2021年12月発売
魔法の名家に生まれながら、アレン・アルステインは「努力をしても結果が伴わない無能」だと実家を追放されてしまう。あまりの出来事に途方に暮れるアレンだったが、立ち寄った町で冒険者から驚異的な能力を得る代わりに大きな代償が伴うという“賢者の実”を手に入れる。もう失うものはないと実を口にしたアレスは、『前世の記憶』と『賢者の知恵』を手に入れ、魔法の能力が覚醒する。 「これならあの王立魔法学院にも合格できるかもしれない」 目覚めた力と賢者の知恵でアレスは超名門アステリア魔法学院への入学を果たすーー。しかし代償として『常識』を失ってしまったために……?
コールセンターで働くバツイチ独身・40代半ばの派遣社員、アセロラ4000。ある日、ひょんなことから足を踏み入れた小田急線沿いのキャバクラで、1人の嬢・マリナと運命的な出会いを果たす。過去のトラウマからキャバクラに複雑な感情を抱いていたアセロラだが、マリナとの時間を過ごすうちに心を開きはじめる。昼ごはんを我慢してまでお金を貯め、キャバクラに通い親交を深めていくアセロラ。時は過ぎ、やがて価値観の違いや現実とのギャップに翻弄されていく…。愛、仕事、仲間、そして夢。キャバクラを舞台に中年男性の青春をユーモラスな文章で哀愁たっぷりに描く。昭和〜平成の文化オマージュてんこ盛りのキャバクラ文学、爆誕!
人は、消えない心の傷を抱えたまま、この現実を生き抜くことができるのか?「こちら“現実”、応答せよ“物語”」変えようのない過去を救うべく、虐待サバイバーと動物学者が交わした、魂の物語。
人間が完璧でない以上、どんな制度にも必ず欠陥は存在する。出生前に胎児の意思を確認する「合意出生制度」が法制化された近未来の日本。胎児には遺伝や環境などの要因を基にした「生存難易度」が伝えられ、生まれるかどうかの判断がゆだねられる。出生を拒んだ胎児を出産した場合は「出生強制」の罪に問われる世界で、同性婚をしたパートナーとの間に人工妊娠手術により子を宿した主人公・立花彩華。彼女が、葛藤しながらくだす決断とはー。
アパートの扉にスプレーで記されていく“V”の字、悲しい記憶を洗い流すエステ、宇宙から派遣された謎のタコ型エイリアン、女子刑務所からの脱獄、遅れていく“時”の流れ、ロックダウン解除後の世界…。ベスト禍で紡がれた名作『デカメロン』にならい、ユニークな視点と着想で書き下ろされた個性的アンソロジー。さまざまな言語、人種、ジャンルからなる世界の作家が書き下ろした、コロナ禍のいまを生きるための物語。
累計700万部・特殊設定ミステリーの金字塔、「心霊探偵八雲」シリーズの最新作。著者のもう一つの代表作「確率捜査官」シリーズの毒舌数学者・御子柴岳人が、霊視能力を持つ大学生・斉藤八雲と、スリリングかつ極上な推理合戦を展開する!
伸び盛りの進学校・綾西学園に教職を得た元予備校教師の三隅忠志。しかし、嗄れ声で背後から近づく義眼の校務員に心機一転の気分は一気に吹き飛ばされる。体育系教師が幅を利かせた前時代的校則に縛られる学園に飛び交う暗い噂。そして、孤立した女子高生・中浜琴音が学校の片隅にある「呪われた場所」で死亡する。複雑怪奇で“ビザール”なその真相とは?
高齢化が進んだ団地は、都心の限界集落といえる。ここで、介護施設経営者が殺害された。殺人事件を担当することになった警視庁の刑事、介護施設で働く男、被害者と会っていた美人投資家。事件をきっかけに、団地で育った3人の幼馴染が再会。容疑者となった旧友を救うため、刑事が駆ける。アフターコロナの介護業界の闇に迫る。社会派ミステリー。
「その問題、私が解決いたします」キャリア官僚、真波莉子。進むところ、問題はあれど敵はなし。外交、経済、パワハラ、セクハラ何でもござれ。令和の完璧ヒロイン誕生!
米国、サンフランシスコの大学を優秀な成績で卒業したジェニファーは、米国屈指の弁護士である父親の俗物的な生きざまを嫌い、また壊れていく環境に深刻な懸念をいだき家出する。曲折を経たのち、彼女は優しい人々が暮らすカナダの北極圏に近い町、エポーに落ち着く。この町で結婚した彼女は、ウィリーという息子を授かる。だが夫はウィリーが生まれる前に北極海で遭難し、彼女もまた三十三歳の若さで病死する。一人残されたウィリーは祖母ハリエットに育てられる。ウィリーは森で色々な肉食獣に襲われるが、母親ジェニファーに育てられたハスキー犬や、北極熊に助けられ成長する。この生き物たちの闘いを通して、ウィリーは森の生き物たちにも人間同様、豊かな感情や知性があることを教えられる。
隠された幻の家訓、ある一族の謎めいた掟、読まれるはずのなかった遺言…さまざまな形で残された“ラスト・メッセージ”。11人の実力派女性作家が綴る、驚きと感動のアンソロジー!
恋愛結婚と出産を経て、幸せな家庭を手にしたはずの主人公が、「よき娘」「よき妻」を演じてきた人形のような過去に別れを告げ、同性への愛に生きる決心をする…その後の台湾レズビアン文学に大きな影響を与えた表題作「蝶のしるし」のほか、女性作家の小説全八篇を収録。
詩人や小説家として活躍し、数々の名作を世に送り出した伊藤整。その小樽高等商業学校時代から、卒業して中学の英語教師になり、東京商科大学(一橋大学の前身)に入学する頃までの、恋愛、同人誌創刊、詩作、若い作家たちとの交流などを生き生きと描写した一冊。小林多喜二、川崎愛(左川ちか)、北川冬彦、梶井基次郎らが実名で登場し、著者の詩にかける意気込みとともに、当時の詩壇の様子が垣間見える好著。