制作・出演 : ベートーヴェン
ハウツィッヒは、小品集のアルバムばかりが日本では有名だが、ここに聴く二つのソナタは、なかなか面白い。メロディ・ラインを際立たせる演奏は、明快さをもたらし、アクセントのつけ方やテンポ感が、粋に聴こえる。テクニシャンではないが、独特の雰囲気がある。
演奏家は作品の器たれ、という考えとは隔たりつつも、演奏のいまひとつの本質たる表現という意味で、どの瞬間も自分色に染め上げる存在の力は見事。このライヴでも正統と個性のはざまで、真摯のかぎりを尽くしている。爽快さには欠けるが、他に換えがたい音楽。
発売元
キングレコード株式会社74歳のゼルキンの堂々とした演奏が堪能できる貴重なライヴ録音。伴奏を受け持つ63歳円熟期のクーベリックとバイエルン放響も、磐石の演奏でゼルキンを支えている。ここに新たな名盤が加わった。
レコード・アカデミー賞を受賞した交響曲全集からの分売。バーンスタインのウィーン・フィルに対する畏敬と、ベートーヴェンの曲に対する真摯な気持ちが重なった、古典性を重んじた演奏といえる。
最高の音で楽しむために!
バーンスタイン&ウィーン・フィルによるベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と「エグモント」序曲。全体にしなやかな柔軟性がうかがえる造形で、過度な劇的強調を避けた演奏が心地良い。
一晩でベートーヴェンの9つの交響曲を全部やってしまおう。しかも同じ指揮者と同じオケで。なおかつそれを、2004年の大晦日から2005年元旦にかけて。という壮大(?)かつ画期的な企画をやってしまったのが岩城宏之。オケはN響メンバー。“振るマラソン”と称するだけあって、演奏家もお客もトライアスロン状態になること必至だが、それゆえに“無我の境地”へ達することができるかもしれぬ。近年の岩城らしく、主観や無用な力みを排し、音楽自体を自然に高揚させる演奏からは、確かに“無我”の響きが聴こえる。