2024年9月27日発売
幼馴染で初恋の相手・甲斐から突然呼び出された高校3年生の千香は、その文章力と思索力を見込まれ、スタートアップのメンバーとしてスカウトされた。会社の名前は「アーセナル」。“武器庫”を意味するという。それぞれの痛みを抱えたメンバーたちは、起業という一つの目標に向かい、生きる「武器」を手に入れていく。少年少女を見つめ続けた著者が令和を生きる若者たちに贈る、新たな傑作青春小説!
武士と悶着を起こして村を出奔した若者・杜宇が迷い込んだのは、不思議な地。自由経済で成り立ち、誰の支配も受けない「青姫」の郷だった。籤で選ばれた頭領・満姫のもと、生死を分つ選択さえも籤で決められる。それが天意だからだが、満姫はとんでもない気まま娘、口も意地も悪い。杜宇は命拾いするも米作りを命じられ、田を墾くことから始めねばならなくなった。生きるために「農」の芸を磨き、民にも馴染んでゆくが、郷には秘密の井戸がある。そしてある日、若い武士が現れたー
祖国ルーマニアの圧政を逃れ、サーカス団を転々としながら放浪生活を送る、一家の末っ子であるわたし。ピエロの父さんに叩かれながら、曲芸師の母さんが演技中に転落死してしまうのではないかといつも心配している。そんな時に姉さんが話してくれるのが、「おかゆのなかで煮えている子ども」のメルヒェン。やがて優しいシュナイダーおじさんがやってきて、わたしと姉さんは山奥の施設へと連れて行かれるのだったがー。世界16カ国で翻訳、奇蹟の傑作がついに邦訳!シャミッソー賞・ベルリン芸術賞受賞作。
「きみがいなくなっても教室はそこにある」-かつて王立学院で魔術師を目指していたにもかかわらず、十年前の“ある出来事”をきっかけに魔力欠如者となったソール。現在はしがない古書店店主として、控えめな暮らしに身を置いている。そんな彼の店を訪れたクルトは、身分と容姿、能力を兼ね備え、魔術師としての将来を嘱望される完璧な学生だった。学院の日々を想起させるクルトにソールは反発しながらも惹かれていき、クルトは魔力欠如ゆえにソールに興味を抱く。しかし十年前に何もかもを失ったソールには自尊感情がなく、クルトへの想いを押し殺すばかり。正反対のふたりの恋のゆくえはー?
羽下結月は、自分の人生が人並みだと信じていて、その分、他人の人生には一生懸命になる性格である。高校に入学し、伊坂悠里と出会い親友になる。悠里は幼馴染の武川未夢との約束のために生徒会長を目指していた。約束を果たした悠里は、結月を副会長として迎え入れる。同じ日、結月は幼馴染の水無瀬凛音から告白され、二人は付き合うことになるが、凛音の小学校時代からの知り合いである未夢も、凛音が自慢する結月に憧れるようになっていた…青春はとまらない。そして、誰もが想像もしない結末を迎える。
リシアは10代のころからイタリア富豪ダリオに我慢ならなかった。娘には無関心なリシアの父親から息子みたいに大切にされているうえ、なにかと10歳年下の彼女を子供扱いする男性だからだ。ところが吹雪により、二人きりで夜を過ごすことになったとき、リシアは初めて彼にずっと惹かれていた自分に気づいて純潔を捧げた。数週間後、妊娠に気づいた彼女は愕然とする。傲慢でセクシーで誰よりも成功した億万長者であるダリオが、ずっとあざけりの対象だった私を子供の母親に望むわけがない。だが、ダリオは結婚を望んだ。我が子を手に入れるためだけに。
自分が養女だと知ったフローラは、ロンドンまで出向いて出生時の情報を入手し、愕然とした。母は麻薬依存症…。打ちひしがれて駆け上ったホテルの屋上で、青い瞳の世にも美しい男性と出会い、運命に導かれるように純潔を捧げた。素性はおろか、名前さえお互い告げないまま。6週間後、フローラが住む田舎の農場にヘリコプターが飛来し、降りてきたのはー二度と会えないと思っていたあの夜の男性。「やっと見つけた。きみは妊娠したかもしれない」強引に連れていかれた先は巨大なヨット。彼は巨万の富を誇る、シチリア大富豪だったのだ!
妊娠してしまったー家政婦のエマは呆然とした。世界的なホテル王チェーザレの従順な家政婦として仕えて7年。料理や掃除はもちろん、ときには彼のベッドに居座る美女たちを追い払う役目まで担ってきた。でもまさか私自身がそのベッドで一夜を捧げ、病身にもかかわらず宝物を授かるなんて。だがチェーザレはエマの告白に耳も貸さず、愛人になるよう迫り、失望した彼女が退職を申し出ると、怒って札束を投げつけたのだ。エマは深く傷つき、黙って彼のもとを去るしかなかった。10カ月後、チェーザレはようやくエマを捜し出し、迎えに行くが、彼女が抱く愛らしい赤ん坊が自分と瓜二つだと気がついて…。
イギリスの田舎町で暮らすルビーの家に、遠いアシュール国の宮廷顧問だという老人と、目も覚めるようなハンサムな青年が突然訪れた。かつてルビーの母はこの国の王と結婚していたが、世継ぎの男子を望む王が第二夫人を娶ったことで離婚になった。だが現在、血縁は途切れ、ルビーが王家唯一の後継者だという。しかも隣国と和平協定を結ぶためには、どうしてもルビーに隣国のプリンスと結婚してもらわねば困るというのだ。范然自失となったルビーに、青年は厳しい顔で告げた。「これは義務と責任のためのプラトニックな結婚だ」じつは彼こそが花嫁を迎えに来たプリンス、ラジャだった!
