2023年1月発売
芝居小屋の立つ木挽町の裏通りで、美少年菊之助は父親を殺めた下男を斬り、みごとに仇討ちを成し遂げた。二年後、ある若侍が大事件の顛末を聞きたいと、木挽町を訪れる。芝居者たちの話から炙り出される、秘められた真相とは…。
1942年、航空兵力の活躍により英東洋艦隊との決戦に勝利した日本は、ついに米国との戦いを決意、ミッドウェイ島南西250キロの距離まで艦隊を進出させる。だがこの戦力は、米軍が予測していた空母艦隊ではなく、あたかも島と見紛うほどの巨大戦艦であった。排水量128万を超え、全長全幅ともに大和型の三倍近くの大きさを誇る超極級戦艦「八島」は、脅威の64センチ主砲を武器とし、交換可能なコンクリートを建艦資材とすることによって、修復しつつ継戦可能な、まさに絶対的な不沈艦として誕生したのである。八島を擁する日本海軍は、米太平洋艦隊の要衝を次々と攻略し、いよいよ極秘作戦に着手するのだが…。
春菜は、自分は生涯絶対守ろうと自分に誓った。「自分の目で見て、自分の耳で聞いたこと以外のあやふやな話は絶対に信じない」と。十七歳の冬木春菜が、初めて体験したことは、少しだけ春菜を大人にした。明るいクラスメート・親切な先輩・良い先生たちに出会えて、初めは少し不本意だった山下女子学院高等学校が、春菜は何時の間にか大好きになっていた。昭和30年代ノスタルジックストーリー。
あの素晴らしい青春を、もう一度。1950年、大学の演劇クラブの活動を通して出会ったジャン(わたし)とナナ(宇佐美)。やがて彼らは、それが必然であったかのように恋に落ちていくー半自伝的恋愛小説。
朗々とした五代目海老蔵の声が耳に蘇る。役者の無理難題に応え、お客の誹謗中傷に耐え、座元の海千山千に弄ばれ、お上の無理無体に憤りながらも、六分の矜持と四分の熱を焔に、立作者・河竹新七は黙々と新作を世に送り出す。願うはただ一つ、「通じよ!」幕末明治の激動期、歌舞伎界を支え続けた“我国のシェークスピア”(坪内逍遙曰く)河竹黙阿弥の天晴な作者人生を描く!
元の生活に戻りたいと人が言う時の「元」とはいつの時点なのかー。あの災厄から十年余り、生活も仕事道具も攫われ、妻を喪った男はその地を彷徨い続けた。仙台在住の書店員作家が描く、止むことのない渇きと痛み。第168回芥川賞受賞。
趣味もなく学校でも進路に迷っていた綾。でも「ひし形屋」で、より子先生に南部菱刺しを教わって、世界が一変した!?-「魔女の菱刺し工房」。母が認知症となり、接し方に悩む香織。より子先生と一緒に無心で刺している中、あるアイディアを思いつく。-「ひょうたん」。長らく引き籠もっていたより子の孫・亮平。より子は静かに亮平を見守っていたが…。-「真麻の聴色」。青森の南部菱刺しをテーマに描く、手芸×再生の四篇。
特殊部隊“サイレント・コア”原田小隊は、台湾の若者を集めた即席部隊を指揮し、台湾北部の都市新竹の外れにいた。台湾軍第6軍団が敵に包囲されているサイエンスパークに睨みをきかせていたその頃、上海国際警備公司(S.I.S)-中国最大の民間軍事会社の傭兵部隊が、桃園国際空港に迫っていた。人民解放軍の新たな兵器も投入され、少年烈士団が詰める空港エリアに最大の危機が訪れようとしている。高度な飛行性能を誇るドローンや跳躍地雷の性能を持つドローン、脅威判定を瞬時に行い敵を葬るAI制御の四足歩行兵器…新兵器続々登場のシリーズ第八巻!
