2022年6月発売
★第9回日本翻訳大賞受賞 愛と憂鬱の〈ユートピア〉。ロシア文学の肥沃な森に残された最後の傑作、本邦初訳。 革命後に生の意味を問いつづける孤高の魂。「翻訳不可能」といわれた20世紀小説の最高峰のひとつが、〈ロシア的憂愁(タスカー)〉の霧の中からついに全貌を現した!--沼野恭子 わたしもプラトーノフのようになれたらーーピエル・パオロ・パゾリーニ(映画監督・詩人) 20世紀には、重要な作家が3人いたーーベケット、カフカ、そしてプラトーノフだーースラヴォイ・ジジェク(哲学者) 死への興味が嵩じて湖に自ら身を投げだした父親の息子アレクサンドル(サーシャ)は、ドヴァーノフ夫妻に引き取られて生活するようになり、やがて、ボリシェヴィキとして、彼の同伴者であり親友のコピョンキンとともに共産主義を探して県域を放浪し、共産主義が完成した理想郷チェヴェングールを見出すーー。 「もっとも謎めいて、もっとも正統的でないロシア作家」とも称されるプラトーノフの代表作にして生前に完成した唯一の長篇小説。ロシア文学の肥沃な森に残された最後の傑作、本邦初訳。 「『チェヴェングール』は、[……]世界史的な規模のインパクトをもった第一次世界大戦やロシア革命を念頭におきながら、現実を逆転させたような事柄を描いた挿話に溢れている。それらを通して〈あるいはそうであったかもしれないロシア革命〉が描き出されている。」(本書「解説」より) ◎解説=古川哲「あるいはそうであったかもしれないロシア革命」 ◎付録=P・P・パゾリーニ「アンドレイ・プラトーノフの『チェヴェングール』」+関連地図+主な登場人物
1巻大重版&コミカライズ絶賛連載中! 「私達は恋・愛・結・婚!」 愛する恋人と共に"妖精姫聖女化計画"をぶち壊せ! 大人気恋愛ファンタジー第7弾! 巻末に、書き下ろし番外編&コミカライズ第3話を豪華収録!
【シリーズ累計30万部突破!(電子書籍含む)】 「あなたにも、よい一日を!」 コミカライズスピンオフ企画進行中! 寄り添う気持ちが絆になる、臆病な魔獣使いとゆるかわスライムの愛され癒し系サバイバルファンタジー第7弾! 書き下ろし番外編収録!
「これからが本番でしてよ?」 目指すは、犯罪組織のトップの座!? 元娼婦の令嬢が悪で正義を貫く、痛快ラブファンタジー! シリーズ重版!コミカライズ4月連載開始!
レオンスの娘ロゼーヌは、あと八年以内に故郷であるエルフの里の結界が壊れてしまうことが判明し、何とか海を越えてエルフの里がある島へ行けないかと焦っていた。そんな折、双子の妹ノーラが持ち前の商才を発揮し、魔界とエルフの里、そして人間界を繋ぐ貿易会社を立ち上げることに。漁村の住民たちとの対立に、ノーラの初恋にと紆余曲折ありながら、数年後いよいよ船が完成する。エルフたちを助け出すため、レオンス一家と仲間たちは船に乗り、エルフの里へと向かう。だが島にたどり着いた彼らの前に立ちはだかったのは、前の獣王である黒狼。そして悪魔が宿った最強の破壊士がいよいよ姿を現わすー!!千年もの長きにわたり続いた、転生者たちの長い戦いを終わらせるための最終決戦が、ついに始まる!!
