2022年9月発売
1948年、終戦後の日本。中学2年になったイコの周囲には、やけどを負った同級生や傷痍軍人の物乞いなど、今だ戦争の傷跡が多く残されていた。母を早くに亡くしいつも心のどこかに不安を抱えるイコだったが、英語の授業で習った【〜ing=現在進行形】にがぜん夢中になる。「現在進行形、今を進むという事!」急展開で変わっていく価値観に戸惑いながら、イコは必死に時代をつかもうとする。そして「いつかどこかへ行きたい。私ひとりで」そう強く願うようになる。でもまだ、日本からの海外渡航が許されない時代。手段も理由も見つからないまま大学を卒業したイコに、ある日大きなチャンスが巡ってくる……。「魔女の宅急便」の著者・世界的児童文学作家、角野栄子の『トンネルの森 1945』に続く自伝的物語。戦後の日本を舞台に、懸命に自分の路を探す少女の成長をエスプリとユーモア溢れるタッチで描く著者の原点ともいうべき作品。87歳、角野栄子は今も現在進行形だ! 大西洋 市ヶ谷 イコ 十三歳 市ヶ谷 イコ 十六歳 早稲田 イコ 十八歳 新宿 イコ 二十二歳 太平洋
「聞いていただこう、ホーイチ・ジ・イヤーレスの物語を──」円城塔 作家・円城塔が、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」を直訳! ダン・ノ・ウラの戦いの物語を──最も悲哀の深いくだりであるから(「ミミ・ナシ・ホーイチの物語」) オ・ジョチューは振り返り、そうして袖を下ろすと手で顔を撫でてみせ──(「ムジナ」) スライド式のスクリーンを開け、そうして彼は見たのだったが、ランタンの光に照らし出された五人の寝姿には──首がなかった!(「ロクロ・クビ」) 日本という未知の国の物語を、英語読者に向けて語るハーンの流儀を再現すると、日本の言葉はただのアルファベットの連なりで得体のしれない音となり、読み手の前に呪文のように放り出され、全てが説明されるわけでもない。当然これは、英語読者にとって「読みやすい物語」ではなく「驚異の書」として受け止められたことだろう。(「訳者あとがき」) 1904年に英・米国で発表された「KWAIDAN」には、遥かかなたの異国「JAPAN」の物語が描かれた。 当時、本書を手にした読者は何を感じたのだろうか。 円城塔が白日の下に晒す、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」の真の姿! 序 怪談 ミミ・ナシ・ホーイチの物語 オシドリ オ・テイの物語 ウバザクラ かけひき 鏡と鐘と ジキニンキ ムジナ ロクロ・クビ 葬られた秘密 ユキ・オンナ アオヤギの物語 ジウ・ロク・ザクラ アキノスケの夢 リキ・バカ ヒ・マワリ ホーライ 虫の研究 蝶 蚊 蟻 解題 訳者あとがき
人気YouTuber「ナナオは立派なユーチューバー」こと、藤原七瀬による初小説『雷轟と猫』から半年を経て、待望の第2弾! 「亜世界からの侵入の危機にある世界を救え」と、主人公・神志那夢丸の前に賢者を名乗る「仁・オールランド」が突如現れた。政治家の父を恐れ、受験勉強と恋愛にストレスを抱える日常と、まるでRPGのように世界の危機に立ち向かう非日常が奇妙に交差する。失恋、同級生の自殺、秘密の墓地……心に暗い影を落とす過去を変えたいと願った夢丸が見たものとは?-「賢者避行」 僕はユーチューバーの息子、津村ユニス。幼少期の僕はすべてをコンテンツ化され、そのせいでずっといじめられている。ユニスなんて、どっかのアニメの神みたいな名前をつけた父親は、大人気ユーチューバーだった、そう、昔は。父親の命日。遺品の整理をしようと父の部屋に入った僕は「ユーチューバーの遺書」と題された原稿を発見した。-「ユーチューバーの末裔」 ユーチューバーの末裔 賢者避行
DV-声を上げられない被害者たちが、今日もどこかで心と体に瀕死の重傷を負っている。暴力夫から命がけで逃れ、江ノ島を望む風変わりなシェルターにたどり着いた紀子。その家には、ある一つの「ルール」があった。絶望の果てを見た女たちが生きる世界。究極のシスターフッド・ノワール。
αの玩具にされた過去を知っても、零士はレキから離れていかなかった。それどころかバイト先に現れた“初めて”の男・理人対策に「彼氏の振り」を依頼すると、必要以上に甘い言動を繰り返し、嫉妬まで見せだして!?恋愛感情のない“セフレ”のはずが、レキの心も思わず高鳴ってしまい…。他のαとは違うー。徐々に心を許しはじめたとき、今度は零士に熱愛報道がとびだし一波乱!?
