2024年発売
動物の言葉が分かる美苑は、植物学者で大学教授の父と、厳格な華道師範である母親と住む家の中庭やアトリエで、生き物たちの言葉に耳を傾けるのが日課だった。一方、学校では人付き合いが苦手で「空気が読めない」子として回りから距離を取られていた。ある日、目覚めると、前日まで元気だった父が急逝した事実を知らされる。そんな美苑に声を掛けたのは、父の同僚である児玉先生。大学の植物園で飼育されている子供のグリーンイグアナを育てないかと美苑に提案する。そして14年間、「ソノ」と名付けられたイグアナと共にアトリエで暮らし、充分満たされた生活を送っていたのだが、突然母から呼び出され、驚愕の通告を受ける。母の体に癌が見つかり余命は恐らく半年。その半年の間に結婚せよと言われ……。 【著者略歴】 上畠菜緒(うえはた・なお) 1993年、岡山県生まれ、岡山県在住。島根大学法文学部言語文化学科卒業。2019年「しゃもぬまの島」で第32回小説すばる新人賞を受賞。著書に『しゃもぬまの島』がある。
自分でも分からなかったあの頃の感情に、この小説は居場所を与えてくれる。 私たちは、切実に生きていた。 西加奈子(作家) 停まった時間の内に、再び歩き始める生の兆しをみた。 古川真人(作家) いつかきっと、いろんなことがわかるようになる。 母を病で失った五歳の「僕」は、いくつかの親戚の家を行き来しながら幼稚園に通っていた。大人たちが差し出す優しさをからだいっぱいに詰め込み、抱えきれずにいた日々。そんなとき目の前に現れたのは、イギリスからやってきた転入生のさりかちゃんだった。自分と同じように、他者の関心と親切を抱えきれずにいる彼女と仲良くなった「僕」だったが、大人たち曰くこれが「初恋」というものらしく……。 コンビーフのサンドイッチ、ひとりぼっちのハロウィン、ひみつの約束、悲しいバレンタインデー。 降り積もった記憶をたどり、いまに続くかつての瞬間に手を伸ばす。 第36回三島由紀夫賞候補作、第45回野間文芸新人賞候補作となった『息』に続く、注目の若手による最新中編。 【著者略歴】 小池水音(こいけ・みずね) 1991年東京生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。2020年「わからないままで」で新潮新人賞を受賞。2022年発表の小説第三作「息」が第36回三島由紀夫賞候補となる。同作とデビュー作「わからないままで」を収録した初の単行本『息』が第45回野間文芸新人賞候補作となった。
50代の主婦・佐々木瞳は兵庫県のマンションで夫の一郎と二人で暮らしていたが、2018年に母の京子が階段を踏み外して入院したことをきっかけに、一緒に暮らすことを提案。京子は新しい環境にも慣れ、充実した暮らしを送っていたが、新型コロナウイルスの感染拡大が世界中を襲う。緊急事態宣言が発出され、友人たちと会えなくなった京子は精神的に不安定になり、失禁をすることも増えていた。そんなある日、瞳と一郎が母のことで言い合いになるのを母に聞かれてしまう。その翌日、京子が急死。母が残した自筆の遺言状の内容は、きょうだい3人の中で瞳に多く相続させるものだった。そのことをきっかけに、兄の真司と姉の陽子は瞳を責めるような態度をとる。瞳は空き家となった実家の整理や売却に向けての準備を進めつつ、中学の同級生で自称“空き家ウォッチャー”の和江とともに空き家が活用されている事例などに触れていくーー。
歌舞伎町トー横キッズの闇を追え! 警視庁生活安全部少年事件課の山内が暴力団員に捜査情報を流しているとの密告が人事一課監察係に届く。同僚の佐良、皆口とともに監察官の能馬から事前監察を命じられた若手の毛利。行確に向かった新宿歌舞伎町にはトー横キッズが集まり、中学二年の孤独な少年・三崎は偶然預かった錠剤を闇で売ろうと謎の少女・美雪に持ち掛けられていた…ジンイチ、新たな戦いへ! WOWOW 連続ドラマW 「密告はうたう2 警視庁監察ファイル」 ドラマ化シリーズ最新作!
取扱注意! 変な死体×本格ミステリ 作家デビュー30周年記念作品 不謹慎だがガチ本格の死体ミステリ! 「本格・オブ・ザ・リビングデッド」 夏の山荘で起きた惨劇。殺人犯はゾンビ⁉ 「三人の戸惑う犯人候補者たち」 「人を殺したかも」相談の内容は殺人で… 「それを情死と呼ぶべきか」 〈死者が生者を殺した〉密室心中の真相は⁉ 「死体で遊ぶな大人たち」 なぜ腕だけ別人に“すげ替え”られたのか? 「死体を有効活用すれば、ここまで奇怪な状況をロジカルに成立させられるのか! 著者が示した4態(シタイ)に驚嘆!」--村上貴史氏(書評家)
「お別れをしたいと思ってまいりましたのーー今までの私に」--周囲から悪女と噂されながらも、第二王子の婚約者として誠実に務めてきた侯爵令嬢のアウレリア。しかしある日、乗っていた馬車が転落し、世間では亡き者とされてしまう。この一件に婚約者や異母妹が関わっていることを知ったアウレリアは、あらゆる策を講じて彼らを破滅へと追い詰めていき…。「悪女? 今の私にとって最大の誉め言葉ですわ!」疎まれた令嬢が悪女として舞い戻る、華麗なる大逆転劇が幕を開ける!
