2021年発売
土蔵の奥に仕舞い込まれていた時代箪笥、銘仙、そして、謎の写真と三冊のノートー母親離れができない優柔不断な夫・要一郎との生活に見切りを付けるべく、家を出た美佐。東京の下町・谷中で着物のネットショップ「蔦や」を一人で切り盛りしている。ある日、実家の蔵を整理していると、箪笥に大切に仕舞われた、祖母・咲子のものにしては小さすぎる銘仙を見つける。そして、謎の三冊のノートと、見たことのない美少女が写った写真も…。この少女はどこの誰で、祖母とはどのような関係だったのか?銘仙の由来と共に興味を持った美佐は、謎を解く鍵を探してノートを読み始める。
「キスカ」作戦ー人民解放軍が占領した東沙島から、二個中隊の兵を台湾と海上自衛隊の二隻の潜水艦に収容して脱出させる作戦に参加した“サイレント・コア”の水野智雄一曹は、落伍者の捜索で海上に取り残されてしまった。そこでネイビー・シールズ・チームのベテラン曹長の案で、ある行動に移ることに…。一方、その場を離れたそうりゅう型潜水艦十一番艦“おうりゅう”は、台湾海軍の潜水艦“海龍”を見守るが、前方には中国軍のフリゲイトの姿が。とうとう対潜ロケット二基が起動された時、“おうりゅう”は驚きの行動に出た。日本の潜水艦技術が中国を圧倒する!
フランクフルトを舞台に、1963年のアウシュヴィッツ裁判が開廷する直前から判決後までの流れを追いながら、主人公の家庭とさまざまな人間模様を交錯させて描いた小説。アウシュヴィッツ裁判は、ドイツの司法がドイツ人を裁いた法廷であり、ドイツ人を初めてアウシュヴィッツに向き合わせた裁判ともいわれる。300人を越える証人が召喚され、ガス室による大量虐殺や親衛隊員による拷問や虐待を詳細に語ったことで、ドイツの人々は初めて、強制収容所で何が行われていたかを知った。一方、「ドイツ亭」とは、主人公の女性の父親が自宅兼用で営む小さなレストラン。この平和な家庭が徐々に裁判に引き込まれ、恐ろしい運命へと大きく変わることになる。
北海道の札幌に暮らす平凡な一家庭の兄妹、雄と結は、結の覚醒を機に、地球の意志に狙われることとなった。結を護るため、雄は友人たちと共に様々な困難に相対する。彼らはかつての日常と平和を取り戻すことができるのか。現代SFジュブナイルここに開演。
タイ北部の病院に勤めるバンは、優秀な監察医。容姿端麗、頭脳明晰だが、誰にも言えない秘密があった。ある日、バンは自殺と思われた女性の検死をし、他殺と結論づける。しかしその夜、彼は謎の侵入者に、死体検案書を自殺と書くよう脅される。辛くも難を逃れ、親友の検察官プートに事実を打ち明けるが、直後彼が失踪。責任を感じ、調査を始めたバンは、第一発見者の塾講師テーンを疑うが…。次第に惹かれ合い、けれど緊張感をはらむ二人の関係。二転三転する真実に、ページを繰る手がとまらない!ただいま話題沸騰中、人気俳優Max&Tul主演ドラマ原作にしてタイ発の法医学BL、待望の日本語訳版!!
神山藩で、郡方を務める高瀬庄左衛門。五十を前にして妻を亡くし、息子をも事故で失い、ただ倹しく老いてゆく身。息子の嫁・志穂とともに、手慰みに絵を描きながら、寂寥と悔恨の中に生きていた。しかしゆっくりと確実に、藩の政争の嵐が庄左衛門に襲いくる。人生の苦渋と生きる喜びを丁寧に描く、武家もの時代小説の新星、ここに誕生!
