発売元 : 株式会社ミディ
昨今多いルーツ・ミュージックをやる若手ユニットだが、彼らはカントリーやアイリッシュなどを取り入れつつ、あくまでも歌そのもので勝負しているのがキモ。時に童謡を思わせるあたたかみを帯びたメロ、朴訥とした味のヴォーカルも秀逸で、完成度を高めた5枚目。
レブンカムでも活動している村山によるのどかな篠笛の音色に、馬頭琴や太鼓、ギター、ベースなどが絡み合い、モンゴル古謡を基にした曲から日本人といわれる朝鮮の英雄“沙也可”の墓前で作った曲などが、既成の篠笛イメージとは異なる世界を垣間見せる。
ヴァイオリンやアコギなどアコースティック編成のバンドと組んだ、初のライヴ盤。ナチュラルな楽器の音と田辺のリラックスしたヴォーカルとは相性が良く、全体を通じて森の中にいるようなサイケデリック空間を生み出している。13分以上の「ハワイの詩」が秀逸。
4年ぶり、15枚目のオリジナル・アルバム。これはスゴすぎ。全然肩に力が入っていないのに、不滅のパワーが直線に聴き手の脳に突き刺さる。(9)みたいな歌詞って現代に歌うのは相当カッコ悪いと思うのだが、そんなカッコ悪さが涙が出るほど心にしみる。黙って聴け!★
歌い出しの瞬間からわかる、友部正人の声。デビューから35年、新旧の仲間たちと制作した通算20枚目のアルバムでも、タイトル曲の(1)など、穏やかな表情で物事の真実をさらりと見透かすような佇まいは変わらない。(8)は、高田渡の亡くなった朝を歌った曲。
童話のような寓話のような物語性豊かな全11曲が、和製ブリティッシュ・トラッドと呼びたくなるふくよかなバンド・サウンドと楚々とした歌声で紡がれる好作品。CCRの「すべての人に歌を」を独自の日本語詞で歌い、新たな輝きを与えた佐藤良成の作家性に感嘆。★
60年代末から活動しているフォーク・シンガー、いとうたかお初のライヴ2枚組アルバム。軽快なギター・プレイと説得力あふれるヴォーカルで新曲3曲も収録。またコントラバス奏者松永孝義との素晴らしいコラボレーションで5曲も楽しめる。
初のベスト・アルバムは、別テイクやカーペンターズのエレクトロニカなカヴァーなどで構成されたボーナス・ディスク付き。全シングルなどで構成された本編は、狂乱性とクールネスを拮抗させながら音世界の重力を完全支配するバンドの奥深さが堪能できる。
クラシックのアーティストや映画などへ楽曲を提供している新進気鋭の作曲家、村松崇継の5年ぶりのソロ・アルバム。NHK連続テレビ小説『天花』テーマ曲ほか、美しいピアノ曲ばかりを収録。
今をときめくクドカン(宮藤官九郎)、阿部サダヲ、村杉蝉之介らによるロックンロール・バンド、グループ魂のサード・アルバム。曲間のコントも含め、これがあなどれない。パンクなロックンロールとして、役者の余技の域を超越。MC港カヲル(皆川猿時)の怪演も聴きもの。
大人計画所属のカルティックな俳優のデビュー・アルバム。河井克夫や鳥羽ジャングル、蓮実重臣らも参加。一部で大ブームとなった「バスト占いの歌」ももちろん収録。中学オトコ的な下ネタのみで30トラックを埋め尽くした、徹底的にくだらない傑作。
鎌倉芸術館小ホールでの録音で、エンジニアは吉野金次、ロケット・マツ、武川雅寛、横澤龍太郎など旧知の顔ぶれがバックを務めている。バンド・サウンドに乗った友部正人の世界は詞もメロディも期待どおりで、僕らも“待って”いてよかったの気分。★
若僧、エンケンを聴いてからフォークやロックを語りなさい! エンケンと一緒にカレーライスを喰らったワタシが言うのだ、まずは“カレーライスの巻”を聴いてみな。純不条理を体感したければ“東京ワッショイの巻”を聴け。35曲が哀しき凶器なのだ。★
夭折の童謡詩人・金子みすゞの生誕百年&ボニージャックス結成45周年記念盤は、作曲と演奏が田村洋。(1)〜(15)がボニージャックスの唄で、(16)〜(19)がインスト。目に映るものを平易な言葉で描写しているだけのようでいて、その裏に突き抜けるような視線の鋭さを感じさせる。