発売元 : ビクターエンタテインメント株式会社
2002年にリリースしたセカンド『ウォールペーパー・フォー・ザ・ソウル』の未発表テイクとシングルのB面曲を中心にした企画盤だ。同発のフェイヴァリット・アーティストの曲を選曲したコンピ盤と合わせて聴くと、彼らのどこか懐かしい音楽性がどこから来たのか理解できる。
南米ボリビアに西洋様式のバロック音楽が遺されていた。列強が覇を外に求めた歴史の落とし子。紹介されているのは17〜18世紀ごろに創られた教会音楽である。一部スペイン語の響きが耳に残るが民族色は希薄。素朴さの残るヴィヴィッドな哀感の調べがなかなかに沁みる。
フラメンコ・ギター、ヴァイオリン、タブラというトリオでオリジナル曲を中心に演奏。情熱的なメロディの(1)は多彩なテクニックを繰り出すギター・ソロも聴きどころ。スタンダードの(7)はタブラの響きが無国籍なムードを醸す。タブラとコーラスがシンクロする(9)は快演。
ラテン・ジャズ〜サルサのピアニストとして活躍する森村が“ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ”の長老ルベンと共演。そのルベンは本作リリースの約2週間後、帰らぬ人に。でも本作は森村の演奏力、ラテンを核とした幅広い音楽性が多彩に表現された楽しいアルバム。
“やこぜん”と読む北海道出身の男性デュオの、2003年7月から隔月発売となった3枚目のシングル。彼らのハードコア・パンキッシュ・フォークは、たとえアコギとピアノだけでもリスナーの耳にバンド・サウンドを響かせるであろう説得力のある歌声が印象に残る。
ハープやヴァイオリンの黄昏っぽい音色をフィーチャーして、秋のイメージを強調した4曲が並ぶ。「風の恋人」は軽やかなファンクで、彼らのリズムへの造詣の深さとポップなソングライティングがうまく融合。かつてのアクの強さが抜けて、聴きやすくなった印象だ。
フィンランドの様式美メタルの大御所による2部構成作の後半だ。地球と人間の感情の折り合いをテーマにしたコンセプト作だが、スケール感は今一歩。曲単位だと及第点だが、2部構成にするほどには……。バンドの意欲がカラ回りしているのが惜しい。
ユンディ・リが優勝した2000年のショパン・コンクールで第4位に入賞した中国出身のサ・チェンのデビュー・アルバム。音楽が自然で、筋の良さを感じる。現在、ドイツのハノーファー音楽院で学んでいるらしいが、伸び伸びと大きく成長してほしい。
2003年11月に来日して全国8公演をこなした旧東独の名門ベルリン室内管のアルバム。コッホの後を継いだ現音楽監督の女流ヴァイオリン奏者ショルツがリードするモーツァルトとハイドンの名曲集だ。明快な音楽言語とイントネーションを持った気持ちの良い演奏。
男性2人組のセカンド・シングル。タイトル曲は大昔の吉田拓郎を思い出さずにはいられない字余りフォーク。カップリングは、もう少しパンク寄りなフォーク。70年代フォークのリバイバルなのか、パンクのアンプラグド版なのか? 歌声はなかなか魅力的。
ソロ・ピアノとデュエットが半々収録された、歌モノの名曲集。ピアノでいかに“歌う”かをテーマに、ピアノの持つ“声”を引き出そうとしている。ハーモニカ、二胡、スティール・ドラムなど選んだゲストも個性的な“声”を持つ人ばかりで、対比の妙がある。