2022年6月発売
落ちこぼれの私では貴族の妻になれない。 どんなにあなたを愛していても。 ダンスは壊滅的に下手、流行のドレスや装飾品には興味なし、 お茶会で気のきいた会話もできないーーレティは母の悩みの種だった。 そんな彼女は、誰にも言えない秘密の二重生活を送っている。 男性に扮し、医師として村の人々の命を日々救っていたのだ。 そんなレティのもとに、診てほしい妊婦がいるという手紙が届いた。 患者の兄は、レティの初恋の人アンソニー卿だった。 医師を続けたいなら、淑女の私を知る彼に会うのは危険すぎる。 男装を見破られたら、家族までとんでもない醜聞に巻き込んでしまう。 でも、苦しむアンソニー卿の妹を見捨てるわけにはいかない。 それに何より、彼に会いたい気持ちを抑えておけなくて……。 エレノア・ウェブスターの邦訳デビュー作をご紹介します! 男装してまで医師として人々に尽くすヒロイン。戦争で体と心に深い傷を負うヒーロー。二人は不器用ながらも距離を縮めていきますが、村の名医が実は彼女だったと知られた瞬間、すべては壊れーー。
私は家政婦。 舞踏会やオペラなど、夢のまた夢。 天涯孤独のケイトは名家に生まれながら困窮を極め、 働きに出るよりほか、もう生きるすべはなかった。 ある日、亡き母の名づけ親だという年老いた伯爵夫人が訪ねてきて、 みすぼらしいケイトを見るや、孫息子ジャックの邸へ連れていった。 社交界一の美貌を誇るジャックは戦傷を負い、今は隠遁生活を送っている。 私が連れてこられた理由はわからない。でもここで仕事が見つかれば……。 そう願ってケイトが床を磨いていると、そこにジャックが現れた。 「ふざけるんじゃない! 勝手に私の屋敷の床を磨くとは、何事だ!」 怒りの声をあげたジャックは彼女の手をつかみ、じっと見つめた。 ブラシの赤い跡がついた掌を恥じ、ケイトは思わず手を引いたがーー 「半年間ここで賃金なしに、家政婦として働きなさい」伯爵夫人の指示に従うことにしたケイト。半年の勤めを終えたら、伯爵夫人は彼女を社交界デビューさせてやるつもりでしたが、家政婦など不要とジャックは反対で……。心身に傷を抱えた二人の感動ロマンス!
朝が来て、シンデレラは路地裏に戻った。 王子と永遠の絆で結ばれたとも知らず。 6年前、サマンサは王子にして外科医のハリドと恋に落ちた。 突然、花嫁としてふさわしくないと、彼がサマンサを切り捨てるまでは。 彼女はずっと異性関係の派手な母と、服役中の兄に苦しめられてきた。 そんな育ちのわたしが、王子の配偶者としてふさわしいわけがない。 しかしそのハリドから、自分の祖国で一緒に働いてくれないか、 という依頼が飛びこんできて、サマンサの心は揺れた。 恐れていたとおり、再会するなり彼女の目はハリドに釘づけになった。 その堂々とした姿は相変わらずで、いかにも王族らしい。 サマンサの胸は締めつけられた。だから、わたしは分不相応だったのだ。 頭ではわかっている。でもなぜか、ときめく胸はわかってくれない……。 ヒーローに捨てられた過去を持つヒロインは、彼のそばで働くこととなり、かつての失恋の痛手がうずき出します。王子との結婚なんて望まない。でも一度でいいから、彼に求められたという思い出をください。その後、小さな命が彼女のおなかに宿ってーー。
“ママが死んでしまってそばにいないから手術はこわいけど、手術でぼくの頭痛をなくして、パパをまた幸せにしたい”病の少年の手紙を読んで、慈善財団で働くギャビは胸がつまった。少しでも支えになりたい一心で幼い少年を訪ねると、そこは世界的な富豪一族の当主ルカ・ベレッティーニの家だった。父親のルカは不在だったが、ギャビは少年と祖母に迎えられ、病をしばし忘れられるよう、楽しい時を過ごした。ただ、この子の手紙のことはルカには秘密よと祖母に釘を刺されるーいつも不幸せそうだと子供に思われていると知れば傷つくから、と。だが翌日、少年と同じ黒髪碧眼のルカが、突然ギャビの職場に現れた!
