2025年8月6日発売
心臓を引きずり回されながら、少女らの旅を見届けた今、ただ茫然と満ち足りている。 ーー村山由佳(作家) 秘密と嘘と危険のなかで育まれる、友情と愛の確かさに心を掴まれました。 ーー瀧井朝世(ライター) 日本が支配するかの地で出会った二人。 何もかも違う。でもあなたを知りたい。 1936年、日本植民地下の朝鮮。 日本育ちの翠、朝鮮育ちのハナ。 時代にもがき、駆け抜けていった少女たちーー。 「ひとは、民族や、仕事や、性別に関係なく、愛に生きることができる? ほんとうに自由になれるものですか?」(本文より) 戦前の東京、下町の娼婦街で育った翠は、 縁あってかりそめの「お嬢さま」として、日本統治下の京城で念願の女学生になった。 日本人家庭の下宿には、同い年の子守の朝鮮人少女(ハナ)がいたが、 言葉も通じず全然打ちとけない。 しかし、翠は少女がこっそり日本語の本を読んでいる姿を目撃するーー。 不自由に囲まれた切なくも美しい青春物語。
犯人はあなた。 名探偵がそう決めました。 裁判中継が国民的娯楽に!? 真実なき時代のモキュメンタル・ミステリ!! 裁判の生中継番組が一大エンターテイメントとなり、「名探偵」が活躍するようになった社会。 法学部生の僕はじいちゃんと裁判中継を観ていた。 一瞬でトリックを暴く名探偵。有罪は確定。 しかし、じいちゃんは言う。 名探偵の推理は間違っている。 凄腕の探偵だったじいちゃんは法廷でかつての弟子と推理対決をすることにーー。 論理(ロジック)の刃は、空気で決まる“真実(フェイク)”を切り裂くか?
「お客さんに言われたんですよ。盛り塩した方がいいよ。ここ、なんかいるからって」 小説家・岡崎隼人は最新作『だから殺し屋は小説を書けない。』を出版したことをきっかけに、書店員とよく話すようになった。ある日、地元・岡山市の新刊書店を訪れると、店長が盛り塩をしているのを目撃する。数週間後、岡崎は別の書店でサイン会を開くことになったが、そこでも奇妙な体験談が寄せられていることに気づく。 新作が思うように書けず焦っていた岡崎は、担当編集の菱川と話し合い、書店にまつわる怪談を集め、モキュメンタリー調に書き直したホラー小説にすることを思いつく。怪談は続々と集まり、順調に執筆は進んでいたが、寄せられた怪談には共通点があることに気づく。岡崎と菱川は、その共通点を探るため、さらなるネタ探しに乗り出すが、次第に恐ろしい真実に近づいていく。
近畿地方のベッドタウン・水倉地区で起きた薬物事件。バニッシュと呼ばれるペーパーアシッド、最初の被害者は小学生だった。 県では薬物撲滅キャンペーンが展開され、イメージキャラクターとして俳優・師道一正が選ばれた。クリーンなイメージで俳優としても超一流、人を魅了することに長けた彼は、探偵としての能力も発揮。県警の義永誠刑事に協力して、事件の恐るべき真相を看破した。 事件解決の名声も手伝って師道は国会議員となり、水倉を地元として帰ってくる。そして囁かれはじめる黒い噂。 熱狂の最中にも師道に違和感を持っていた支倉彼方と義永刑事の娘・真理子は、師道の真実に迫ろうと仲間を集め、位置情報アプリ「MK2」を使って水倉丘陵に隠されているはずの秘密を調べ始める。 そして誘拐事件は起こった。 二転三転する物語と手に汗握る知的攻防。善とは悪とは? 『スイッチ 悪意の実験』『伯爵と三つの棺』の潮谷験が贈る、傑作ジェットコースターミステリー!
