制作・出演 : シュターツカペレ・ドレスデン
登場を祝福されるべき録音。エルガーの会心作ともされるヴァイオリン協奏曲だが、これまでは20世紀前半の英国趣味に囚われていた感が強かった。イングリッシュネスの縛りを振り解いた功績者は誰よりもスナイダー、加えて伴奏の妙がともに作品本来のダイナミズムと歌を描ききった。★
生意気そうな小僧ッ子然のビジュアルに惑わされてはいけない。出てくる音楽は深みも躍動感も見事なベートーヴェン。“巨匠となる定めにあった”若人が自らの運命と葛藤する中から生み出した作品を、自己の姿に投影するように弾きあげたディスク。ヴァイグレ指揮のオケも絶妙なり。★
「リエンツィ」序曲。長い導入の分厚く渋い弦の音色。それに続くフォルテの主部、金管の強奏、「ローエングリン」の艶やかな弦……すばらしい。オケの機動力と美質を掌握し、完全に鳴らし切る技術と感性。緻密な解釈に裏打ちされた自然で快い音楽の流れ。80年代、ドイツのオケが若杉弘を最上級の評価で迎えた理由がよくわかる。「英雄」の終楽章。プレストになってもテンポに無理がない。みごとな棒さばきだ。生成りのような肌触りのマーラーもいい。何度聴いても感動する。いまは亡き若杉弘によるかけがえのない遺産だ。
“究極の”といった形容が頭を過ぎる、がそれを超すものが登場するのもこの世界の常。そうしたことを実感させられる演奏であり、録音も同レベルの秀逸さだ。外面と内面、両性のカップリングの妙が気負いなく描き分けられて、まさに二度おいしいディスクだ。★
発売元
キングレコード株式会社ベートーヴェン: 交響曲第9番「合唱付き」第4楽章の多彩なアレンジと演奏を集めたコンピ盤。原曲はもちろん、編成、楽器のバリエーション編や、最速版&最遅版、冗談音楽まで、おなじみのメロディが七変化するユニークな一枚だ。
発売元
キングレコード株式会社チャイコフスキーのもっとも人気のあるピアノとヴァイオリンの協奏曲を収めた嬉しい一枚。レーゼルの明確で堅固な構築力やフンケのよくうたうロマンティックな表現力、そしてスケールの大きなマズアの指揮が堪能できる。
制作・出演
オトマール・スウィトナー / ギゼラ・シュレーター / ゲアハルト・ヴェストナー / シュターツカペレ・ドレスデン / テオ・アダム / ドレスデン・シュターツカペレ / ドレスデン国立歌劇場男声合唱団 / ドレスデン国立歌劇場男声合唱団員 / フーゴー・フォン・ホフマンスタール / リヒャルト・シュトラウス発売元
キングレコード株式会社アダムのR.シュトラウス集とも言うべきアルバム。「ばらの騎士」でのオックス男爵やモロズスのモノローグなど、見事な歌唱を聴かせている。アダム43歳、絶頂期の録音だ。スウィトナーの指揮も万全。
2007年夏より同オケの監督・指揮者に就任したルイージはイタリア出身の指揮者で40代後半。濃厚なドイツ音楽を得意とするあたりはシノーポリを彷彿させもする。伝統的な同オケによるシュトラウス演奏だが音色的にも表現的にもやや柔らかい感触がある。
制作・出演
シュターツカペレ・ドレスデン / ドレスデン国立歌劇場合唱団 / ヘルベルト・ブロムシュテット / ヘレーナ・ドゥーゼ / ベートーヴェン / ペーター・シュライヤー / マルガ・シュイムル / ライプツィッヒ放送合唱団発売元
キングレコード株式会社ドレスデンの首席指揮者時代に完成させたベートーヴェン交響曲全集からの1枚。旋律線のうたわせ方の上手さと、ドイツの伝統を色濃く残していたドレスデンの響きが魅力。東独を代表する声楽陣も素晴らしい。
発売元
キングレコード株式会社ダムによる最初のホルン協奏曲全集。4曲の協奏曲はいずれもロイトゲープのために書かれたもので、自然な演奏が美しい作品だ。ダムの全盛時の録音で、シンプルな表情の中に豊かな音楽性が息づいている。