2022年6月22日発売
不動産営業マンが鉄パイプで滅多打ちにされ殺害された。高級マンションに住みポルシェを乗り回していた被害者に見え隠れする極左の過去。バブル景気に浮かれる世で、思想活動は衰退の一途をたどる。その狭間で起きた事件を、二人の刑事が追う。父の道を継ぎ鷹となった息子たちが見据える、平成という時代。警察小説の旗手による大河シリーズ「日本の警察」平成編。
「あの娘さえ、余計なことを言い出さなければー」気鋭のゲーム会社社長、ファミリーレストラン店長、ベテラン漫画家、そして探偵。彼らはみな、自分が犯した殺人の証拠を隠蔽するための完璧なアリバイを用意していた、はずだった。しかし最近雇ったばかりの女性、臼月トウコが余計な口を挟むと、犯人たちは窮地に追い込まれてゆき…。人を援護るつもりが、いつも必ず容疑者にしてしまうー史上最も不器用な「探偵」臼月トウコが活躍する新感覚ミステリ。アガサ・クリスティー賞受賞のデビュー作『掃除機探偵の推理と冒険』に続く第2作。
「自分には予知能力がある、あなたは私とは二度と会えない」手首に傷痕をもつ元カノは、いつか僕にそう言ったーとある男女のふとした日常に不思議が射し込む表題作、第二次大戦後にユダヤ人自治区ができたアラスカで、ユダヤ人虐殺に関わったアドルフ・アイヒマンを、人の感情を移植できる“体験機械”を利用して裁いた顛末を描く「アラスカのアイヒマン」、カップルの関係持続性を予測するアルゴリズムに翻弄される、近未来のロマンスを描いた「データの時代の愛」などヴァラエティ豊かな全10篇を収録。韓国で多数の文学賞を受賞した気鋭の文芸作家が放つSF作品集。
廂の下、猫と身を寄せ合い暮らす青年、自らを“喰い残し”と名乗る顔の抉れた女、影のない美しき三姉妹の尼ー源平合戦の片隅で、長明の胸に小さな火を灯し、消えていった忘れがたき人々。八百年の時を超え、今、私たちの心を震わせる、儚く切ない物語集。
石神井公園の三宝寺池に浮かんだ不可解な水死体。肺から発見場所とは異なる水質の水が検出されたことから、刑事・片倉康孝は事件を“他殺”と推理し、被害者の男がSNSに残した写真を頼りに静岡県の大井川鐵道へ向かう。一方、父親を失った幼い娘は何かを知っているように、奇妙な言動で捜査を翻弄。さらに片倉の元妻、智子の「スピリチュアルなものを感じる」という言葉を発端として、事件の謎はさらに意外な方向へと迷走をはじめるが…。南アルプスの奥地と東京を結ぶ無数の糸口が捜査陣を撹乱する!
大学教授兼実録小説家の稲本浩三は、未解決の中里信治・美絵夫婦失踪事件を題材にした作品の取材を進めていた。事件の経過と残された謎を追う中、稲本は美絵がマルチ商法に関係していたことを知り、驚く。彼もまた類似のビジネスの罠に嵌まった苦い過去を有していたのだ…。奇しくも勤務先の学内では悪質なネットワークビジネスが問題視されている。この符合ははたして偶然なのか?言い知れぬ不安が日常を浸し始めた時、かつて稲本を騙した女の訃報が届く…。大学内に張り巡らされたネットワークビジネスの罠。被害者の学生に寄り添う男もいつしか底なしの闇に足を浸していた…。ひたひたと恐怖がにじり寄る圧巻のクライム・フィクション!
信長絶頂期。嵐で破壊し尽くされた離島に巨大南蛮船が漂着。船内には無数の棺、そして一人の赤子がいた。島の網元・利兵衞はその赤子を「姫」と名付け育てる。たちまち美しく育った「姫」は人外の存在であり、特殊な能力が備わっていた。利兵衞の小さな夢を叶えるべく、「姫」は自らの力で支配者たちを操り、異形の仲間と旅をし、各地で凄絶な戦闘を繰り広げていくー。「姫」とは何者?日本で何を為そうとしているのか?
