小説むすび | 2020年8月発売

2020年8月発売

聖伝聖伝

その目はあまりにも死んだ兄の目に似ていた。あの時、逆賊のテントで、みずからの手で殺したあの兄の目に…… 絶対平和主義を貫き、正しい生き方を求め、 最後には自死を選んだ伝記作家の名手ツヴァイクーー 聖書、聖典を材に、時代の「証人」として 第一次大戦中から亡命時代に至る激動の時代に書き残した、 人類永遠の主題「戦争と平和」をめぐる四つの物語。 本邦初訳を含む新編新訳。 シュテファン・ツヴァイクは、自死する前に、世界が彼に何をあたえ、そして奪ったかを書きとめた。その記述は、まぎれもない絶望の冷徹さからくる容赦のない正確さをもってなされた。彼は名声の喜びと屈辱の災禍を記録する。彼は、自分がそこから追放された楽園について語る。 ーハンナ・アーレント あなたこそは本当にわれわれの時代が必要としている、高潔なヨーロッパ精神の体現者です。このような人が現れるのをわたしは二十年来待ちわびていました。われわれロマンス語圏の国には、どうしてあなたほどのスケールの批評家がいないのでしょう! ーロマン・ロラン ツヴァイクの作品の多くは、無垢でありながら闇の領域に足を踏み入れてしまう人物の視点から語られている。わたしは常々、ツヴァイク自身は冒険をしないタイプの人、つまり彼が作品のなかで掘り下げて書いているのはあくまでも自分が興味をもった出来事で、彼自身の体験ではないのだと思っていた。だが事実はまったく逆のようだ。 ーウェス・アンダーソン

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