2021年発売
着ぐるみだ。一応、犬ということになる。チョッキーという名もついている。中に入った人は、商店街の映画館でかかる映画タイトルの刷られたチラシを配る。ただそれだけの存在だったー3人が中に入るまでは…滝田徹は、小学生の頃に突然愛犬を失くした。今の仕事に意義を見出せないが、チョッキーの中に入ると守られている気持ちになった。水谷佳菜は、日常生活において「右」を選択する頑なな習慣に縛られていたが、チョッキーの中にいる間は普段なら怖くて出来ないことも出来そうな気がした。兵頭健太は、女に追われている身だったが、チョッキーに入れば逃げてばかりの人生が変わる気がした。3人は、それぞれ自分であることの意味を、ゆっくりと、でもーたしかに見出してゆく。人生の岐路にたった時、進む道を照らしてくれる、温かな物語。
1782年5月ーブルボン朝フランス王国が黄昏を迎えつつある頃、国王ルイ16世のいとこにして王妃マリー=アントワネットの元総女官長マリー=アメリーは、ヴェルサイユ宮殿の施錠された自室で刺殺体に遭遇する。殺されていたのは、パリ・オペラ座の演出家を務めるブリュネル。遺体は聖書をつかみ、カラヴァッジョ「聖マタイと天使」に血文字を残していた。そして、傍らに意識を失くして横たわっていたのは、戦場帰りの陸軍大尉ボーフランシュだったー。マリー=アメリーは集った官憲たちに向けて、高らかに告げる。「この方の身柄を預けて下さいませんこと?私のアパルトマンで起きた事件です。こちらで捜査しますわ。無論、国王陛下の許可はお取りしますからご安心下さい」「俺は助けて欲しいと一言も言ってない!」かくして、奇妙な縁で結ばれた、才女気取りのやんごとなき貴婦人と第一容疑者のボーフランシュ大尉は、謎多き殺人事件に挑む。第10回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作。
破壊された村にやってきた主人公とその管理下のロボット「雪怪」が小型機械車と出会った顛末を描く「戦車の中」ほか、AIをめぐる物語6篇と2篇のエッセイを収録。劉慈欣『三体』に続き、中国にヒューゴー賞をもたらした「折りたたみ北京」著者による短篇集
物騒な異世界に飛ばされ、通販サイトの要領で、ありとあらゆる物を購入できるチート能力「異世界商店」を付与されたおっさん、タクマ。新たに商会を始めた彼は、おっさんならではのこだわりを詰め込んだ奇抜な宿の運営に乗り出した。そのオープンを間近に控えたある日。タクマの思いつきから、王族と貴族を宿に招待したところ、都市、国家、神様まで巻き込む大騒動に発展してしまうのだった!?トラブルに翻弄されつつも、結婚式準備に奔走するタクマ達。果たして式は無事開催できるのか!?おっさんが異世界を満喫する、ほのぼの冒険ファンタジー、第10弾!
戦闘以外の適性が全てSSSランクだけど、それに気付いていない少年、クルト。彼は自分が本当の工房主だとは露知らず、工房主代理として働いていた。 宮廷魔術師の依頼を受けて調査に向かった古代文明の遺跡で、荒らされた隠し部屋を発見したクルトと工房の仲間たち。そんな彼らの前に、クルトのかつての仲間、バンダナが現れる。 彼女によれば、数多くの功績で七ヵ国で工房主として認められた男、ヴィトゥキントが隠し部屋を荒らし、古代文明の技術を盗んだらしい。クルトは真相を確かめるべく、ヴィトゥキントの工房に潜入するがーー 戦闘以外最強の天才少年がおくる、勘違いファンタジー、第6弾!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界に転移した青年、ユウキ。その際に授かったスキルは『アイテム使用』なるゴミっぽい名前…しかし実は、使った道具の真の力が身に宿るというすさまじい神スキルなのであった。魔国での冒険の末、ユウキは正体不明の力“虚ろ”に苦しめられる少女ファナを救うことに成功する。しかしそこへ、突如謎の男パラケルススが来襲し、ユウキ達を圧倒。ファナを連れ去ってしまう。ユウキもまた、パラケルススが去っていった次元の扉へと飛び込み、更なる異世界へと旅立つ。そこで彼を待っていたのは、ファナと“虚ろ”の秘密のみならず、自身の宿命に関わる驚愕の真実だったー異世界の異世界で大暴れ!?神スキル『アイテム使用』の真の力で最愛の家族を守り抜け!
異世界に召喚された29歳のフリーター、秋野冬至。無能力者としてすぐに追放されたものの、後に判明したゲームスキルを駆使した結果、可愛いペット達の召喚や本格的な武具製作に成功する。-こうして、自由な冒険者生活が始まった!国境都市トガルに戻ったトウジは、新たなパーティーで「竜の爪痕」と呼ばれる山脈の調査へ向かう。ゴーレムが頻出する地下洞窟でアイテム収集に精を出す一行だったが、そこに、かつて一戦交えたゴブリンネクロマンサーが襲来。トウジとペット達がアンデッド軍団に立ち向かう!
魔法適性が「植物」だったせいで、家から追放された元貴族の青年、アシュト。彼は父の計らいにより、未開の森、オーベルシュタインの領主として第二の人生を始めるのだった。長かった冬が終わり、魔境に春がやってきた。住人総出で春の新年会を楽しむ中、アシュトのもとに兄が婚約したという報せが入る。兄を祝福するため、彼はかつての故郷ビッグバロッグへ向かうことに。一方で、自身の結婚式も間近に迫っている。果たしてアシュトは家族と和解し、結婚式を無事成功させられるのかー!?万能魔法師の異世界開拓ファンタジー、第5弾!
