2026年1月27日発売
「あなたに『本当のこと』をひとつかみ差し上げましょう」川のそばにあるお菓子屋〈おやつ〉。ある日店を訪れた青年は、チョコレートと引き換えに不思議な「種」を置いていく。それをきっかけに、店主のエリカはかつて出合った一冊の本を思い出して……表題作ほか4篇+エッセイ。忘れられない本をめぐるささやかな冒険。 物語の舞台袖 1 アリスのいないお茶会 『不思議の国のアリス』*ルイス・キャロル 舞台袖からの報告・1 2 ガリヴァーの囁き 『ガリヴァー旅行記』*ジョナサン・スウィフト 舞台袖からの報告・2 3 王子さまのいない星 『星の王子さま』*サン=テグジュペリ 舞台袖からの報告 4 灰色の男の葉巻のけむり 『モモ』*ミヒャエル・エンデ 舞台袖からの報告・4 エデンの裏庭 あとがき
オカルト配信者・仲島勇水はネットの怪談に潜む邪神「アダバミ様」を発見する。その存在を広めるべくライブ配信を始めるが、そこにはある意図がありーー。 オカルト板に潜む怪異を解き明かすモキュメンタリーホラー!
綿矢ワールド全開のデビュー25周年記念作 2001年『インストール』で文藝賞を受賞し作家デビューしてから25年。前作『激しく煌めく短い命』で女性同士の恋愛を描いた綿矢さんが新たに挑んだのはーー綿矢作品史上最もファンキーな主人公が大暴れする”妊婦コメディ”小説! ◎本書より 「青春むだにするほど勉強したのに、働き盛りの繁殖期には全部中断して、産め産めって!そりゃねえだろ!クソッ」 「いくら金なくても、国のために子どもなんか産むか、ボッケエエエエエ!」 「あああ、もう声出さねえと、やってられねえ!痛い!めちゃくちゃ痛い!腹ん中で赤ん坊が暴れ回ってやがる!」 ◎内容紹介 俊貴は控えめで笑顔が可愛い由依と結婚する。不妊治療を4年続けた末、夫婦2人で生きていくと決めた矢先、俊貴が仕事から帰宅すると、由依が珍妙な格好で踊っていた。「ヨウセイダーーーーッ!」。妊娠した喜びで(!?)由依は内面、外見ともに豹変。髪型はデニス・ロッドマンのように、喋り方は『ドラゴンボール』の孫悟空のようになる。 驚きと笑いに満ちた夫婦の日々を描いた「グレタ・ニンプ」と、バレンタインに手作りチョコを!壮絶な一夜の奮闘を描いた「深夜のスパチュラ」の2編を収録。 【編集担当からのおすすめ情報】 上記「本書より」で挙げたのは、主人公の由依の言葉です。それ以外にも、声に出して読みたいパンチラインが盛りだくさん。「女性セブン」連載中から、「面白すぎる」「早く続きが読みたい」と圧倒的な共感と人気を誇った小説の待望の単行本化です。プルーフを読んでくださった書店員の方々からも大絶賛の声が続々と届いています。読むと元気が湧いてくること請け合いで、デビュー25周年を飾るに相応しい作品となっています。装丁は佐藤亜沙美さん、装画はNAKAKI PANTZさん。装丁や本文レイアウトもスペシャル感が満載ですので、ぜひ楽しみに発売をお待ちください。 グレタ・ニンプ 一、 『八つ墓村』と化した妻 二、 妻そしてデニス 三、 スキンヘッドパープル 四、 たん、たん、不妊治療つらたん 五、 ヘイキング 六、 あつ子の元氣印 七、 ホラー出産 八、 愛羅武勇我子 深夜のスパチュラ
蛍の光に化身した五つの未練が、悲しみを美しく照らす。 丹波の行商人・吉佐が神崎川で出会ったのは、季節はずれの蛍の群れ。 そこから現れた五人の遊女たちが、それぞれの悲しき身の上を語り始める。 故郷を奪われ、身売りされ、男に騙された彼女たち。 法然上人のもとで成仏への道を得た彼女たちは、一夜だけこの世に舞い出で、旅人に恩返しをするという。 平安から室町へ向かう時代に、遊女たちが見つけた救いの光とはーー 年に一度だけ、光と化して川辺に現れる遊女たち。 色鮮やかに輝く光に込められた、それぞれの想いとは。 時代の流れに翻弄されながらも、懸命に生きた彼女たちの物語。 川蛍 一の蛍 宮木 二の蛍 吾妻 三の蛍 苅藻 四の蛍 小倉 五の蛍 代忍 旅僧 備考
