1999年11月25日発売
新作『ザ・ソフト・ブレイン』収録曲の2ヴァージョンに、過去曲をあわせたEP。なんにせよ、よれよれの歌と瀟洒なストリングスの音をかみ合わせたような不思議な作風が楽しめる。ああ、甘酸っぱい。感傷の奥に、かけがえのない音に対する愛が見える。
全曲の歌詞を自分で書いた最新作。ヴォーカルが痛々しく聴こえるしなんだかデンジャラスである。凄い空気感に驚き。持っていかれた。とりたてて興味ある人じゃないんだけど(ただ彼女の声質は大好き)、「ともちゃん、がんばれ!」と言ってみたくなるおれ。
20世紀ポーランド作曲界の代表選手二人。ペンデレッキの近作は音程関係とモチーフ操作のレクチャーが聴こえてきそう。ルトスワフスキ54年の作品は彼の新古典主義時代のもの。後の作品を知っている人には驚きかも。これがなかなか美しい曲。
ジャケの美女(ポーランドの大作曲家の娘)のタイトル曲は、弦楽とハープとベルの伴奏による甘美でしたたかな音楽。擬古的なラブラやハウエルズ、東方的・禁欲的なタヴナーやぺルトなど、調性を基本にしつつ個性と美学をもった、癒し系教会音楽の現在。
テルデックの前身テレフンケンが創立されたのは1929年。70周年を迎えた記念企画“テレフンケン・レガシー”の中から12の名演を選んだものがこれ。オリジナルのメタル原盤を用い、最新の技術で優れた音質を獲得している。本編は2000年より発売。
初のライヴ作で、アーシーな力強さとわずかにエキセントリックさを備えたヴォーカルの個性がよく表われている。(4)では自らフルートを演奏。テクはないが味はある。(10)はポリスのカヴァー。ジョージ・マイケルの「ロクサーヌ」もあるし、ポリス再評価か。
1682年にザルツブルク大聖堂で初演されたらしい52+1声の超大作を、その場所で演奏した記念碑的録音。マクリーシュ/ゲーベル盤よりかなり速いテンポと高いピッチ、身軽な響きで、盛大な残響のなかを透明な室内楽の集合体が鳴り交わすさまは快感。
“不朽の名盤が最新リマスターを経てよみがえった”よく聞く謳い文句だが、このシリーズは本当にちょっと驚くほど音質が向上している。音が遠いのは仕方ないとしても、オケの響きに表情が感じられるのだ。こんな復刻なら大歓迎。買い直すのに躊躇不要。
テレフンケン・レガシーの1枚。フランスの大ヴァイオリニスト、ジョゼフ・カルヴェ率いるカルヴェ四重奏団の30年代後半の録音。気品のあるゆったりとした音楽づくりのなかにきちんとしたアンサンブルが築き上げられている。第14番第4楽章のエレガンス!
制作・出演
エルナ・ザック / ハンス・シュミット=イッセルシュテット / ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 / ベルリン国立歌劇場管弦楽団 / ペスタロッツァ / マーセル・ヴィットリシュ / ロルフ・シュレーダー独逸テレフンケンによる戦前のSP録音から伝説のコロラトゥーラ、エルナ・ザックの歌唱が生々しく眼前に蘇る。4点ハにいたる驚異的な高音域を縦横に駆け巡る超絶技法には開いた口が塞がらない。歌いまわしは幾分古風だが、この妙技の前には小さな疵だ。★
70年代後半に異彩を放ったフォーク・シンガーのセカンド・アルバム。76年作品。ディランを彷彿とさせる歌声とサウンドは当時のシンガー・ソングライター・ブームの中で新鮮な魅力を持っていた。プロテストにカントリー・ロックを味付けした感じも懐かしい。
アップル・レコードからデビューしたジャッキー・ロマックスが、アメリカに渡り72年に発表した3作目。ジョン・サイモンのプロデュースによるベアズヴィル録音で、ザ・バンドあたりにも通じる泥臭い南部サウンドを展開。文句なく彼の代表作だろう。