ジャンル : クラシック > 声楽曲
コーラス・アルバムとして非常に高いクオリティのクリスマス・キャロル集。全曲ア・カペラなのはもちろん、5人のアレンジャーによる編曲が実に素晴らしい。各キャロルの出自に合わせた原語による歌唱も、コーラス・ファンの琴線に触れるだろう。スタジオ録音ながら自然な音場も見事。★
バイロイトをはじめヨーロッパ各国の主要歌劇場や音楽祭に出演し続けている世界を代表するメゾ・ソプラノのひとり、藤村実穂子の意外にも初のソロ・アルバム。本作は2009年の日本公演からドイツ歌曲を集めたライヴ録音で、舞台で鍛え上げた表現力をベースに、いくぶん抑制された歌唱が胸をうつ。
バリトン、テノール、カウンターテノールと一人で四オクターブの声を操る本岩孝之。ここではアルトのパートを受け持ち、姉の本岩潤子と日本の心を歌い上げる。美しいハーモニーを醸す8曲のデュエットが出色。「故郷」に漂うほのぼのとした情感に心惹かれる。
“悲しみの聖母”と訳される「スターバト・マーテル」は、キリストの死を嘆くマリアを歌った傑作で、ペルゴレージの絶筆となった作だ。名歌手2人による名唱により、名盤と称される録音の久々の復活である。
フィッシャー=ディースカウにとって、「さすらう若人の歌」と「亡き子をしのぶ歌」はフルトヴェングラーとの名演以来の再録となる。彼の全盛期の録音だけあって、細部に至るまで入念に練り上げられており、見事としか言いようがない。
年齢ごとにピアニストを替えて、数種類の録音を残しているフィッシャー=ディースカウが50代半ばに行なった、5度目となる録音。雄弁なバレンボイムのピアノを得て、またひとつ名演が加わった。
制作・出演
LennoxMackenzie / アシュレイ・アールブックル / クラウディオ・アバド / ペルゴレーシ / マイケル・デイヴィス / マーガレット・マーシャル / ルチア・ヴァレンティーニ・テッラーニ / レスリー・ピアソン / ロンドン交響楽団アバドの2種ある録音のうち最初のもの。駄作がないといわれる古今の「スターバト・マーテル」中屈指の傑作といわれる、早世の作曲者の白鳥の歌で、アバドの静と動の見事な対比と2人の歌手の名唱が感動を誘う。
制作・出演
アーリーン・オジェー / ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 / ウィーン国立歌劇場合唱団 / サー・ゲオルグ・ショルティ / チェチーリア・バルトリ / モーツァルト / ルネ・パーペ / ヴィンソン・コールモーツァルト没後200年の命日にあたる12月5日に、ウィーンのシュテファン大聖堂で行なわれたコンサートを収録。当時の望みうる最高最適な独唱者を揃え、合唱、オーケストラともに充実した演奏を繰り広げている。
制作・出演
エディタ・グルベローヴァ / カール・オルフ / ジョン・エイラー / トーマス・ハンプソン / ドム少年合唱団 / ベルリン・シュターツ / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / 小澤征爾 / 晋友会合唱団小澤の19年ぶり2度目の録音。今回はベルリン・フィルという最強のオーケストラを得て、気心の知れた晋友会合唱団とともに渾身の演奏となった。ソリストもグルベローヴァをはじめ充実した布陣で臨んでいる。
制作・出演
アルノルト・シェーンベルク / イェンス・ペーデル・ヤコブセン / キム・スコウン / ジェイムズ・マックラッケン / タティアナ・トロヤノス / タングルウッド祝祭合唱団 / デイヴィッド・アーノルド / ボストン交響楽団 / ヴェルナー・クレンペラー / 小澤征爾制作・出演
ショスタコーヴィチ / ニキータ・ストロジェフ / ニュー・ロンドン児童合唱団 / ブライトン・フェスティヴァル合唱団 / ミハイル・コトリャロフ / ラズロ・ヘルティ / ロイヤル・フィルハーモニー管弦楽団 / ロナルド・コープ / ヴラディーミル・アシュケナージソヴィエト革命10周年記念の交響曲第2番、その原曲の交響詩、植林計画讃美の「森の歌」など、体制に沿って書かれた4曲を収録。アシュケナージはオーケストラをよくドライヴし、明快で見通しの良い演奏を展開する。
制作・出演
ウナ・プレッレ / ダニエル・ペッゾッティ / チェチーリア・バルトリ / チンツィア・マウリツィオ / フアン・ディエゴ・フローレス / ブリン・ターフェル / ヘンデル / ベネデット・パンフィーリ / マリア・ゴルトシュミット / マルク・ミンコフスキ / ルイジ・ピオヴァーノメゾ・ソプラノ界の女王的存在、バルトリのベスト・アルバム。既発売のアルバムから人気のアリアはもちろん、バルトリが再発見してきたアリアなどを収録している。初CD化音源もあり、ファンには見逃せない一枚だ。
制作・出演
アディエマス〜カール・ジェンキンス / アディエマス・シンガーズ / アリス・ハルステッド / アリソン・バルサム / ケイト・ロイヤル / ジョディ・K.ジェンキンス&ザンズ / テネブレ / メリルボーン・カメラータ重層的でリズミックなコーラスが特徴的なアディエマス・サウンドで作り上げられたクリスマス・アルバム。ジェンキンスのオリジナル・タイトルが並ぶ前半と代表的なクリスマス・ナンバーを置いた後半といった流れも見事で、2008年の『スターバト・マーテル』の感動が蘇るような秀作だ。
針ノイズを電気的に除去したSP復刻のシリーズ。音の輪郭が幾分ぼやけるのは致し方ないが、聴きやすさという長所は捨て難い。骨董的なメルバの歌唱に始まる第5巻。オネーギン、レーマン、メルキオーの歌唱に耳を奪われる。白眉は若きフェリアーによるメンデルスゾーン。豊かに響くアルトが胸を打つ。第6巻ではゲルハルトの「野に独りいて」に注目したい。このシリーズに収録された彼女の歌唱中最良の録音だ。第7巻ではフランス語で歌われたパンゼラの粋な「ドン・ジョヴァンニ」とベルガーの完全無欠な「夜の女王のアリア」が一頭地を抜く。オーストリア歌曲集の2枚も名唱ぞろい。8種の「魔王」(第8巻)ではオペラ歌手ガトスキならではの劇的表現に感銘を受ける。スレザクの「菩提樹」(第9巻)は未来永劫聴き継がれるべき逸品であり、イーヴォギンの「ウィーンの森の物語」(同)は美声の極みと言って良い。
往年の名歌手たちのSP盤からの復刻シリーズの第6巻。ベートーヴェン、メンデルスゾーン、シューマン、ブラームス、シュトラウスらを収録する。歌唱の変遷などがうかがえて、声楽ファンには興味深いアルバムだろう。
往年の名歌手たちのSP盤からの復刻シリーズの第7巻。モーツァルト、J.シュトラウスのオペラ、オペレッタのアリア集である。現在とは発声、表現法などが大分違っている人もおり、声楽史の資料としても貴重だ。