2023年11月発売
看護師のエミリーは、旅先で負傷したギリシアの裕福な老人に雇われ、アテネにある彼の屋敷に住みこんで世話をすることになった。老人の息子ニコは罪深いほど魅力にあふれた男性だが、父親とはいつも角突き合わせていて、優しさが感じられない。エミリーに対しても、父の財産を狙う女だと疑っている様子だ。あまりの邪推にエミリーは怒りをおぼえた。ところが落雷による停電で屋敷が真っ暗になったとき、触れ合った二人はいつしか唇を重ねていた。その瞬間、エミリーはニコのとりこになってしまった。彼の父から、息子は女性をおもちゃにする男だと言われていたのに。
数年ぶりに家族が顔を合わせることになった。複雑な思いをかかえて、吹雪のなか車を走らせていたメグは、あっと思った瞬間、誤って傍らの家の外壁に突っ込んでしまう。やむなく彼女は、一晩その家の主人ジェドの世話になった。彼はハンサムな外見に似合わず、世捨て人を連想させる男性だったが、翌朝、メグを実家まで送り届けてくれた。ジェドの顔を見るや父親が彼の素性を見抜き、家族は目を丸くした。彼が世界中に知られた作家のジェロード・コールだったなんて。おまけに彼は、メグと親しい間柄であるかのように振る舞っている。どういうつもり?事態はどんどんメグの手に負えない方向へーー。
クリスマス間近のその日、ヴァイオレットは新天地へ向かった。一夜限りの恋人との思い出を、大切に心にしまって。勤務場所は、世界一豪華な特急列車。彼女は乗客係だ。だが清掃に訪れたプレジデンシャル・スイートで、抱えていたクリスマス飾りを落としそうになった。ゴージャスで少し陰のある表情…。ローマン?忘れえぬ夜の男性は、世界的大企業のCEOで、新しい雇い主だったのだ!同じ日、まさかの妊娠が判明する。長い闘病生活に苦しみ、恋も結婚も諦めていた私に赤ちゃんが?「僕の子供を妊娠しているんだね。結婚しよう」
気づいたとき、ビアンカはたくましい腕に抱きあげられていた。飛行機が不時着し、同乗していた富豪クサントスに助けられたのだ。雪山の小屋で一夜を明かし、救出されて見知らぬ土地で過ごすうち、恋愛経験の少ないビアンカは冷酷だが魅力的な彼に惹かれていった。そして熱く誘惑されて純潔を捧げたあとも、彼と会いつづけた。都合のいい女になりたくなかったが、一緒にいたい気持ちは強すぎた。妊娠したときは、子供を望まないクサントスに伝えるのが怖かった。案の定、非情な富豪は他の男を夫にしろと告げ、彼女は悲嘆に暮れる。ところが、一人寂しくイブを過ごすビアンカを彼が訪ねてきて…。
スラム街で貧しいながらも家族とささやかな幸せを享受していたレーナは、突然現代日本で生きた記憶を思い出した。清潔な住居に種類豊富な美味しいご飯、たくさんの娯楽。そんな快適な生活と現在の環境を比べてしまい、スラム街の酷い生活にどうしても耐えられなくなってしまう。 吹けば飛びそうなボロい小屋で虫と共同生活なんて、元日本人の私には耐えられないよ! せめてもう少しだけ快適な生活を、外壁の外であるスラム街じゃなくて街の中には入りたい。そんな望みを持って行動を始めたら、日本人だった頃の知識で生活は思わぬ勢いで好転していきーー。 人並みの快適な生活を求めた元日本人の少女が、着実に成り上がっていく異世界ファンタジー開幕です!
両親の死で子爵家最後の跡取りとして残された1人娘のサーシャ=サルヴェニア。しかし、子爵代理の叔父はサーシャに仕事を丸投げし、家令もそれを容認する始末。 ここは、交通の便がよく鉱山もあり栄えている領地だったが、領民の気性が荒く統治者にとっては難所だった。 そのためサーシャは、毎日のように領民に怒鳴両親の死で子爵家最後の跡取りとして残された1人娘のサーシャ=サルヴェニア。しかし、子爵代理の叔父はサーシャに仕事を丸投げし、家令もそれを容認する始末。 ここは、交通の便がよく鉱山もあり栄えている領地だったが、領民の気性が荒く統治者にとっては難所だった。 そのためサーシャは、毎日のように領民に怒鳴られなが、馬車馬のように働く羽目に。 そんなへとへとに疲れ果てた18歳の誕生日の日、婚約者のウィリアムから統治について説教をされ、ついに心がポッキリ折れてしまった。サーシャは、全てを投げ捨て失踪するのだが……。れなが、馬車馬のように働く羽目に。 そんなへとへとに疲れ果てた18歳の誕生日の日、婚約者のウィリアムから統治について説教をされ、ついに心がポッキリ折れてしまった。サーシャは、全てを投げ捨て失踪するのだが……。
肉狩りから王都に戻ったケータたち一行は、城内でギャン泣きする赤ちゃんを見つける。 泣いている理由を考えていると、隣国の王太子であるハルトグレン殿下の様子がおかしいことに気づくケータ。 よくよく見てみると、どうも呪いがかけられているようでーー ゆるゆると自由気ままな生活を満喫する幼児の異世界ファンタジー、第五弾!
