2020年9月発売
会員になれば3ヵ月で結婚できるーーそんな評判を耳にして、青山の一等地に事務所を構える「スマイル結婚相談所」に、今日も男女が訪ねてくる。30代食品メーカー勤務女性、30代洋酒メーカー勤務男性、20代家事手伝い女性、30歳医薬品メーカー研究者……。彼らはなぜこれまで結婚しなかったのか? 実は二人とも独身の44歳社長・岸本達也と34歳スタッフ・葉山希が、その謎に迫る!
ル゠グウィンがトールキンやエディスンと並べ、名文家として名を挙げた、ケルトの魔法を歌う詩人にして神智学者である作家、ケネス・モリス。ダンセイニよりも神秘主義的と評されるその幻想小説を百年の時を経て集成した本邦初の単行本。 人は誰も宇宙の根源的な霊の一部、天の炎を内に秘めており、いつかその源に還るまで、魂を進化させることが人間の使命であるーー 東西の神話や伝説、音楽や色彩、動植物や鉱石、天の神秘と豊饒なる大地に題材を得て、詩情に満ちた文体で綴られた、読むことがそのまま喜びであるような体験を与えてくれる29の幻想物語。 装幀 白座 装画 林由紀子「夜明けに開く薔薇」 東と西 王と三人の行者 薔薇と杯 詩人ハーリド 幼子アポロンの神殿 北の統治者 ヴァイオリニストの夢 ティタニアが摘んだ花 牧神の戯れ アル・カドルの夜 白禽の宿 眼のない龍 紅桃花渓 故郷へ 子守パーリ ショーン・アプ・シェンキン 山のデイオ 物語の彼方 人魚の悲劇 エヴァン・レイションの神曲 ドン・キホーテ最後の冒険 天上の音楽 ダフォディルの花 バッハのフーガ ニ短調 惑わしの打破 青玉の頸飾り 地獄と天国、そしてベートーヴェン 神と人 神の化身 神秘の山 智慧の林檎 勝利 惑星の王 聖者と森の神々 訳者解説 館野浩美
フリーの傭兵として働く37歳の雄一郎はゲリラ戦中、手榴弾の爆撃に吹き飛ばされ意識を失い、気が付くと、見知らぬ世界にいた。その世界では現在、王位を争って王子達が内乱を起こしているという。どうやら雄一郎は、“正しき王”である少年を助け国を救うために“女神”として呼び出されたようだ。おっさんである自分が女神!?その上、元の世界に帰るためには、王の子供を産まなくてはならないって!?うんざりする雄一郎だったが、金銭を対価に異世界の戦争に加わることになりー
東アジア異界世界に誘う貴重資料・仏教説話・宋代の民間説話・社会経済資料の宝庫を平易な現代語訳と丁寧な注釈で提供する! 「丙志上」(巻三〜巻一〇の目次は省略) 巻一:九聖奇鬼/陳舜民/貢院鬼/東橋土地/閻羅王/文氏女/神乞簾/南嶽判官 巻二:舞陽侯廟/魏秀才/蜀州紅梅仙/劉小五郎/羅赤脚/趙縮手/長道漁翁/守約長老/朱眞人ほか 論考:『夷堅志』にみる「異人」(安田真穂)
犬とのさり気ない日常を超えた無音の和音が聞こえてくる。--谷川俊太郎 「生きてるときに生きてて、何か感じたり、ほかの生きものに感じられたりして、どれがどう入れかわっても、おなじだ、って」。変わりゆくもの、簡単には変わらないもの。ぼくと妹の紗枝、そして犬の「マル」たちをめぐる、家族と記憶の物語。
いじめや非正規雇用など、自らの経験をテーマに短歌を発表し続けた萩原慎一郎。その初の作品集にして遺作となった歌集『滑走路』は、異例のヒットとなった。 同書を原作とする2020年秋公開の映画「滑走路」の小説版を、藤石波矢が執筆。 厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、陳情に来たNPO団体から、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ、自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始めるーー。 