クラッシャられるべきか、クラッシャられないべきか、それが問題だーーあのサークルクラッシャーが帰ってきた! 佐川恭一の名を世に知らしめた伝説の作品が長編小説として生まれ変わる。奇跡の童貞文学、ここに誕生。 破滅派から出た電子書籍としてもっとも読まれた『サークルクラッシャー麻紀』(2022年4月時点で累計1500部!)と佐々木敦が選ぶ今年の10冊(東京新聞・2019年)にランクインした『受賞第一作』をマッシュアップ! アンドレ・ジィド『贋金つかい』を思わせる「意外にも文学的な構造」と「下品スレスレ外角低めの文体」が織りなす佐川ワールドの新境地が誕生。 麻紀はなぜサークルをクラッシュをしたのか? 崩壊した文芸サークル「ともしび」出身で「受賞第一作」にてデビューした覆面作家の正体は? 青春の蹉跌を抱えながらサラリーマンとして生きる部長は「文学」を取り戻せるのか? 今年作家デビュー10周年を迎える佐川恭一の新しいマイルストーンがいま打ち立てられる。 【サークルクラッシャー麻紀に寄せられたコメント】 童貞は全員読んでください。童貞からのお願いです。 ーー Amazon レビュワー 予言する。佐川恭一は日本文学史に残る大作家になる。必ず。 ーー 樋口恭介(SF作家) 面白かった、かつ、ちょっといや〜な気持ちになった。 ーー ベル(文学YouTuber)
「破滅派のル=グウィン」と呼ばれるほどの実力派にして、シリコンバレーなど海外でプログラマとして働いた経験をもつ現役のソフトウェアエンジニアによるSF短編集。第3回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作ほか、全四篇を収録。 【収録作】 「ギークに銃はいらない」 銃なんかなくたって、俺たちは世界を殺せる。だろ? ディランはきまってそんなふうに言った。腐ったハンバーガーみたいな青春だけど、僕たちには一つだけ救いがある。ここ、北カリフォルニアで、ギークは神だからだーーナードに位置付けられた少年たちのホワイトハッカー小説。 「眠れぬ夜のバックファイア」 家族と元恋人をめぐるトラウマから眠ることのできなくなったヨウは入眠装置In:Dreamを使って安眠を求める。スタートアップ事情を活写したリアルテック✕解毒SF。 「春を負う」/「冬を牽く」 ル=グウィン『闇の左手』を思わせる、厳しい冬が支配する《ヌビヤク》の高山地帯を舞台に、季節を運ぶ《交易びと》と祭祀長《チェギ・ルト》になることを運命づけられた少年の交流を描くスペキュレイティブ・フィクション連作。 【推薦コメント】 世界というのはいつだって理不尽で、生きるということはいつだって不如意なものだ。それはもう、そういうものなのだからしかたない。 斧田小夜の書くSFは、閉じられた世界の中で苦しさを噛みしめながら生きる人間を、いつも静かに見つめている。 閉じた世界の中にもときおり光が射すことがある。その光には世界を変えるほどの力はないかもしれないけれど、そのかすかな光の美しさを、斧田小夜は決して見逃さないのだ。 ーーpha(ブロガー・作家・元「日本一有名なニート」・「ギークハウスプロジェクト」発起人) 日本SF第七世代の牽引者となることを望みたい。 ーー大森望(翻訳家・SFアンソロジスト)※河出文庫『NOVA 2021年夏号』より 主人公のからだが血をしぼりだすようにしてまったくあらたな解決法を発見する。これはSF的なロジック、サスペンスの解決、作品の主題を同時に満足させることを目指し、じつに見事に達成した作品です。 ーー飛浩隆(作家)※第3回ゲンロンSF新人賞選評より ・ギークに銃はいらない ・眠れぬ夜のバックファイア(第3回ゲンロンSF新人賞優秀賞受賞作「バックファイア」を改題) ・春を負う ・冬を牽く
今度は海の幸が大漁だ! 王都での騒動が一段落した後、サージスは指名依頼のある町へ行くため、シャルとリオと一旦離れることに。残された二人は、また厄災が起きた際の対策にジャパニーズアイを駆使してめぼしいアイテムを買い揃える。そこで、クナイと呼ばれる見たことのない道具を見つけ・・・・・・? また、海の中にあるダンジョンに潜って美味しいカニをゲットしたり、山の中でトリュフを見つけて焼いてみたり。さらには、不思議なドラゴンに絡まれ、人の言葉を話す鬼に攫われたりもして!? がんばり屋な少女の物語は、今回もドタバタ全開です!
