2024年9月26日発売
人生を物語に刻んで。 ロングセラー『掃除婦のための手引き書』(2020年本屋大賞翻訳小説部門第2位)、『すべての月、すべての年』に続く待望の短編集。 「彼女の書く文章はほかの誰とも似ていない。読むものの心を鷲づかみにして、五感を強く揺さぶる。読んだときは文字であったはずのものが、本を閉じて思い返すと、色彩や声や匂いをともなった「体験」に変わっている。(中略)まるで自分もそこにいて、それらを見、聞き、感じたような錯覚にとらわれる。それほどに、彼女の言葉の刻印力は強い。」(「訳者あとがき」より) 【目 次】 オルゴールつき化粧ボックス 夏のどこかで アンダード あるゴシック・ロマンス 塵は塵に 旅程表 リード通り、アルバカーキ 聖夜、テキサス 一九五六年 日干しレンガのブリキ屋根の家 霧の日 桜の花咲くころ 楽園の夕べ 幻の船 わたしの人生は開いた本 妻たち 聖夜、一九七四年 ポニー・バー、オークランド 娘たち 雨の日 われらが兄弟の守り手 ルーブルで迷子 陰 新月
不朽の名作『1984』 画期的新訳愛蔵版! 山形浩生(『21世紀の資本』訳者)×つくみず(『少女終末旅行』) 解説 木澤佐登志「現実に対峙する一つの武器として『一九八四』は今こそ読まれる必要がある」 主人公ウィンストンは、ビッグ・ブラザーと党が支配する、どこが相手かもはっきりしない戦時下の超管理社会オセアニアの真実省で、公式の歴史改変を担当している。だがふとしたきっかけで禁断の日記を書き始め、そして若いジュリアとの禁断の逢瀬にふける中で、次第に自分の暮らす社会に対する疑問と反発を強める。しかし反政府組織に参加したと思った瞬間、彼は国家に捕らえられーー現在のハイテク監視社会、情報操作とフェイクニュースによる大衆支配、戦争やテロを口実にした社会的自由の制約、密告と労働改造所や矯正収容所の思考操作、社会階級の固定化と格差社会、その他現代管理社会のありとあらゆる側面が恐ろしいほどの密度で詰め込まれた、不世出の傑作。
コバルト短編小説新人賞&氷室冴子青春文学賞出身の著者が贈る、 令和の青春×アイドル文学が、今ここに生まれる! アイドル事務所「ユニバース」に所属するデビュー前の青年、通称「リトル」。 彼らはデビューに向けて、限られた時間の多くを費やしレッスンに励んでいた。 そんなある日、リトルたちが出演するイベント「サマーマジック」で最も活躍した一人を、デビュー間近のグループ「LAST OZ」に加えるという噂が流れだす。 この噂をきっかけに皆が熱を帯びていく中、リトルの一人である加地透は疑問を抱いていた。 “恋心も、学校生活も、自分の体も、全てを捧げなければデビューは叶わないのか?” デビューに対して人一倍強い野心を抱いている持田、 わずか14歳にしてソロデビューを打診された遥歌、 誰よりもストイックで自分の見え方を計算し尽くした振る舞いをする葵、 芸能人一家の複雑な環境で育った問題児の蓮司、 デビューができる期限まで残り一年を切った若林、そして透。 デビューを目指すこと以外はすべてバラバラの6人が出会った時、 彼らの未来は大きく変わるーーかもしれない。 【著者略歴】 佐原ひかり (さはら・ひかり) 1992年兵庫県生まれ。大阪大学文学部卒業。2017年「ままならないきみに」で第190回コバルト短編小説新人賞受賞。2019年「きみのゆくえに愛を手を」で第2回氷室冴子青春文学賞大賞を受賞し、2021年、同作を改題、加筆した『ブラザーズ・ブラジャー』で本格デビュー。他の著書に『ペーパー・リリイ』『人間みたいに生きている』『鳥と港』、共著に『スカートのアンソロジー』『嘘があふれた世界で』がある。
数百年先に帰ってくるかもしれない。懐かしい、この浜辺にーー。なんとかウミガメの卵を孵化させ、自力で育てようとする徳島の中学生の女の子。老いた父親のために隕石を拾った場所を偽る北海道の身重の女性。山口の島で、萩焼に絶妙な色味を出すという伝説の土を探す元カメラマンの男ーー。人間の生をはるかに超える時の流れを見据えた、科学だけが気づかせてくれる大切な未来。きらめく全五篇。
