2021年7月発売
夫婦がずれていく。コロナ? がん? もっと大きな何かで。コロナ禍の家族を描く直木賞作家の最新作 新型コロナウイルスが世界を覆っている2020年9月、名香子が夫の良治から頼まれていっしょに向かった先は、都立がんセンターだった。そこで肺がんの診断を受けた良治は、一方的に、家を出て好きな人と暮らしながら治療をすると名香子に告げる。呆然とする名香子だったが、事態は“蝶”の羽ばたきのように次々と思いもかけぬ方向へと進んでいくのだった 人生は無数の「もしも」の連続だ 推薦コメント 「自分の人生は自分で作っていけると思いこんでいるが、そうだろうかと小説に問われている気がして、私はこわくなる」--角田光代(作家) 「人類最大の不幸は、生殖を完遂した雌雄が、何十年も一緒に暮らすことだ。「男と女」を擬態するのに、人生100年(夫婦生活70年)はあまりにも長すぎる…! 夫婦の道は、二つに一つ。いっそ、男と女でない何かになるか。 そんな男(女)は、最初からいなかったことにするか。 この世の夫婦は、必ず、そのどちらかの選択を迫られる。 この小説の主人公は、ある日、その結論を突きつけられる。 夫が先に、その選択を決めたから。 「熟れて落ちる果実」のように、夫婦して、ゆっくりとどちらかの道に落ちていくのが 一番いいのだけれど、そうはいかない夫婦もいる。 はてさて、突然もぎ取られた果実を、彼女がどう調理して、どう呑み込むのか。 人生の真実を一つ、召し上がれ」 ーー黒川伊保子(人工知能研究者・感性アナリスト) 担当編集より 白石さんは、一貫して人間の運命という手に負えないものを、様々な形で書いていらっしゃいます。今作は、その運命について、まったく難解でもなく、現実離れした部分もなく、力みもなく、素晴らしい筆致で一気に読者を結末まで運びます。まさに熟練の境地です。 ラストシーンで、タイトルの意味がわかりますが、この結末をどう受け取るか、ぜひさまざまな方に読んでいただいてご意見を伺いたいです。
★★★★★ ★第20回本格ミステリ大賞受賞 ★このミステリーがすごい! 1位 ★本格ミステリ・ベスト10 1位 ★SRの会ミステリーベスト10 1位 ★2019年ベストブック さらに2020年本屋大賞ノミネート、第41回吉川英治文学新人賞候補 あまりの衝撃的結末に続編執筆不可能と言われた、5冠獲得ミステリ『medium 霊媒探偵城塚翡翠』待望の続編! すべてが、反転。 あなたは探偵の推理を推理することができますか? 綿密な犯罪計画により実行された殺人事件。アリバイは鉄壁、計画は完璧、事件は事故として処理される……はずだった。 だが、犯人たちのもとに、死者の声を聴く美女、城塚翡翠が現れる。大丈夫。霊能力なんかで自分が捕まるはずなんてない。ところが……。 ITエンジニア、小学校教師、そして人を殺すことを厭わない犯罪界のナポレオン。すべてを見通す翡翠の目から、彼らは逃れることができるのか? ミステリランキング五冠を獲得した『medium 霊媒探偵城塚翡翠』、待望の続編は犯人たちの視点で描かれる、傑作倒叙ミステリ中編集! invert in・vert 【他】…を逆さにする,ひっくり返す,…を裏返しにする; 〈位置・順序・関係を〉反対にする;〈性質・効果などを〉逆転させる; inverted detective story: 倒叙推理小説
いつか、ここに、遠くに、存在した誰か。 言葉によって、わたしたちは出会える。 ーー柴崎友香さん推薦 シャーロック・ホームズの翻訳者だった父が倒れ、四姉妹の末っ子リブロは家族の歴史をたどりなおす。 時空を超えて紡がれる、風変りでいとしいファミリー・ストーリー。 「そこでは、もうとっくのむかしに死んでしまった人たちが、みんな生きていた。リブロの目の前、ここに、生きていた。」 百年前のロンドンから、戦争と震災をへて現在まで、家族の記憶とホームズの物語が鮮やかに交錯するーー。 無数の喪失を超えて生き続ける言葉の奇跡を描く、注目作家・小林エリカの最新傑作小説。 最後の挨拶 His Last Bow 交霊
佐伯作品新シリーズ全4巻、堂々完結! 大火からの復興の要として照降町の人びとの支えとなっている周五郎だったが、小倉藩の派閥争いの中、実兄が暗殺される。藩の行く末と町での暮らしの間で揺れる周五郎、その周五郎がいずれ去ることを覚悟する佳乃。ふたりの想いはどこへ向かうのかーー。勇気と感動の物語、ついに完結!