「教場」映画プロジェクト原作!最新刊! 第一話 会意のトンネル 郷村秀初は、体格に優れた14歳年上の同期、岩国禾刀に何かと助けられていた。岩国は、郷村の母の中学時代の後輩だという。 第二話 不作為の鏡 成瀬幹人は、醜形恐怖症のため、一度鏡を見てしまうと離れられなくなる。招集に遅れることも多く、連帯責任を取らされる同班の若浦と宝条から苦情を言われていた。 第三話 遺恨の経路 木下百葉は、同じ教場の真鍋辰貴と交際している。真鍋は一月前まで同期の洞口亜早紀と付き合っていた。真鍋と百葉はクリスマスに会う約束をしているが、その前に犯罪捜査のペーパーテストがある。 第四話 犯意の影法師 南郷玲司と来栖研心は「警察学校生研究発表会」の予選にT県警代表として出場することになった。全国大会に進めれば卒配後はAランクの署に配属される。 第五話 黒白の極性 細沼理仁は、パチンコに大ハマりして同期に借金までしてしまった。軍資金を吐き出した土曜、ひったくり事件に遭遇する。 第六話 金盞花の迷い 卒業式が近づき警察学校では総代争いが激化していた。追掛冬和子はそのトップを走っているが、ライバルで新聞ベタ記事マニアの戌塚に図書室へ呼び出される。 【編集担当からのおすすめ情報】 主演 木村拓哉 「教場」映画、プロジェクト始動! 脚本 君塚良一 監督 中江功 2026年、風間公親ふたたび! 刑事指導官・風間公親を急襲し、右目から光を奪った“千枚通しの男”十崎波瑠が、「風間道場」門下生の刑事達の手によって逮捕された。警察学校長の四方田は、風間の門徒である現役バリバリの刑事を月に一度「風間教場」に招き、特別講義を行ってもらうという新たなカリキュラムを提案する。
オジブワ族の父をもつ18歳のドナスは、自らのルーツと進路に悩んでいた。ある日、薬物絡みの殺人事件を目撃する。その薬物は、伝統医療を悪用して作られたものだった。潜入捜査官に協力を求められたドナスは、事件の闇と、揺れる自分自身に向き合っていく。
人類最後の生き残り〈ガイア・ステーション〉の子として、キアは日々厳しい戦闘訓練を続けてきた。胸に抱くのは、地球を滅亡させた異星人とその時空を操る装置への復讐のみ。だが、ガイア司令部の嘘を知って、彼女は旅立った……地球が滅亡しなかった世界に!
一九九二年、東フランスの錆びれた町。外の世界を求める十四歳のアントニーは、盗んだカヌーでたどり着いたビーチで少女と出会う。その出会いは彼の世界を一変させた......かつて製鉄で栄えた「限界都市」に生まれた少年の八年間の青春を描く、ゴンクール賞受賞作
イギリス最古の文学賞 ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞 受賞作品 刮目せよ、これは暴動と叛乱の文学である。 グレート・ブリテン、84年ーー大英帝国は内戦の瀬戸際にあった。 1984年。サッチャー首相率いるイギリス政府は一方的に炭鉱の閉鎖を決定した。これにより失職する労働者は二万人。これは宣戦布告だった。 炭鉱労働者の組合NUMのトップ、アーサー・スカーギルは告げたーー 我らの生活を守るため、ストライキを実行せよと。 だがストライキは収入の途絶を意味する。困窮する労働者たちのために、組合の中枢にいあるテリー・ウィンターズは奔走する。だがウィンターズには秘密があった。彼は同志を裏切っていたのだ。 ニール・フォンテインは始末屋だ。サッチャーの意をうけてストを潰すために暗躍する〈ユダヤ人〉の腹心だ。ニールは権力者たちの密談に耳を傾け、権力と手を組んで、労働者たちを潰してゆく。 〈修理工〉ことデイヴィッド・ジョンソンは雇われの暴力者だ。