義理人情に厚いヤクザの親分・阿岐本雄蔵のもとには、一風変わった経営再建の話が次々舞い込んでくる。今度は公演間近のオーケストラ!? ヤクザということがばれないように、コンサルティング会社の社員を装う代貸の日村。慣れないネクタイを絞めるだけでもうんざりなのに、楽団員同士のいざこざが頻発する。そんな中、指揮者が襲撃される事件が発生! 警視庁捜査一課からあの名(?)刑事がやってきて……。
元・警視庁刑事の藤原は二十四年前、「平成の刀狩り」で大量の銃器を摘発する大功績を挙げるも、女性関係で失脚したまま定年を迎えた。雨の夜、池袋の不動産会社で強盗殺人が発生。容疑者は刑期を終えたばかりの昇龍会元構成員・明石。過去に藤原が集めた銃器はすべて、この明石の提供によるものだった。事件後、藤原の前に現れたのはかつての不倫相手で現・公安部係長の橘。彼女は明石を逮捕するのではなく、殺害を目論んでいた。一方、六本木の半グレである南部はバイオ燃料の若手研究者と組み、ベンチャービジネスでの成功を夢見ていた。天涯孤独の南部は、所属するギャングチームから足抜けするために大金が必要であった。だがある時南部の前に現れた男が、顔も知らない父親の話を始める。なぜ警察は明石の命を狙うのか?そして明石の真の目的とは?
連合艦隊が総力を挙げて臨んだトラック沖海戦は、米海軍の撃退に成功したものの被害は甚大であった。開戦以来、艦隊の主力を担ってきた空母「赤城」「加賀」、戦艦「長門」他多数の艦艇や航空機が失われてしまったのだ。 もはや彼我の勢力は完全に逆転し、連日の空襲に晒されるトラックの防衛は限界に達していた。 じりじりと戦力を削られ続ける状態に、連合艦隊は苦渋の決断を下す。トラックを放棄し、マリアナに集中させた全軍をもって米海軍との最終決戦の敢行。 果たしてこの戦いの先に講和への道は開けるのかーー
舷から堕ちていった少年の名は、白菫といった。船は純真無垢な少年たちと智慧ある導師を乗せ、楽園を目指して天空の旅をしていた。かれの墜落死は不運な事故とされた。この希望に溢れた船上に、みずから身を投げる理由などあるはずがなかったから。けれど、親友の矢車菊には気がかりなことがあった…。幻想文学の新鋭による初の小説集。
そっちには行くな。 二度と戻れなくなるぞ。 過去のトラウマに囚われ、殻にとじ籠もっていた大学生・直希。 直希の目がとらえる世界は不思議にあふれ、彼を悩ませてきた。 彼の目の秘密を知る若き大学教授・氷住(ひずみ)灯子のもとで、不思議な事象を解き明かしていく。はたしてY研究所とは? 氷住教授とは? ーー珠玉の短編連作集。 茂鳥直希は大学に受かり、田舎から上京した。 直希は幼い頃から不思議なものが見え、そのために周囲から孤立し、傷つき、人とどのように接して良いかもわからなかった。 直希はこの大学進学を機に、友人をつくれるようになりたいと考えていた。 直希が大学近くでバイト先を探していたところ、偶然「Y研究室 雑用係募集」という学内のバイト先を見つける。超常現象を研究しているという大学非公認の《Y研究室》。 離れ校舎地下にあるY研究室はチグハグなインテリアに、洗い物が溜まったシンク。 研究室の主、大学教授で傍若無人な振る舞いをみせる氷住灯子は、そのまま直希を採用する。 研究室には、どうにも相談できない悩み(霊や超常現象)を持つ人が直希を通じてふらりと相談にやってくる。 直希の目には、それらの悩みには必ずといっていいほど、黒い靄のようなものが見えていた。過去に死にかけたことがある直希。 そして直希の目の秘密を知る氷住教授とは一体ーー