時空を超える〈北の地の想像力〉の新星が鮮烈に登場。三島由紀夫賞候補作。「今夜、国際宇宙ステーションが降ってくるんだって」。北海道が全停電した日、わたしは剥製のウミガメを放つため、真夜中の公園を彷徨う。響き合うアイヌの血脈。癒やし難い生の痛み。地面から滲む歴史の声。〈内なる北海道〉と向き合い、恩寵の一瞬を幻視する大型新人デビュー! 新潮新人賞受賞作「彫刻の感想」を併録。
大使夫妻はなぜ軽井沢追分から姿を消したのか。12年ぶり、待望の新作長篇小説。2020年、翻訳者のケヴィンは軽井沢の小さな山荘から、人けのない隣家を見やっていた。親しい隣人だった元外交官夫妻は、前年から姿を消したままだった。能を舞い、嫋やかに着物を着こなす夫人・貴子。ケヴィンはその数奇な半生を、日本語で書き残そうと決意する。失われた「日本」への切ない思慕が溢れる新作長篇。
大使夫妻はなぜ軽井沢追分から姿を消したのか。12年ぶり、待望の新作長篇小説。2020年、翻訳者のケヴィンは軽井沢の小さな山荘から、人けのない隣家を見やっていた。親しい隣人だった元外交官夫妻は、前年から姿を消したままだった。能を舞い、嫋やかに着物を着こなす夫人・貴子。ケヴィンはその数奇な半生を、日本語で書き残そうと決意する。失われた「日本」への切ない思慕が溢れる新作長篇。
村上春樹の新訳と山本容子の銅版画で、マッカラーズの名作がよみがえる。さびれた南部の町で暮らすアミーリアは、言い寄る男に見向きもせず、独身で日用品店を営んでいる。ある日彼女のもとに背中の曲がった小汚い男が現われた。町中が噂するなか、どういうわけか彼女はこの小男に惚れこみ、同居してカフェを始める。そこにアミーリアの元夫が刑務所を出て帰還。奇妙な三角関係の行方はーー。
「世紀のロマンス小説」ではない? 20世紀のロマンス小説として知られる大長編『風と共に去りぬ』。しかし、原文を精緻に読むと、その本質が「恋愛」ではないことがわかるという。「ヒロインは二人いる」「実は戦争小説である」「ディストピア小説としても読める」「養護と扶養という視点で読むと面白い」--。翻訳を手がけた著者だからこそたどり着いた、実に多様な読み方を味わう。Eテレ「100分de名著」テキストに、特別章・ブックガイドなどを大幅加筆のうえ、書籍化。
「自然を愛する」とは、こういうこと 動物の言葉を使いこなし、個性豊かなたくさんの動物たちと暮らす博物学者・ドリトル先生。助手のスタビンズ少年とともに、その独特な能力と知性とユーモアで愉快な旅を繰り広げる物語は、多くの子どもたちを魅了し、長く読み継がれてきた。今回は、子どもの頃にドリトル先生の物語を読んだことがきっかけで生物学者を志したという福岡伸一氏を講師に迎え、シリーズの最高傑作『ドリトル先生航海記』を新たな視点で読みとく。奇想天外で痛快な冒険物語の旅を楽しみながら、自然や動物との関わり方、「公正」であることの意味、豊かな創造力の源となる「好奇心」の大切さなど、現代にも通じる知恵や生き方のヒントを学んでいく。
ーー恋愛感情がない。性欲がない。それでも「普通」に暮らしている。 5年間勤めた会社を辞め、街の小さな喫茶店「ブルー」でアルバイトをする鳴海優輝。 心優しい啓介が営む「ブルー」には秘密を抱えた人々が集まってくる。 デザイナーの北村、高校2年生のヒナ……。 常連客の悩みに向き合う鳴海にも、周りに言えない想いがあった。 多様なセクシュアリティを持つ人々を、やわらかく鮮やかに照らす、畑野智美の新たな代表作。
クラスの女子たちが、タイムカプセルを埋めたらしい。6年3組のぼくは、親友のシンイチとヨモヤとともに、遠くの煙突の麓にある公園まで自転車で行ってみることにしたーー「海の街の十二歳」高校の同級生・潮田の久しぶりのSNSを見ると、癌で闘病中とあり見舞いに訪れた波多野。数ヶ月後、潮田は亡くなり、奥さんのカナさんから、散骨につきあってほしいと言われーー海の街を舞台にした著者の新境地、全7編。
元自衛隊員の遺体がまた見つかった。共通するのは、政情不安下の南スーダンにPKO部隊として派遣された"特戦群"メンバーだったこと。同隊所属の風戸亮司は危機からの突破口を探り始める。時を同じくして一人の女性医師が南スーダンから帰国し愛娘と再会した。だがその直後、凄惨な悲劇に遭遇し……。彼の地に関わった者たちに迫る不穏な影の正体と目的とは? 自衛隊日報問題を起点に繰り広げられる緊迫の軍事サスペンス!