看護師のミアはある夜、たくましくて魅力的な男性ブリンと出逢い、パーティの喧騒から逃げてきた者同士意気投合し、一夜を共にした。だが翌日には彼が異国へ渡ってしまい、それきりとなった。3年後、ミアはあの夜に授かった娘を独りで産み育てていた。小さくてかわいい、私に生きる目的を与えてくれた大切な娘。父親にそっくりなのに、父親のことを知らない娘…。ところが彼女の住む地域が嵐に襲われたとき、救急救命士としてドクターヘリで現れたのはなんと、忘れもしないブリンだった!思いがけない再会にミアは戸惑いながらも、娘の存在を彼に告げたー予期せぬ反応に打ちのめされるとも思わず。「僕は親子鑑定を要求する」
図書館司書のキャラは、父の書斎で言い争う声を耳にして扉を開けた。父といたのは、非情な仕事ぶりで知られる商売敵の大富豪ヴィンス。最近、彼はキャラと顔を合わせるたびに無遠慮な視線を送ってくる。会社の不振に窮した父がヴィンスに多額の借金をし、今週末までに返せなければ、会社も家も失うという。なんてこと…。父を救うために、できることならなんでもするわ。目に無慈悲な光を宿して父を追いつめるヴィンスに、たまらずキャラは期限を1年延ばしてほしいと懇願した。ヴィンスは何か思惑ありげにうなずくと、驚くべき条件を出した!「望みを叶える代わりに、僕は担保をいただくー僕と結婚してほしい」
ルーシーが長年片想いしている大富豪社長マーカスは、彼女を愚かな小娘と決めつけ、顔を合わせればお説教ばかり。だから、今、ルーシーの会社が倒産の危機に瀕していても、惨めな姿をさらしたくなくて、彼にだけは相談できなかった。ある夜、財界の大物が集うパーティに出たルーシーは、会社再建の協力者を見つけた喜びでシャンパンを飲みすぎてしまう。すると、同じパーティに出席していたマーカスに見咎められ、強引に屋敷へ連れて帰られたうえに、突然、唇を奪われた!そしてついに憧れのマーカスと結ばれ、ルーシーは幸せをかみしめたーやがて彼に跡継ぎを作るための“合理的”な結婚を求められるまでは。
花嫁姿のドミニクは分厚いベールに顔を隠し、新郎ギデオンの隣にいた。この2カ月間、ギデオンを陰からひっそり見つめるうち、ドミニクは誠実そうで温かな笑顔の彼にいつしか恋をしていた。だが今、彼女の心は落ち着かなかったー本当に私がギデオンと結婚を?これは従兄弟が考えた悪ふざけの計画。彼女の貧しい母に家を与え、一生涯年金も払うと約束され、やむなく計画に協力してしまったのだ。一方、ギデオンの心は浮き立っていたーついに愛しの女性と結婚した!金髪に青い瞳の美しい彼女は、この2カ月間、僕を魅了してきた。ギデオンはたまらなくキスがしたくなり、新妻の顔を覆うベールを…。その瞬間、彼は驚きに声を失った。このこげ茶色の髪の女性は、誰だ?!
家族に自由を奪われてきたソフィアはある夜、こっそり外出に成功した。だが帰り道に何者かによって、見知らぬ屋敷へ連れ去られてしまう。そこにいたのは、なんと彼女が密かに想いを寄せるワイアット卿!彼は駆け落ちした妹を捜していて、ソフィアは人違いされたのだった。そうと知った彼女はぜひ力になりたいと、彼と妹捜しを始める。しかし行方がつかめないまま、宿を取らざるをえなくなった夜、ワイアット卿からキスと抱擁を受け、ソフィアは思わずつぶやいた。「愛しているわ」その瞬間、拒絶され、彼女の頬を涙がこぼれ落ちた。このままでは、彼に置き去りにされてしまう…。意を決した彼女は、翌朝まるで別人になったー男装をし、長い髪をばっさり切り落として!
天涯孤独のテスは大牧場主ハート兄弟のもとで家政婦をしている。彼女にとって初めて得た家庭のようなものだけれど、次男のキャグだけは怖くてたまらなかった。かつて特殊部隊にいた彼は眼光鋭くいつも彼女を監視し、ことあるごとに冷たい態度をとるからだ。それでもテスはキャグの誕生日に心をこめてケーキを焼いたが、彼はそれを見るや猛烈に怒り、バースデーケーキを壁に投げつけた!ひどいわ!まさか、これほどまで嫌われていたなんて…。じつは密かに想いを寄せていた彼からの仕打ちにショックを受け、テスは荷物をまとめて牧場を出ていこうとするがー
大滝信吾は、さる身の上を秘して、浅草寺の一角で寺子屋を開いている。源吉や三太、おさよなど多くは町人の子だ。そんな穏やかな春の日、子どもたちと縁側で握り飯をほおばっていたとき、源吉の姉が助けを求めて駆け込んできたー大切な人々を守るため、信吾は江戸の闇と真っ向から闘うことに。浅草の四季を舞台に、家族や友人、下町の人情に支えられながら、果たして信吾は天命を見つけられるのか。