2024年9月27日発売
スタートアップ企業を立ち上げようと奮闘する若者を描いた青春小説! 累計1000万部突破の『バッテリー』シリーズ、『No.6』などで10代の少年少女から圧倒的な支持を受ける作家・あさのあつこ氏。 その4年ぶりの青春小説で、スタートアップを立ち上げようと奮闘する若者4人を描いた『アーセナルにおいでよ』が誕生しました。 あさの氏は、 「生きていく武器をちゃんと身につけてもらいたい。そういう思いを込めて書きました」 「よくありがちな「起業した若者たちの物語」という言葉では括れない、彼らたちだけの物語ができました」 と語られています。 ネットの中傷、不登校、詐欺など学校や社会に馴染めずドロップアウトした主人公たちが、起業という一つの目標に向かい、生きる「武器」を手に入れていく、まさに現代に求められる物語です。 【あらすじ】 「おれ、今度、起業するんだ」 幼馴染で初恋の相手・芳竹甲斐から突然呼び出された高校3 年生の川相千香は、その文章力と思索力を見込まれ、スタートアップのメンバーとしてスカウトされた。会社の名前は「アーセナル」。「器庫」という意味だという。コンプレックスを持つ千香。中学生で不登校になった甲斐。詐欺に巻き込まれて逮捕歴のある稲作陽太。バツイチの古藤里佳子・通称コトリ。それぞれ問題を抱えた4 人は、各々の個性と能力を武器に、「アーセナル」のために奔走するーー。 【著者プロフィール】 あさの・あつこ 岡山県生まれ、在住。大学在学中より児童文学を書き始め、小学校講師ののち、1991 年『ほたる館物語』で作家デビュー。97 年『バッテリー』で第35 回野間児童文芸賞、99 年『バッテリーII 』で第39 回日本児童文学者協会賞、2005 年『バッテリーI〜VI 』で第54回小学館児童出版文化賞、11年『たまゆら』で第18回島清恋愛文学賞を受賞。他の著書に『No.6 』『ランナー』『火群のごとく』『透き通った風が吹いて』『野火、奔る』など多数。児童文学から時代小説まで様々なジャンルの作品を執筆し、幅広い世代に親しまれている。 装画 長場雄
______________ 週刊現代 2024年11月9日号 にて紹介されました! ______________ 屈するか 逃げるか 農と自由と民の物語。 武士と悶着を起こして村を出奔した 若者・杜宇が迷い込んだのは、不思議な地。 自由経済で成り立ち、誰の支配も受けない 「青姫」の郷だった。 頭領・満姫のもと、生死を分つ選択さえも 籤で決められる。それが天意だからだが、 満姫はとんでもない気まま娘、 口も意地も悪い。 杜宇は命拾いするも米作りを命じられ、 田を墾くことから始めねばならなくなった。 生きるために「農」の芸を磨き、 民にも馴染んでゆくが、 郷には秘密の井戸がある。 そしてある日、若い武士が現れたーー 「米を作れ! わらわは姫飯が食べたい」 【著者からのコメント】 連載時はちょうどコロナ禍でした。 むしょうに土に触れたくて、田植えの匂いや 稲刈りの景色が慕わしく、それで主人公に 米作りをさせることにしました。 舞台は、「青姫の郷」という秘境です。 とはいえすべてが幻想(ファンタジー)ではなく、 まだ幕府の支配体制が固まっていない 江戸時代初期の様相を背景にしています。 青姫の郷は中央政権の支配がまだ及んでいない、 いわば自由都市。民による自治が行なわれ、ですが 人々がなにより重んじるのは「天意」です。 主人公の杜宇はその天意によって生かされ、 といおうか振り回されるのです。 郷の人々は姫をはじめ、クセが強い曲者揃い。 どの人物も書くのが楽しく、 今も愛着のある人々です。 ですが郷は、ある危機を迎えます。 土地は、領土は、いったい誰のものか。 攻め込まれたとき、屈するのか逃げるのか、 それとも? --自らに問いながら書きました。 自分ならどうするか、と。連載終了後まもなく、 ウクライナ侵攻が始まりました。 この小説のラストは、 かの侵攻を予見できていない頃に書いた、 一つの願いでした。 このちょっと不思議な物語、 どうぞお楽しみください。 