2011年の東日本大震災で津波による被害を受け、福島で二百年以上続く、日本酒「福の壽」を造る矢吹酒造所も何もかもすべてが流された。地震後の原発事故により、町に住むことさえできなくなった八代目の蔵元・光は、酒蔵の再建を断念していた。そんななか、津波に襲われたときに一人の少女を救えなかったことを今でも悔やむ光が、テレビ番組の取材を受ける。その映像をきっかけに次々と若き協力者が現れ、光は再び酒造りに挑む!
我が国では、脅威は常に「海」からやってくるーー。海上保安庁が機密保持のために長らく秘匿してきたスペシャルフォース「SST」の活躍を描く、壮大エンターテイメント! この隠密部隊は“実在”する。 沖ノ鳥島沖で、中国の密猟船が突然自爆して海に沈んだ。さらに大量破壊兵器の調達に関わる男がクルーザーから謎の失踪を遂げ、百名を超える乗客を載せたカーフェリーへの爆破予告が届く。この未曾有の危機に立ち向かう海上保安庁の特殊部隊「SST」を待ち受けていたのは、想像を絶する国際的陰謀だったーー。今まで詳細がひた隠しにされてきた“実在”の隠密部隊の活躍を描く、かつてない海洋エンターテイメント小説!
観劇で訪れた劇団のマネージャー・佐知子から相談を持ちかけられた女子大生探偵・亜由美。本物の拳銃が劇中で使われたが、大事にならないように内密に処理してほしいと言うのだ。幸い弾丸は外れたが、一歩間違えれば被害者が出ていたところだ。真相を探るうち、命を狙われている女性を助けるために港町で公演してほしいと劇団にSOSが。事件は混迷を極めて行きー。表題作の他、「逢うときはいつも花嫁」収録。ユーモアミステリー・シリーズ第37弾。
二度と戻らないつもりでいた桜の町に彼を引き戻したのは、一本の電話だった。 「高砂澄香が自殺しました」 澄香ーーそれは彼の青春を彩る少女の名で、彼の心を欺いた少女の名で、彼の故郷を桜の町に変えてしまった少女の名だ。 澄香の死を確かめるべく桜の町に舞い戻った彼は、かつての澄香と瓜二つの分身と出会う。 あの頃と同じことが繰り返されようとしている、と彼は思う。 ただしあの頃と異なるのは、彼が欺く側で、彼女が欺かれる側だということだ。 人の「本当」が見えなくなった現代の、痛く、悲しい罪を描く、圧巻の青春ミステリー!
異世界に召喚され雑用係として勇者パーティーに参加していたノヴァ。彼が持つスキル【風が吹けば桶屋が儲かる】は「一見なんの意味もなさそうなクエストをクリアすると、予想外の成果が得られる」という非戦闘系の特殊スキル。国王からは「役立たず」と見なされ、追放を言い渡されてしまう。 しかたなくノヴァは堅苦しい王都での暮らしを捨て、念願だった田舎でのスローライフを目指すことに。 しかし実は、ノヴァこそが影の英雄だった! 勇者パーティーの数々の功績はノヴァのおかげだったと判明し、国王は必死に彼の行方を捜し始める。一方ノヴァはたどり着いた小さな村で充実した田舎生活を満喫。レアな素材をざくざく採取したり、伝説のドラゴンを孵化させて懐かれたり、まさかの古代兵器を復活させたり…。 ここでも異次元の活躍を見せるノヴァは、村を急速に大発展させていてーー!? 審査員一同大絶賛! 「第4回グラスト大賞」大賞受賞作、堂々の書籍化!!
親に愛されず不遇な前世を終えたティアは、神様から錬金術の力を授かり「今度こそ自分らしく生きたい」と異世界で第二の人生を送ることに。 公爵家に生まれ、過保護な家族に見守られながら3歳を迎えたティア。「可愛いものを作るぞ!」とはじめて錬金術を発動し、兄のために作ったのは…禍々しい髑髏のついた剣だった。前世で抑圧されていたせいか、ティアの感性は周囲とは少し(?)ズレているものの、軽く一振りするだけで魔物が真っ二つになる規格外アイテムで…!? 「それなんて、ただ可愛いだけの剣でしゅよ?」 ほかにも、瘴気を浄化する漆黒の音楽箱やひとりでにティアを守る骸骨騎士のぬいぐるみなど…可愛いものを作っているだけのつもりが、とんでもないアイテムを次々と量産! 一方、不穏な企みにより、ティアの目の前で封印されていた魔王が眠りから覚めてしまうが…!? 無自覚だけど最強すぎる幼子錬金術師の夢の異世界生活、スタート!