侯爵令嬢キーラ・ヴィ・シャンディスは、婚約者のレグルス王から婚約破棄を告げられたうえ、無実の罪で地下牢に投獄されてしまう。 失意のキーラだったが、そこにリュジーと名乗る悪魔が現れ「お前の人生をやり直すチャンスを与えてやろう」と誘惑。迷ったキーラだったが、あることを条件にリュジーと契約して人生をやり直すことに。 2度目の人生では、かつて愛されなかった婚約者に愛されるなど、一見順調な人生に見えたが、やり直した人生にどうしても納得できなかったキーラは、最初の人生に戻すようにとリュジーに頼むのだが……。
ある日、皇太子に呼び出されたクロードの帰りを心待ちにしていたリーシャだったが、翌日公爵家に訪れたのはなんと国軍。 話を聞くと、クロードに謀反の疑惑が浮上したとのことだった。 クロード不在の公爵家を守ろうとするも、邸宅内捜索に押し切られそうになるリーシャだったが、クロードの父アンドレの加勢により事なきを得る。 どうやらこの一件には第二皇子、そしてロザリモンドの実家が絡んでいるようでーー 三食昼寝付き生活を目指す公爵夫人の奮闘記、第四弾!
ディケンズ研究の第一人者である訳者によってこれまで邦訳出版された全小説作品や寄稿集を修正・改訳したものに,全12巻からなる書簡集を加え,日本で初めての全集として刊行開始。今回の第5回目の配本は,1838年から39年まで月刊分冊の形で販売されて人気を博し,今日においてもなお映画化・テレビドラマ化されることの多い,代表的長編小説の前半部。正義感が強く血気盛んな青年ニコラス・ニクルビー。父の急逝後,母妹とともに狡猾な高利貸しの伯父ラルフ・ニクルビーをロンドンに訪ねるが……。伯父の謀略によって惹き起こされる困難を克服しつつ繰り広げられる波瀾に富んだ物語。
アレシダス王国の転覆を狙う悪徳公爵の次男なのに、国を救った英雄がいた。名をリューク。全人類を眠らせる固有魔法“睡眠”を扱う最強の魔法使い。だがその正体はーグータラ生活をこよなく愛する、だるだる転生者で!?彼の夢は、“気持ち良さ100%のお昼寝”の実現ただそれだけ。人助けするつもりなど毛頭なく、ただ快眠のために眠りを妨げる者を“永遠の眠り”につかせていただけだった!すると邪魔者たちが国家転覆を目論んでいる父の派閥と判明し、戦争を止めるためイヤイヤ働かないといけなくなって…?「ボク、もう眠いんだけど?」脱力系王子がお昼寝のために世界を救う、マジカル・サボタージュファンタジー!
「殿下、私と一緒なら安全ですよ?」 生きづらさを抱えるはぐれもの二人が手を繋ぎ共に生きていく、年の差・リリカルファンタジー! 書き下ろし番外編収録! コミカライズ決定!
「小説家になろう」年間1位の人気作!(ローファンタジーランキング/2023年7月時点) 強者揃いの式神を手に、いざ前代未聞の海戦へ! とある陰陽師が地獄から返り咲く無双萬屋、第二弾! コミックス第1巻同月発売! 書き下ろし番外編収録!
続々大重版!シリーズ累計15万部突破!(電子書籍を含む) コミックス1巻も大好評発売中! 「リュシー、はやくオレの奥さんになって?」 溺愛暗殺者と婚前最後のバカンスへ! 無垢な王女と腹黒アサシンの年の差・偏愛ファンタジー第5弾! 書き下ろし番外編+コミカライズ第4話試し読みを特別収録!
常識知らずはお仕置きよ! なんでも欲しがる自称サバサバ女さんをいざ成敗! 読めばスッキリ、共感型痛快ファンタジー第2弾! 書き下ろし番外編収録!