理想か、現実か。人生を左右する仕事選び、 あなたの決断は? 夢や理想を追う「天職」か、能力や適性に合う「適職」か。挫折からの再起に挑んだ一人の男が、最終的に選んだ“答え”とはーー。グローバルな舞台を目指した商社マンの半生を描いた成功物語(サクセスストーリー)。 国際ビジネスマンを夢見て挑戦と挫折を繰り返してきた、赤沢崇36歳。横浜の貿易商社で働く彼のもとに、突然、念願のニューヨーク本社への転勤の話が舞い込む。夢見てきたグローバルな舞台は、赤沢にとって適職なのか、それとも天職なのかーー。 現代を生きるすべてのビジネスパーソンに贈る、希望と再生の人生ドラマ。 第一章 新しい仕事 第二章 苦い思い出 第三章 転記の訪れ 第四章 グローバルな仕事 あとがき
特撮と怪獣が世界を救うと思っていた。 還暦すぎてもそう思っている。 永遠に小学生でもいいじゃないか。 くだらない夢こそ、人を動かす燃料だった。 8ミリカメラひとつで“世界”を撮ろうとしたあの頃と変わらず、 今でも、馬鹿みたいに真剣だ。 “バカ映画の巨匠”河崎実監督がモデルの青春群像の物語。 1977年、明治大学工学部に通う18歳の神田杉千代は、坂道の多い生田キャンパスで旧友・辛崎渡(からさき・わたる)と再会する。辛崎は農学部で、かつての“怪獣好き”仲間。彼は特撮怪獣映画の制作を夢見ており、杉千代を誘う。貧しい家庭事情を抱える杉千代だが、再び「子供時代」を取り戻すようにスタッフに参加。仲間たちと段ボールの街を作り、豆腐の怪獣が暴れる8ミリ映画を撮る。主人公のモデルは、日本バカ映画の巨匠、河崎実。永遠に小学校を卒業できない「小学61年生」としての彼を、直木賞作家である朱川湊人が小説化!!
怪奇文学の名作『怪談』を、原文の英語で堪能しよう! ギリシャ生まれで後に日本に帰化した小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の代表作『KWAIDAN(怪談)』は、1904年にアメリカで出版されました。 八雲の妻である小泉セツから聞いた日本各地の古い民話や幽霊話などを基に、独自の解釈を加えて文学作品として英語で書き上げた『KWAIDAN』には、17編の物語作品と3編のエッセイをあわせた20編が収められています。 本書では、日本人に馴染み深い怪談である「耳なし芳一」や「ろくろ首」「雪女」をはじめ、原書の20編が全て原文のままの英語で楽しめます。
法隆寺の夢殿で僧侶の遺体が発見される。捜索は難航し、奈良奉行所は寺社の宝物を扱う神宝方同心・伴林図書を抜擢。図書は古筆見の娘・お加茂と共に、奈良の住職らがひた隠す予言書〈未来記〉探しの旅へーー。下手人の犯行意図と〈未来記〉の真実、すべての秘密が解き明かされる時、壮大な歴史の扉が開かれる! 第一章 八角堂の相 第二章 仏にも音にも数にも 第三章 神紋に潜む 第四章 濁流に掉さす 第五章 弛緩の末に 第六章 食らう城 第七章 驕る行者、奔る行者 第八章 母堂の糸巻き 第九章 心願成就
翻訳がひらいたペルシア文学の新たな地平 イラン立憲革命(1905-11)によって初めて憲法が制定され、王政から立憲君主制に移行したイラン。この時期のイランの近代化/西欧化の過程において重要な役割を果たしたのが、西欧文学の翻訳や翻案(創作的要素を含む翻訳)である。検閲下のイラン立憲革命期、これらの作品は亡命/移住した知識人によって国外で出版され、「立憲革命文学」の一つとしてイランの人々の改革への気概を高めた。本書では、イラン立憲革命期の歴史的・社会的背景および文学史を俯瞰した上で、代表的な翻案文学3作品『エスファハーンのハージーバーバーの冒険』(1905)、『72派の宗教談義』(1894)、『アフマドの書』(1893, 1894, 1906)を詳細に分析。イラン文学の近代化の過程を辿るとともに、イランにおける翻訳や翻案の特異性に光を当てる。言語的・文化的転換点としての近現代翻訳・翻案文学作品に注目し、ペルシア文学研究に新たな示唆を与える革新的な研究書。 序章 本書の視座と構成 第1章 イラン立憲革命とペルシア文学 1. 19 世紀ガージャール朝ペルシアの歴史概要 2. ペルシア文学史の概要と文学の近代化 3. 翻訳と翻案 第2章 当時の言論状況と3作品の概要 1. 立憲革命期前夜のイランの出版状況:検閲、出版、新聞、国内外の知識人たち 2. 3作品の構成およびあらすじ 2-1.『エスファハーンのハージーバーバーの冒険』構成とあらすじ 2-2.『72 派の宗教談義』構成とあらすじ 2-3.