1997年9月26日発売
園田のアプローチは若い時の第3番のソナタでも、晩年の作品を鳴らすような腰の低いズシリとした手ごたえを感じさせる。テンポも比較的遅く、終始落ち着いている。残りの2曲も古風な顔を見せており、上っ面に流れるような場面はどこにもない。
クルマのCM、(8)がヒットしたポップ・デュオ、BUZZのデビュー・アルバム。荒井由実やミカバンド系の人脈が参加しております。やはり(8)が出色の出来ばえ。全体にニューミュージック夜明け前ホンワカしたピースフルな雰囲気が漂う73年の作品。
きれいなタッチ、小手先のあざとさを排した直球勝負、すがすがしく聴ける。一方、和製を完全に脇役にしてしまって、ひたすら旋律を歌いつづけるのは意識的なスタイルの選択か、音楽の和製構造とは距離を置いて右手が転がりつづける。
発売元
キングレコード株式会社映画『もののけ姫』の主題歌を歌って一躍有名になった米良美一は今や日本を代表するカウンター・テナーの一人となった。ふっくらとした美声が生かされた(6)に耳を傾けてほしい。溢れ出る感情を抑制したデリケートな歌い口に彼の真摯な姿勢が感じられる。
あくまでアコースティック・ベースの真価にこだわる藤原の本作は、まずタイトル曲が売り。だが、そんなベースへのこだわりが決してトリオを圧迫しないところが彼の本領。スタンダードも自作もどこか爽やかで,きちんと聴き手を迎えてくれるのが嬉しい。★
関東では実感するのがいまひとつ難しいものの、地元・関西における京山幸枝若の人気には絶大なものがある。二代目と虎造のような爽やかなまでに豪快なけれん味には欠ける分、滑らかな語り口が醸し出すノリのよさ、なるほど浪曲ばかりか河内音頭でも高い人気を誇っただけのことはある。そんな幸枝若が肝臓ガンで没する2年前、平成元年に実況録音された演目にスタジオ録音を加えて完全版としたのが今作。じわじわと盛り上げる語りの素晴らしさはもちろん、関東のそれとは微妙に一線を画した巻き舌の美しさに感嘆。★