1998年8月26日発売
ニール・ヤングのバック・バンドだが、独立したアルバムを数枚出している。バック・バンドとばかにしてはいけない。彼らのサウンドはニール・ヤングに鍛えられ、磨かれたものだ。レイド・バックしたのほほんとした味わいの中に構成の妙が感じられる。
彼ら程バックを演っている時と自分達だけの時で音の感触が違うバンドは珍しいが、彼らにとって音楽とは楽しく演るもんでニール・ヤングの重さみたいな物は必要ないもんなんだろうな。そんな中で72年発表のこのセカンドは一番ニール・やングぽい。
ライリーとクロノスのコラボレーションが産み出した大作。あのサロメが平和の戦士となって狼男と共に活躍するユニークな自身の手になる筋書を下敷に、実に広範な音楽要素を包括し独自のやり方で混然と融合した、巨大なるライリー流“世界音楽”。
フェルドマンを評論家はあまりほめないが…。そうです。あなたは正しい。これは本当に、本当に美しい音楽です。耳のいい人は少ないものです。これには物語がないのです。“アジアの〜”とか“宇宙観”とか評論家向けの物語が。耳のいい音楽好きの宝物になる1枚。
ズシっと分厚くダイナミックなオケの響き、みごとに統制されたバランス、輝かしいブラスの鳴り、安定の極みをいくテンポ感。バレンボイム2度目の全集はベルリン・フィルのサポートを受け、この2番のライヴで完結。すばらしい完成度に仕上がった。
クレーメルのもとに集った音楽家たちのピアソラへ寄せる深い愛情が演奏全体に漲っている。聴衆にまで不思議な高揚感を共有させてくれる録音だ。器楽も声楽も語りも、そのすべてが主人公マリアとともにかなしみ、慟哭する。これはまさに衝撃の音楽体験だ。★
新進ピアニストとしてはシューマンでの腕の冴えを聴かせたいのが人情だろうが、ここはリストの愛弟子の一人で24歳の若さで亡くなったロイプケのソナタへの意欲的な取り組みを評価したい。華やかさと荘重さを兼ね備えた、若さのパワー漲る迫力の演奏。
フェルナーは20代半ばのウィーンのピアニスト。先回シューマンとロイプケを聴いたばかりだが、特に高音での輝かしい響き、リズムに対する感性の鋭さが印象に残る。「楽興の時」は適度な即興性を感じて面白く聴ける。「ソナタ」はメリハリがきいている。
ニールセンとシベリウスは同年(1865年)生まれ。共に北欧の交響曲作家として名を成した。デンマークの自然や人間的気質が目一杯つまったこの第一番は、ニールセン音楽の入門としては最適。ブラームスをちょっと柔らかくしたようで聴きやすい。
北欧4ヵ国の弦楽器のための作品を集めたCD。バルトークの影響がうかがえる(3)や、ショスタコーヴィチの死を契機に書かれた(4)など、北欧の現代音楽の一端をも垣間見させる好企画だ。フィンランドの学生による団体が、作曲家の意図を従順に形にしている。