一方、30代後半に差し掛かり、夫との関係性や将来への不安を抱える切り絵作家の女性、幼なじみをかばったことでいじめの標的にされてしまった中学2年生の学級委員長の男子は、それぞれのフィールドで精いっぱい日々の生活を送っていた。 複数の人生が交差し、葛藤しながらも前に進む姿を描いた人生賛歌の物語。 映画の主演を務めるのは水川あさみ。切り絵作家・翠役を演じる。非正規雇用者の自殺問題に向き合う25歳の官僚・鷹野役に浅香航大、いじめの標的にされる中学2年生の学級委員長役に寄川歌太。脚本は『やめるときも、すこやかなるときも』の桑村さや香、監督は『マチネの終わりに』などの監督助手を務めた大庭功睦。
1972年、中国・北京。元海軍将校である徳間は、偶然にも中国の要人の命を助けたことから、ある任務に巻き込まれる。その任務は、失敗すれば中国・日本の歴史を大きく歪めてしまうものだった。娘・幸子の運命までも狂わせていく中で迎える衝撃のラストとは。欲望、親子愛、宿命ー。そのすべてが描かれたノンストップ・サスペンス。
十年前と現在の大学紛争を結び付ける因縁をたどった「魔性の女闘士」、大分の国東半島の自然豊かな海辺を舞台に、多感な少女が巻き込まれる首無し死体事件を追った「秘密の草城」、立山登山から戻らぬ愛人の知らない顔を見ることとなる「くろこまのペンダント」。あの時間はなんだったのか。自分はどのような存在だったのかー登場人物たちの自問はあなたも思わず呟くことになる。男と女を主軸に運命の不測の展開に驚愕するサスペンス三篇。
50代後半の年齢まで、将来を憂うこと無く静かに平和に生きてきた『母』が、この数年間に次々と家族を襲った『青天の霹靂』を、価値観も人生観も人間関係もが大きく変化する中で、息子達の名誉回復のために、膨大な日記やメール、手紙を紐解き、記録にまとめた本書。 『ペンは剣より強し』を証明したいとの強い動機による『母』の記録である。
1980年、記号学者・哲学者のロラン・バルトが交通事故で死亡。事故は当時の大統領候補ミッテランとの会食の直後だった。そして彼の手許からは持っていたはずの文書が消えていた。これは事故ではない!誰がバルトを殺したのか?捜査にあたるのは、ジャック・バイヤール警視と若き記号学者シモン・エルゾグ。この二人以外の主要登場人物は、ほぼすべてが実在の人物。フーコー、デリダ、エーコ、クリステヴァ、ソレルス、アンチュセール、サール、ドゥルーズ、ガタリ、ギベール、ミッテラン、ジスカール・デスタン、ラング…綺羅星のごとき人々。そして舞台はパリから、ボローニャ、イサカ、ヴェネツィア、ナポリへと…。「言語の七番目の機能」とはいったい何か?そして秘密組織“ロゴス・クラブ”とは?『HHhH-プラハ、1942年』の著者による、驚愕の記号学的ミステリ。アンテラリエ賞・Fnac小説大賞受賞作。
埼玉県警の何森(いずもり)は、昔気質の一匹狼の刑事である。仕事一筋ながら協調性はなく、県内の警察署を転々としていた。久喜署に所属していたある日、不可解な殺人事件の捜査に加わることに。障害のある娘と二人暮らしの母親が、二階の部屋で何者かに殺害された事件だ。二階へ上がれない娘は、母親の悲鳴を聞いてケースワーカーを呼んでから通報したというがーー。〈デフ・ヴォイス〉シリーズ随一の人気キャラクター・何森刑事が活躍する連作ミステリ。
暴君であると同時に、偉大な国家建設者。実在した天皇とされる21代雄略の御代は、形のないものが、形あるものに変わった時代。私たち日本人の心性は、このころ始まった。『古事記』現代語訳から6年、待望の小説が紡がれた。
自分の生みの親はだれなのか……生後間もなく実子扱いで里子に出された主人公が、血液型の不一致から出生に纏わる秘密を知る。自分が生まれてきた意味をさぐるべく、彼女のルーツ探しの旅が始まる。他3作品収録。