2025年3月発売
商店街の一角にぽつんとある、元・文学スナック、現・惣菜屋「真実一路」。 町内でいま話題をさらっているのは、その店のママ・愛里須とその夫で売れない小説家・治の行方。 ある人によれば、円満離婚したらしい。 別の人によれば、妻が甲斐性なしの夫に三行半をつきつけた、という。 また他の人いわく、夫が恐妻から逃げ出した、と。 邪気のない噂が邪気混じりの噂を巻き起こしていくーー急な閉店と夫婦の蒸発についての真相とは?
============== 愛され続けて6万部突破! ロングセラー『月とコーヒー』 6年ぶりとなる待望の第2集! ============== 2019目の刊行以来、単行本で愛され続け、 異例のロングセラーとなっている 『月とコーヒー』。 人気作家が腕によりをかけて紡いだ とっておきの小さな物語たち。 待望の第2集ができあがりました。 ◎火星が最も地球に近づいた夜の小さな奇跡 ◎〈まっくら都市〉で〈こころ〉を探すモグラの冒険 ◎駄目なロボットによる素晴らしいオーケストラ ◎〈トカゲ式ゴム印〉と世界の果ての地球儀屋 ◎夜を青く塗り替える、〈貴婦人〉という名の石炭 ◎空を飛べなかった男と、ほろ苦いビター・チョコレート ◎〈白紙屋〉の白い手袋と三人の年老いた泥棒 今夜は少し遠いところへ 出かけてみませんか。 世界の片隅に生きる ささやかで優しい 誰かと誰かのお話を あなたにお届けします。
シリーズ第4巻「赤いくつ」は、表題作のほか、「旅なかま」「ひこうかばん」「幸福のうわおいぐつ」「家じゅうの人たちの言ったこと」「いたずらっ子」「アンネ・リスベット」「イーダちゃんのお花」の8篇を収載している。「赤いくつ」は、「人魚姫」「マッチ売りの少女」「裸の王様」と並んで、世界中で愛されているアンデルセン童話のひとつ。赤いくつに魅せられた少女のたどる不思議な運命とは…。「旅なかま」は、病で父を亡くした孝行息子・ヨハンネスが一人旅に出る。ある時、見知らぬ男と意気投合し、一緒に旅をしていく。果たして、その男とは…。ほかにも短い物語が多く、アンデルセンの不思議で幻想的な世界が楽しめる一冊となっている。 赤いくつ 旅なかま ひこうかばん 幸福のうわおいぐつ 家じゅうの人たちの言ったこと いたずらっ子 アンネ・リスベット イーダちゃんのお花
「自閉症者のもどかしさをここまで情緒的に綴る文章は僕には書けない」--『自閉症の僕が跳びはねる理由』著者・東田直樹氏推薦! 自閉スペクトラム症のサンデーは白いものしか口にしない。他人のかかわりは暗記したマナーブックの指南通り。自分のルールを守りながら、娘のドリーと二人ひっそりと暮らしている。しかし、ある夏の日、唐突に現れた自由奔放で謎の魅力をもつ隣人によって、これまでの日常が侵されていく。一方で、ドリーは隣人に惹かれていく。幼い頃から母親にその特性をみとめてもらえなかったサンデー。現在も、唯一の愛する家族である娘との関係に悩み続けている。自身も同じ特性をもつ著者の初めての作品にして、ブッカー賞ノミネート作。 <本書の内容> 火は光と見紛う/輝く魚/冬の蜂/大きな声で話して、普通に話して/辿れない心/精巧に作られたおもちゃ/個人の邸宅/やわらかい羽と鋭い目/この見せびらかすようなキス/猫の眠り/所有欲に似た愛情/際立って違うもの/ある種の告白/イーヴィは水が大好き
「男の僕が有害な男性性を告発することが僕の大義なのだと、本気で思った。どこで間違った?」 ポリコレ系文化人×弱者男性芸人 自らの傷を利用する二人の男。歪な同居生活の行く末はーー 【『ぬいしゃべ』著者、入魂の衝撃作!!】 映画化もされた『ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい』でジェンダー差別に傷つく男性の姿を繊細に描き、話題を呼んだ作家・大前粟生。 本作は、「差別への抵抗・告発すらも消費される社会」の闇へも踏み込んだ超渾身作。 「増幅していく差別と偏見と絶望を受け止めた先に、大前さんは一筋の光を見出す。」 ー吉田恵里香(脚本家・NHK連続テレビ小説『虎に翼』アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』他) 「この物語が届かない時代なら、もう本当に手遅れだ。」 ー大島育宙(芸人・YouTuber)
