音楽むすび | 1993年11月1日発売

戦前派の作った流行歌はどうして、こうもモダンなのだろう、といつも思う。道中ものにしても、戦時歌謡にしても、どこかギリギリのところで乾いた部分がある。結局、粋ってことなのだろう。上原敏の歌声も無駄な湿り気がなく近ごろの人よりずっとモダン。

ディジーのベスト1を選べといわれたら、みな答えられないのではないか。ジャズを作品単位でとらえるのではなく、この人にとってはすべてがジャズだったのだ。このヴァーヴの名演集をきくと、野に放たれた動物のように自由になれる。何と8曲が初CD化。

レディ・Bのベスト・セレクション・アルバムを、誰が語れるのだろうか。歌った時が若かろうと、肉体がボロボロになった晩年だろうと、我々と出会う1枚となるために何回も何回も時代を超えて再生されるのみ。当アルバムを聴いただけでも、それが判る。