ジャンル : クラシック > 協奏曲
70年代はジョプリンの再評価の時代で、その渦中で行なわれたこの録音はレヴァインの唯一のピアノ・ソロ・アルバムとなっている。うまいピアノでは決してないけれど、ジョプリンの作品に込められたユーモアや喜怒哀楽がそこはかとなく匂う、味わいのある演奏が嬉しい。
小菅の3作目で、初の協奏曲録音。第21番のカデンツァには自作を用いるなど意欲的だが、演奏そのものは決して奇を衒わず、シンプルに客観的に捉えたスタイルである。フォスターの伴奏はいかにもドイツといった味わいが色濃いもの。
スケール感と鋭い感性が売りのマイヤースも、熟成した大人の音楽を演奏するようになったと感心。ブラームスでは、OEKならではの透明感のあるアンサンブルと誠実な演奏がすがすがしい。前に出過ぎない岩城の棒は、演奏者たちの音楽する喜びを引き出してくれるのだ。
この最新マスタリング盤はソフト・フォーカス気味の音作りだ。旧CDでハイフェッツの音にツンとくるような違和感を抱いた人はこのハイブリッド盤は良いかもしれない。逆に昔からのRCAのファンにとってはちょっと柔らかすぎる音質に思えるかもしれない。
録音のせいかピアノもオケも、ずっとフォルテで炸裂していくような感じがあるが、ともあれこれは、とてもスリリングでホット、そして刺激的な演奏だ。音の一つひとつにギラギラしたパッションが漲り、生々しい音楽が突進する。両者の共演がとてもいい。
ショスタコーヴィチは、アルゲリッチの新しいレパートリーとして話題となったが、それ以上にその演奏のすごさに、改めてアルゲリッチの実力を見せ付けられた録音となった。一聴の価値ある名演。
協奏曲ではロジェらしい明快なタッチによる、透明度の高いクリスタルな音色が聴きもの。特に両手の協奏曲の第2楽章では節度ある歌い口と相まって絶妙な味わいが立ち昇る。デュトワ/モントリオールもラヴェルと相性がよく、きらびやかな音色の世界をたっぷりと聴かせる。