兎園小説の中で議論がなされた2話をとりあげ真偽に迫り、63の超常現象、怪談噺、風聞、忠義話、孝行話を現代語訳で紹介する。 目次 曲亭馬琴『兎園小説』の真偽 第一章 兎園小説とは 第二章 うつろ舟の蛮女 第三章 金色姫伝説と「うつろ舟の蛮女」 第四章 うつろ舟の異形文字と蛮女 第五章 『兎園小説』とかわら版刷物 第六章 大酒大食の会 附『筆のすさび』・『耳嚢』・『三養雑記』、「天保二年の大食会」 第七章 兎園小説の真偽・結び 付録 兎園小説(抄)
警察小説の旗手による大河シリーズ「日本の警察」平成編。 「公安は常に同じ相手の仕事だ。だが捜査一課の仕事は毎回、違う相手なんだ」 「捜査一課は目先の事件を追う。公安は、未来を見据えて仕事をしている」 捜査一課と公安一課。同じ警察でありながら相容れない二つの組織に身を置き、昭和を駆け抜けた二人の刑事。 その息子たちは、父と同じ道を歩んでいる。 昭和天皇が崩御し、60年余にわたる昭和の時代が終わりを告げた日に起きた殺人事件。高級マンションに住みポルシェを乗り回す被害者に見え隠れする、極左の過去。 バブル景気の拝金主義に浮かれる世で、思想活動は衰退の一途をたどる。その交錯点で起きた事件を、二人の刑事が追う。 刑事は地べたを這いずる仕事だ。だが、空から全体を見る鷹の目を持て。 父の道を継ぎ鷹となった息子たちの物語が、いま幕を開ける! 第一章 昭和の終わりに 第二章 スパイ 第三章 過去から来た男 第四章 地上げ屋 第五章 探り合い 第六章 長い逃亡
二月の苫小牧。完全犯罪をもくろむ男が用意した完璧なはずのアリバイは、意外な人物によって崩される。人を【援護/まも】るつもりが、いつも必ず容疑者にしてしまうーー史上最も不器用な「探偵」が活躍する、デビュー作『掃除機探偵の推理と冒険』に続く新感覚ミステリ
自分には予知能力がある、あなたは私とは二度と会えない。元カノはそう言ったーーふとした日常に不思議が射し込む表題作、カップルの関係持続性を予測するアルゴリズムに翻弄される男女を描いた「データの時代の【愛/サラン】」など10篇を収録した鮮烈なる韓国SF作品集
選考会で異例の満場一致! 第127回文學界新人賞受賞作 松井まどか、高校2年生。 うみちゃんと付き合って3か月。 体重計の目盛りはしばらく、40を超えていない。 ーー「かけがえのない他人」はまだ、見つからない。 優しさと気遣いの定型句に苛立ち、 肉体から言葉を絞り出そうともがく魂を描く、圧巻のデビュー作。 ★★★ 文學界新人賞・全選考委員激賞!! ここには誰のおすみつきももらえない、肉体から絞り出した言葉の生々しい手触りがある。--青山七恵 安易なマイノリティ表現への違和感の表明であり、同時にそのような表明の安易さへの批判でもあるという点で、まさにいま求められる文学なのではないか。--東浩紀 本作には紛うことなき現代を生きる人間が、そして現代がぶち当たっている壁が克明に描かれている。--金原ひとみ 世界が傷つくとみなす事項に対する、最初からの「傷ついてなさ」が、ぐっとくるのだ。--長嶋有 満場一致の受賞となり、今後の活躍を楽しみにしている。--中村文則 主人公にとって、また小説にとって、とても重要なもの、安易に言語化できないものたちが、物語の力によって、この小説の中に確かに存在している。--村田沙耶香