高齢期のパート職員が必死に働く坂田パーキングエリア。年金も医療保険もない梨元ちとせも、引きこもりの息子と暮らす古田中栄も、老骨に鞭打って働き続けるしかない。駐車場には、猫と暮らす老人、子連れのシングルマザー、認知症の母を介護する男などが行き場を失い彷徨っていた。ある日、死亡した元夫の保険金が入るかもしれないと、ちとせに連絡が入り期待をするが…。『愚か者の身分』で大藪春彦新人賞を受賞した著者が描く、車上生活者たちの絶望と、晩年を切々と生きる老女たちのシスターフッド。
夫と死別し、不登校の息子と暮らすシングルマザーの早織。綱渡りのような日々を送るなか、早織には、淡路島ですごした高校時代の忘れられない恋があった。偶然の再会を機に、あの恋の結末にようやく向き合えた早織は。
見果てぬ夢、至高の頂へ。キズナ、ワンアンドオンリー、コントレイル…、人馬一体で悠久の未来へと疾走する、感動のノンフィクションノベル!
かつて「超高校級」ともてはやされたピッチャーだった大瀧鉄舟は野球の道をあきらめ、人生そのものが停滞したまま20代半ばを迎えてしまった。そのまま生きていくのはツラすぎるけど、現実と向き合って人生をやり直す勇気もなかなか出ない。そんな鉄舟が、ひょんなことから草野球チームを創設することに。だが、彼の元に集まったのは結構クセ強な男女8人。すったもんだの果てに迎えた初の対外試合。全員挫折経験ありのへっぽこナインが、河川敷のグラウンドで奇跡を起こす!(…かも)
名門貴族家の長男、エイシャルは成人を迎え、神から「生産者」という職業を与えられた。しかしそれは、超マイナーな不遇職。家名を汚したと家族は激怒し、彼を辺境に追放する。だが、そんな逆境にもエイシャルはめげなかった。いつの間にか覚醒した「生産者」のスキルで、荒れた土地に一瞬で作物を実らせたり、巨大竜も満足するプールを作ったりーたちまち、僻地は快適な理想郷に!そうしてほのぼの生活を満喫していると、凄腕生産者の噂を聞きつけた王族が、力を借りにやって来て…!?
誰でも発現するはずの魔法属性を何も得られなかったことで、追放されてしまった冒険者のタイラー。そんな彼は、窮地を前に全属性魔法が使えるようになり、新たなパーティを結成する。妹の特殊な病の治療にも成功し、順調な日々を送っていた。ある日、ギルドからモンスター大量脱走の原因調査を依頼されたタイラー一行。やがて彼らは、この事件に悪徳貴族が関わっているという情報にたどり着く。時を同じくして、その貴族の黒い噂を追っていた女性剣士も仲間に加わり、タイラーたちは事件の黒幕に立ち向かうー!
バスケ部の、君と。幼馴染みの、アイツと。朝、いつものバス停のあなたと。久々に会う、お前と。憧れの、彼と。年齢も職業も異なる主人公たちが出会う「初恋」を14名の作家で紡ぐ「5分で感じる」BL小説アンソロジー。
天涯孤独の猟師兼料理人ヒュウガは、狩猟の途中で異世界に迷い込んでしまう。いきなり魔物同士の戦いに巻き込まれた彼は、そこで助けたフェンリルの子供のセツを相棒にする。セツと共に人里に向かうヒュウガだったが、いつの間にか身についていた規格外の戦闘力を異世界人達に警戒されてしまう。しかし彼は、ハンターとして生計を立てながら、異世界の食材で作った絶品料理を振る舞い、やがて周囲から一目置かれる存在になっていく。
土魔法のスキルを授かったことをきっかけに辺境伯家を追い出されたエクト。しかし彼は、誰も思いつかないような土魔法の使い方で、与えられた村を城塞都市と呼ばれるまでに発展させた。度重なる隣国ミルデンブルク帝国の侵攻を退けたエクトは、イオラ平原を領土として手に入れると、そこにも城塞都市を作り上げる。そんなある日、停戦条約を結んだはずの帝国が、再び侵攻してくる。エクトは仲間達とともに、再び帝国に立ち向かうことになりー。ハズレ魔法が巨大帝国に引導を渡す!?不遇貴族の辺境開拓ファンタジー、第3弾!