二度も手首を切った父、我が子の誕生日に家を出て行った母。小学生のせれなは、独り、あまりに過酷な現実を生きている。寄る辺ない絶望のなか、忘れもしない1993年9月2日未明、彼女の人生に舞い降りたのは、伝説のロックスター・リアン。その美しい人は、せれなの生きる理由のすべてとなって…「死せる偶像」を蘇らせる、苦しみのたびに、何度でも。一人の少女による自らの救済を描く、圧巻のデビュー作。第44回すばる文学賞受賞作、第164回芥川賞候補作。
京都発賢島行の近鉄特急ビスタEXで、大学准教授が殺された。彼はテレビ番組で、伊勢神宮を貶める自説を主張する予定だった。特急内の事件と、東京で殺されていた歴史雑誌編集者との関係は?女性容疑者を追う十津川警部が、“おかげ横丁”で見出した彼女の意外な姿とは?
嵐の夜、夫はなぜ列車事故に巻き込まれたのか。自分は、彼に生きていて欲しかったのだろうか。早紀は、ずいぶん長い間、夫の考えも事情も、知ろうとはしなかった。事故をきっかけに明らかになっていく夫の足跡と、見え隠れする何者かの悪意。ひとりになった自分は、今後の人生をどう生きていくべきなのか?二転三転する展開から目が離せないノンストップ・サスペンス!
一九三九年、上海。蒋介石と和平交渉にあたってきた工作機関の責任者・小野寺信陸軍中佐は、別ルートで中国と交渉を行っていた影佐禎昭陸軍大佐からの抗議によって、その道を絶たれてしまう。失意の小野寺から交渉を引き継いだのは、盧溝橋事件で停戦交渉に尽力した今井武夫陸軍大佐だった。小野寺の工作に関わってきた民間人の倉地スミや生物学者の森塚たちは、今井大佐から、これから行う和平交渉を手伝ってほしいと頼まれる。それは蒋介石に繋がる人脈の中から協力者を探すことと、和平の密書を届けるというものだったー。
天正十八年(一五九〇)、北条家当主・氏直とその家臣たちは、小田原城にて連日評定を行っていた。天下のほぼ全てを手中におさめた豊臣秀吉の大軍勢に城は囲まれ、北条家の命運は今や風前の灯火。誰もが策を見いだせず諦めかける中、亡き北条氏康の寵臣にして小田原一のへんくつ坊主侍・板部岡江雪は動き出す。舌先一つでコロリと人を動かし、奇縁を生み出し、天下をひっくり返す!これが戦国最後の秘策だ!!「爺の全身全霊で、お屋形様に天下を取らせましょうぞ」
事故による頸髄損傷で、肩から下が動かず寝たきりの「妻」(49)を自宅で介護している「わたし」(50)。自由のない生活を長年送っているが、身体が動かない以外は事故前と変わらない妻から「ありがとう」と言われたこともない。なんのためにこんな生活をしているのかと悩むなか、ある“趣味”をはじめるー。一方、設計士の一志(39)と編集者の摂(38)夫婦は、一年限定で始めた妊活が実らなかった。摂から特別養子縁組を検討したいと打ち明けられた一志は戸惑う。不倫相手である上司の子を身ごもった広告代理店勤務の女性、障害を隠して趣味の合う女子大生とパソコン通信で交流する脳性麻痺の青年…。さまざまな悩みを抱える男女の“過去と未来”が、照らし出したものとはー。現代社会の歪みを書き続けてきた著者渾身の書下ろし長編。
菊乃井家長男・鳳蝶(六歳)と弟レグルスは生まれて初めて見る海に歓声を上げていた。たまには子どもらしく過ごせるようにというエルフ先生たちの計らいで、獣人国を訪れたのだ。領地の執務からひと時離れ、巨大イカ・クラーケンから異国の令嬢を救ったり、知り合った海神ロスマリウスと海底宮殿を訪れたり…波乱と冒険に満ちた二人の夏休みがはじまった!一夏の出会いと別れは兄弟をまた一歩成長させていくが、鳳蝶の婚約を巡る動きが起きるなど、知らぬ間に二人を取り巻く環境も少しずつ変わっていこうとしていたー。君が笑ってくれる未来にきっとー兄弟の領地経営ファンタジー第4巻!書き下ろし番外編2本&コミカライズ1話分&キャラクターデザインなど、豪華巻末収録!