ポーランドの炭鉱、チェコの森、ウクライナの麦畑…ロシア・中東欧の厳しくも豊かな自然は、文学や絵画でどのように描かれているのか。国家や民族の問題が影を落とすロシア・中東欧文学を、地政学や文明論を超えたエコクリティシズムの観点から批評し、新たな読解の枠組を提示する。
筆者は、湯布院という名前を挙げて、一冊の本を書こうとしている。この物語の冒頭に登場する三人の青年が、ヨーロッパに出かけ、観光を学び、田舎町湯布院を見事な観光地に育てた実話に感動して、この物語のペンを執った。この実話以降の物語は、全て私の創作である。・・・「プロローグ」より
『宇宙戦争』(H.G.ウェルズ)を生んだ、元祖・架空戦記、待望の翻訳! 1870年代、急速に勢力を拡大するプロイセンに危機感を抱いた英国軍人ジョージ・チェスニーは、国家改革の必要性を訴え『ドーキングの戦い』を発表。架空のシナリオで戦争のリアリズムを描き、政府の無策と防衛不足を鋭く告発した本作は、当時の英国社会に大きな衝撃を与えた。さらに、この作品は後のスパイ小説やH.G.ウェルズ『宇宙戦争』などのSF小説に影響を与え、「架空戦記」や「侵攻小説」の先駆けとなった。文学史上の重要な作品として、またミリタリーファンからライトノベル読者まで広く楽しめる、必読の一冊! 【ストーリー】 「あの悲劇は容易に避けられたはずだった。 ああ、すべてが遅すぎたのだ!」 ヨーロッパで勢力を拡大する隣国の大軍が、ついに英国本土へ侵攻。 英国軍は兵士をかき集め決死の抵抗を試みるも、敵軍の猛攻に崩壊していく。 静かな田園地帯ドーキングは、祖国の命運を賭けた決戦の地と化したーー 50年後、生き残った兵士が孫たちに語る、祖国崩壊の回想録。 未来を託す者たちに伝えたい「敗戦の真実」とは? 【目次】 第一章 古き英国の落魄 第二章 破滅の始まり 第三章 海戦の行方 第四章 敵の上陸 第五章 トラバースの妻 第六章 リース・ヒルの頂 第七章 丘を降りて 第八章 さらなる援軍 第九章 トラバース夫人の使い 第十章 篤志隊の意義 第十一章 最初の交戦 第十二章 小さな勝利とその代償 第十三章 白兵戦 第十四章 転退と混乱 第十五章 サービトンの高台 第十六章 駅の防衛 第十七章 親友の家 第十八章 勝者の行進 第十九章 英国を去る孫たちへ 訳者あとがき 第一章 古き英国の落魄 第二章 破滅の始まり 第三章 海戦の行方 第四章 敵の上陸 第五章 トラバースの妻 第六章 リース・ヒルの頂 第七章 丘を降りて 第八章 さらなる援軍 第九章 トラバース夫人の使い 第十章 篤志隊の意義 第十一章 最初の交戦 第十二章 小さな勝利とその代償 第十三章 白兵戦 第十四章 転退と混乱 第十五章 サービトンの高台 第十六章 駅の防衛 第十七章 親友の家 第十八章 勝者の行進 第十九章 英国を去る孫たちへ 訳者あとがき
激突する光(リーリエ)と闇(レイラ)-- そして、フェリクスの逆鱗に触れたリーリエを待ち受けるのは!? 想い合う二人に忍び寄る危機……! 王城で初めて二人きりの夜を過ごしたレイラとフェリクス。翌日、いつも通り医務室にいたレイラの元をある男子生徒が訪れる。ルナによると彼は光の精霊、つまりリーリエの精霊だという。一方、魔術師・クリムゾンに関してある事実を知ったフェリクスは、レイラの身を案じて彼女を王城の自室に住まわせることに。二人で過ごす二度目の夜、互いの想いがついに溢れ出す……。二人の距離が縮まるなか、拘束されていたはずのリーリエに異変が??
アイリスは悪女に見えてしまう顔つきがコンプレックスの子爵令嬢。 しっかり者で優秀にもかかわらず恋人はおろか男性とは無縁の生活を送っていた。 結婚は諦め、家の内政につとめようと勉強していた矢先、 女性嫌いと噂される王子ウィリアムの指導係に任命される。 彼は「既成事実を作れば、君は私の妻になるわけだね」と、 甘く囁き、いやらしい指づかいで身体に触ってきて……。 潔癖な王子様だと思っていたけれど、 淫らな一面や意外と可愛らしい一面を見て、彼に惹かれていきーー。
私たちの声はよく似ているのでどれも混ざる、来年も私たちは五人でいるだろうーー。 母の再婚で「姉」になったハルア、 恋愛に打ち込みたいスポーツ少女ナノパ、 鼻の低さがコンプレックスのダユカ、 「空気の読めなさ」を自覚するシイシイ、 家計のためバイトに明け暮れるウガトワ。 高校二年生の仲良し五人組。 同じ時を過ごしていても、 見据える景色が同じとは限らない。 芥川賞作家が描く、澄みわたる青春群像劇!