見えない場所、聞こえない声、いまだない言葉 語りえない物語のために 詩が広く愛されている韓国において 文学性と社会性を兼ね備え、深く心に刻まれる詩を紡ぐ キム・ソヨンの単著詩集を初邦訳。 韓進自動車の労働者の闘争に寄り添って書かれた「主導者」、 映画「詩人の恋」で朗読された「だから」など、49編を収録。 第八回日本翻訳大賞受賞作『詩人キム・ソヨン 一文字の辞典』の監訳者 姜信子による翻訳でお届けします。 「詩は読み解くものではなく、生きるもの。 埋めるべきものがあるとすれば、 それは、詩を生き、旅を生きる自分自身の空白なのですから。 この詩集を手に取って旅人となったあなたも、それは同じ。 今さら気づいても、もう引き返せない。 (ああ、なんてこと、キム・ソヨン!)」 ーー姜信子(訳者あとがきより) ーーーーーー 「セレクション韓・詩」は、 韓国語で紡がれた同時代の詩のことばを贈るシリーズです ーーーーーー 第一部 遺書なき皮膚を軽蔑します 陰/ああ、バートルビー/主導者/数学者の朝/だから/おもちゃの世界/平澤/そういうこと/定食/愛と希望の街/オキナワ、チュニジア、フランシス・ジャム 第二部 痛みは若葉の色に 旅人/ひとり/反対語/激戦地/痛みは若葉の色に/ワンルーム/一味ども/夜明け 第三部 便りが必要 熱帯魚は冷たい/重なりあう椅子/望遠洞/外に生きる人/郵便受け/噓/ほこりの見える朝/誕生日/風船人間 /坑/別れる者のように/内面の内情/誰かが隣でしきりに問いかける/ふたり/秘密の花園/傾きについてーシン・ヘオクに 第四部 河と私 異邦人になる時間/河と私 第五部 遠い場所になりたい 未来が降りそそぐなら/失敗の場所/ふとんの不眠症/広場の見える部屋/幸いなること/メタファーの質量/終バスの時間/在ること、成ること/二十回の二十歳/ほんとにほんとに楽しかった/ガリバー/玄関 解説 凛々しく悲しくーーファン・ヒョンサン 訳者あとがき ああ、なんてこと、キム・ソヨン!
北鉄(東清鉄道)のソ連から満鉄への譲渡は、そこに従事する鉄道員の生計に多大な影響を及ぼした。満鉄に勤務しつつ、「満人もの作家」を自任した著者は、五族協和の理想の下に有りながら、諸民族間の軋轢に翻弄される鉄道員たちの現実を描いた。第八号転轍器、窓口、一時期、木の芽立、帰去来、春遠胡同、寒駅、北の沃野の8編の小説の他に、著者の文学的立場を述べた満洲文学私観、随筆の哈爾浜の憂鬱を併録。
愚直な男の恋愛ストリー及び複雑な人間関係を描いた作品。 概要(あらすじ) 恋愛にも、社会生活にも不器用そうな主人公の行く末が気になるなる作品。主人公の武田はシェアハウスに入居し、パートナーを見つけられるのか。物語はその点にとどまることなく、中盤以降思わぬ展開を見せる。他力本願のまま流されて行くように吸い込まれていく。しかし心のどこかで素敵な出会いを…というのか寂しさも見え隠れする。 北海道から東京に転勤してきたバツイチサラリーマンの武田。ある日ひとり寛いでいた武田に突然近寄ってきた白髪ロングヘアーの男・北守は、自分が運営する独身者対象のシェアハウスに入居しないかと、武田を執拗に勧誘する。彼が半ば強引に入居することになったのは、亀戸にある男五名、女六名が住むシェアハウスだった。メンバーのうち、山田幸子に惹かれた武田。「一週間単位の交代で付き合う」という試みが始まるも、最初の相手奥野里美とは、ほとんど話しも噛み合わない。果たして武田は山田幸子と結ばれるのか?当初の焦点は、その一点に絞られていく。武田はどんどん山田幸子にのめり込んでいく。こうなると見えるはずの景色も見えないくらいに麻痺していった。後半には、思わぬ展開が待っている。短い期間の中、シェアハウスで男女問わず様々な個性的人間たちと接し、短くて長かったかのような濃かった時であった。「北守との出会いは偶然ではなく、必然であった。」といえるくらいに武田と北守との関係にも注目である。 最後に武田は幸せにありつけたのか?それとも不幸のどん底に落ちたのか?
「黒蟹とはまた、微妙ですね」 微妙、などと言われてしまう地味な県は全国にたくさんあって、黒蟹県もそのひとつだ。 県のシンボルのようにそびえたつのは黒蟹山、その肩に目立つ北斎が描いた波のようにギザギザの岩は、地元では「黒蟹の鋏」と呼ばれ親しまれている。県庁や裁判所を有し、新幹線も停まる県のビジネス拠点としての役割を担う紫苑市と、かつての中心地で歴史的町並みや重要文化財である黒蟹城を擁する灯籠寺市とは、案の定、昔からの遺恨で仲が悪い。空港と見まごうほどの巨大な敷地を持つショッピングモールの先には延々と荒れ地や牧草地が続き、廃業して解体されてしまって今はもう跡地すらどこだかわからない百貨店に由来する「デパート通り」はいつまで経っても改称されず、同じ姓を持つ住民ばかりの暮らす村がある。 つまり、わたしたち皆に馴染みのある、日本のどこにでもある「微妙」な県なのだ。 この土地に生まれ暮らす者、他県から赴任してきた者、地元テレビ出演のために訪れた者、いちどは故郷を捨てるもひっそり戻ってきた者、しばしば降臨する神(ただし、全知全能ならぬ半知半能の)。そういった様々な者たちのささやかでなんてことないが、ときに少しの神秘を帯びる営みを、土地を描くことに定評のある著者が巧みに浮かび上がらせる。