朝井まかて 一 玉結び 二 農の芸 三 田神祀り 四 赤影 五 旱(ひでり) 六 蝶 七 姫飯(ひめいい) 八 上々 九 月 十 籤(くじ) 十一 心願成就 十二 燃ゆる水 十三 杜宇
「地獄は天国の裏にある。」 祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれるのだったがーー。 世界16カ国で翻訳、伝説の作家が唯一残した自伝的傑作が、ついに邦訳! ドイツ文学史上最も強烈な個性。--南ドイツ新聞 まさに綱渡り芸を、息をのんで下から見守っているかのよう。--ペーター・ビクセル ◎アグラヤ・ヴェテラニー(Aglaja Veteranyi) 1962年、ルーマニアの首都ブカレストでサーカス家庭に生まれる。67年に亡命し、77年にスイスのチューリヒに定住するまで、サーカス興行のために各地をめぐる生活を送る。定住後にドイツ語を学び、俳優として活躍するほか、実験的文学グループ「Die Wortpumpe」を共同で設立し、新聞や雑誌に多数の記事を寄稿。1998年にベルリン文学コロキウムの助成金を受ける。1999年に初小説『その子どもはなぜ、おかゆのなかで煮えているのか』を出版し、シャミッソー賞奨励賞、ベルリン芸術賞奨励賞を受賞。2002年2月の早朝にチューリヒ湖で自死。 ◎松永美穂(まつなが・みほ) ドイツ文学者・翻訳家。早稲田大学文学学術院教授。シュリンク『朗読者』で毎日出版文化賞特別賞受賞。他の訳書にシュピリ『アルプスの少女ハイジ』、ヘッセ『車輪の下で』、バッハマン『三十歳』、シュテファン『才女の運命』、ティム『ぼくの兄の場合』、シュタム『誰もいないホテルで』等。著書に『世界中の翻訳者に愛される場所』等。
「きみがいなくなっても教室はそこにある」-かつて王立学院で魔術師を目指していたにもかかわらず、十年前の“ある出来事”をきっかけに魔力欠如者となったソール。現在はしがない古書店店主として、控えめな暮らしに身を置いている。そんな彼の店を訪れたクルトは、身分と容姿、能力を兼ね備え、魔術師としての将来を嘱望される完璧な学生だった。学院の日々を想起させるクルトにソールは反発しながらも惹かれていき、クルトは魔力欠如ゆえにソールに興味を抱く。しかし十年前に何もかもを失ったソールには自尊感情がなく、クルトへの想いを押し殺すばかり。正反対のふたりの恋のゆくえはー?
羽下結月は、自分の人生が人並みだと信じていて、その分、他人の人生には一生懸命になる性格である。高校に入学し、伊坂悠里と出会い親友になる。悠里は幼馴染の武川未夢との約束のために生徒会長を目指していた。約束を果たした悠里は、結月を副会長として迎え入れる。同じ日、結月は幼馴染の水無瀬凛音から告白され、二人は付き合うことになるが、凛音の小学校時代からの知り合いである未夢も、凛音が自慢する結月に憧れるようになっていた…青春はとまらない。そして、誰もが想像もしない結末を迎える。
リシアは10代のころからイタリア富豪ダリオに我慢ならなかった。娘には無関心なリシアの父親から息子みたいに大切にされているうえ、なにかと10歳年下の彼女を子供扱いする男性だからだ。ところが吹雪により、二人きりで夜を過ごすことになったとき、リシアは初めて彼にずっと惹かれていた自分に気づいて純潔を捧げた。数週間後、妊娠に気づいた彼女は愕然とする。傲慢でセクシーで誰よりも成功した億万長者であるダリオが、ずっとあざけりの対象だった私を子供の母親に望むわけがない。だが、ダリオは結婚を望んだ。我が子を手に入れるためだけに。
自分が養女だと知ったフローラは、ロンドンまで出向いて出生時の情報を入手し、愕然とした。母は麻薬依存症…。打ちひしがれて駆け上ったホテルの屋上で、青い瞳の世にも美しい男性と出会い、運命に導かれるように純潔を捧げた。素性はおろか、名前さえお互い告げないまま。6週間後、フローラが住む田舎の農場にヘリコプターが飛来し、降りてきたのはー二度と会えないと思っていたあの夜の男性。「やっと見つけた。きみは妊娠したかもしれない」強引に連れていかれた先は巨大なヨット。彼は巨万の富を誇る、シチリア大富豪だったのだ!
