2024年5月発売
かつての仇敵である偽の聖女レティシアと、その恋人クロードの結婚式。 その裏に潜む陰謀を、エリアーヌたちは謎の男ファーヴの力もあって解決した。 だが、ドグラスによれば、ファーヴはかつて彼の親友であったが、 その後ドグラスをーーそして仲間のドラゴンたちを裏切り、 竜島のすべてを黄金に変えてしまった存在らしい。 そんなファーヴが、エリアーヌを連れ去ろうとする。 ファーヴによれば、いまだ黄金と化したままの、 聖女シルヴィーーファーヴの大切な恋人ーーを救うため、 エリアーヌの力を借りたいとのこと。 ファーヴのことを信じると決めたエリアーヌは、 ドグラスやナイジェルとともに、竜島へと向かうが……!?
「君は金にがめつすぎる。婚約を破棄させてくれ」 ずっと王妃教育を受けてきたベアトリーチェは王太子に婚約破棄を告げられた。毎晩開かれる無駄なパーティー。浮気相手に送る豪華なドレスの数々。ベアトリーチェは最後に臣下として浪費を抑えるように進言するも、逆に『金の亡者』と虐げられ、王宮から追放されてしまう。 しかも、王太子は自分の借用書を実家に擦り付けて来た。 「お前のせいで領地が潰れるではないか! どうしてくれるんだ!」 領地を立て直そうと一生懸命だったのに、ベアトリーチェは父に『ブタ公爵』と名高い辺境のアベル・オルロー公爵に売られ、借金のカタにされてしまった。 しかし、オルロー公爵領は荒れ地で有名。 城もボロボロ、収穫は見込めず、辺境に相応しい有様だった。 「この領地には無駄が多すぎます!」 ベアトリーチェは公爵領の改革を決意する。成金令嬢と呼ばれたトラウマから最初は尻込みしていたが、なりふり構っていられない。 改革が進むにつれて税収も上がり、順調に借金を返済していく。 そしてオルロー公爵も『ブタ公爵』からだんだんと変わってきて……。 「俺の容姿を気にせず旦那と呼んでくれた君を、心から愛している」 「私は異性からの愛よりお金のほうが好きです」 これは、ちょっとズレた令嬢と距離感のおかしい公爵のじれったい恋愛譚。
「10億円ほど稼いでみぃひんか」。亡き父の友人だという山井からの提案が、地獄の日々の始まりだったー。東大阪の施設に本物の「ピカソ」がある。それを一時的に持ち出しすべてデータ化して、本物そっくりの贋作をつくり、売る!にわかには信じがたい話だ。しかし、元学芸員の下調べで真作認定済み、絵を持ち出す段取りも終えているという。狙うは中国人メガコレクター。騙し通せれば40億円以上での売却も夢ではない。チーム4人で割れば、一人頭10億円。だが、バレたら死が待っている。多額の借金を抱えていた佐村は、この危険な賭けに乗ると決意する!
セルビア共和国出身の著者が日本語で執筆した渾身の13篇。この世の不条理には、想像力とユーモアで立ち向かえ。誰もが知る名作や聖書から着想を得た、不思議な物語がここに。独自の文体と世界観に圧倒される実験的作品集。
春造は、いつも道端にしゃがみ込んで虫や草花をながめています。そんな姿についたあだ名は“しょぼくれしょぼ造”。ある春の日、突然のカミナリで両親を亡くしてしまった春造は妹のオトを守るため生きていくことを決意します。大切なものを守りながら大人へと成長してゆく物語。
