2022年発売
「明治維新が美化されすぎているような気がしてならない。維新は果してそんなに美しかったのだろうか。わたしはその答えを新選組のなかに求めてみたい。姿勢をできるだけ低くして、歴史の陰画を陽画に変えてみようと思っている。」(雑誌連載開始にあたっての著者予告文より) 司馬遼太郎『燃えよ剣』刊行の十年後、同じ「週刊文春」で連載を始め、編集部の忖度で中断した幻の作品、ついに書籍化。戯作者たらんとした作家の、差別解消への想い。
おっとりした性格の男爵令嬢フローラは、名門侯爵家の一人息子アドルフと幼馴染。容姿端麗で何でも完璧にこなす彼だがーーどこにでもつきまとってくるわ、すぐ嫉妬して怒るわで、極めて厄介な存在だった。実はアドルフなりの愛情表現なのだが、フローラには逆効果で二人の気持ちはすれ違ってばかり。ついには「結婚してあげる」とドヤ顔でのたまったことで、フローラの鬱憤が大爆発!「私は貴方が嫌いです!! だから結婚なんて絶対に嫌ーー!!!」本気の拒絶を目の当たりにした彼は動揺し、プライドをかなぐり捨てて方向転換を決意するが!?
ある日、魔女の隠れ家に住むミチカが川で洗濯していたら、どんぶらこと流れてくる何かを発見。拾ってみればそれは大きな桃……ではなく縦にも横にも大きな領主様だった!? 彼ーーハングリードは長年見た目のせいで周囲から侮蔑されることに悩んでいたが、ミチカは己の持つチート能力でそれが呪いであることを見抜く。ついでに魔法薬を作って呪いを解いたら、彼は目も覚めるような美丈夫に変身! その上、こんな自分に優しくしてくれるなんてと熱烈アプローチが始まってーー? 追い払っても度々川を流れてきては、贈り物や可愛いモフモフ達を置いていくハングリード。訳あって一生引きこもるつもりだったミチカも彼の訪れを心待ちにするようになり……
無実の罪で国を追われた王太子・サミュエルの妃だったヴァネッサは、田舎に逃れて男を装い、小説を書いていた。その内容はサミュエルを主人公にした復讐譚。物語は、主人公が王太子に復権し国王にまでのぼり詰め、いよいよ最終章となる恋愛編へ突入。だが恋愛のわからないヴァネッサは続きが書けない。そこへ突如サミュエルが現れて!? 「君の望み通り、この国の王になったんだよ」なぜか彼に執着されて、恋愛編の続きを実践することになり…?
一匹の精子として人格を得た「僕」は、気持ちいい羊水の中、胎児として平和な日々を送っていた、が、ある日、殺人事件の目撃者になってしまう。そして被害者は、なんと、とうちゃん、かあちゃん!?不思議な記憶をもつ僕の一生のお話です。
「逃げなきゃ。この女のそばにいるのは危険すぎる」 新人作家、汐田聖が目にした不倫妻の独白ブログ。ありきたりな内容だったが、そこに登場する「不倫相手の母親」に感情をかき乱される。美しく、それでいて親しみやすさもある完璧な女性。彼女こそ、聖が長年存在を無視され、苦しめられてきた実の母親だった。ある時は遠い異国で、ある時は港の街で。名前も姿さえも偽りながら、無邪気に他人を次々と不幸に陥れる……。果たして彼女の目的は、そして、聖は理解不能の母にどう向き合うのか? プロローグ 奈落の踊り場 馬鹿馬鹿しい安寧 戯れ カゲトモ きみに親はいない
大人気VRMMO『Frontier World Online』で可愛くて最強な幼女召喚獣ダリアをパートナーとしたダイキ。楽しく遊んでいるものの、エリア攻略においてどうしてもヒーラー役の必要性を感じ始めていた。しかし新しい召喚獣の話をしたところ、ダリアの態度がよそよそしくなってしまう。そんなモヤモヤを抱えながら迷い込んだダンジョンで、アンデッドモンスターと楽しく暮らす女性・菖蒲と出会う。召喚獣の情報交換をしているうちに、ダリアの本当の気持ちをダイキは知ることになりーー。新召喚獣に“姫の王”マイヤも登場! ますます賑やかに、幼女召喚獣とVRMMO世界をほのぼの満喫プレイする第3弾!
