2024年8月28日発売
5つの短編に待ち受ける、予想外の驚愕の結末! あなたはもう、以前の家族には戻れない。衝撃の令和の家族像。 「母という禍、家庭という地獄。 ひょっとして獄吏は自分自身なのかもしれない」 ーー中島京子(小説家) <崩壊する家族を描く、衝撃の連作短編集!> セメタリー ワンピース ビースト エスケープ アフェア <書評家も絶賛> 「よくぞこの全人類にとって厄介で気になりすぎる母という存在を描き切ってくれた。不謹慎なほどの面白さ!」--マライ・メントライン 「作者がエールを送っているのは、母という名の女性たちなのだ。母親という呪縛に囚われている、すべての女性たちなのだ」--吉田伸子 母と娘の関係性はたくさん書かれているが、これは、母とかつて母だったものとの物語だ。 アニメのような三世代家族から独立して家庭を持った青年が、コロナ禍の間に立て続けに身内が亡くなった実家に久々に帰る「セメタリー」、過労によるうつ病で医師の仕事をやめて離婚した兄から、その身を案じながら亡くなった母の一周忌を前に再婚の知らせが届く「ワンピース」、娘が嫁いで一人残された高齢女性が、やがてマンション内で鞘当てが起きるほどに華やかに変貌していくさまを管理人の目から見た「アフェア」など、「母」という名に隠された一人の女性としての“本当”の姿を描き出す、直木賞作家渾身の家族小説!
ミステリ界の気鋭による至高の警察捜査小説 静岡県北の廃村で、誘拐されたまま行方不明になっていた少女の白骨遺体が見つかった。10年前、静岡県警は誘拐犯に身代金1千万円を奪われ、少女は戻らず、事件は迷宮入りとなっていた。静岡県警静岡中央署の日下悟警部補が捜査に着手すると、当時は判明し得なかったいくつかの事実が明らかになる。腎臓に持病を抱えていた被害者の事情、誘拐事件関係者のその後、遺体が見つかった廃村の「子供の泣き声がする」という噂話。静岡県警は実直な捜査で核心に迫るが、新たな事件が起きてーー 【編集担当からのおすすめ情報】 江戸川乱歩賞受賞作『誘拐児』やドラマ化された『真犯人』など、“誘拐”をテーマとした作品を多数手がけて評価を集める気鋭・翔田寛さんによる、新たな傑作誘拐ミステリです。静岡県警の実直な捜査に手に汗握り、謎に包まれていた誘拐事件の真相に驚かされる、重厚な警察捜査小説が誕生しました。
誰も知らないあなたの過去が、もし、小説で暴かれていたらーー。 言葉で私たちを攻撃する魔者は誰だ? SNSの炎上、加熱する週刊誌報道……人の不幸を喜ぶ人間がいる。 ──お前たちを守るため、人間を喰おう。そうしよう。 衝撃のデビュー作『ジャッジメント』の著者、書き下ろし長篇ミステリ
「神」とまで呼ばれた天才少女はなぜ、自身の手がける舞台の上演中に死んだのか? 演劇女子学校に入学した結城さやかは、劇作家を目指している。同学年には同じく劇作家志望で、学内一の天才と謳われる設楽了がいた。了は俳優の能力を引き出し、観客を魅了する舞台を作り上げる卓越した才能をもっていた。了の手がける舞台に上がりたい、了に認められたいと俳優志望の生徒達はこぞって渇望する。次第に周囲から「神」とまで崇められた了は、横暴な振る舞いをしても良い舞台を作るためだと許された。しかしそんな了は突然、自分の手がける演劇の上演中に舞台から転落死する。不幸な事故だと片づけられたが、翌年の春に入学してきた新入生・藤代貴水は全校生徒の前で高らかに宣言した。「わたしは、設楽了の死の真相を調べに来ました」--さやかは貴水に巻き込まれる形で、了と生前の関わりのあった生徒を調べることになり・・・・・・演劇を愛する生徒達が内に潜んだ「殺人者」を暴き出す、眩く鮮烈な学園ミステリー!
2024年8月、パリ五輪閉幕直後にアメリカ西海岸大地震が発生。28年のロサンゼルス夏季五輪開催が困難となり、東京代替案が浮上。スポーツマネジメント会社社長の猪野一斗は東京五輪2028の開催に奔走することに。汚職に塗れてしまった2020年大会のリベンジを果たすことはできるのか。予算10分の1、画期的なIT技術の導入、史上最大の1000億円クラファンーースポーツの未来を切り開くため、猪突猛進のサラリーマンがあらゆる妨害と困難を乗り越え、「夢の祭典」を再生する。逆転と感動の企業エンタメ小説!