妊娠してしまったー家政婦のエマは呆然とした。世界的なホテル王チェーザレの従順な家政婦として仕えて7年。料理や掃除はもちろん、ときには彼のベッドに居座る美女たちを追い払う役目まで担ってきた。でもまさか私自身がそのベッドで一夜を捧げ、病身にもかかわらず宝物を授かるなんて。だがチェーザレはエマの告白に耳も貸さず、愛人になるよう迫り、失望した彼女が退職を申し出ると、怒って札束を投げつけたのだ。エマは深く傷つき、黙って彼のもとを去るしかなかった。10カ月後、チェーザレはようやくエマを捜し出し、迎えに行くが、彼女が抱く愛らしい赤ん坊が自分と瓜二つだと気がついて…。
イギリスの田舎町で暮らすルビーの家に、遠いアシュール国の宮廷顧問だという老人と、目も覚めるようなハンサムな青年が突然訪れた。かつてルビーの母はこの国の王と結婚していたが、世継ぎの男子を望む王が第二夫人を娶ったことで離婚になった。だが現在、血縁は途切れ、ルビーが王家唯一の後継者だという。しかも隣国と和平協定を結ぶためには、どうしてもルビーに隣国のプリンスと結婚してもらわねば困るというのだ。范然自失となったルビーに、青年は厳しい顔で告げた。「これは義務と責任のためのプラトニックな結婚だ」じつは彼こそが花嫁を迎えに来たプリンス、ラジャだった!
看護師のミアはある夜、たくましくて魅力的な男性ブリンと出逢い、パーティの喧騒から逃げてきた者同士意気投合し、一夜を共にした。だが翌日には彼が異国へ渡ってしまい、それきりとなった。3年後、ミアはあの夜に授かった娘を独りで産み育てていた。小さくてかわいい、私に生きる目的を与えてくれた大切な娘。父親にそっくりなのに、父親のことを知らない娘…。ところが彼女の住む地域が嵐に襲われたとき、救急救命士としてドクターヘリで現れたのはなんと、忘れもしないブリンだった!思いがけない再会にミアは戸惑いながらも、娘の存在を彼に告げたー予期せぬ反応に打ちのめされるとも思わず。「僕は親子鑑定を要求する」
図書館司書のキャラは、父の書斎で言い争う声を耳にして扉を開けた。父といたのは、非情な仕事ぶりで知られる商売敵の大富豪ヴィンス。最近、彼はキャラと顔を合わせるたびに無遠慮な視線を送ってくる。会社の不振に窮した父がヴィンスに多額の借金をし、今週末までに返せなければ、会社も家も失うという。なんてこと…。父を救うために、できることならなんでもするわ。目に無慈悲な光を宿して父を追いつめるヴィンスに、たまらずキャラは期限を1年延ばしてほしいと懇願した。ヴィンスは何か思惑ありげにうなずくと、驚くべき条件を出した!「望みを叶える代わりに、僕は担保をいただくー僕と結婚してほしい」
ルーシーが長年片想いしている大富豪社長マーカスは、彼女を愚かな小娘と決めつけ、顔を合わせればお説教ばかり。だから、今、ルーシーの会社が倒産の危機に瀕していても、惨めな姿をさらしたくなくて、彼にだけは相談できなかった。ある夜、財界の大物が集うパーティに出たルーシーは、会社再建の協力者を見つけた喜びでシャンパンを飲みすぎてしまう。すると、同じパーティに出席していたマーカスに見咎められ、強引に屋敷へ連れて帰られたうえに、突然、唇を奪われた!そしてついに憧れのマーカスと結ばれ、ルーシーは幸せをかみしめたーやがて彼に跡継ぎを作るための“合理的”な結婚を求められるまでは。
花嫁姿のドミニクは分厚いベールに顔を隠し、新郎ギデオンの隣にいた。この2カ月間、ギデオンを陰からひっそり見つめるうち、ドミニクは誠実そうで温かな笑顔の彼にいつしか恋をしていた。だが今、彼女の心は落ち着かなかったー本当に私がギデオンと結婚を?これは従兄弟が考えた悪ふざけの計画。彼女の貧しい母に家を与え、一生涯年金も払うと約束され、やむなく計画に協力してしまったのだ。一方、ギデオンの心は浮き立っていたーついに愛しの女性と結婚した!金髪に青い瞳の美しい彼女は、この2カ月間、僕を魅了してきた。ギデオンはたまらなくキスがしたくなり、新妻の顔を覆うベールを…。その瞬間、彼は驚きに声を失った。このこげ茶色の髪の女性は、誰だ?!