あなたの心で鳴っている音に、あなたは、きっと気づいていないーー。 ”人の心に流れる音楽が聴こえる”という風変わりな店主が、南の島の小さな店で、お待ちしています。 発売前から書店員絶賛!の感動の物語。 「耳利きの職人が、お客様にぴったりの音楽をおすすめします」 ここは、お客様の心に流れる曲を、世界でたったひとつのオルゴールに仕立ててくれる、不思議なお店。 ”小さな箱”に入っているのは、大好きな曲と、大切な記憶……。 北の小さな町にあった『ありえないほどうるさいオルゴール店』が、最果ての南の島で、リニューアルオープンしました! 今回も、7つの物語が奏でる美しいメロディーに載せて、やさしい涙をお届けします。 * * * 島を出て行った初恋の人を想い続ける郵便屋さん、音楽を捨てて都会からやってきた元ミュージシャン、島の神様の声が聞こえるババ様……彼らの心にはどんな音楽が? みんな必ず、小さな寂しさを秘めています。 でも、自分で気づいていない「本当の気持ち」も、 他人に知られたくない、「密かな想い」も、 音楽となって、あなたの心に流れているのです。 そして、美しい旋律を奏でています。 * * * 「好きです。この小説」「涙がまりませんでした」「心が満たされる物語!」「心が激しく揺れた」など、書店員さんから絶賛の声が発売前から集まっています!
長年の目標だった、長編小説をついに書き上げた。しかしー眠る妻の枕元に、原稿を置いた。気づいてもらえない。芸術家になった後輩を呼び出した。逆に、彼の作品の感想を求められる。仕事仲間のディレクターに的を絞った。仕事の悩みを相談される。初恋の女性から連絡がきた。お願いする前に、“お願い”された。誰かに、読んでほしい。誰でもいいから、読んでほしい。読んでほしいだけなのに!誰に会っても、自分の話を切り出せない。気づくと、相手の話を聞いてばかり。はたして、この小説は、誰かに読んでもらえる日が来るのだろうか!?
1964TOKYO。戦後復興を遂げた日本、抜けるような青空のもと、オリンピックが開かれた。大学生の葉子は恋をしていた。相手は学生運動のリーダーで、故郷に婚約者がいた!告白か、断念か、募る想いに苦悩する葉子、恋の行方は…。
パリの片隅に日本人留学生の集まるアパート「達磨館」があった。そのヌシ的存在である松岡範平は国粋主義的人物で、隣の部屋に住む中上川亘は国際主義者。範平に義理がある中上川は波風立てないようにしているが、自分の考えを押しつけようとする範平には辟易していた。そんなある日、中上川が川に身を投げようとしていた若いフランス人女性を助けてきて同棲を始めてしまう。夜な夜な漏れてくる甘美な物音に、範平の怒りは頂点に達するがー。1920年代にパリに留学した経験から書かれた「達磨町七番地」のほか、映画化もされた二人の若者の悲喜劇「青空部隊」、デパートの女性店員たちの恋愛模様を描いた「青春売場日記」など、戦前に書かれた5作品を収録。
巨大組織「陸軍」を、ある家族の視点で活写 幕末、小倉で質屋を営んでいた高木商店の跡取り息子・友之丞は、「異人に、おくにをけがされて、たまるか」という思いで奇兵隊に入隊。隊の「勤王、殉忠報国、攘夷、四民皆兵」という思想に感動し、以来、それが高木家の家風となっていく。 その長男・友彦は陸軍士官学校を経て日露戦争に従軍するものの、病気がちで戦闘には参加できなかったので、息子・伸太郎の陸軍入営には万感の思いを抱いていたーー。 『麦と兵隊』など「兵隊3部作」で知られる著者が、自らの軍隊生活と従軍作家としての経験をもとに綴った、ある一家の3代、約70年にわたる壮大な物語。
