2022年3月16日発売
ライターの大路亨は、ガンを患う元新聞記者の父から辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受ける。一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒だったが、突如姿を消した。珠緒の元夫や大学の学友、銀行時代の同僚等を通じて行方を追い始めた亨は、彼女の人生に昭和三十一年に起きた福井の大火が大きな影響を及ぼしていることに気づく。作家デビュー十年を経た著者が、「実在」する情報をもとに丹念に紡いだ社会派ミステリーの到達点。
ボルティモア郊外で、コンピューターの便利屋をしながら独り暮らす43歳のマイカ・モーティマー。人付き合いの少ない彼は、毎朝7:15になるとランニングに出かけ、その後シャワー、朝食、掃除…というように決まった日課を守って毎日を過ごしている。そんなある日、マイカの息子だと名乗る青年が彼の元を訪れる。さらに、恋仲の女性には、とあるすれ違いで別れを告げられー。予想外の出来事が続き、日常のテンポがズレ始めたマイカの行き着く先とは。アン・タイラーらしいユーモラスで滋味深い仕掛けが光る、2020年ブッカー賞候補作。
澤山千春は採用された会社の内定を断わり、声優養成所“荻窪アクターズスクール”に入った。日々多彩なレッスンをこなす中、同期たちとの絆は強まっていく。ルックスのよい亮二郎、会社員を辞めて夢を追う甲斐斗、売れないグラビアタレントから路線変更を目指すマヤ、香港生まれのアニメ好きニーナ、と個性的な面々ばかり。ある日、更衣室で見つけた紙片に書かれた言葉の謎を解いた千春は、声優としてたいせつなものを知ることに…とある種類の本だけ朗読できない亮二郎の苦悩、アニメの公開オーディションに挑むニーナの挫折と秘策、恋人からある“宣告”をされた甲斐斗の悲哀ー千春たちは夢である声優になることができるのか?声優を目指すすべての人におくる青春小説。
Vtuber「鈴波アミ」がデビュー1周年を迎えた夜。しかし、待望の配信は始まらなかった。彼女は突如失踪してしまったのだ。視聴者たちは“推し”の復帰を信じて、1年分の配信アーカイブを同時視聴して待ち続ける。新型コロナによって社会も混乱していくなか、鈴波アミと視聴者の未来は…?メタバース時代のネット文化が生んだ感動のストーリー!
コースタル航空416便の機長ビル・ホフマンの元へ謎の男から送られてきたメール。そこには、爆弾を巻き付けられた家族の姿がー「飛行機を墜落させろ。さもないとあんたの家族を殺す」さらに男は機内へ毒ガスを撒くことを要求する。指示に従わなければ彼の仲間が代わりに行うと言うが、それは機内に裏切り者がいることを意味していた…。高度三万八千フィートの攻防を描いた航空冒険小説の傑作!
実用化を目前に控えた、あかつき自動車の自動運転車WAVE。しかし公道実験中に急停車し、パワハラ問題を起こしていた先進技術課長が死亡した。犯人と名乗るものから脅迫メールが届くが、捜査は進展を見せない。警視庁サイバー犯罪対策課の斎藤は一課の女性刑事である前之園とともに、人工知能マリスを使った世界初の捜査に乗り出す。「彼女を使うということは、人類が死に近づくことだ」最先端テクノロジー×濃密な企業小説×洗練の警察ミステリ!第14回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作!
東京の荒川の河川敷で高校生の水死体が見つかった。所轄の警視庁千住署が自殺と断定したが、遺族は納得していない。遺体の首筋には引っかき傷があったうえ、高校生は生前、旅行を計画していたという。両親が司法解剖を求めたものの千住署の刑事に断られ、恫喝までされていた。本部捜査一課の樋口は別動で調べ始める。しかし、我々の捜査にケチをつけるのかと千住署からは猛反発を受け、本部の理事官には「手を引け」と激しく叱責されてしまう。特別な才能はなく、プライドもないが、上司や部下、そして家族を尊重するー。等身大の男が主人公の人気シリーズ最新作。
一途なスパダリ実業家×美貌の天才犯罪心理学者、魅惑のミステリーラブロマンス! 若くして莫大な資産を築いた人生の成功者・音喜多だが、かつて想い人を亡くして以来、本気の恋情とは無縁に生きてきた。そんなある日、音喜多は死別した相手と酷似した顔立ちの青年と出会う。その青年・久嶋は、華奢で可憐な外見とは裏腹に、二十五歳にして博士号を三つ持ち、元FBIのアドバイザーという経歴を持つ天才だった。彼に強く惹かれた音喜多は、側に居たい一心で行動を共にするが、天才ゆえ人の心が分からないという彼に、身体だけの関係を提案されて……? BL版ホームズ的ミステリーラブノベルス、待望のシリーズ最新作登場!
昭和の戦争が終わって5年。時代に呑まれて零落した川舟屋「大洲屋」から新興の造り酒屋「相垣」へ嫁いだのは幼い頃から「井筒」と言われた人への想いをいまだに断ち切れない柚子だった。母から子、そして娘へと続く火宅の日々それでも前を向いて生きる柚子の姿を描く半生記。
24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていく。花を求めるお客さんの事情はそれぞれ。誰かを祝う花もあれば、少し切ない花もある。いろんな想いが詰まったお花を届けているうちに、紀久子は自分の心にもう一度向き合いはじめー
天気を変えることはできない。人間も、他の生きものも、あるがままを受け入れるしかない。天気も、家族も、ゆるやかに続いていく。天気の研究に生涯をささげた藤巻博士。博士一家・四世代の歴史と、時代ごとに変化する家族の在り方を綴った連作短編小説。『ありえないほどうるさいオルゴール店』の著者、新たな代表作!
