2021年8月26日発売
「人を好きになる気持ちが分からないんです」 海松子(みるこ)、大学一年生。 他人に興味を抱いたり、気持ちを推しはかったりするのが苦手。 趣味は凧揚げ。特技はまわりの人に脳内で(ちょっと失礼な)あだ名をつけること。 友達は「まね師」の萌音(もね)、ひとりだけ。 なのに、幼馴染の同い年男子と、男前の社会人から、 気づけばアプローチを受けていて……。 「あんまり群れないから一匹狼系なんだと思ってた」「片井さんておもしろいね」「もし良かったらまた会ってください」「しばらくは彼氏作らないでいて」「順調にやらかしてるね」 ーー「で、あんたはさ、高校卒業と大学入学の間に、いったい何があったの?」 綿矢りさデビュー20周年! 他人の気持ちを読めない女子の、不器用で愛おしい恋愛未満小説。 【著者プロフィール】 綿矢りさ(わたや・りさ) 1984年京都府生まれ。早稲田大学教育学部卒業。 2001年『インストール』で第38回文藝賞を受賞しデビュー。 2004年『蹴りたい背中』で第130回芥川賞を受賞。 2012年『かわいそうだね?』で第6回大江健三郎賞を受賞。 2020年『生のみ生のままで』(上・下)で第26回島清恋愛文学賞を受賞。
島に生きた、ある一族の百五十年の営み。渾身の大河小説三千二百枚、開幕! 神生島にイチマツが帰ってきた。神か仏のような人間離れした美貌の一ノ屋松造に、島の女たちは例外なく魅入られていく。イチマツの子供には、みな体のどこかに同じ徴があった。またその子供たちにもーー。明治維新から「あの日」の先までを、多彩な十七の物語が鮮やかに映し出す。三ヵ月連続刊行スタート。
渋沢栄一を口説き、五島慶太と競い、東京に地下鉄を誕生させた男の熱き闘い! 資金も経験もゼロ。夢だけを抱いてロンドンから帰国した早川徳次は、誰もが不可能だと嘲笑した地下鉄計画をスタートアップし、財界大物と技術者たちの協力を取り付けていく。だがそこに東急王国の五島慶太が立ちはだかる! 『家康、江戸を建てる』の著者がモダン都市東京の揺籃期を描く、昭和二年のプロジェクトX物語。
播州高砂の漁師から身を起こし、大胆不敵な船乗りとして名を揚げた松右衛門。兵庫津を振り出しに瀬戸内を巡り、日本海に入って越後・出雲崎から果ては箱館まで、北前船を駆る海商にのし上がる。やがて千石船の弱点だった帆の改良に自ら取り組み、苦難の末に画期的な「松右衛門帆」を完成させて、江戸海運に一大革命をもたらすことに。あの高田屋嘉兵衛が憧れた伝説のシーマン、ここに甦るー。
台湾でドラマ化進行中! 台湾モダンホラーの決定版が満を持して登場。 タクシー運転手の呉士盛(ウー・シーシェン)は人身事故を起こして借金に追われて、娘は家出し妻とも言い争いが絶えない。ある日、タクシーの溜まり場に放置されていた車の中で古いカセットテープレコーダーを見つけ、何気なく再生ボタンを押すと男のかすれた声が漏れてきた。 「……ミナコ?」 士盛の妻・郭湘瑩(グオ・シャンイン)は最近、ひどい耳鳴りに悩まされていた。 耳鳴りはやがて台湾語や日本語が混ざった幻聴となり、ある夜ついに幻聴と幻覚に操られ、自宅の屋上から墜落し重傷を負う。 病院に駆け付けた士盛はその帰りに、気味の悪い道尼をタクシーに乗せる。道尼は士盛に、「早く穢れを解かなければ、妻は死ぬ」と告げた。 湘瑩は「ミナコが私と娘を殺しに来る」と言い続けるようになり、ついに精神科病棟に隔離される。その夜、湘瑩は首を 180 度捻じ曲げた異様な状態で死んでいるのが発見される! 妻の死に、謎の声が囁く「ミナコ」が関わっていると直感した士盛は道尼から聞き出した「毒を持って毒を制する」呪法を用いて悪霊を倒すべく、玉山(新高山)西峰の悪霊の棲家を目指す。
次郎長一家に突然やって来た旅の博徒、皐月雨の晋八。森の石松を窮地から救ったのが縁で、一家に草鞋を脱ぐことになった。素性を問われても笑顔でかわすばかり。不気味だが、とにかく腕は立つ。折しも、次郎長一家は甲州の卯吉一家と抗争の真っただ中。晋八は即戦力として一家の客分となるがー。この男、なぜここまで無慈悲に人を斬れるのか?
