発売元 : ビクターエンタテインメント株式会社
ロスをベースに活動する女性シンガー。のびのびとしたフュージョン・タッチの演奏をバックに快適指数の高い歌をのせている。アーティスティックな欲求と大衆に迎合するための見切りの折り合いが巧み。よく出来てる。これがJVC移籍第1弾となる。
ダイ・イン・クライズのギタリスト、室姫深が地元・横浜周辺の友人たちと結成したバンド。今流行のグランジ風の感触を取り入れた、ヘヴィな情念ロックともいうべきサウンドが満載されていて、なかなか聴きごたえのある力作といえる1枚に仕上がっている。
話題のサーフィン/ホットロッド・インスト・バンド、サーフコースターズのデビュー・ミニ・アルバム。曲間をSEでつなぎつつ、全10曲を20分少々で駆け抜ける。本人たちがサーフィン/ホットロッドにこだわってない、アッケラカンとしたヌケ具合が魅力だ。
昨年は話題のSCHAFTに参加し、日本でも知名度を上げてきたレイモンド・ワッツことPIG。従来のパワーは、アルバムに先駆けての本シングルでも一向に衰える気配なし。タイトル曲は超重量級な仕上がりだが、ライヴの(3)にも全身を打ちのめされた。
アイドルという存在が自虐的なオモチャとなっても、やむなしというこの時代にひたすら正統派アイドルに徹する酒井美紀のセカンド。乙女の密かな欲望をテーマにした(1)や(5)もこの子が歌うと生臭くなりようがない。こういう子が一人くらいいてもいい。
女性ジャズ・ボーカル・ブームのきっかけになったアルバムで、'80年11月発表のもの。ネクタイ族に人気を得た阿川泰子の美人ぶり、そしてソフトなボーカルがポイントになる。しかも、スタンダード・ナンバーを今日風にアレンジしているのが楽しいところ。
前作『ジャーニー』に続いて、ジャズ・ボーカルものとしては異例の30万枚台の大ヒットとなった'81年6月発表のアルバム。ボサ・ノバやレゲエ・リズムの曲があって、しかも全曲とも英語という辺りが、カフェ・バーのBGMとして受けたようで。
今まで本や人の話でしか知らなかった齋藤秀雄像が、実像となって迫ってくる。張り詰めた緊張の中にも、歌心を失わない演奏。さらに特典盤では、練習風景やインタビューから、彼の人間像がくっきりと浮き上がる。私自身の自己反省も含めて、感動した。
クラシックの小品をジャズにアレンジして聴こうというお馴染みの企画盤。この手のものは選曲で勝負が決まる。いずれも多くのひとに馴染みのあるメロディが、ちょっとお洒落なジャズ感覚で演奏されていく。気の効いた小道具としても中々重宝な1枚。
大活躍中のピアノの佐山雅弘のリーダー・アルバムが届いた。頭の一曲を除いてすべて彼自身のオリジナル。ピアノの演奏能力もさることながら、それぞれの曲のメロディーがとても美しく、思わず口ずさんでみたくなるような自然さを体ごと感じてしまう。
日本の次代を担うジャズ・ピアニストであることを実感させられた作品である。第一印象として感じたのは、気負いがないということだ。かといって冷たくはなく、ホットなフィーリングも感じられる。2曲を除く自作オリジナルの曲調も自然でスンナリ聴ける。
俊英ピアニストがリーダーになるカルテットのスタジオ・ライヴ盤。真っ直ぐな思慮に富んだ、強いジャズ。そして、それはロマンティックでポエティックでもある。つまりは秀逸な1枚。ないのは話題だけだが、それだけに、よくぞリリースされました。
さらっと噺のなかで松鶴自身の引導鐘をつかせようとする「天王寺詣り」。酒飲みのもっと飲みたいという心理を描く「猫の災難」。73年と74年の録音で、得意の演目だけにあのしゃがれ声による展開のなめらかにして、実にいいテンポ。脂の乗った松鶴がいる。
実は上方落語にとんと縁のなかった私だが、この人の落語は語り物として聞いても素晴らしい。悪ガキに手を焼く親父の姿を描いた(2)など、ほとんど河内音頭の軽妙な語り部分に通底する。河内家菊水丸の古典が好きな聞き手(私もそうだが)にぜひ勧めたい。
まさに豪放磊落の浪花の名人芸とは笑かすことがまず身上。得意ネタばかりで3枚。72〜73年の録音で、パワーとスピード、共に申し分なし。オハコ「天王寺詣り」はもう神がかっている。下品なようでさわやかなのは人間の業をわきまえているからだ。
(1)(3)(4)(10)の詞を本人が手がけている他は全部、石川優子がコンポーズ。荻野目ちゃんもデビューから丸10年。いろんなことをやってきましたが、そろそろ落ち着き時か。こんなタイトルだけど、中身はクリーンな同世代の女性向けAOR。(10)がカッコいいです。