発売元 : 株式会社ミディ
京都在住のアイデンティティをがっつり打ち出すスタイルがユニークなポップ・バンドのフル・アルバム。幸福感いっぱいのギター・サウンドが奏でるのは、なんとも人の好さそうなメロディ。その陰にひそむ切なさや毒っ気やあきらめもひっくるめて、愛くるしい作品。
矢野顕子的ベクトルがアングラでサイケデリックなフィルターを通って、時代を超越して突き抜けてきた……おおげさだがそんな唯一無二の音楽を飄々と奏でる彼女の4作目。語るようなピアノの音色にまとわりついたり、寄り添ったりする生な言葉がひりひり痛い逸品だ。
清楚な男女フォーク系デュオというイメージを一新するかのような6枚目のアルバム。元ミュート・ビートの松永孝義がベースで参加、リトル・テンポの内田直之がエンジニアを務めるなど重層的な音の響きを加えた仕上がりは、ハーモニックな持ち味に振れ幅をもたらしている。
ソプラノで語るように歌うきれいな日本語の中に、さまざまな音響が反射して聴こえる不思議で魅力的な歌声。大貫妙子や坂本龍一から賛辞が寄せられたというのがよくわかる、70'sシティ・ポップスの系譜を現在につなぐ稀有な歌姫だ。これがソロ3枚目、今後も楽しみ。
大貫妙子似のほっこりした歌声が印象的な寺尾紗穂。その彼女を中心に組まれたバンドの2作目がこれ。ピアノを中心にし、メロウなジャズやラテンの旨味を取り入れたアレンジがとても心地いい。70年代ニューミュージックの良いところを受け継いだ好盤だ。
2007年にデビュー35周年を迎えたシンガーの通算21枚目のアルバム。時間も空間も超越したような独自な存在感はますます際立ち、すでにカテゴライズ不可能。いまだに若手のミュージシャンをも惹きつけるきらめきが、そこかしこにちりばめられている。★
世界最後の象形文字“トンパ文字”を使う南省北部高地に住む少数民族であるナシ族の伝統歌唱と、デジタル・ビートを統合させたニュー・タイプのワールド・ミュージックの第2弾。伝統歌唱を大幅にフィーチャーして、よりエスニックに、刺戟的に進化を遂げた。★
中国・雲南省の3,000mの高地で暮らす少数民族、納西(ナシ)族の古謡を集め、それを素材にシンセ・サウンドを織り交ぜ再構築したシリーズの3作目。最後の象形文字(トンパ)を使っていることでも知られる納西族の歌に潜む生命力を顕なものにしている。
京都在住4人組バンドの、メジャー・ファースト・アルバム。ヴェルヴェット・アンダーグラウンド的サイケデリック・サウンドと、60年代GS的メロディをくっつけて、独自のほのぼのムードで表わしたようなもの。全編で炸裂する奇妙でヘンテコなセンスが魅力。
なんとペダル・スティール・ギターで奏でるモーツァルトの作品集。もともとクラシックが音楽的な基盤にあるとはいえ、はちみつぱい出身のベテランが脳年齢の若さを発揮した企画で、ジャンルの壁を超えた、浮遊感いっぱいのアルバムを作り上げている。
エンケンの還暦記念シングル。本人とドラムの石塚俊明だけという最小限の編成で、でも、こんなにパワフルでエネルギッシュでメランコリックで殺気だった歌世界を聴かせることができるとは! と仰天必至の3曲入り。「いつもあなたを想ってる」は珍しくピアノ・インスト。
デビューして16年、その私小説的な作品が評価の高い彼、これも16の私小説ソングが集まったオリジナル・アルバム。ごく普通の一般人としての日々、とともに音楽と離れられない者としての日々、そのあれこれが実直にギターとともに歌い語られている。
古くさいわけではないけれど懐かしさを感じさせる、生楽器で構成された曲たち。70年代のポップスへの郷愁感が確実にある、シンガー・ソングライターのセカンド・アルバム。父がシュガーベイブのベーシストだった寺尾次郎と聞いて納得した。