異世界「ヒルデベルト」に転移させられたアリサ。私が『聖女』でこの国の三人の王子のお妃候補?漆黒の髪で不愛想な第一王子イザヤ、銀髪で麗しい第二王子キリアン、赤い髪で人懐っこい第三王子ハルト。アリサは三人と交流を深めていくが、イザヤだけは「俺は聖女を認めない」と頑なに拒む。しかしアリサは彼の抱える苦悩に気づき次第に惹かれていく。そんな折、アリサが聖女特有の魔力障害で倒れてしまう。アリサを助けられるのはー王子の口づけだけ!?
無事にキリクとアマリアのお見合いを成功させ旅先から帰ってきたシウたち。だが二人の婚約によってラトリシア国の勢力図は大きく変化し貴族の間で大規模な政争が起こってしまったという。さらにヒルデガルドが悪評を吹聴したことも相まって、シウとアマリアは一部の貴族生徒から目の敵にされるようになっていた。そんなある日シウはヒルデガルドと偶然鉢合わせ口論となってしまう。その場を何とかやり過ごしたシウは騒動の最中に、ヒルデガルドを唆した黒幕がいることに気づく。シウはその黒幕の正体を突き止めようと動き出すのだが……!? 大人気異世界スローライフ物語、第13弾!
幼馴染から婚約破棄されてしまった貧乏子爵家令嬢のセシリア。 家族のため、なんとか没落を免れようと模索していた矢先 領主の娘の身代わりとして、元竜騎士で国の英雄の相棒だったエリアスの婚約者になることを命じられる。 実家の援助を条件に、変わり者と噂されながら隠遁生活を送る彼のもとに向かうと 出迎えたのはーーボサボサ頭に無精髭の大男!? 不遜な態度で「婚約者はいらない。俺付きのメイドになれ」と言われたセシリアはお屋敷で働くことに。 臆せず彼に接するセシリアに「お前、俺が怖くないのか」と詰め寄っていたエリアスにも徐々に変化が……。 そんな中、セシリアたちは領主から突然呼び出される。 エリアスには人を愛せない秘密があってーー。 呪いと孤独を抱え、愛を知らない男が、愛を知る令嬢に愛を誓う、異世界溺愛ファンタジー!
愛が消えるとき、歌が生まれた。 歌手、俳優、そして作家。多彩な才能を持つ荒木一郎が78歳にして四半世紀ぶりに送り出したのは、自らの代表曲「空に星があるように」を冠した大河青春小説である。60年代の映画・テレビ界を舞台に、荒木自身の彷徨する魂が躍動的な筆致で描かれる。 吉永小百合、岩下志麻、十朱幸代、大原麗子・・・同時代を輝いた女優たちとの美しい思い出の数々にはじまり、伝説のジャズバー「ありんこ」での不思議な交遊録、名曲「空に星があるように」誕生の秘密、「日本春歌考」ほか映画出演秘話など逸話が続々と披露される。 ーー他人を哀れむという感情とか、思い出の一部みたいなものではない。まるで自分が彼女自身を体験しているみたいな、頭や体の中に彼女の感情を痛みとして感じ取っているようだったーー本文より 愛が消えるとき、歌が生まれた。 これは荒木一郎の新たなる代表作である。 【編集担当からのおすすめ情報】 名曲の数々を送り出しつつスクリーンでも個性的な魅力を見せつけた希代のスターが送り出す自伝的小説。520ページを超える大作にもかかわらず、驚くべき逸話の連続。華やかな時代の映画史・テレビ史・音楽史を読み解く上でも必見の作品です。
「この小説は、フィクションを超えている」 当選したばかりの大統領は、予備選でライバル候補を支援してきた最大の政敵を国務長官に選んだ。 新たな国務長官エレン・アダムスは、過去四年間、前政権が犯罪的な無能ぶりを発揮して合衆国を死に体にしていくのを目の当たりにしてきた。 新大統領が議会で一般教書演説を始めた頃、国務省南・中央アジア局の女性職員のデスクに数字と記号だけが並んだ奇妙なメールが届く。 そしてその日の深夜、ロンドンで大規模な爆破事件が起きる。 翌朝、米国+英連邦4か国の諜報部門からなる“ファイブ・アイズ”の緊急会合が始まるが、そのさなか出席者の携帯電話が一斉に鳴った。 次なる爆発は、パリで起こった。 「あなたがたは怪物を解き放った。あなたがたには責任がある」 元アメリカ合衆国国務長官+英国推理作家協会新人賞(CWAニュー・ブラッド・ダガー)・アガサ賞受賞作家による、超一級の国際政治スリラー!! 「この小説がフィクションであり続けるかどうかは、私たちにかかっている」 国務長官経験者にしか描けない、米国安全保障戦略の複雑な内幕。 迫真のスリラーにして一気読み必至のページターナー。乞うご一読!