「どういうことーー!?」伯爵令嬢のマルガレーテは1年間の留学から帰ってくると、実家がもぬけの殻となっていた! というのも、父親が投資に失敗し借金を抱えて屋敷と領地を没収されていたのだった。また元の生活を手にするため、家族で一致団結し借金を返済していくことに! 実は転生者であるマルガレーテは、前世知識と留学で学んだ聖魔法を活かして孫の手や湿布などアイディアグッズを考案し爆売れさせていく。さらに、聖魔法騎士団に入団し能力の高さから注目されていき…! 着々と没落脱出の目途が立ってくる中、例の投資が詐欺だったことが発覚し…!? 家族の絆で乗り越える逆転劇、開幕!
"伯爵の妾の子として生まれたカトリーナは、義妹と義母に虐げられ使用人同然の扱いを受けていた。そんなある日、社交界でトラブルを起こした義妹に「誰にも愛されずに極寒の地で野垂れ死ぬなんて……アンタにお似合いの最後ね」と北の辺境領へ行く罰を擦り付けられてしまう。 そこには冷酷無慈悲と噂の王子・クラレンスがいた。なんとか身代わりがバレないように振舞うカトリーナだったが、待っていたのは予想外の好待遇でーー!? 「ここには君を傷つける者はいない」愛を知らずに育ったカトリーナは、初めて自分に向けられた優しい愛情に戸惑いながらも徐々にクラレンスに惹かれていく。一方、クラレンスも健気なカトリーナに対して心動かされていき…! 純粋無垢な身代わり令嬢×心を閉ざした氷の王子が真実の愛を知っていくラブファンタジー♡"
"病弱な妹の世話をしながら、実家の経営を支える男爵令嬢のマティルダ。自由を夢見るも、自分勝手な両親に振り回され、搾取される日々を過ごしていた。 そんなある日、夜会で飛び入り参加した朗読劇で、完璧に役を演じきったことがきっかけで 若き辺境伯・カーティスに見初められ、契約結婚を申し込まれる。 「おまえの望みを叶える代わりに、自分の妻を演じてほしい」 カーティスが治める4年間、契約妻として辺境の地で新しい生活を始めたマティルダは自由な暮らしを楽しむ一方で、領内で起きている問題を知り、実家で培ってきた知識を活かしてスピード解決!領地の発展に貢献し、次第に領民から辺境伯夫人として愛されていく。 一方で、冷遇されながらも完璧にこなす妻の姿に、カーティスの心は動かされていき…? 働き者の地味才女×恋に無頓着な辺境伯のじれ甘ラブファンタジー!"
国の監視下で自由のない幽閉生活を送る元王女・クラリス。ある日、魔法で眠らされている間に顔が似ている暴虐王女の身代わりとして敵国の王・レジェスのもとへ嫁がされてしまう。「これは政略結婚。愛など愚か、非道な行いを俺は許さない」レジェスは暴虐王女と呼ばれる花嫁を警戒し冷たく接する。一方「身代わりがバレたら始末する」と祖国から脅されているクラリスは、めげずに暴虐王女らしく振る舞おうと努めるが大好きなもふもふを前に理性が崩れたり、怪我人を咄嗟に助けたり…。素が隠しきれないクラリスの言動は、王宮の人々の心を動かしていく。「お前が喜んでくれると、俺も嬉しい。」しかもいつの間にか冷徹皇帝が過保護な溺愛モードに!?不遇な身代わり令嬢×クールな最強皇帝。勘違いからはじまる大逆転溺愛ファンタジー。第4回ベリーズカフェファンタジー小説大賞プロット部門特別賞。
「私、【錬金術師】になっちゃった」メッセージとともに届いた画像には、見るからにチャラそうな男たちと一緒に写る幼馴染の姿。将来有望な職業に就いた幼馴染が悪党に狙われることを心配した真央は、自身も幼馴染の後を追ってダンジョンに潜ることを決める。だが真央に与えられた職業【運び屋】は、周りからハズレ扱いされる最弱の職業だった…!しかしどうやら【運び屋】には、レベルアップのための秘密が隠されているようでーーー?