『アフマドの書』構成とあらすじ 第3章 『 エスファハーンのハージーバーバーの冒険』(1905) 1. 先行研究と作品への評価 2. ミールザー・ハビーブ・エスファハーニーの生涯と作品 3. 作品の原作と背景 4.『 エスファハーンのハージーバーバーの冒険』解題 4-1. 専制政治に対する抵抗の鼓舞 4-2. 実在した人物への批判 4-3. 役人の悪行 4-4. 西欧人の外見を論う表現 4-5. 役人の外見を論う表現 4-6. 西欧医学に対する忌避感 4-7. 公文書における誇張、改変 4-8. イスラームに対する批判的な姿勢と宗教的不寛容への批判 4-9. 宗教的儀礼に対する皮肉 4-10. 隣国との比較 5. 小結 第4章 『72 派の宗教談義』(1894) 1. 先行研究 2. ミールザー・アーガーハーン・ケルマーニーの生涯と作品 3. 作品の原作と背景 4. ガージャール朝時代の宗教的混乱 5.『72派の宗教談義』解題 5-1. 宗派間の論争に対する批判 5-2. 狂信に対する批判的態度 5-3. 2人の理想的知識人 6. 小結 第5章 『アフマドの書』(1893,1894,1906) 1. 先行研究と作品への評価 2. アブドゥルラヒーム・ターレボフの生涯と作品 3.『アフマドの書』成立の背景:その出版および『エミール』、『なぜこうなるのかー自然学と天文学の簡単な話ー』との関係 4.『アフマドの書』解題 4-1. ターレボフの歴史観:イラン民族主義的姿勢 4-2. 迷信とペルシア文字の現状についての批判 4-3. 理想的未来像 5. 小結 終章 翻訳と創作の隙間地 参考文献・あとがき・人名索引・事項索引
どの家にも、隠された秘密がある。--毒々しい日常の中で繰り広げられる、重く静かな心理サスペンス小説 ノルマンディー地方バイユーに佇む「ラクロワ邸」には、姉ポルディーヌと妹マチルド、それぞれの家族が暮らしている。一見平穏なブルジョワ家庭だが、長年にわたり積み重ねられた姉妹の確執は、家の空気を重く濁らせていた。ある日、マチルドの娘ジュヌヴィエーヴは突然食事中に奇妙な病に倒れ、二度と歩けなくなる。ポルディーヌはスープの味に微かな違和感を覚え、検査の結果ヒ素が混入していたことがわかり、家族の誰かが少量ずつ毒を盛っていたのではないかという疑心を抱く。やがて、いままで沈黙に覆われていた過去が徐々に浮かび上がってくる……。閉ざされた家の中で崩れゆく心の均衡と、家族という檻が生むある運命を鋭敏な筆致で描く。 ホラーに限りなく近い強烈な心理サスペンス小説 本作を謎解きミステリーとして読むことはできないし、ミステリー的な解決を期待して読む人には困惑や怒りしか与えないかもしれない。本作は読者を選ぶだろう。しかし、だからこそ、「よくも悪くも」といってよいだろうが、本作は私たち読者に強烈な印象を残す。あたかもいびつなホラー、あるいは箍の外れた凄まじいサスペンス小説と向かい合ったかのような読後感をもたらす。これもまたシムノンなのであり、本作によってまたひと回りシムノンの読み方が広がったのではないだろうか。--「解説」より
大恐慌のニューヨークで仕事が入らない土建業者・レナード。上流階級出身で美しく、我儘な妻・ドリスの言いなりの彼は、オペラ歌手志望のドリスを手助けするうち、ひょんなことからレナード自身の歌手としての才能を見出される。 彼の隠れた才能を発見する人気歌手のセシルは、レナードを愛し、レナードはセシルに導かれてバリトン歌手の道を歩み始め、評判を得るが…… ベストセラーの名作『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の著者による、二度映画化された小説が待望の初邦訳。 『ラ・ボエーム』『リゴレット』など、数々のオペラにのせて、軽妙な筆致のなかに欲望と愛憎が渦巻く、異形の冒険譚。 「デビュー作から遺作まで、ケインは一貫してファム・ファタールに翻弄される人間の物語を書いてきた。そして『ハ長調のキャリア』ではその同じ構図が笑いを呼ぶ。だが僕は、この作品でケインがセルフ・パロディを書いたとは思わない。ケインは知っているのである。そもそも「ファム・ファタールに翻弄される人間の物語」というものが、本来的に喜劇を内包しているということを」(藤谷治 本書解説)