『エバ・ルーナ』から生まれた物語集 「お話をしてほしいんだ」「どんなのがいい?」「まだ誰にも話したことのないのがいいな」--お話の名人エバが言葉の糸を紡いで織りあげた、愛と復讐、小さな奇跡、さまざまな人生の物語。言葉を売る娘〈暁のベリーサ〉から大統領選用の演説を買った大佐、男がうっかりしていたばかりに47年間廃工場の地下室で幽閉生活を送ることになった女、サーカス一座の団長がひと目惚れした宝石商夫人に捧げた最高の贈り物、イラ族の娘の魂とともに旅をした先住民の狩人、町中の尊敬を集めるイネス先生が経営するホテルの宿泊客の首を切り落としたわけ、上流社会の仲間入りをするため一計を案じた成り上がり者の夫婦、独裁者最後の恋と密林に埋もれた幻の宮殿、土石流に襲われた村で顔だけを残して泥に埋まった小さな女の子……。〈現代のシェヘラザード〉アジェンデがその語りの才を存分に発揮した23篇、長篇『エバ・ルーナ』から生まれた珠玉の物語集。
語りの実験性を駆使した、超絶メタフィクション長篇 フィリピン出身のミステリー作家兼翻訳者マグサリンは、新作小説の案を練り始める。そこへ一件のメールが届くー送信者はその小説の主人公である、映画監督キアラだった。 キアラの父親も映画監督であり、1970年代にベトナム戦争中の米軍による虐殺事件を扱った映画をフィリピンで撮影したのち、失踪していた。キアラは、1901年にフィリピン・サマール島のバランギガでも同様の事件が起きていたことを知り、それをみずから映画化するために、マグサリンに現地での通訳を願い出たのだ。 こうして始まった二人の旅の物語に、キアラが書いた映画の脚本の主人公、1901年当時のサマール島に上陸したアメリカ人の女性写真家カッサンドラの物語が絡み合う。彼女が目撃するのは、米比戦争で駐屯する米軍と服従を強いられる島民という、支配と被支配の構図だ。マグサリンはその脚本に、実在の女戦士、フィリピン人のカシアナ・ナシオナレスを登場させる。かくして米比戦争の虐殺事件をめぐる物語は、さまざまに視点を変え、時空を超越して、交錯していく……。 フィリピン出身の作家が放つ、超絶メタフィクション長篇。
風が強く吹きつける日本海最北の離島、礼文島。昭和二十九年初夏、動物学者である土橋義明は単身、ここに赴任する。島の出身者から相次いで発見された「エキノコックス症」を解明するためだった。それは米粒ほどの寄生虫によって、腹が膨れて死に至る謎多き感染症。懸命に生きる島民を苛む病を撲滅すべく土橋は奮闘を続ける。だが、島外への更なる流行拡大を防ぐため、ある苦しい決断を迫られ……。
彼が激怒するのも当然でしょう? 出産まで妊娠に気づかないなんて。 優秀な一家でのけ者にされて育った気弱なキャリー。 ある日、高級ホテルの屋上レストランで、ブロンズ色の肌の 逞しい大富豪マッシモと出会って、ひと目で恋におち、妊娠した。 彼は投資の世界で一大帝国を築いた大物。私など相手にされないわ。 悩んだ末連絡したマッシモの冷淡な反応に、キャリーは傷つく。 その直後に出血し、子供を失った……。 7カ月後、市場で失神した彼女は、突然現れたマッシモに救われ、 運ばれた病院で女児を出産するーー妊娠は継続していたのだ! 「結婚しよう。それが子供にとって最善だ」 なんて悲しいプロポーズ。だってあなたを愛してしまったから。 誰もが羨む大富豪との結婚。でもそれは彼に愛されているからではなく、生まれてきた子供のため。ヒロインは名ばかりの夫が娘に注ぐ愛情のかけらでもいいからほしいと願いますが……。
オーラはずぶ濡れの下着姿で、異国の皇太子カリムの前にいた。皇太子は負債を返せなくなった彼女の牧場を買いに来たのだ。並はずれて凛々しい男性に、こんな姿を見られるなんて。屈辱感に震えつつも、オーラは着替えて契約の話し合いに臨んだ。ところがカリムは彼女に年齢を尋ね、22歳という答えを聞くと驚くようなことを言った。「僕の婚約者になってくれ」毎日泥と汗で汚れてばかりの、ろくにデートの経験もない私が?オーラが真っ赤な顔であわてていると、皇太子は冷笑した。「君と結婚するつもりはない。恋人らしいことをするつもりもだ」