幼い頃から母のいないリリは、赤ん坊時代の自分の写真を見て、自分はいったいどこから来たのか、母はどこへなぜ行ってしまったのかと疑問を抱いてきた。父が再婚し、祖母を亡くしてからは、継母ヴィヴィアンや異母兄姉との関係を模索しながらも心からは馴染めずにいた。ある日、家族そろって出かけたピクニックで写真を撮るため、子どもたちはぎゅうぎゅうに身を寄せ合った。それが悲劇につながるとは知らずに…。やがて兄姉たちがそれぞれの道に進んでいく一方、リリはどこへ向かえばいいのかわからず、左翼グループと共同生活をしてみたり彫刻に打ち込んでみたりするものの、どれも長続きせずさまよう。リリは愛する人を見つけ、自分の居場所にたどり着けるのか。知りたかった秘密は明らかになるのか。自分自身や周りの人間と向き合うことの尊さを詩的に静謐に描く。
20世紀の『戦争と平和』、戦争を貫くヒューマニズム 『人生と運命』(みすず書房)の読者が待ち望んだその前編となる全三巻。人情味あふれる物語が居間のランプに照らされ、戦場の火炎に炙られる。市民と兵士に、さらにはドイツ兵にも同情の視線が注がれたポリフォニックな群像小説。 本書は1942年4月のヒトラーとムッソリーニ会談から、主人公の一人クルイモフがヴォルガ川を渡ってスターリングラードへ入る9月まで、5カ月未満の物語だ。冒頭、コルホーズ労働者が召集令状を受け取る心理描写の細やかさは、本書の典型的特徴だ。「老練な赤軍の将軍、新米の民兵、恐怖におののく主婦を描くとき、グロスマンは分け隔てのない思いやりと敬意をこめてペンをふるう」。そして「スターリングラード駅防衛戦の描写は『イーリアス』に匹敵しよう。グロスマンが描く、24時間以内に確実に死ぬことを知っている若者たちの内面描写は真に迫っている」。 本書は、英国のロシア文学翻訳家チャンドラー夫妻の校訂による、検閲・削除された原稿の追加を含む改訂英訳版(2019年)からの邦訳となる。
鬼才の魅力を多彩な短篇で 『ラナーク』『哀れなるものたち』で知られるスコットランドの伝説的鬼才の短篇集が、待望の復刊! ファンタジーとリアリズム、笑いと哀しみ、アイロニーとウィットが混淆する饒舌な語りに思わず舌を巻くが、目に飛び込んでくる異彩を放つイラストも、作家自身の手になるもの。アリ・スミスをして「現代のウィリアム・ブレイク」と言わしめたグレイの多彩な魅力が存分に詰め込まれているのが本書なのだ。 学校を牢獄のように感じる〈わたし〉が、外へ出る想像上の〈ドア〉を恩師から授かる「ミスター・ミークル」。窒息するような現実から逃れようとする夢や欲望が、本書では多様なジャンルを横断しながら変奏される。コンピュータが導入された会社内でのちぐはぐぶりを皮肉った「内部メモ」。軟派で洒落者の鼻持ちならないイングランド人の男を揶揄した「あなた」。おしゃべりな歯医者に治療される不安と恐怖が迫る「トレンデレンブルク・ポジション」。なぜ靴下にガムがくっついているのか、その原因を綿密に理論化して可笑しい「時間旅行」。囲い込まれた世界に嫌気がさした男が、夢のような新しい移住先で体験する破滅の寓話「新世界」など──粒ぞろい短篇をほんの十ほど。
少女の呪いを解く幻の霊薬を求めてーー 古(いにしえ)の魔導国へ!! 無口なSランク魔法使いの少女テレサとSランクに昇級した冒険者ガリオン。 二人はテレサにかかっている沈黙の呪いを解く方法を探していた。--そんなある日、あらゆる状態異常を回復させる “霊薬”の素材「バイコーンの角」を手に入れる。 しかし肝心の霊薬を作製できる錬金術師がジームレス王国にはいなかった。 かくして彼らは元錬金術師であるエミリーの協力を仰ぎ、1200年の歴史を持つ魔導国ガーデナルへと向かう! そこで出会ったエルフの錬金術師エルメジンデに霊薬の作製を依頼するが、 無理難題の条件を突きつけられて……!? 新米Sランク冒険者と無口なSランク魔法少女の最強パーティ冒険譚、第二幕!