大学生の琴葉は、飲み会の後にお持ち帰りされそうになっていたところを助けてくれたシマくんにひとめぼれする。すげないシマくんに振り向いてもらうため、彼が傾倒している「本当に障る話」の調査を手伝う琴葉だが、どうやら琴葉は霊や怪異を寄せる体質らしく、いつも命の危険があるような危険な目に遭ってしまう。 その度に大いに反省し、もうやめようと思うのだが、シマくんの素晴らしく良い声で誘われるとどうしても誘いを断ることが出来ないのだったーー。ホラー小説界最注目の才能が放つ新感覚のエモーショナル・ホラー!
第二王女のカタリーナは、姉のお見合い相手・アスラート王子を見た瞬間、お互い同時に前世の記憶を思い出してしまう。一緒に非業の死を遂げ、来世こそ結婚しようと誓いあった仲であることを。アスラートは目を輝かせてすぐさま熱烈求婚するが、今世では性格も考え方も変わってしまったカタリーナは終わったことだとけんもほろろに拒否。それでも彼の猛アタックに気持ちは揺れ動く。しかし姉からアスラートのことが好きだと告げられて!?
うっかり口にした媚薬のせいで、若き公爵リディウスと一夜を過ごしてしまった男爵令嬢フレア。彼とは良き友人同士だったのに何てこと! その後抵抗する間もなく結婚したけれど、仕事に生きるフレアに公爵夫人の座は荷が重い。そこで新婚早々、法律で離婚可能な半年後に別れることを彼に相談。一方、ずっとフレアに片思いしていたリディウスは大いに焦る。関係を壊すのが怖くて告白できずにいたが、そうも言っていられない。この半年でせめて恋愛対象に昇格すべく、ある作戦を立てるのだがーー。恋には超鈍感な令嬢と友人ポジションに耐える貴公子の、すれちがいだらけの新婚ラブストーリー!
悪女と蔑まれながらも、王国に害をなそうとする王妃を欺き、国を守るため奮闘してきた王女クラリッサ。そんな彼女に急な縁談が舞い込み、しかも相手は初恋の皇子様ラウレンツ!? 戸惑いながら喜ぶも、この婚姻の裏には嫁ぎ先の帝国との軍事同盟があることを知る。兄から与えられた任務は帝国社交界で立場を築くこと。「必ずこの役目、果たしてみせます」覚悟を新たに嫁ぐが、再会したラウレンツのあまりの美声に陶酔してしまう。そんなクラリッサに彼はどこまでも冷たい態度でーー。「やはり、噂は本当だったか……」このままじゃ兄との約束も守れない上、初恋の人に完全に嫌われ状態!? なんとかして噂を払拭し、完璧な淑女を目指します!
『テス』に隠された双面神ヤヌスー。 19世紀のイギリス文学を代表する小説の一つトマス・ハーディ作「ダーバヴィル家のテス」。 ーヒロイン・テスの悲劇的な一生を描いた本作は、なぜか「門」や「出入口」などへの言及が多い。 テスの運命を翻弄する二人の男の名前、クレアとアレックは、よく見ると一字違いのアナグラム(字句の入れ替え)。 ーこれらは何を意味するのか? 筆者はそこにローマ神話の双面の門神ヤヌスの隠れた存在を見抜き、ヤヌスを鍵にして物語を読み解いていく。 ギリシア・ローマ神話や聖書や、シェイクスピアやミルトンなど、西欧文化史を彩る多様な成果を縦横に駆使しながら、入念に織り上げたテクスチュアから立ち現れてくる、秘められた花にも似たテスのドラマをご覧ください。 [目次] 『ダーバヴィル家のテス』梗概ーー未読の方々のために 序章 コードとしてのローマ建国伝説とヤヌスの神話 (1)『テス』と西欧文化史 (2)『縛られたプロメテウス』から『アエネイス』、『ルークリースの凌辱』へ (3)『金枝篇』とヤヌスの神話 第1章 名前の〈二重性〉とアイデンティティ (1)ヤヌスとしてのクレアとアレック (2)「自身(セルフ)」をめぐる関係性の劇とアイデンティティ 第2章 アレックによるアイデンティティの分裂とヤヌスの影 (1)冥界の地獄タルタロスへ (2)冥界からの帰還を願って 第3章 クレアによるアイデンティティの分裂とヤヌスの影 (1)冥界の楽園エリュシオンの野へ (2)ふたたびタルタロスへ 第4章 悲劇の構造としてのヤヌス (1)プルトの王国にて (2)〈青鷺〉の町アルデアにて 第5章 復讐の政治学と魂の救済 (1)〈命名〉によるアイデンティティの支配と復讐 (2)ヤヌスの神話と楽園喪失・回復神話による〈戯れ〉と〈救済〉 注 引用文献(参照文献を含む) あとがき 電子版に寄せて──ヤヌスは顕現する 著者紹介