作家・椹野道流さん、おすすめ 「歌で世を識り、歌で戦い、歌で愛を編む。 雅な男たちの熱き血潮!」 平安時代の最高権力者・藤原道長に連なる藤原北家ながら傍流の御子左家は、歌壇ではそれなりの実力を発揮しているものの、公家の出世レースではパッとしない家柄。当家の次男に生まれた藤原定家は、病由来の難聴を克服し、侍従時代の同僚で親友の藤原家隆らとともに『新古今和歌集』の選者を務めるなど、歌壇でめきめきと頭角を現す。鎌倉幕府に押され気味の朝廷の権威回復を狙う後鳥羽上皇は、そんな定家に、三代将軍・源実朝に京への憧れを植え付けるため「敷島の道(和歌)」を指南せよと命ずる。後鳥羽の野心は肥大し、ついには倒幕の兵を挙げんとするが……。 知らぬ人のいない「小倉百人一首」には、なぜあの100首が選ばれたのか? 同じく藤原定家選の「百人秀歌」より1首少なく3首だけ異なる理由とは?--「承久の乱」前後の史実をきらびやかに描きながら、その謎を解き明かす。 【目次】 一の章 還御の噂 二の章 いとしの友よ 三の章 菊花の王 四の章 はかなき鎌倉将軍 五の章 勅勘と大乱 六の章 嵯峨山荘の障子和歌 附記
▼あらすじ▼ 一生に一度だけ、神から授けられる特別な武器『神器』。 強い神器を手に入れれば冒険者になる道が開けるが、英雄に憧れる少年ラストに授けられたのは、誰が見ても最弱なハズレ武器「さびついた剣」だった。しかしある日、ボロボロの剣がトンデモ性能の「呪われた魔剣」に進化! さらに敵の神器を吸収できて……!? どんどん強くなる最強武器を相棒に、英雄への道を駆け上がる大逆転ファンタジー、開幕!
指導係の一人、ジェイクの師匠から別荘への招待を受けた悠利達。沢山の本に触発され錬金釜で髪染め薬を作ったり、人工遺物で出現した自分におもてなしされたり、気難しい家憑き妖精と料理したりと避暑を満喫!
西方諸国を離れ、樹海迷宮を訪れたサトゥー達。拠点となる要塞都市アーカティアで出会ったのは、ルルそっくりの超絶美少女。彼女が営む雑貨屋を立て直しながら、新たな迷宮を攻略することになるのだが……?
周囲の応援や精霊王の寵愛を受け、アトリエオープンという夢を叶えたデイジー。美味しいパンに高品質なポーション、唯一無二の品揃えは冒険者から貴族までみんなを虜に!しかも「鑑定」スキルも謎の進化!?チーズやマヨネーズを作ったり、錬金術の師匠とものすごい合金を生み出したり、同じく精霊王の加護を持つ鍛冶職人の女の子と友達になったり…モノづくりもますます満喫中!そんな中、素材採取の冒険で「ある場所」に迷い込みー?
語れないと思っていたこと。 言葉にできなかったこと。 東日本大震災が起きたとき、伊智花は盛岡の高校生だった。 それからの10年の時間をたどり、人びとの経験や思いを語る声を紡いでいく、著者初めての小説。 第165回芥川賞候補作。
第165回芥川賞受賞!第64回群像新人文学賞受賞のデビュー作。 コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。 (群像新人文学賞 選評より) 記憶や内面、歴史や時間、ここと別のところなど、何層にも重なり合う世界を、今、この場所として描くことに挑んでいる小説 --柴崎友香氏 人文的教養溢れる大人の傑作 曖昧な記憶を磨き上げ、それを丹念なコトバのオブジェに加工するという独自の祈りの手法を開発した --島田雅彦氏 犠牲者ではない語り手を用意して、生者でも死者でもない「行方不明者」に焦点を絞った点で、すばらしい。清潔感がある。 --古川日出男氏
第64回群像新人文学賞受賞! 高2の夏、過去にとらわれた少年たちは、傷つき躊躇いながら未来へと手を伸ばす。清新な感覚で描く22歳のデビュー作。 日本一暑い街、熊谷で生まれ育ったぼくら4人は、中1のとき出会い、互いの過去を引き受け合った。4年後の夏、ひとつの死と暴力団の抗争をきっかけに、ぼくらの日々が動き始めるーー。孤独な紐帯で結ばれた少年たちの揺れ動く〈今〉をとらえた、新しい青春小説。 (群像新人文学賞選評より) ・〈文法の破綻した叫び〉こそが高二のぼくらのリアルな何事かを言語的に表現する、との説得力。--古川日出男氏 ・私がいちばん感心したのは〈一人称内多元視点〉と呼ぶべき視点のつくり方だった。これは文学的に有意義な試みだと思う。--松浦理英子氏