2024年9月12日発売
みんなの恋愛をわたしは知らない。 芥川賞受賞のベストセラー『おいしいごはんが食べられますように』著者が放つ、最高の〈恋愛〉小説集。 あなたはどこまで共感できますか? ひと筋縄ではいかない5つの「恋」のかたち。 【収録作品】 「花束の夜」「お返し」「新しい恋愛」「あしたの待ち合わせ」「いくつも数える」
さまざまな背景を持つ人物が「国家」を語る。陸軍幼年学校をドロップアウトした経験を持つ画商の梨田と、その友人でスーパーマーケットの経営者でありながら台湾民主共和国(台湾独立を目指す団体)の大統領・洪、洪の部下ながらアナーキストを自認する林ら、置かれた立場や政治的信条が異なる男女が、国旗や国歌、民主主義について、ときには酒を酌み交わしながら、ときには寝物語として縦横無尽に語り合う。-日本の陸軍は非合理主義にどつぷり漬かつてゐる団体で、この団体の信条とするところはナポレオンのものの考え方とまつたく対立するものではないか。あの小さなコルシカ人ならば、歩兵操典に書いてあらうが、軍人勅諭にあらうが、そんなものは旧套にすぎず死んだ文字にすぎないとして、平気で投げ捨て、すばやく現実の必要に対応するだらう。-独特の歴史的仮名遣いでつづられた、渾身の長編の前編。
隠密同心の長澤多門は、小日向藩石場村へ赴いた。そこは上物砥石を産する豊かな地。奉行所から、翡翠のごとき美しい砥石の闇取引根絶のため、探索を命じられたのだ。砥改人に扮して潜入するや、多門は次々と奇妙な風習に遭遇する。信仰を集める「おりゅうさま」と絶対に入ってはいけない禁足地の存在、男たちが二十五歳で長寿の祝いをすること、夜中にしか表に出ない不思議な兄弟ー。だが、ある女の死によって、多門の前に村ぐるみの罪業が浮かび上がる…。隠密同心が御神体の正体と村の悪事を暴く!因習に囚われた人間の愚かさと哀しさを描く傑作時代小説。
舞台のリハーサル中、不可解な死を遂げたひとりの女優。事故なのか、自殺なのか、それともー。舞台の上でも、日常でも、演じることをやめられなかった女優を描く、今、大注目の著者があぶり出す女のリアル。
小江戸川越の街にひっそりと佇む「Memory」は“記憶を消してくれる”カフェ。不思議な力を持つ家入蘭のもとに、過去の失恋やトラウマに苦しむ人々が、今日も引き寄せられるようにやってくる。最愛の人に先立たれ生きる気力をなくした坂下麻季は、自分のことは忘れてほしいという亡き恋人の遺志により、Memoryを訪れた。記憶が完全に消去されるまでの間、川越の街をぶらつく麻季。そこに死んだはずの恋人が現れて…。麻季の最後のデートを描いた「あなたに似た人」や、表題作「いいえ私は幻の女」のほか、驚きと感動せまる追憶の物語集。
「母さん、父さん。私、ユンソを連れてリスボンに帰ってきたよ。」亡き父母への様々な思いを胸に、幼少期に家族と過ごした思い出の地に娘ユンソとともに再訪することを決意したキョンソン。過去の思い出と向き合い、家族の大切さや娘との新たな絆を築いた12日間の旅路を記す。韓国の女性たちから愛される作家にしてエッセイスト、イム・キョンソンが、「最も大切な作品」と位置付けるエッセイ、待望の邦訳版!
この話は、グラフホテルが閉館する、最後の半年間に起きたことである。閉館を半年後に控えた名門グラフホテルで、それぞれの人生の転換点・区切りに直面した人々の悲喜こもごもを描く珠玉の5編!
南米大陸での任務を果たし、帰国の途につこうとしたテメレアとドラゴン戦隊の仲間たちだったが、ミエンニン皇太子の側近であった料理人ゴン・スーの招きを受け、一路中国を目指すこととなった。しかしその途上、ポテンテート号は激しい嵐に呑まれ、座礁してしまう。その頃、極東の島国の浜辺に、ひとりの西洋人男性が漂着した。しかも彼は、頭部に深い傷を負い、長きにわたる記憶を失っていた。“-「ウィリアム・ローレンス」と、男は口にした。そう、これが自分の名前。”各国のドラゴンたちとともに、記憶の深い淵をたどりながら、日本から中国、そしてロシアへと至る果てしない旅のゆくえはー。