10年愛され続けるロングセラー感動作が単行本化!ある日、高2のソウのゲタ箱に一通の手紙が入っていた。差出人は学校イチ可愛いと言われる同級生のルウコだった。それからふたりの秘密の文通が始まる。文通を重ねるうち、実は彼女が難病で余命わずかだと知ってしまう。ルウコは「もしも私が死んだら、ある約束を果たして欲しい」とソウに頼む。その約束には彼女が手紙を書いた本当の意味が隠されていた…。-生と死の狭間で未来を諦めず生きるふたりの純愛物語。単行本限定の特別番外編付き!
70万部突破のベストセラー 『すべての瞬間が君だった』の ハ・テワンによる3年ぶりの新作! 「読み終えて涙が出ました。いつも暖かい慰めになってくれてありがとうございます」 「今日の私の姿がそのまま文の中に込められています。大きな力をもらいました」 …感動の声続々!! あなたの心の奥底をゆさぶり、やがてあたたかさに満たす一冊。 偶然出会ったたった一行の 心のこもった文章が、 時にその瞬間を、 一日を、 これからの人生を乗り越える 力を与えてくれる。 人生のさまざまな瞬間に寄り添い、 ささいな日常をきらきらと輝かせる そんなことばがぎっしりつまったエッセイです。 本書の中には、 誰かを思うたくさんの心が込められています。 辛いのではないか。 痛いのではないか。 どうすれば慰めになるのか。 どうすれば愛をこめた言葉をかけることができるのか。 もっと勇気を与えたくて、 力になってあげたくて、 一歩近寄ろうとする気持ち。 ハ・テワンが読者に向けて発信する文章には、 このような愛に満ちています。 前作が70万部超えるほど長く愛されているのも、 彼に感謝の気持ちを表す読者たちの返事が毎日のように殺到するのも、 そのため。 本書は、多くの人が忘れかけていた 「愛」や「優しさ」を日常のなかにとり戻す一冊。 読めば、心の奥がゆさぶられ、涙と笑顔にあふれ、 やがて、心がふわっとやわらかくなることでしょう。
伯爵令嬢アネットは、国同士の絆を深めるべく魔人の国・アランダムに嫁ぐことに。恐ろしい魔神たちが棲む国……と噂されていたが、なんと結婚相手である魔王ゼルラクシュは、アネットが前世で全てを捧げていた推しだった! ひと目見た瞬間、あまりの萌え(と魔王のすさまじい覇気)で鼻血を噴出してしまう。このままでは推しに引かれてしまうし政略結婚のお役目も果たせない! 平常心を保つためにゼルラクシュのぬいぐるみを作って溢れる萌えをぶつけていたら、そこにまさかのゼルラクシュ本人の魂が入ってしまい!?
事故で国家魔術師の職を失ってしまったモニカ。実家からも見放され、魔術道具店で働き始めたところ、元同僚の魔術師・スヴェンが連日現れるように。彼は必ず月長石を買い、モニカに向かって不気味な笑みを浮かべるのだ。月長石の石言葉は「恋」。陰キャでコミュ障のスヴェンは石に託してモニカに思いを伝えようとする。しかしモニカには全く通じていないようで!?