魔法学園の裏庭で毒花から助けられたのをきっかけに、貧乏男爵家三男のリオルに恋した伯爵令嬢シャリーナ。付きまとってきた俺様な第一王子をリオルと共に撃退し、平穏な日常が訪れる…かと思いきや、今度は弟の第二王子が兄の敵討ちにやってきた!?シャリーナを悪女と思い込んだ第二王子が、涼しい顔で敵を手のひらの上で転がす「腹黒策士」を気取りながら二人の前に立ち塞がる!一方、息子を溺愛する王妃も何やら不穏なことを企んでいるようで…?初恋相手に猪突猛進なヒロインと本好き頭脳派少年が王道王子に立ち向かう、『ガリ勉地味萌え令嬢』シリーズ第2弾!『婚前デート』含む、書き下ろし計3本収録!
アラサーのラノベ作家・由梨は、気づくと自分が書いたラノベの世界へ転生していた。しかも侯爵家の娘でありながら、不義の子として愛されず、悲壮な最期を遂げる不遇な幼女ユリアーナにー。来たるバッドエンド回避へ向けて、まずは最恐と恐れられる「氷の侯爵様」である父ランベルトの好感度を稼がなければと意気込むものの…「あれ?私何もしていないのに溺愛されてる!?」その日からユリアーナの甘やかされライフが始まった。ランベルトが手ずからお菓子を食べさせてくれたり、たくましいお膝に抱っこされたり。その上、嫌われるはずの兄から愛され、憎まれるはずの魔法の師匠からもかわいがられ…「一体、何が起こってるの〜!?(汗)」転生美幼女が愛と魔法で無双する、ほのぼのお屋敷ファンタジー!
ウェルベザ王国で、長年虐げられた貧乏令嬢・アリスの一世一代の告白ー受け入れたのは、初対面のはずの次期公爵だった!眉目秀麗なアーサー・グリンデルバルドは自信のない彼女を優しい笑顔でなぜか全肯定、「君のためなら何でもする」と誓ってくれて?そんな僥倖に、アリスは公爵夫人への道を歩み出す。道は険しく、気弱な彼女に付け込む者は後を絶たない。だが、どんな窮地にもアーサーの愛は益々燃え上がり…登下校は毎日付きっきり、屋敷に住まわせ、彼女の部屋に鍵までつけてしまう始末で!?「安心して、もう誰も君に触れさせはしない」(…どうしてこんなに愛してくれるの?)
関東大震災からの復興をとげた、一九三〇年代の東京。都心から周縁部へと蔓延してゆく不良住宅、工場街、そして貧困。戦争に突入する“非常時”にあって帝都の底辺をアクチュアルに描き出し、ファシズムと対峙した小説家、武田麟太郎の都市文学を集成する。これはメガイベントで再開発が進む、日本の首都の未来図なのか?
Twitterで、140字ぴったりで完結する物語「超短編小説(スーパーショート)」を綴る作家・神田澪。 恋愛、ミステリー、SF……涙の感動作からクスッと笑えるコメディまで。わずか140字の先に、想像もしないラストが待っていると話題沸騰! そんな神田澪待望のデビュー作がついに登場! これまで書き続けた千篇以上の作品の中から厳選して掲載しました。 表題作はもちろんのこと、Twitter上で17万いいねを記録した絶大な人気作のほか、さらに書き下ろし作を多数加え収録。 得意とする140字作品を基軸に、140字小説を連ねた初の「連続ショート作品」に、初発表のエッセイや中編など、さまざまな形態のものがたり合計141篇を収録した本作は、まさに「ものがたりの宝石箱」。 現代の「千夜一夜物語」、ここに登場! ●140字のスーパーショート ナチュラル/別れ代行サービス/名刺/一枚の重さ/絶対に恋人ができる呪文/書けない書類/アンチは覆面の向こう/帽子が似合う人/サプライズ/初デートはファミレスで/彼は家事をしない/完璧なファン/二人の食卓/杖と手/人生やり直しボタン/彼女が喜ぶ旅行 ほか多数 ●140字の連続小説 ディスタンス ●短編&中編 かえる/本の落とし物/透明な花瓶 ●エッセイ 金欠のサンタさん/アルバイト戦記/遺伝酒