イギリス南西部の建築事務所で非正規社員として働くレベッカは、幼いときに父親が家を出ていってしまい、母親に育てられた。父親のレオには20年近く会っていない。ある日、男性記者エリスが取材目的でレオの行方を尋ねてきた。レオはかつてBBCの子ども番組に出演していた人気俳優だったのだ。エリスはレオが現在どこにいるのか見つけられないという。父親など存在しないかのように暮らしてきたレベッカが母親や親戚に聞いても、「ろくな男じゃない」としか教えてもらえず、生死すらわからない。だが、祖母がこっそり一冊の本を渡してくれる。それは、父親が自分のために書いてくれたらしいおとぎ話の本だった。レベッカはエリスの取材に協力しつつ、本を手がかりに父親を探そうとするが…。“収集家と水の精”“世界の果てへの航海”“魔女とスフィンクス”…7つの奇妙なおとぎ話が収められた本が、知らなかった父親の想いを描き出す。本をこよなく愛する著者が贈る、切なくも心温まる家族の物語。
自分の店を持たず、間借り営業を信条とする雅代さん。いつものほほんとしていて、ニコニコ笑顔を絶やさない一見、普通のおばちゃんだが、鮨を握らせたら銀座の一流店も顔負けの腕前。しかも、新鮮で貴重なネタを仕入れる人脈ももっている。そんな雅代のところには、間借り先の料理人や悩める若者から相談や困りごとが舞い込んでくるー。鮨だけではなく、相手の胃袋も心も握る雅代さんの魅力あふれるハートウォーミング鮨小説。
天才錠前師の錠二は元パン屋で盗みのパーフェクト・プロデューサーである太陽に出会い、彼のチームに参加することに。悪党からしか金を盗まない太陽のチームは完璧な四人組になりつつあった。だが、錠二は太陽にありもしない横領疑惑を向けられてしまい、太陽を撃ち殺そうとする…。その瞬間、世界は“銃弾が命中した世界”と“動作不良で銃弾が発射されなかった世界”に分かれてしまう。太陽に成り代わりチームのボスになる錠二、太陽とともに足を洗ってパン屋開店を目指す錠二。義賊とパン職人、正反対の並行世界を生きているはずなのに、運命はやがて交わることにー。結末はそれでも一つ!?奇妙な人生の並行世界ミステリー。
中学卒業後、入院していたすみれは、余命10年であることを知る。絶望するなか、誰かの見舞いに来ている同い年くらいの男の子の存在が気になっていた。退院し高校に入学、教室に向かうと、なんとその男の子“潤”がいた。彼は無口でクールだが頼りがいがあり魅かれていく。すみれは明るくふるまい、「死」の不安をごまかしていたが、潤だけが寄り添ってくれた。しかし、潤が病院に通っていた理由を聞いても、頑なに教えてくれない。彼が背負っている真実とはー。
家族紹介。うちは、母、80歳、認知症。姉、47歳、ダウン症。父、81歳、酔っ払い。ついでに私は元SMの一発屋の女芸人。45歳。独身、行き遅れ。全員ポンコツである。連載第1回だけで1200万PVを超えた「壮絶だけど笑って泣ける」家族のリアルな物語。
トロイア戦争、最後の年。トロイアの近隣都市リュルネソスが、ギリシア連合軍によって滅ぼされた。都市の王妃ブリセイスは囚われ、奴隷となった。主は、英雄アキレウスー彼女の家族と同胞を殺した男。ブリセイスは、やはり「戦利品」として囚われたイーピスらと、新たな日常を築いていく。ところが事態は急変する。アキレウスと不仲である総大将アガメムノンが、ブリセイスを無理やり自分のものにしようというのだ。男たちの争いは激化し、軍内部は混乱を極める。そんななか、女たちに与えられた選択肢は、服従か死か。だが、ブリセイスが選んだのはー。戦々の戦争小説を手掛けてきたブッカー賞作家が、西洋文学の起源にある暴力へ遡り、抑圧された者たちの声を高らかに響き渡らせる傑作歴史小説!
おかみさんから従業員までハイレグ和装の宿なんて…!異世界貴族に転生したアリストは、この世界で激レアな女性に優しい男。ふとしたトラブルで彼はウィメから遠く離れ、擬似宝石の産地バンドンへ出張するが、そこで待っていたのはわからせた過ぎるメスガキ会長のジュリエだった…!ジュリエに課された試験をこなすことになったアリストは、巨乳おかみのエマリーナからご奉仕マッサージを受け、爆乳ビキニアーマー娘のリリムとワイルドHして疲れを癒す。そんな中、有能アドバイザーのルステラから、この地方出張の裏である策謀があるのを知らされて…!?アリストは異世界人としての知見を駆使してバンドンの地で生まれつつある悲劇を回避し、ジュリエたちを苦しみから解放できるのか。異世界ハーレムファンタジー、待望の続編!