資源探査会社に勤める郷田裕斗は、海底油田の探査のために北極の基地にいた。仲間は同僚や、アメリカ人の準石油メジャーのオブザーバー、海洋学者、そしてカナダ系イヌイットたち。ある日、北極海の水中で核実験が行われる。だが、郷田たちはまだそのことを知らず、いつの間にか孤立していたのだった。通信機器による外部との連絡は取れず、リード(氷の割れ目)は増え続け、燃料と食料も刻一刻と減る中、ついに精神に異常をきたす者まで現れて…。大国の思惑と駆け引きに巻き込まれた郷田たちは、氷の世界で生き残ることができるのか。
死刑制度の闇に挑んだ著者渾身の本格推理。堀田市で起きた幼女殺人事件「堀田事件」の犯人として死刑判決を受けた赤江修一。彼は無実を主張したが、控訴、上告とも棄却され、判決確定後、わずか二年で刑を執行された。それから六年後ー亡き赤江に代わり再審請求中の堀田事件弁護団宛に、真犯人を名乗る「山川夏夫」から手紙が届く。さらに一年後に届いた二通目の手紙の中には、犯人のものだという毛髪が入っていた。弁護団の須永英典弁護士は手紙の差出人を突き止めるべく、新聞記者の荒木らと調査を開始する。調査が進むにつれ、日本の刑事司法の根幹を揺るがす計略が浮かび上がる…。
ゴキブリまみれで毎朝起きる、貧しさの底をさまよう少女。文化大革命の凄惨な経験に縛られる不安定な親たち。一族の痛みの歴史の先端でツバを吐く子供たちの、酸っぱくひねくれた青春小説集。ロサンゼルス・タイムズ・ブック・アワード受賞。
パク・ボゴム、キム・ユジョン、ジニョン(B1A4)らが出演した大人気韓国ドラマの原作小説日本語版! 男装ヒロインが宮中で繰り広げる胸キュン・ラブコメディ時代劇、完結巻!!
「アルファは、オメガを、守るためにいるんだ」 ヒト族オメガの大谷夕侑(おおたに ゆう)は、獣人アルファが通う学園唯一のオメガ奨学生。 貞操帯を嵌め、発情期には『発情耐久訓練』の生き餌としてアルファ達の欲望を一身に向けられていた。 そんな夕侑の前に、寮長である獅子族のエリート御曹司・御木本獅旺(みきもと しおう)が現れる。 彼は夕侑に“運命の番”の気配を感じていた。しかし獅子族にトラウマのある夕侑は到底受け入れられず……。 境遇の違うふたりが『幸せ』を見いだす、極上オメガバースストーリー。 『第一回 fujossy 小説大賞・春』大賞受賞作、大幅加筆&限定書き下ろしも収録!
誇り高き宿無しにして食の達人のヤッさんがオモニとともに誰にも何も告げずに突如姿を消した。一番弟子のタカオは二人の行方を捜しはじめるが……。二人の身に何が起きたのか(「ヤスの本懐」)。シリーズ6弾目にして、完結編。涙なしには読めない表題作を含め計3編を収録。
警察庁の公安秘密組織『十三階』。スパイ夫婦となった黒江律子と上司の古池慎一は首相の娘・天方美月に狙われてアメリカに逃亡し、束の間の平和を味わっていた。だが、十三階のトップのもとに時限爆弾が届き、事態は一変する。十三階を潰そうとするテロリストは、黒幕は誰なのかーー緊迫のスパイサスペンス、シリーズ第4弾!
どんな犯罪にも「起源」があります。「殺人」は人間にとって最大の禁忌ではないでしょうか。最初の事件は、20万年前の原始人によるものでした。動機は“怒り”です。信じていた仲間に失望し、大きな棍棒で仲間を殺しちゃったんです。太古の昔、いったいどんなドラマがあったのかー。(表題作「人類最初の殺人」)本篇ではこうした「人類最初の犯罪」の顛末の数々をお話します。
潮流に守られし「天神島」に赤髪碧眼の女領主アナスタシアが降り立つ 運命に引き寄せられ天神島にやってきた義賊・王義英と相棒の黒猫・夜風 権力者たちの争いと大陸の思惑のなか策謀と混乱に呑み込まれる天神島 かつては黄金の治世と呼ばれながらも、今は侵略と動乱に揺れる大陸。 「彗星王」として名を馳せていた義賊の王義英と、相棒の黒猫・夜風は、裕福な者たちの屋敷に忍び込んでは財産を盗みだし、暮らしに苦しむ民たちに配っていた。 しかし、ある日、企てに嵌まってしまい逃れるために船に乗りこむことになった。 その船には赤髪・碧眼の女性アナスタシアも乗っていた。 彼女が暴漢に襲われたところを救った義英。 聞けば、アナスタシアは島国である天神島の領主になりにいくという。 しかし島は、領主不在の間に権力者二人によって島を二分する争いが起きかねない状態だった。 島の無辜の民たちのため、アナスタシアの補佐を買って出る義英だったが、次々に島内で起こる事件の数々に巻き込まれていくーー 義賊と領主、二人が織りなす、中華ファンタジー活劇開幕!
パリ・オペラ座新作公演の主役に抜擢された天羽七音美。原作者レジーヌ・ブラパンがこだわる「黒髪のジャンヌ・ダルク」像にぴったりなのだという。演出家ジャック・ロランの依頼で七音美は宣伝のためカンヌへ渡る。その頃、パリでは娼婦が丸刈りにされ殺される事件が起こっていた。被害者はカンヌのホテルの部屋番号と「オルレアンの魔女」という謎の言葉が記されたメモを握っていた。捜査にあたる刑事エミールもカンヌへ飛び、そして舞台は忌わしき伝説の残る「監獄島」へ。果たして「オルレアンの魔女」とは…。映画の都、監獄島、そして魔女の街へと駆け巡る探偵行!