継母のいじめに、生きる気力さえ失ったとき、 “天使”の名を持つ美しき隣人が現れたーー 幼いころに母を亡くした17歳のミシェルは、 あと数カ月で高校を卒業するというとき、悲劇に襲われた。 医師だった父が治療のかいなく病死し、 意地悪で自分勝手な継母との地獄のような暮らしが始まったのだ。 生きる希望を失った彼女は、走る車の前へ衝動的に身を投げ出した。 そのとき、間一髪のところを救ったのは、謎めいた隣人ガブリエルーー ミシェルが密かに想いを寄せていた天使のように美しい男性だった。 事情を知ったガブリエルは彼女の後見人となり、自宅へ呼び寄せた。 やがてミシェルは募る想いを抑えきれなくなって愛を告白するが、 ガブリエルに冷たく突き放される。「君はまだ子供だ」と言って。 〈シンデレラに愛の花を〉をテーマに、継母の横暴に耐え忍ぶヒロインに訪れる恋を描いた秀作をお贈りします。最愛の父の形見を、継母に処分されそうになり絶望したミシェル。命の恩人ガブリエルへの愛こそが生きる希望となるはずなのに、機は熟しておらず……。
手術を受けた母の面倒を見るため帰郷したクリスティは、主治医がドミニク・サビッジと知り、動揺した。8年前の夏、クリスティはませた友人に教えられるがまま、幼い頃から憧れていたドミニクに純潔を捧げようとした。だが残酷なまでに拒絶され、逃げるように故郷を去ったのだった。いったいどんな顔をして彼に会えばいいの…?往診の日、いたたまれずドミニクを避けようと外に出た彼女は、ちょうど降り出した雪に足をすべらせて転んでしまう。そのとき、すっと手を差しだしたのはほかならぬ、ドミニクだったーかつて胸を躍らせ心惹かれた、あの呪縛するような雰囲気そのままの。
王子で億万長者で完璧なルックス── 唯一彼に足りないのは、愛だけ。 ジェナはけっして叶うことのない片想いをしていた。 親友が嫁いだミルス王国の国王のハンサムな弟、ドミトリ王子。 彼は5歳も年下で、歴代の恋人は美女ばかり。 そして何より、彼女は病気のため妊娠を望めないのだ。 だが奇跡が起きた。突然ドミトリからディナーに誘われ、 熱い誘惑に溺れて、ジェナは彼にすべてを捧げてしまう。 翌朝、彼は一夜だけでは飽き足りないと、さらりと提案した。 「結婚する気はないが、割りきった関係を続けないか?」 切なすぎる。でも、そばにいられるなら……。ジェナは心を決めた。 『ガラスの靴の片想い』『冷酷王子と秘密の子』に続く、ルーシー・モンロー渾身のロイヤル・ロマンスをお楽しみください。ヒーローと夢のようなひとときを過ごしたヒロイン。彼の隠された狙いを知りショックを受けますが、なぜか嫌いになれなくて……。
あまりにも長すぎた、会えない時間。 幼すぎた初恋が今、よみがえる……。 ゲイレンが帰ってきた。19年ぶりに。 ルーラの勤め先のリゾートホテルで行われる、 親友の結婚式に出席予定だ。彼は今や大企業の経営者。 親の言いなりに結婚した私には、幸せなど無縁だったーー 5年前、暴力的な夫を亡くして以来、ひっそりと生きてきた。 ゲイレンに再び会ってしまった今、ルーラの胸には 昔の彼との幸福な日々が次々よみがえってくる。 折しもゲイレンは産休中の秘書の代理を探しており、 なんとルーラは彼の臨時秘書となることになってーー?! 愛される歓びを知ることもなく、辛い結婚生活に耐えてきたヒロインと初恋の男性との再会物語。はたして恋のゆくえは……? HQロマンスとイマージュ双方で大活躍する人気作家キャロル・マリネッリ。王道人気テーマ“ボス&秘書”をお楽しみください。
うっとりするようなキスと抱擁は、 あなたが私に与えた罰だった。 家族を失い、天涯孤独となったルーシーは、 両親の遺した会社が売却されそうだと知って驚いた。 先導しているのは筆頭株主のロレンツォ・ツァネッリ。 じつは昔、彼の弟とルーシーの兄は親友同士だったが、 登山中の事故で兄だけが生き残り、彼の弟が亡くなったことを、 ロレンツォは今でも恨んでいるのだ。 でも、会社を守るにはロレンツォに懇願するしかない……。 覚悟を決めて出向いたルーシーを嘲ると、彼は怒りもあらわに いきなりキスを奪った。いったいどういうこと? 愛人になることが条件だと非情にも告げられ、彼女は凍りついた。 傲慢なイタリア富豪と耐え忍ぶヒロインが織りなす、クラシカルな王道ロマンス! 実力派作家ジャクリーン・バードならではの、ていねいな心理描写と後半のどんでん返しは圧巻です。どうぞ最後の1ページまで存分にお楽しみください。
父を訪ねてきたニックに会ったとき、リーはひと目で恋をした。こんなすてきな人のためなら死んでもいいとさえ父に言い、17歳のリーはニックと結婚式を挙げた。だが、結婚初夜からずっと彼はリーに指一本触れようとしない。もう5年も、リーは砂を噛むような空疎な日々を送ってきた。ニックと別れる決心を固めた矢先、彼女は恐ろしい事実を知る。父がニックの家族の重大な秘密を握り、脅迫して、彼に結婚を承諾させたのだという。夫は、別れたくても私と別れるわけにはいかないのだ!
