2022年6月発売
ダンスは壊滅的に下手、流行のドレスや装飾品には興味なし、お茶会で気のきいた会話もできないーレティは母の悩みの種だった。そんな彼女は、誰にも言えない秘密の二重生活を送っている。男性に扮し、医師として村の人々の命を日々救っていたのだ。そんなレティのもとに、診てほしい妊婦がいるという手紙が届いた。患者の兄は、レティの初恋の人アンソニー卿だった。医師を続けたいなら、淑女の私を知る彼に会うのは危険すぎる。男装を見破られたら、家族までとんでもない醜聞に巻き込んでしまう。でも、苦しむアンソニー卿の妹を見捨てるわけにはいかない。それに何より、彼に会いたい気持ちを抑えておけなくて…。
天涯孤独のケイトは名家に生まれながら困窮を極め、働きに出るよりほか、もう生きるすべはなかった。ある日、亡き母の名づけ親だという年老いた伯爵夫人が訪ねてきて、みすぼらしいケイトを見るや、孫息子ジャックの邸へ連れていった。社交界一の美貌を誇るジャックは戦傷を負い、今は隠遁生活を送っている。私が連れてこられた理由はわからない。でもここで仕事が見つかれば…。そう願ってケイトが床を磨いていると、そこにジャックが現れた。「ふざけるんじゃない!勝手に私の屋敷の床を磨くとは、何事だ!」怒りの声をあげたジャックは彼女の手をつかみ、じっと見つめた。ブラシの赤い跡がついた掌を恥じ、ケイトは思わず手を引いたがー
6年前、サマンサは王子にして外科医のハリドと恋に落ちた。突然、花嫁としてふさわしくないと、彼がサマンサを切り捨てるまでは。彼女はずっと異性関係の派手な母と、服役中の兄に苦しめられてきた。そんな育ちのわたしが、王子の配偶者としてふさわしいわけがない。しかしそのハリドから、自分の祖国で一緒に働いてくれないか、という依頼が飛びこんできて、サマンサの心は揺れた。恐れていたとおり、再会するなり彼女の目はハリドに釘づけになった。その堂々とした姿は相変わらずで、いかにも王族らしい。サマンサの胸は締めつけられた。だから、わたしは分不相応だったのだ。頭ではわかっている。でもなぜか、ときめく胸はわかってくれない…。
“ママが死んでしまってそばにいないから手術はこわいけど、手術でぼくの頭痛をなくして、パパをまた幸せにしたい”病の少年の手紙を読んで、慈善財団で働くギャビは胸がつまった。少しでも支えになりたい一心で幼い少年を訪ねると、そこは世界的な富豪一族の当主ルカ・ベレッティーニの家だった。父親のルカは不在だったが、ギャビは少年と祖母に迎えられ、病をしばし忘れられるよう、楽しい時を過ごした。ただ、この子の手紙のことはルカには秘密よと祖母に釘を刺されるーいつも不幸せそうだと子供に思われていると知れば傷つくから、と。だが翌日、少年と同じ黒髪碧眼のルカが、突然ギャビの職場に現れた!
幼いころに母を亡くした17歳のミシェルは、あと数カ月で高校を卒業するというとき、悲劇に襲われた。医師だった父が治療のかいなく病死し、意地悪で自分勝手な継母との地獄のような暮らしが始まったのだ。生きる希望を失った彼女は、走る車の前へ衝動的に身を投げ出した。そのとき、間一髪のところを救ったのは、謎めいた隣人ガブリエルーミシェルが密かに想いを寄せていた天使のように美しい男性だった。事情を知ったガブリエルは彼女の後見人となり、自宅へ呼び寄せた。やがてミシェルは募る想いを抑えきれなくなって愛を告白するが、ガブリエルに冷たく突き放される。「君はまだ子供だ」と言って。
手術を受けた母の面倒を見るため帰郷したクリスティは、主治医がドミニク・サビッジと知り、動揺した。8年前の夏、クリスティはませた友人に教えられるがまま、幼い頃から憧れていたドミニクに純潔を捧げようとした。だが残酷なまでに拒絶され、逃げるように故郷を去ったのだった。いったいどんな顔をして彼に会えばいいの…?往診の日、いたたまれずドミニクを避けようと外に出た彼女は、ちょうど降り出した雪に足をすべらせて転んでしまう。そのとき、すっと手を差しだしたのはほかならぬ、ドミニクだったーかつて胸を躍らせ心惹かれた、あの呪縛するような雰囲気そのままの。
ジェナはけっして叶うことのない片想いをしていた。親友が嫁いだミルス王国の国王のハンサムな弟、ドミトリ王子。彼は5歳も年下で、歴代の恋人は美女ばかり。そして何より、彼女は病気のため妊娠を望めないのだ。だが奇跡が起きた。突然ドミトリからディナーに誘われ、熱い誘惑に溺れて、ジェナは彼にすべてを捧げてしまう。翌朝、彼は一夜だけでは飽き足りないと、さらりと提案した。「結婚する気はないが、割りきった関係を続けないか?」切なすぎる。でも、そばにいられるなら…。ジェナは心を決めた。
ゲイレンが帰ってきた。19年ぶりに。ルーラの勤め先のリゾートホテルで行われる、親友の結婚式に出席予定だ。彼は今や大企業の経営者。親の言いなりに結婚した私には、幸せなど無縁だったー5年前、暴力的な夫を亡くして以来、ひっそりと生きてきた。ゲイレンに再び会ってしまった今、ルーラの胸には昔の彼との幸福な日々が次々よみがえってくる。折しもゲイレンは産休中の秘書の代理を探しており、なんとルーラは彼の臨時秘書となることになってー?!
