小説むすび | 2022年6月発売

2022年6月発売

帰りたい帰りたい

イギリスで暮らす対照的なムスリムの家族を襲う悲劇が、われわれには想像もつかない状況で展開します。 そして最後には、その悲劇が異文化という壁を大きく揺さぶります。ここ数年間で出会った翻訳作品のなかで最も衝撃的で、切なく、心を打たれた作品です。--金原瑞人 【本書の概要】 ブッカー賞最終候補、女性小説賞受賞作! イスマ、アニーカ、パーヴェイズは、ロンドンで暮らすムスリム(イスラム教徒)の三人きょうだい。イスマは長女、下の二人は双子の姉弟。パキスタン系英国人の父親はイスマが幼い頃に家族を捨て、ジハードのためにボスニアに旅立ち、グアンタナモ収容所への搬送途中で病死した。3人に父親の記憶はほとんどない。母親も7年前に死んだ。長女のイスマは妹と弟を育てるために学業を中断して働いた。妹のアニーカは高校卒業後、奨学金を得て大学に。弟のパーヴェイズは音響関係のキャリアを目指す。イスマは渡米し、研究助手として大学院で勉強を続ける。そんなある日イスマは、カフェでエイモンという青年に出会う。エイモンもロンドン育ちだが、パキスタン系の父親は英国の国会議員で裕福な家庭だった。ロンドンに戻ったエイモンは、イスマの妹アニーカに会い、強く惹かれる。 一方、ロンドンに残ったパーヴェイズはパキスタンの親戚に会いにいくと嘘をつき、旅に出た。行き先は、シリアのラッカ。ジハード戦士だった父に憧れ、イスラム国に参加していたのだ。 イスマ、アニーカ、エイモンはそれぞれに悩みながらも、信念を貫き、あらゆる手段でパーヴェイズを救い出そうとするが、内務大臣となったエイモンの父やMI5(情報局保安部)の監視、国籍の問題など様々な壁が立ちはだかる……。 登場人物の各視点による五章で構成され、物語はヒースロー空港に始まり、マサチューセッツ、ロンドン、ラッカ、イスタンブールへと舞台を移しながら、スリリングに展開し、パキスタンの都市・カラチで衝撃の結末を迎える。ギリシャ悲劇『アンティゴネー』に着想を得て、家族の絆と国家の法律の対立を描き、国籍・国境のあやうさを訴えかける傑作長篇。英米各紙で「ブック・オブ・ザ・イヤー」に輝き、BBCが選ぶ「わたしたちの世界をつくった小説ベスト100」(過去300年に書かれた英語の小説が対象)の政治・権力・抗議活動部門で10作品に選ばれた。 また、ムスリムの人が西欧社会で生きていく上での多様な生きづらさが具体的に描かれ、登場人物それぞれの視点で実感できることも本書の大きな魅力となっている。

あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集あの人たちが本を焼いた日 ジーン・リース短篇集

ーーわたしはどこにも属していないし、属すためのやりかたを買うお金もない。 カリブ海生まれのジーン・リースは、ヨーロッパでは居場所を見出せない、疎外された人であった。しかも女性である。 自身の波乱に富んだ人生を下敷きにした、モデル、老女、放浪者などの主人公たちは、困窮、飲酒、刑務所暮らし、戦争と数々の困難を生きる。 だが彼女らはけっして下を向かない。 慣習と怠惰と固定観念をあざ笑うように、したたかに生きる。 《いま新たな光を浴びる、反逆者リースの本邦初、珠玉の作品集》 ■あの人たちが本を焼いた日……The Day They Burned the Books ■あいつらにはジャズって呼ばせておけ……Let Them Call It Jazz ■心霊信奉者……A Spiritualist ■マヌカン……Mannequin ■フランスの刑務所にて……From a French Prison ■母であることを学ぶ……Learning to Be a Mother ■シディ……The Sidi ■飢え……Hunger ■金色荘にて……At the Villa d'Or ■ロータス……The Lotus ■ではまた九月に、ペトロネラ……Till September Petronella ■よそ者を探る……I Spy a Stranger ■堅固な家……A Soild House ■機械の外側で……Outside the Machine ■「ジーン・リース」へのピクニック……西崎憲

