発売元 : 株式会社ミディ
万年少女、矢野顕子の1年9ケ月ぶりのオリジナル・アルバム。年齢を超越したヴォイスや童話チックな詞の世界は好き嫌いもあるだろうが、何故かツンと鼻をつくほどに懐かしく心地良い。彼女が「音楽は美しい力」と唱えれば素直に納得してしまいそうだ。
ほんとうにスケールが大きいなあ。相手の胸のシワ具合いを無意識のうちに白日の下にさらけ出させてしまうような楽しさと恐しさがアッケラカンと同居している。言葉と肉体の関係について改めて考えさせられた。ピアニスト矢野顕子の魅力もたっぷりと。
1979年にオーディオ・ファン向けに45回転LPという形で発表された幻のアルバムのCD化。矢野顕子のキーボード、大村憲司のギター、本多俊之のサックスなど、今聴いてもキラッと光るプレイが散りばめられている。曲はクイーンのバラードのカヴァー。
ロサンゼルスを中心に活躍中のシンガー・ソングライター/プロデューサー、ヨシオ・ジェイ・マキの93年のアルバム。サウンド的には、LAのトップ・セッション・ミュージシャンが多数参加したAOR的なものになっている。そのサウンド・センスはさすがだ。
今作では初の日本語ヴォーカルに挑戦した彼らの3rd。当然、英詞の曲より「悪夢のようにシュール、だけどちょっぴりロマンティック」という世界観が露になった。ポップ志向と変質趣味が合体したギター・サウンドがイカす。プロデュースは福富幸宏。
80年の『B-2ユニット』から91年の『ハートビート』まで、レーベルを越えたコンピレーションの第2弾。珍しい鈴木慶一作詞の(1)、A.リンゼイとの(2)、I.ポップとの(4)、T.ドルビーとの(9)などの共演物が光る。(11)ほかの映画用の作品の多彩さも楽しめる。
タイトルから喚起されたのはコクトー・ツインズだけど、聴こえてきたのは地中海をイメージさせる穏やかなでエレガントな調べ。OLあたりには支持される可能性を持った人だが往年のミディ・フリークには寂しさを隠し切れない1枚といえそうだ。
和製シンガー・ソングライターの始祖のひとりである西岡恭蔵。これは、細野晴臣とのコラボレーションをはじめ、70年代から音楽に対して常に意欲的だった彼のキャリアの集大成とも言える静かな自信を感じさせる傑作。第3世界での放浪の成果も見逃せない。
相当のキャリアを感じさせる自作自演シンガーのファースト・アルバム。チェスター・トンプソンやアレックス・アクーニャらが参加したLA録音で、70年代気分のメロウなAORサウンドが心地よい。こんなに心地よくていいのかな、と思わせるナゴミの1枚。
日常性へ埋没しきり“忙しさ”によって充足されている人々には、相当にうっとうしい歌だろう。ヴォーカリストとしては稚拙だが、だからこそ説得力を持つフォーク・ソングの伝統を再現している。
人呼んで女タモリ。ひたむきなぶんだけタモリよりも上である。躁的女性の代表格(楠田枝里子、幸田シャーミン、黒柳徹子etc.)と鬱的女性の代表格(戸川純、吉田日出子、桃井かおりetc.)を組んずほぐれつさせる所が彼女の醍醐味。毒気もなかなか。