家族を失い、天涯孤独となったルーシーは、両親の遺した会社が売却されそうだと知って驚いた。先導しているのは筆頭株主のロレンツォ・ツァネッリ。じつは昔、彼の弟とルーシーの兄は親友同士だったが、登山中の事故で兄だけが生き残り、彼の弟が亡くなったことを、ロレンツォは今でも恨んでいるのだ。でも、会社を守るにはロレンツォに懇願するしかない…。覚悟を決めて出向いたルーシーを嘲ると、彼は怒りもあらわにいきなりキスを奪った。いったいどういうこと?愛人になることが条件だと非情にも告げられ、彼女は凍りついた。
父を訪ねてきたニックに会ったとき、リーはひと目で恋をした。こんなすてきな人のためなら死んでもいいとさえ父に言い、17歳のリーはニックと結婚式を挙げた。だが、結婚初夜からずっと彼はリーに指一本触れようとしない。もう5年も、リーは砂を噛むような空疎な日々を送ってきた。ニックと別れる決心を固めた矢先、彼女は恐ろしい事実を知る。父がニックの家族の重大な秘密を握り、脅迫して、彼に結婚を承諾させたのだという。夫は、別れたくても私と別れるわけにはいかないのだ!
小説、エッセイ、手記、詩歌、アフォリズム、パロディ、宣伝文…“読むこと”をゆさぶる先鋭なエンターテインメント小説。奇想か妄想か、さまよえる断章群の残映と余熱。誰が書いているのか?誰が読んでいるのか?
代々強力な魔獣と契約して大陸に覇を唱えてきたローレンディア国。その王子であるタクトは契約獣を決定する成人の儀を迎えるが、選んだのはフワフワモコモコの羊・エーデルだった。戦いに向かない魔獣を選んだことに激怒した国王はタクトを追放。タクトはゴロツキだらけの奴隷船に収容され、海の藻屑にされかけるもスキル“調停者”を駆使して船内を平和に導く。さらにたどり着いた無人島・告死島ではスキル“錬金術師”を発動。すると、使えない魔獣と思われていたエーデルが錬金の素材として万能の力を持つ「黄金の羊」であることが発覚し…!?“テイマー”“魔法使い”“錬金術師”“調停者”使えるスキルをフルに活用し、無人島を豊かな領地に開拓していくタクト。タクトの元には王族の末裔や傭兵団の族長など個性的な仲間が集まり、島は賑やかな領地へ発展していく。やがてタクトの活躍は国王の耳にも届くことになり…。「エーデルさえいれば、どこでだって生活できる」追放されたお気楽王子による、のんびり無人島開拓、開幕!!
日本で限界社畜サラリーマンをしていたところ「最高の回復術士」として異世界に召喚されたリュージ。だが召喚は手違いだったらしく、リュージは即捨てられてしまう。社畜生活に飽きていた彼はこれ幸いとばかりに異世界でスローライフを謳歌することを決意するが、そんな時『白魔法』ならぬ『城魔法』という謎のスキルを手に入れる。「もしかしてただのギャグスキルなのか?」しかし、この外れと思われた『城魔法』が、実は規格外な魔法で…!?鑑定や診察、調合など多くのスキルを駆使し、行く先々で無自覚に活躍してしまうリュージ。さらには妖精たちから授けられた新たなる“手違いスキル”も加わり、最強治癒師としてどんどん名を馳せていき…。「俺はただ憧れのスローライフを送りたいだけなのに!」様々な手違いに見舞われた最強治癒師による、まったりのんびり(?)異世界ファンタジー開幕!
鮎のように悔いなく生きろ。すべてを焼き尽くした空襲、福井地震、大水害…。愛子18歳。未曾有の惨禍を乗り越え、今を懸命に生きる女鮎漁師の物語が現代という時代に熱く語りかける。第11回新田次郎文学賞作品、待望の復刊。
船坂叶馬率いる倶楽部『神匠騎士団』、倶楽部対抗戦では惜しくも途中で敗退したが、倶楽部はFランクからCランクに昇格、引き続きダンジョンアタックを続けて順調に成長していた。そんななか、叶馬たちは未登録のレイドクエストを発見する。そこは、19世紀後半のアメリカ、捕鯨船により世界中の海で乱獲された鯨の怨念により産み出された祟り神がボスの『伝承』カテゴリーの超級レイドクエストだった!新感覚、学園ダンジョンバトルストーリー第五弾登場!!
襲い来る人狼の群れを無事に殲滅したアッシュたち。しかし、隣領は壊滅し、難民がサキュラ領に押し寄せていた。物資は不足し、前例もない。それでも難民を受け入れる決断をした領地改革推進室は、技術交換や留学を機に築き上げてきた人脈を駆使して人材を手配し、廃村の危機から村を再興した経験を応用して難民を受け入れる。さらに、王都ではアリシアが神殿と協力して物資を支援しー。領地改革推進室は、人々を救うため奔走するー!