だがお偉方の腰巾着どもが卑劣な手段で彼を脅し、スト潰しの汚れ仕事を強制する。 そして政治と警察と労働運動の策謀が衝突し、軋みを上げる中、ストライキに身を捧げる労働者たちは困窮してゆくーー盗聴器がカチ・カチと音を立て、警官たちがガチャ・ガチャと装備を鳴らし、労働者たちを追いつめる。棍棒を振り下ろす。国家が監視し、脅迫し、暴力をふるい、叛乱の芽を踏みにじる。現代犯罪文学の旗手デイヴィッド・ピースが国家の暴力を描き尽くす。 ジェイムズ・テイト・ブラック記念賞ーーウィリアム・ゴールディングやクッツェーといったノーベル文学賞受賞者も輩出、マキューアン、マッカーシー、フランゼン、ゼイディー・スミスらも受賞者に名を連ねる。『GB84』は2004年度の受賞作。84年の炭鉱ストライキをモチーフに、強者の残忍な策謀と、弱者の悲痛な叫びをデイヴィッド・ピースは刻みつける。原稿用紙換算1500枚、圧巻の60万字。この巨体に充満するのはパンキッシュな怒りであり、言葉で世界を転覆せんとする意志だーーノワールとは文学によるテロリズム、言葉による叛乱なのである。ジェイムズ・エルロイ『アメリカン・デス・トリップ』、馳星周『煉獄の使徒』に匹敵する暗黒の全体小説。
ストライキを潰すための汚れ仕事に従事する男たち。 その忌まわしい罪が彼らを狂わせてゆく。 押さえ込め。罠にかけろ。 帝国を揺るがす叛乱の息の根を止めろ。 おそるべき暴動の文学、ここに誕生す。 タイムズ、ガーディアン、オブザーヴァー、 サンデー・タイムズほか 英国高級紙がそろって絶賛! ストライキは30週間に迫り、国家による弾圧は激化の一途をたどる。首相マーガレット・サッチャーはストを続ける者たちを「内なる敵」と呼び、「自由にとって危険だ」と言い切った。組合の資産を差し押さえる訴訟が起こされ、警官は大軍を成して鉄拳を振るう。 サッチャーの意を受けてスト潰しに暗躍するスティーヴン・スウィートはカネを集め、策謀を練り、資本主義を守るためにカネをばらまく。その腹心ニール・フォンテインは汚れ仕事の手配をしながら過去の罪のもたらす悪夢に苦しむ。 デイヴィッド・ジョンソンは復讐のために動き出し、盗聴のエキスパート〈ティンカーベル〉ことマルコム・モリスは忌まわしい事件の真相を収めた録音をひた隠す。そして組合とともに徐々に追いつめられるテリー・ウィンターズは愛人ダイアンの手引きでリビア政府からの資金援助の申し出に応じ、最高指導者カダフィ大佐との会見に臨むがーー 歴史は告げる、1984年のイギリス炭鉱ストライキは1985年の3月に労働者側の敗北で終結すると。己の罪と恐怖に囚われた男たちの眠れぬ夜は、いかなるかたちで終わるのか? 現代イギリス文学の傑作にして唯一無二のライオット・ノワール。
わたし、ゼノン・フォラウフには前世の記憶があった。以前の彼は十八世紀ドイツの男爵家の息子メルヒオール・ドロンテであり、幼い頃、回教僧の蠟人形に命を救われていた。成長して学生となった彼は放蕩と決闘沙汰の末、軍隊に身を投じる。戦争の苛酷な現実に死を決意した時、謎の回教僧が現れ再び彼を救った。その後も回教僧は折にふれ姿を現し、運命に翻弄され流浪を続ける彼の人生を導くのだった。そして物語の舞台は大革命下のパリへ。悪魔の誘惑、処刑台の悪夢、ワルプルギスの魔宴、交霊術、予言と幻視など、超自然・オカルト的要素が全篇を彩る、若き主人公のピカレスクな冒険と、魂の遍歴を描く神秘転生譚。