犬猿の仲である隣国との国境に一番近い村で、ミシルは医師の父親を手伝いながら穏やかに暮らしていた。ところがある夜、急患の呼び出しを受けた父が出かけ、ひとりで診療所兼自宅を守っていたミシルのもとに鬼気迫る顔をした騎士がやってくる。国境沿いにある砦からやってきたその騎士によって馬で砦へと強制的に連行されてしまうミシル。ひっぱくした事態が起こっていることを悟ったミシルだったが、砦に到着した彼女が目撃したのは脂汗を浮かべ悶え苦しむ騎士たちだったー。
亡命文学から移民文学、そしてディアスポラ文学へ。故郷を追われた難民とその末裔のまなざしを通して、変幻する境界が折り重なる複層的空間を読み解く。多様な民族・文化・言語の混生、冷戦最前線の後背地、欧州連合の東方拡大ードイツ=ポーランド国境地帯は、西欧ないし東欧の辺境地として、多くの差異や不一致を抱え込んできた。そこに刻まれた様々な「断層」を実演する文学に肉薄する。作家インタビューの付録つき。
人生に嫌気がさしていたナガノは、言葉を話すネズミのカブキとともに異世界へ転移。そこで出会った美少女・マイナから国王やレジスタンス、そして残酷な魔女の話を聞く。やがてナガノを襲う信じられない災難。ナガノとカブキは異世界で生き残ることができるのか…?あまりに想像を超えた内容で、選考会で大激論となった掟破りの傑作!!第1回次世代作家文芸賞ライトノベルス文芸部門大賞受賞作。
叩き上げの騎士団長ダニエルは書類仕事ばかりの王宮から逃げ出し、王都から離れた街で見習い騎士に志願する。見習い騎士ダンとして、久しぶりの新人気分を味わうダニエルだったが、なぜか同じ見習い騎士団に王国の第一王女も入団してきた上に、田舎町の騎士団に蠢く巨大な陰謀も明らかになってきて…?第1回次世代作家文芸賞・ライトノベルス文芸部門・大賞受賞作。番外編「むかしむかし・ローザとジョセフ」。
魔神を倒し、ローゼンヘイムの戦争を勝利に導いたアレンは学園へと戻り、S級ダンジョンの攻略を次の目標に定める。ダンジョン攻略を急ぎたいアレンは、ローゼンヘイムで得た人脈を活かし、一年早く卒業することを認めさせ、学園を後にするのだった。一時クレナ村へと帰郷したアレンは、家族に仲間を紹介するが…。戦争での貢献によってカルネル家復興を叶えたキール。アレンはキールに与えられた土地が白竜山脈側だったこともあり、ついに白竜討伐へと乗り出し…。S級ダンジョンのあるパウキス帝国への道中で、離れ離れになっていた仲間のメルルと合流し、再会を喜び合う。ついにS級ダンジョン「試練の塔」へと挑むアレンたちだが、そこは勇者ヘルミオスのみならず、過去の英雄も含めて誰一人最下層まで攻略した者は存在しないという。英雄たちが集う「試練の塔」で、アレンの新たな戦いが始まる!!
「石をパンに変える力」と「水をワインに変える力」で世界を救うなんて無理だろ!「救世主」として異世界に召喚された切戸匡だが、使えない能力の役立たずと判断され、殺処分が決定。深い穴へと突き落とされてしまう。しかし、「石をパンに変える力」を駆使してしぶとく生き残ったタスクは、自分を召喚した一味から身を隠しつつも、元の世界に戻る方法を探すことに。最初の村で出会った、魔法が使えない巫女の少女、エピとともに冒険もとい逃避行を続けるタスク。各地でトラブルに巻き込まれるが、パンとワインで強引に解決していく…。異世界ファンタジー、でこそこないの救世主が、ホントに世界を救うーかもしれない物語。
商家の令嬢ディアナは、戦火で窮地に陥ったところ庭師の青年レオンに救出され、以前から秘かに思いを寄せていた彼と二人で田舎暮らしを始めることに。すれ違いつつも互いの想いを確かめ合い、念願叶ってレオンと結婚したディアナだったが、姉の夫婦喧嘩や義兄たちのゴタゴタに巻き込まれ、次々とトラブルが舞い込んでくる。そのたびにディアナは、持ち前の機転と快活さ、父譲りの商魂を発揮して、問題を乗り越えていくのだった。これは没落令嬢と“謎の花”が、何もない閑村を楽園に変えていく辺境開拓スローライフストーリー。第3回アース・スターノベル大賞審査員賞受賞作。
1577年6月、和睦が進んでいた織田家と本願寺に突如亀裂が入る。行方知れずだった教如が本願寺を占拠したのである。裏で手を引いている「何者か」の気配を感じつつも、静子は官軍として本願寺に向かう。7日間という制約にもひるまぬ奇策とは?一方伊達家からは人質として「藤次郎(後の政宗)」が差し出され、静子のもとへ!電話と最新兵器で北条家の牙城にいよいよ迫る勢いの15巻!書き下ろし番外編「里見武士の矜持」「商業改革」「宇治川堤」。巻末SS「貴腐人たちの日常」「伴侶選び」。