家族に自由を奪われてきたソフィアはある夜、こっそり外出に成功した。だが帰り道に何者かによって、見知らぬ屋敷へ連れ去られてしまう。そこにいたのは、なんと彼女が密かに想いを寄せるワイアット卿!彼は駆け落ちした妹を捜していて、ソフィアは人違いされたのだった。そうと知った彼女はぜひ力になりたいと、彼と妹捜しを始める。しかし行方がつかめないまま、宿を取らざるをえなくなった夜、ワイアット卿からキスと抱擁を受け、ソフィアは思わずつぶやいた。「愛しているわ」その瞬間、拒絶され、彼女の頬を涙がこぼれ落ちた。このままでは、彼に置き去りにされてしまう…。意を決した彼女は、翌朝まるで別人になったー男装をし、長い髪をばっさり切り落として!
天涯孤独のテスは大牧場主ハート兄弟のもとで家政婦をしている。彼女にとって初めて得た家庭のようなものだけれど、次男のキャグだけは怖くてたまらなかった。かつて特殊部隊にいた彼は眼光鋭くいつも彼女を監視し、ことあるごとに冷たい態度をとるからだ。それでもテスはキャグの誕生日に心をこめてケーキを焼いたが、彼はそれを見るや猛烈に怒り、バースデーケーキを壁に投げつけた!ひどいわ!まさか、これほどまで嫌われていたなんて…。じつは密かに想いを寄せていた彼からの仕打ちにショックを受け、テスは荷物をまとめて牧場を出ていこうとするがー
大滝信吾は、さる身の上を秘して、浅草寺の一角で寺子屋を開いている。 源吉や三太、おさよなど多くは町人の子だ。 そんな穏やかな春の日、子どもたちと縁側で握り飯をほおばっていたとき、源吉の姉が助けを求めて駆け込んできたーー大切な人々を守るため、信吾は江戸の闇と真っ向から闘うことに。 浅草の四季を舞台に、家族や友人、下町の人情に支えられながら、果たして信吾は天命を見つけられるのか。 第一話 三社祭と鬼 第二話 紫陽花横丁 第三話 父と子 第四話 片陰 第五話 秋風吟 最終話 錦木
母の納骨を終えた作田まひろ(22)は、「別れ」を受け入れるため、幼い日に母と一度だけ訪れた寿司店にやってきた。 海辺の町の鄙びた商店街の「江戸前夕凪寿司」という小さなお店。 意を決して暖簾をくぐるも、ランチ営業はちょうど終わったところだった。 がっかりしたまひろだったが「ちょっと、お客さぁん」と若い女性の綿飴みたいな声に呼び止められ、まかないの海鮮丼をいただくことに。 「さやかさん」と呼ばれる声の主は、ふんわりした見た目とは裏腹に、丁寧な「仕事」をする凄腕の寿司職人でーー。 名手・森沢明夫による『キッチン風見鶏』『おいしくて泣くとき』に続く〈最高においしい小説〉シリーズ第三作目は、海辺の町の知る人ぞ知る寿司店が舞台。 厳選されたネタと職人の丁寧な仕事による極上の寿司をご用意して、常連客も訳アリ客も、心を込めておもてなしします!