正義を見破れ! 全編どんでん返しミステリ集 一億総”正義の暴走族”時代を生きる 今日もスマホを握りしめ怒っている 「正義系」の私たちのための 常識大逆転ミステリ。 『同姓同名』『全員犯人、だけど被害者、しかも探偵』の著者最新作も話題作! 今日もどこかで誰かが絶賛炎上中。 「暴露系」--俺があいつの悪事を晒してやる。 「報道加害」--夫を殺した毒婦のネタを掴んだ。 「エスカレート」--私が殺されたらどうするんですか! 「誤認逮捕」--現場にはいつもヤツがいる。 「再犯」--犯人は「厚生」できるのか。 「死刑反対」--法の下、人を殺すなんて何事だ
ぼくは王として生きる。この豪華な地獄に。 赤字財政、列強の干渉、迫る革命。転生先は破綻寸前国家の玉座だった。 <あらすじ> お飾り社長としての人生に嫌気がさして自ら命を絶った「ぼく」は、異世界の若き王の中へと転生する。 しかし彼の王国は巨額の赤字財政と列強の干渉に悩まされ、国内には革命の気配すら漂い始めていた。 政治的影響力を無視できない妃候補の令嬢たちと、自分よりも明らかに有能な重臣たちに取り巻かれ、 無力な異世界人たる彼にできることはあまりに少ない。 だが、何とか“上手くやらなければ”生き残れない。 「ぼくの名は、暗愚な君主の1人として残るだろう。永遠に」 それでもなお、彼は玉座に在り続ける。かつて“投げ捨てた”役割を今度こそ全うするために。
わたくしの従僕になるのよ、元騎士さまーー 利己的で傲慢だけど誰よりも優しい伝説の錬金術師は二度目の人生を謳歌する <あらすじ> 王太子の婚約者である公爵令嬢アンリエッタ・アグスティアは婚約破棄を言い渡された瞬間、 最強の魔女と恐れられ命を落とした前世の記憶を呼び覚ます。 錬金術を駆使して死んだと偽った彼女は、新たな人生を謳歌するため国外へと旅に出るのだった。 「従者が欲しいわね。女の一人旅は色々面倒だろうし……」 そんな事を考えていたその時、傷ついた騎士姿の男性ダリオンが空から降ってきた。 好都合だと助ける代わりに主従契約を提案するが……。 「……近づくな……魔女、めが」「……はあっ? 何その態度?」 伝説の錬金術師と真面目な元騎士、奇妙な二人の生活が始まる
『ラスボス』公女に最大の危機ーー!? 波乱だらけの勉強会開幕!! <あらすじ> 3年後に待つ死の運命を避けるべく、友達作りに励む『冷徹公女』のミリィ。ところが計画は遅々として進まず、そうこうしているうちに学園には夏休みが迫ってきてしまう。このままいけば休暇の間『ぼっち』が確定してしまうことに大焦りしていた時、定期テストで1位になれば、舞踏会でファーストダンスを踊れるという情報を手に入れ…… 「ファーストダンスは舞踏会で一番視線を集める……=友達が増える!」 完璧な計算(?)のもと、渋る生徒会メンバーを強引に誘い、全員で高得点を目指すべく勉強会を開始するミリィ。果たして起死回生の策は、ミリィの運命を変えられるのか!? ぼっち公女のやり直し青春ファンタジー第2弾!!
★作品社公式noteで「訳者あとがき」公開中→「激動の時代 試し読み」で検索! ラテンアメリカ文学ブームを先導した巨匠、最晩年の長篇 嘘が真実になり、ラテンアメリカを変えた─。 冷戦期グアテマラで展開される、権謀術数渦巻く国際政治の闇を複眼的に描いた傑作。 * 1954年、グアテマラ。CIAを通じて米国の支援を受けた軍事クーデターが起こり、貧困にあえぐ国民を救うべく10年にわたって農業改革を進めたハコボ・アルベンス政権が崩壊し、カルロス・カスティーリョ・アルマスを大統領とした独裁政権が樹立されたが、その背後では、「グアテマラが共産主義国になってソ連の海岸堡になる」という噓の情報がメディアに流されていたーー。現実は、噓によってかくも歪んでしまうのか。米帝国支配の暴力性を言語化し、ありえたかもしれない歴史を描く、ノーベル賞作家が今日の世界に遺した傑作長篇。