夏、函館。 高校2年生のタクマ、フミナ、ナオヤ3人は、いつもと同じ教室でありふれた退屈な授業中。そんな時、教室の窓の外では驚くべき情景が広がっていた。函館が空襲を受けているのだ。目の前で起きている現実に3人は、どう立ち向かっていくのか。 日本中の数多くの町や村で人々が空から突然襲われた「空襲」。戦争が終わり長い年月が過ぎ、体験者が減少している。戦争体験の「風化」だ。現代を生きる主人公たちは何を感じ、どんなことを考えるのだろう。 「戦争被害」に覆い隠されている「戦争加害」にも目を向けた過去から現代の戦争にまでつながっている物語。
壮年の男女と元教師が四十年ぶりに修学旅行を再現した同窓会を企画する。 行き先は濤海灘に浮かぶ弥陀華島、別名星見島とも言われる離島。 宴席で久我陽一郎は、当時自分たちの高校をモデルにミステリを書いていたと告白する。 その夜、宿泊先で久我の死体が発見される。 折悪しく荒天のため、船が運航できず、天候が回復するまで捜査員は来られない。 宿にとどまった七人は、一夜それぞれの思いにふける……。 彼ら一人ひとりが隠している真実は、事件の全容をあきらかにするのか──。
新時代の特殊設定ミステリー作家、潮谷験が贈る「愛と記憶のミステリー」 「オスロ昏睡病」という難病から回復した患者は、身体の一部に薔薇の形をした腫瘍ができる後遺症を持つ。35年前に治療法を確立し権威となった医師が殺されたことを皮切りに「オスロ昏睡病」の患者が次々に襲われる事件が発生。自身もかつてその難病に罹った京都府警の八嶋警部補は、犯人の特定と難病治療がもたらした闇に挑む。
☆☆この挑戦、ネタバレ厳禁☆☆ ミステリランキングを席巻した二人による 驚愕と論理に満ちた世界へようこそ。 阿津川辰海が描く「奇怪な城の密室殺人」 VS. 斜線堂有紀が描く「死体と眠る犯人」 ミステリ新世代の圧倒的才能が、いま衝突する。 ーーー 本書には、あなたへの挑戦状が含まれています。 『紅蓮館の殺人』『透明人間は密室に潜む』の阿津川辰海と 『楽園とは探偵の不在なり』『廃遊園地の殺人』の斜線堂有紀が 「あなたへの挑戦状」というテーマで小説を書いて競い合う! 加えて、競作過程を描いたネタバレ満載の「競作執筆日記」と「ミニ対談」を収録。 阿津川辰海「水槽城の殺人」 ーー巨大な水槽のある円柱型の建物「水槽城」で怪死事件が発生。犯行当時、水槽で現場は隔離されていた。 斜線堂有紀「ありふれた眠り」 ーー犯人は犯行後、死体の横で一晩眠っていた。才能あふれる妹を持つ凡人の兄は、とある秘密を妹に話せずにいた。
飛行機であの世へ到着したという設定の「星座のひとつ」。姉への深い想いを綴る「はらから」。異国の船へ思いを馳せる「赤い靴」など、ハアちゃんと呼ばれた子どもの頃の記憶を描く、17篇収録の珠玉の作品集。自伝的掌篇小説集。
私は「男たちの夢」より自分の夢を叶えたかった、「書く」という夢をーー。女は、男たちのように芸術に関わってはいけないのだろうか、芸術を生み出すこともできないのだろうか? 大正から戦後の昭和にかけて、詩人、作家、評論家……さまざまな文学者たちとの激しい恋の果てに、互いに傷つけ合いつつも礼子がついに掴んだものはーー。時代に抗いながら創造する女を描き出した新たな代表作の誕生!