一九九五年一月、小暮悠太は震災で混乱を極める神戸へ、精神科医として救援に駆けつける。その二カ月後、息子の悠助が地下鉄サリン事件に巻き込まれ、悠助のピアニストとしての将来に暗雲が立ちこめていくーー。 二十一世紀を迎え、周囲の人間が次々と鬼籍に入っていく中、悠太は妻の千束とともに次世代に未来を託しながら、自分たちが生きてきた七十年余の時代を振り返る……。 『永遠の都」に続く自伝的大河小説、ついに大団円。 毎日新聞出版文化賞企画特別賞。
昭和2年、冨山房発行の名著の復刻版。 『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』などが世界中で読まれている、最も著名な作家の一人、トルストイによる、すべての人々の心の糧(かて)となる名作童話集です。人を愛することの大切さ、人を信じることの大切さを、達意な文で綴っています。情景を語る数多くの軽妙な口絵と挿絵が物語をより豊かなものにしています。本文は現代表記で読みやすくしました。 幼い人たちはいうまでもなく、いろいろな年齢の違った人たちをふくめたすべての人々に贈ります。 (主な内容) 子供たちのために しあわせな人 兄弟と黄金 鶏卵のように大きな種 イリヤス 年とった馬 捨児 火事 ブウルカと猪 泥亀 野兎 熊狩 イワンの馬鹿 三人の隠者 がらんどの太鼓 小悪魔とパン片 コウカサスの捕虜 人はどれだけの土地がいるか 教え子 なにで人は生きるか… など33話を網羅 読みやすく達意な文・総ルビ
代議士事務所立て籠もり事件が発生、犯人2人が逮捕されるが、完全黙秘を貫く。彼らが沈黙を続ける真の理由とは? ラストで明かされる驚愕のメッセージに読者は慟哭する! 巨大ダムに象徴される日本の病巣を抉り出す白熱のサスペンス巨編!!
「君にさ、新しい魔王になってもらえないか、と思って」 ちんちくりんでいいところなしの高校二年生・小野寺剛士17歳。身を守るためなら恐怖と恨みをエネルギーに変える高速怨念増殖炉を内蔵する彼が、苛めっ子への復讐を果たそうとしたその時、白い閃光に包まれた! 転移したそこは、人族のランバルト国に侵攻されつつある魔族の国ブラントラント。魔王陛下の田中さんから次期魔王として魔王領総帥に任命された剛士は、ゴブリン、ヴェアウルフ、ヴァンピレラらの部隊を率い、劣勢の戦場へと向かうが……。 〈魔王〉となるべく異世界に召喚された少年の運命は!? 長篇ミリタリー・ファンタジー、待望の復刊! 特別寄稿:菅沼拓三「豪屋大介は何者か」収録。
チェスタトン×ウィトゲンシュタイン÷ゴンブローヴィチ=テメルソン 炸裂する黒いプードル爆弾、二人のダンシング・ガールズ、 天才少年の秘められた数式ノート、そして缶詰サーディンの謎…… ポーランドの前衛作家による奇妙奇天烈な哲学ノヴェル! ★若島正+横山茂雄責任編集〈ドーキー・アーカイヴ〉第8回配本 〈意味による支配の打倒を標榜するこの珍妙無類なノンセンス哲学 SFミステリ奇想小説の行間を読んではいけない〉若島正 物語は一人の文豪が列車の中で頓死するところから始まる。残された妻と愛人は恋人同士になりスペインのマヨルカ島に移住、そこに女占い師と息子の天才少年、下半身不随の哲学教師とその妻子が現れ、さらにポーランドの将軍の老いた娘やキャプテン・カサノヴァなど多彩な人物が入り乱れ、誰も予想できないラストへ向かうーーイングランド〜マヨルカ島〜ポーランドを舞台に、哲学・歴史・政治・数学・言語をめぐる異常な考察が展開、バートランド・ラッセルに「ほとんど世界そのもののように狂っている」と言わしめた鬼才ステファン・テメルソンの奇想と脱線に満ちた長篇、本邦初紹介!(1986年作)。
長崎高等女学校専攻科に入学し、合唱部に入った朋。 たくさんの友人に恵まれ練習に励んでいたが、戦争が激化するにつれ、選曲も活動場所も、次第に制限されていった。 それでも、支え合う友がいること、たまに皆で合唱できること、勤労動員で国の役に立てることに、朋は喜びを感じていた。 しかし、8月の暑い日、強烈な青白い光が彼女たちを覆い…… プロローグ 一年生 二年生 三年生 エピローグ
誰もがすぐに好きになる、頼れる動物病院院長のメグ先生。愛妻朱美さんとはいつも一緒。病院の裏の丘に土地を買って、ドッグランの中に動物たちの第二シェルターを作ることに。獣医学部の女子留学生が病院のアルバイトにやってきて、何やらやきもきしそうな予感……。 メグ先生を取り巻く日常を軽快に描いた、エンタメ小説完結編。
1939年ノモンハン上空、ソ連軍I-16戦闘機を迎え撃つのは大日本帝国宇宙軍の十一試戦闘機。最高速800km/hを誇る高性能機はソ連機を次から次へと撃ち落とす。 宇宙軍を指揮する男の名は高城蒼龍(たかしろそうりゅう)。 粒子加速器の事故により、第二次世界大戦前の日本に転生してしまった自衛官だ。 21世紀の技術と知識で、日本をそして世界を大戦の惨禍から救うことを決意する。