夢の家夢の家

出版社

駒草出版

発売日

2022年6月29日 発売

遠ざかってゆく者と残される者。魚住文学はその間に横たわる暗がりへと読者を誘い込む。他のどこにもない小説が、そこに映し出されている。 ーー小川 洋子 2021年8月に急逝した作家、魚住陽子が遺した作品から、6編を収録。静謐でありながら、自らの感情に向き合う強さを感じさせる珠玉の短編集。 <出版社より> 『奇術師の家』や『水の出会う場所』『菜飯屋春秋』など、独自の世界観をもつ作家として知られ、2021年8月に急逝した作家、魚住陽子。彼女が遺した作品から、6編を収録した短編集です。 画家の女性と彼女がかつて共に暮らした男性との愛憎を互いの心情描写で綴る表題作「夢の家」、家族を喪った一人暮らしの中年女性と彼女が関わる整体院を中心に、彼女を取り巻く人間模様を描く「シェード」、往復書簡というかたちでの師弟ふたりのやりとりによってそれぞれの感情や生活の変化を描く「郭公の家」、そして、作者の母校の創立記念の冊子に収録されていた、女子高生たちの日常のやりとりをいきいきと描いた「物置に蝶が来ている」、その他2編を加えた全6編を収録。 静謐でありながら、その奥に潜む生々しい感情(後悔、諦め、憎しみ、愛、失望、希望など)をしっかりと見つめ、自らに向き合う強さを感じる作品群は、作者独自の世界観にあふれています。また、病を抱えながら暮らし、創作を続けてきた作者ならではの死と生についての鋭敏な感覚も、そこここに散見され、はっとさせられるものがあります。 作者が晩年取り組んでいた俳句のエッセンスやどの作品にも登場するたくさんの草花、そして何気ない生活風景の描写にも魚住ワールドともいうべき美意識が感じられる短編集。ファンの方はもちろん、足を踏み入れたことのない方にもぜひこの世界観に触れていただきたい一冊です。 【目次】 ・物置に蝶が来ている ・萌木色のノート ・夢の家 ・シェード ・郭公の家 ・旅装 ・あとがき(加藤 閑)

時をかける愛時をかける愛

*…○*…台湾歴代No1ドラマとの呼び声高い名作、韓国でもリメイクドラマ化決定! ついに日本語版も翻訳刊行…*○…* 職場でも頼りにされている、有能なIT企業社員・黄雨萱。しかし彼女は、飛行機事故で行方が知れぬままの恋人を忘れられない日々を過ごしていた。 二〇一九年のある日、雨萱は自分と恋人にそっくりな学生の写真を目にする。恋人の消息に繋がるのではないかと、写真を調べはじめた雨萱。 贈り主が分からないカセットテープをきっかけに、彼女は一九九八年の台南で恋人と同じ顔の青年と出会いーー。 現代と過去を行き来する彼女は、二つの時代で巻き起こる運命の事件に巻き込まれていく。 <2019年登場人物> 黄雨萱(ホアンユーシュアン)……IT企業の会社員。職場でも頼りにされている、有能な女性。王詮勝と婚約していたがーー。 王詮勝(ワンチュアンション) ……デザイン事務所を立ち上げた、穏やかな青年。2年前の飛行機事故以来、行方が知れない。 <1998年登場人物> 陳韻如(チェンユンルー) …… 内気な女子高生。叔父の営む音楽ショップでアルバイトをしている。 李子維(リーツーウェイ)…… 韻如と同じ学校に通う高校3年生。快活で男女ともに人気のある青年。

死に戻り皇女は前世の夫の初恋を成就させるため、身代わりの死を望む 下(2)死に戻り皇女は前世の夫の初恋を成就させるため、身代わりの死を望む 下(2)

出版社

KADOKAWA

発売日

2022年6月30日 発売

「俺は貴女を愛している。--今後も、そして、前世も、ずっとだ」 やり直しの人生で身分を偽り、前世の夫=黒の騎士団長レイモンドの初恋を成就させようとした皇女アンジェリカだが、命を救うために体を重ねたことがきっかけとなり、彼から熱烈な恋慕を寄せられる。アンジェリカもレイモンドへの気持ちが止められず苦悩する中、彼女の正体が皇女であることが知られてしまう。アンジェリカへの気持ちを抑えきれないレイモンドは、皇宮に幽閉された彼女の元へ忍び込み「必ず奪いに来る」と宣言する。そして、前世でも運命の日となった建国祭で、皇帝の口から国を震撼させる驚愕の真実がもたらされる! 果たしてそれは、二人を幸せに導くものなのかーー。「死した乙女の願い」伝説に隠された本当の結末とは? さらに二人の運命を別つ神の試練の日が訪れる!! 全ての謎が明かされる、身分差すれ違いやり直し初恋溺愛ストーリー、下巻! 2021eロマ大賞大賞受賞作。

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