秘すれば、花なりーー。 そう微笑んだ彼女は、美しかった。 この世のものではあり得ぬほどに。 「パパの死体を捨てるの、手伝ってくれない?」 2021年、コロナ禍の新宿トーヨコ。 茨城を飛び出したジローは、キャイコと名乗る少女と出会い死体遺棄に協力する。 キャイコはなぜ父親を殺したのか、そしてジローはなぜ彼女を救ったのか? その答えは、遠い昔に失われたはずの能曲「金色姫」に秘められていた。 足利、豊臣、徳川。時代を超えて権力者を魅了したその舞が令和の新宿に顕現するとき、約500年にわたる祈りの物語が収束する。 気鋭のSF作家による、能楽×サスペンス×百合クロニクル、開幕!
匣(はこ)に刻まれた一字は己の運命。 その字に従うか、刃向かうかーー。 これは少女が国を「盗」み、世界を変える物語。 大陸一の港町・顎港の路地裏に、赤子が打ち棄てられていた。 僑燐(きょうりん)と名付けられたその少女の持ち物は、首に提げられた小さな匣のみ。 それもまるで開く気配がなく、ただ「盗」の字が刻まれているだけ。 この一字に導かれるように、長じた僑燐は盗賊団を乗っ取り、義賊として民たちに慕われていく。 そして顎港の支配者と対立し、歴史がうねりを上げて動き始める。 構想10年、編み上げた物語年表は1000年分。 新時代の中華ファンタジーシリーズ、ここに開幕!
大冒険小説の傑作を新装刊 海賊が跋扈する17世紀末。 海賊討伐の命を受けて出帆するも自ら海賊船へと姿を変えた「アドヴェンチャー・ギャレー」号。 航海士としてこの船に乗り組み、やがて海賊船の船長となったジェームズ・モアは、ユニークで頼りになる仲間たちとともに大海原をゆく。 海賊としての輝かしい成果と数々の危機。痛快な大冒険。そして因縁の対決へーー。 1998年初版、傑作海賊冒険小説を新装版として刊行
田中小実昌 生誕100年記念刊行 『ポロポロ』から『アメン父』へーー。 幼少期、従軍、復員ののち東大哲学科入学。 米軍基地のアルバイトで暮らし、翻訳家、小説家となって後も、コミさんは哲学に関心を持ち続けた。 映画館への途中で、バスの旅で。カバンに忍ばせた文庫本に、文句と注釈をつけながらも読み続ける。 そんな日々が、いつしか「小説」となる……。 「哲学」「宗教」「小説」の三位一体のかんけいの謎を追究し、著者晩年の代表的シリーズとなった「哲学小説」を初集成(全三巻)。 第3巻は「カント通りまで百メートル」(1982)から「LAにいるのかな」(1997)まで、単行本未収録作品14篇をまとめる。 〈解説〉佐々木敦 [全巻構成] 第1巻 『カント節』『モナドは窓がない』(全11篇所収)/巻末対談:柄谷行人/平岡篤頼/井上忠 第2巻 『なやまない』『ないものの存在』(全10篇所収)/巻末対談:池内紀+堀江敏幸/保坂和志+石川忠司 第3巻 単行本未収録作品集(全14篇所収)/解説:佐々木敦
“アンパンマン”を生み出したやなせたかし・暢夫妻をモデルに描く、愛と勇気の物語 “アンパンマン”を生み出したやなせたかしと妻・暢をモデルにした連続テレビ小説「あんぱん」を完全小説化。何者でもなかった二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでを描く、愛と勇気の物語。 時は昭和の初めごろ。高知の町を元気に走り回る少女がいました。「ハチキンおのぶ」こと、朝田のぶです。一方、幼い時に父を病気で亡くした柳井嵩は、高知の伯父の家に引き取られます。転校先の小学校で2人は出会い、友情を深めていきます。数年後、二人はそれぞれの学校に進学。戦争の足音が近づくころ、のぶは軍国少女として国のためにつくします。やがて戦争が始まり、嵩は出征。二人は戦争に翻弄され、何が正しいのかわからなくなっていくのでしたーー。