勇者パーティーを追い出され、大商会で新たな人生を歩み始めた、『万能職』の少年ロア。領主からの依頼を受けた彼は、城塞迷宮調査団に同行していた。統率者であるアイリーンの暴走に付き合わされ、疲弊しきった調査団のメンバー。そんな彼らを、ロアと従魔たちが度々アシストし、不死者が彷徨う迷宮近くにまで到達するのだった。動く骸骨相手に、ロアの発明品が活躍する中、馴染みの冒険者パーティー『望郷』が応援に到着!心強い仲間を得て、この旅もあと一息ーというところで、迷宮の支配者に動きが。ロアの従魔・グリおじさんと因縁深い彼らが、恐るべき力で調査団に襲いかかるー!
自衛官だった伯父に憧れ、陸上自衛隊に入隊した道畑直也。だが入隊後、自衛隊の現実に幻滅し、在隊二年で退職を決めてしまう。そんな中、除隊を目前に控えた3月11日、あの東日本大震災が起きる。未曾有の大災害を目の当たりにしながら、何も出来ずに除隊した後ろめたさを抱える直也は、かつて伯父と交流のあった風間という男を訪ね、バイクで北海道へと向かうー。あの震災で、災害派遣に行けなかった元自衛官の葛藤と成長を描く長編ロードノベル。
警視庁捜査一課の刑事・日向直幸は多摩川河川敷発砲事件の捜査を命じられる。使用された拳銃の線条痕が、22年前の「スーパーいちまつ強盗殺人事件」で使用された拳銃と一致。迷宮入り事件の捜査が一気に動き出す。その事件は鬼刑事の父・繁が担当した事件だった。繁は捜査にのめり込むあまり、妻子にDVを働き家庭を崩壊させた。警官親子が骨肉の争いの果てに辿り着いた凶悪事件の真実とはー。
来る。“三人目の女”が私を殺しに。作家の私のもとに、死んだ担当編集者から不思議なメールが届いた。意識不明の時に三人の女が“お迎え”に来たというもので、一人目と二人目は亡くなった親族、三人目は誰だか分からないという。その後、「とんでもない正体が分かった」「三人目の女が、先生のところに現れませんように」という言葉を残して連絡は途切れ…。三人目の女とは誰なのか?連続する不審死は、その女が関わっているのか?精緻にして大胆な長編ミステリ!
紅の鞘に納められた細身の刃。ゼンは師から譲り受けたその剣だけを友に山を下り、旅に出る。師であるカシュウは死んだ。ゼンに旅立つよう言い残して。親も知らず、山奥で育てられた理由もわからない。だが山での生活は、ゼンを強く、賢くした。道を極めるためのあてどない修行の旅路。剣を構え、しのぎを削り、出会いと別れを重ねながら、多くに気づき学び取るゼン。動的でありつつも内省的な侍の成長を描く、傑作剣豪小説!
古びた喫茶店の装いながら、本格的なスパイスカレーを出す「麝香猫」。そこで働く山崎成美は調理師学校に通う19歳。成美は幼い頃に両親が離婚、育ててくれた祖母も失踪してしまい天涯孤独の身であった。そんな彼女の運命を変えたのは、小学校の先生が作ってくれた一杯のカレーライス。成美はその味を自分でも作りたい一心で調理を始め、ようやく、きっかけを掴みはじめていた。そんな矢先、ある事情から「麝香猫」が店を閉めることになってしまいー。
仙台の銀行に勤める女性が自殺する。月刊言論構想記者の池内は、かつての恋人が死を選んだ理由を探るうち、金融業界の末期的状況、さらにこの国の財政が直面する未曾有の危機を知る。そんな中、日銀内の不倫スキャンダル報道が、池内、メディア、金融業界、さらに政界をも巻き込んでいく。
小説家になる夢を捨てきれず、勤めの傍ら小説を書き続ける主人公の男の家に、小中学校の同級生・湯川秀樹が風呂敷包いっぱいの原稿を抱え、「作家になりたいんや」と押しかける。鼠のような目をした湯川は、うすのろぶりを皆に馬鹿にされ続けてきた奴だ。しかし、その可笑しな感性を生かし、常人には作り得ない作品世界を作り出せるのではないか…。蔑んできた男が、自分が心から欲している才能を隠し持っているかもしれないという期待と嫉妬。湯川のことが頭から離れなくなった男は、いつしか湯川を題材に小説を書き始めるー表題作「となりの男」ほか、3篇の人間の本質に迫る短篇を収録。
新型コロナウイルスの騒ぎから数十年後、中国の欧米諸国への劣等感という現実から生まれた超軍事兵器であるユダウイルスが政府系武漢研究所から盗まれた。自然発生ではない最先端テクノロジーが開発した人工ウイルスは容赦なく世界に壊滅的被害を与える。絶望した中国から飛んでくる核兵器、日本に船で押し寄せる数万人の中国・南北朝鮮の感染難民。日本はどう生き残るのか?
闇ギルド戦争に勝利し、“月の残骸”の盟主となったシュウヤ。彼はヴィーネに続き、エヴァ、レベッカとも愛の契りを交わすことに…!新たな血の眷属が生まれる悦びの中、次なる戦いの中で、シュウヤはかつて愛した女暗殺者・ユイと再会。喜ぶユイに加え、彼女の父、カルードもシュウヤに興味を示し…?スリルと冒険を共にしてきたヒロインたちと結ばれる新たな絆と、濃厚な愛の描写が物語を彩る!「小説家になろう」発、1億2000万PV突破の大人気アクションファンタジー、待望の最新弾!