小説、エッセイ、手記、詩歌、アフォリズム、パロディ、宣伝文…“読むこと”をゆさぶる先鋭なエンターテインメント小説。奇想か妄想か、さまよえる断章群の残映と余熱。誰が書いているのか?誰が読んでいるのか?
代々強力な魔獣と契約して大陸に覇を唱えてきたローレンディア国。その王子であるタクトは契約魔獣を決定する成人の儀を迎えるが、選んだのはフワフワモコモコの羊・エーデルだった。戦いに向かない魔獣を選んだことに激怒した国王はタクトを追放。タクトはゴロツキだらけの奴隷船に収容され、海の藻屑にされかけるもスキル【調停者】を駆使して船内を平和に導く。さらにたどり着いた無人島・告死島ではスキル【錬金術師】を発動。すると、使えない魔獣と思われていたエーデルが錬金の素材として万能の力を持つ「黄金の羊」であることが発覚し…!? 【テイマー】【魔法使い】【錬金術師】【調停者】--使えるスキルをフルに活用し、無人島を豊かな領地に開拓していくタクト。タクトの元には王族の末裔や傭兵団の族長など個性的な仲間が集まり、島は賑やかな領地へと発展していく。やがてタクトの活躍は国王の耳にも届くことになり…。「エーデルさえいれば、どこでだって生活できる」追放されたお気楽王子による、のんびり無人島開拓、開幕!!
日本で限界社畜サラリーマンをしていたところ「最高の回復術士(クレリック)」として異世界に召喚されたリュージ。しかし召喚は手違いだったらしく、リュージは即捨てられてしまう。社畜生活に飽きていた彼はこれ幸いとばかりに異世界でスローライフを謳歌することを決意するが、そんな時『白魔法』ならぬ『城魔法』という謎のスキルを手に入れる。「もしかしてただのギャグスキルなのか?」--しかしこの外れと思われた『城魔法』が、実は規格外な魔法で…!? 鑑定や診察、調合など多くのスキルを駆使し、行く先々で無自覚に活躍してしまうリュージ。さらには妖精たちから授けられた新たなる“手違いスキル”も加わり、最強治癒師としてどんどん名を馳せていき…。 「俺はただ憧れのスローライフを送りたいだけなのに!」 様々な手違いに見舞われた最強治癒師による、まったりのんびり(?)異世界ファンタジー開幕!
鮎のように悔いなく生きろ。すべてを焼き尽くした空襲、福井地震、大水害…。愛子18歳。未曾有の惨禍を乗り越え、今を懸命に生きる女鮎漁師の物語が現代という時代に熱く語りかける。第11回新田次郎文学賞作品、待望の復刊。
もうすべては終わるのに、きみの体はあたたかい……小さな小さなミジンコほどの劇団で、体を売りながら芝居に打ち込む少女。孤独を抱え、壊れていく仲間たちに打ちのめされながら。私たちは、どうすればよかったのだろう。壊れ、崩れていく関係を、それでも、必死で、繋ぎとめようとしていた──歯ぎしりしをながら。たよりなくも、いじらしい、儚い祈りの青春群像。 自伝的小説処女作『臆病な僕らは幸福を病んで』姉妹編。 ガラクタの居場所 生きたくて デラシネ 遠い日の花火 それぞれの痛み 終わりのはじまりの幕が開くとき 救いの歯ぎしり ガラクタたちは、今日も震えながら
本を守り、意志を繋ぐ。 『古代文明の伝説にあるような便利で豊かな生活』を今世に取り戻すため、文明の再興を続けるアッシュ。 その活動拠点となるサキュラ辺境伯領を襲った人狼の群れを、研究所の成果によってアッシュたちは殲滅する。 そんな彼らに届いたのは、隣領の壊滅とそれに伴って大量に発生した難民がサキュラ領に押し寄せているとの報せだった。 難民の受け入れと隣領の再生を決断した領地改革推進室だったが、前例のない事態の上、圧倒的な物資不足により無理難題に思われた……。 しかし、決して不可能ではない。 廃村の危機から村を再興した経験を応用して難民を受け入れ、技術交換や留学を機に築き上げてきた人脈を駆使して人材を手配する。 さらに、王都ではアリシアが神殿に協力を仰いで物資を支援しーー。 領地改革推進室の一同は、崩壊した領を再生し、人々を救うため奔走するーー! 理想の暮らしを手にするため、世界に変革をもたらす少年の軌跡を紡いだ文明復旧譚、第七幕!