私は軍人です! 愛する友達を護るためならば、私は喜んで剣を振るおう! 学園祭の魔物騒動は、マジェンダ帝国による宣戦布告だった。戦争が始まり軍人として前線に立つことになったラゼは、セントリオール皇立魔法学園を退学する。皇国はあらゆる兵器を使う帝国に苦戦していたが、軍の上層部がラゼに単身での帝国潜入及び破壊工作を命じて……!? 一方で、ラゼの退学を知ったフォリアたちは、彼女と連絡を取ろうとするが、家も仕事も過去も何もかも分からずじまい。それもそのはず、ラゼ・グラノーリは偽名であり、彼女の本来の姿は名誉貴族で、最強軍人であることが判明しーーフォリアたちは友達と再会するために戦地へと向かう! 前世知識と軍人としての技能をフル活用して、ミッションコンプリートです! どうか天の導きがあらんことをーー! 軍人ラゼの異世界転生ラブコメディ第五弾♪
奈緒は、夫の仇を討つため、義父の文二郎と信州から江戸へやってきた。ふたりは暮らしを立てようと、深川で薬屋を営むが、医者である文二郎の元には、貧しく医者代の払えない病人やけが人が次々と駆け込んでくるようになっていた。そんなある日、深川の芸者・捨て丸が、惚れ薬を作ってほしいといってくる。捨て丸の相手は、なんと有名な本草学者であった…。奈緒たちは、藩の秘め事に巻き込まれながらも、市井の人々のたくましさと優しさに触れ日々の暮らしを愛するようになるがー
世界を賑わすエンタメ「ダンジョン攻略配信」。その配信の中でも、蒼谷アサヒは世界最高クラスの実力者で、数少ない「レベル十」武器の使用許可を保持する超天才だった。 一方、そんな天才の兄である主人公・ミカゲは、弟と対照的に「凡人」と評される程度の実力しかなかったが、昔からの憧れを追い続けるため、だとえ才能が無くともひっそりとトレーニングを続けていた。 そんな折、とある配信でA級攻略者に目をつけられたミカゲは、それを契機に波乱万丈すぎる「非凡」の道を進むことになっていくーー!
1923年秋、結婚式のために集ったデルタ地方の大農園一家の日常を、主に5人の白人女性の複雑な内面を通して緻密に描き出す。アメリカ深南部ミシシッピの作家ウェルティによる傑作長編小説、57年ぶりの新訳。
第二次大戦後に分断され、再びひとつの国に統一された日本。だが東西の格差は埋まらず、東日本の独立を目指すテロ組織が暗躍し……。意図せずテロ組織と関わることになった一条昇と、その幼馴染で自衛隊特務連隊に所属する辺見公佑の二人。社会派エンターテインメント巨編。
悲愴な従軍経験による悪夢にうなされながらも、名古屋で探偵社を営む草萊一子地。彼は、流暢な日本語を操るドイツ人女性ハンナから、関東大震災以来、行方の分からなくなった母・貞子を捜してほしいとの依頼を受ける。しかし、調査を進めるうちに、社会主義者との深い繋がりに加え、殺人事件の実行犯としても貞子の名前がちらつき始める。彼女の姿に迫る草萊は、いつしか国を揺るがす禁忌に近づいていたー。乱歩賞作家が13年振りに放つ、渾身の探偵小説。
遠い未来のスペースコロニーで、亡くなった叔母の弔いを巡る情景を描いた表題作のほか、商業媒体やウェブ媒体で発表した池澤春菜のSF短篇を集成。人間が異文化と接するときの情景や、未知なる動植物の生態をときにコミカルに、ときに抒情的に描き出す傑作集。
【内容説明】 鳴り響くアメリカ国歌、銃声。逃げ惑う住民が辿りついたのは元大統領邸宅(モンティチェロ)だった……。近未来アメリカを舞台に、トマス・ジェファーソンと奴隷の間に生まれた女性を先祖に持つ女子学生が、暴徒化した白人至上主義者から逃れ、因縁の場所で運命と対峙する表題作をはじめ、全6編を収録したデビュー作品集。バージニア州シャーロッツビル周辺を主な舞台に、人種差別や経済格差の問題等、さまざまなテーマを内包する中編(表題作)1本と短編5本を収録。本書は、全米批評家協会賞ジョン・レナード賞最終候補、ニューヨーク・タイムズ紙2021年ベストフィクション10冊に挙げられた。2022年リリアン・スミス図書賞受賞。 (原題 My Monticello) 【著者略歴】 ジョスリン・ニコール・ジョンソン(Jocelyn Nicole Johnson) バージニア州レストンに育つ。ジェームズ・マディソン大学で美術と教育の学位を取得し卒業。公立小学校の教師として視覚芸術を指導。デビュー作となる本書で、リリアン・スミス図書賞、バージニア図書館フィクション賞を受賞。PEN/フォークナー小説賞のロングリスト、全米批評家協会賞ジョン・レナード賞最終候補等にも選ばれた。