小説むすび | 2024年発売

2024年発売

恐るべき緑恐るべき緑

世界33か国で刊行、オランダ生まれのチリの新鋭による、科学史に着想を得た斬新なフィクション。 「プルシアン・ブルー」 第二次世界大戦末期、ナチの高官らが所持した青酸カリと、西欧近代における青色顔料をめぐる歴史、第一次世界大戦の塹壕戦で用いられた毒ガス兵器の開発者フリッツ・ハーバーの物語。 「シュヴァルツシルトの特異点」 科学史上初めてブラックホールの存在を示唆した天文学者シュヴァルツシルトの知られざる人生。 「核心中の核心」 不世出の数学者グロタンディークの数奇な生涯と、日本人数学者、望月新一の人生の交錯を空想する。 「私たちが世界を理解しなくなったとき」 黎明期の量子力学の発展に寄与した三人の理論物理学者、ハイゼンベルク、ド・ブロイ、シュレーディンガーと、それぞれに訪れた発見/啓示の瞬間。 「エピローグ 夜の庭師」 作者と思しきチリ人の語り手が、散歩の途中に出会った元数学者の庭師との会話や思索を綴る。 科学のなかに詩を見出し、宇宙の背後にある論理や数式が、天才たちの前におのずと姿を現わすかのような比喩が随所に光る。既存のジャンルを軽々と飛び越える国際的な話題作。 プルシアン・ブルー シュヴァルツシルトの特異点 核心中の核心 私たちが世界を理解しなくなったとき エピローグ 夜の庭師  謝辞  訳者あとがき

アフガンの息子たちアフガンの息子たち

難民児童と施設職員の交流を描くYA小説 スウェーデンの小さな町にある灰色の建物。高校を出たばかりの「わたし」は、保護者のいない難民児童が暮らす収容施設で働いている。職員は規則と指示に従うことを求められ、帰宅したら仕事のことは考えるなと言われるけれど、アフガニスタンから逃げてきた少年たちと日々接していると、それはとても難しい。「わたし」は、家族と離れ一人で逃げてきた14歳のザーヘルや17歳のアフメド、ハーミドという3人の少年たちと心を通わせるうちに、タリバンへの恐怖やトラウマに苦しむ彼ら、18歳になり施設を出なければならないことを恐れる彼らに寄り添おうとする。 静かな筆致で難民児童の現実と職員の葛藤を描いた、2021年北欧理事会文学賞(YA&児童部門)受賞作。 【編集担当からのおすすめ情報】 十代の少年たちがたった一人で家族を離れ、故国を出て外国へ難民する。こんな現実が世界のどこかで起こっていることをご存じでしょうか。 本作は、スウェーデンの難民児童施設を舞台に、彼らの現実、そして一個人としての思いと制度の限界の中で葛藤する女性職員の姿を描いたYA小説です。現在は減少傾向にありますが、2015年にはスウェーデンの難民児童の数は35000人を超えていました。著者はソーシャルワーカーとして難民児童にかかわる仕事をした経験があり、その経験をもとに本作を書き上げ、デビュー作にして北欧理事会文学賞を受賞しています。 日本人にとっては遠い国の問題のように感じるかもしれません。ですが、職場や学校の「公の人間」としての自分と、困っている人を助けたい「一個人」としての自分とのはざまで抱える主人公の葛藤は、誰しも身に覚えがあるのではないでしょうか。アフガンの少年たちと同世代の方から、大人の方まで手に取って頂きたい1冊です。

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