。この出会いをきっかけに、3人の人生は大きく動き出す──戦間期のニューヨークのきらめきの中で過ごした3人の、1年間の物語