1999年2月発売
『グーという名の少年』で成功した彼らも実はパンク出身、89年の本セカンドも直線的な潔いパンクの応酬だが、ポップなメロディにアコギの使用と今に至る原点が見え、またメタル・ポップ的妙もあり、実現しなかった可能性が見えるところも興味深い。
かのニューヨーク・ドールズを多分に意識したようなバンド名の彼らが放つ3rd。N.Y.ドールズ、そしてラモーンズあたりから譲り受けたルーズながらもポップな感覚は、流行から一歩かけ放れたところで特異なムードを醸し出す。カッコ良くチープに迫る本作は痛快だ。
ユーミンが'78年に発表したアルバム『紅雀』から最新作の『ノーサイド』まで、オリジナル・アルバムでCD化されていなかった12点の総てが、やっとCD化されて出た。'80年12月に発表された『サーフ&スノウ』以前と、ミニ・アルバム『水の中のASIAへ』をはさんで、'81年11月発表の『昨晩お会いしましょう』以降とでは、ユーミンが想定している聴き手が大きく変わっているようだ。荒井由実時代と松任谷由実時代との間にある違いは、歌われている情景のリアリティーの有無だったが、ここではニューミュージックの女王から歌謡曲の女王への歩みが始まったといえるのではなかろうか。より広い幅の聴き手を対象としはじめたのが'81年にシングル「守ってあげたい」のヒットから、ユーミンのアルバム・セールスが飛躍的に伸びているのだから……。 半年に1作のペースでアルバムを発表してきたユーミンも、最新作『ノーサイド』以降はその間隔が長くなりそう。というのも、各作品ともにしっかりと水準を保っていること自体が、実は驚異的なことなのだ。ポップ・スター、ユーミンの歴史のすごさを思い知らされる一方で、これからに期待させる作品群を持っているのがユーミンなのだ。アルバムで味わうユーミンの楽しさの他に、コンサートの楽しさもある人なのである。